こんな こんなことをっ!
こんなことをしていいはずがないっ
人が、人が人にっ!
こんなことをしていいはずがないんだ
”幽霊”の名を持つ機械よ……
もし消えゆく人の痛みと悲しみが ほんのひとかけらでも わかるなら
力を貸せっ!今だけでもいいっ!
……笑うなっ!
命を わらうなーーっ!!
人物像
所謂オタクであり、クラブ活動で作ったAIハロロを搭載したタブレット端末を持ち歩いている。
また、モビルスーツに深い造詣を持つ。自身も古今東西の兵器の情報を彼なりに纏めてウェブサイトに公開する事を趣味としており、中にはGPシリーズの様な歴史から抹消された機体のデータも掲載されていた。
真面目なごく普通のヲタク少年だが、優しさと情熱を内に秘めた熱血漢である。
実は(トンデモ本の作者として名高い)ノンフィクション作家、ローズマリー・スズキ女史の熱烈なフォロワー。
ある日、偶然ザンスカール帝国の兵器「エンジェル・ハイロゥ」の情報を入手した彼は、何の気なしにそれを自身のページに掲載した結果、ザンスカールから命を狙われてしまう。
そして木星のエージェントであるカーティス・ロスコに命を助けられ、自身と親族の安全を条件に彼が率いる特殊部隊「蛇の足」への参加を決め、以降彼らと行動を共にする事になる。
モビルスーツの操縦技術も習得しており、MSに乗っての戦闘も行う事はあるが、それはあくまで成り行きに過ぎず、本人は戦闘を得意とせず、持ち前の知性と知識、そして技術のみを頼みに生き抜く知性派である。また、操縦技術もあくまで趣味で身につけた物に過ぎず、本格的な戦闘に参加出来る程の物ではない。はっきり言ってパイロットとしては並である。
しかし、豊富な機械知識やハロロからの戦闘中で分析出来た敵機体のデータ等を活かしたトリッキーな作戦を編み出す事に長けており、加えて蛇の足のエージェント達がただの一人も解く事が出来なかったエンジェル・ハイロウのデータをあっさりと解いてしまう等、ハッカーとしての才能もある(カーティスが彼を巻き込んだのも、彼の才能を評価してのこと)。
主な搭乗機はサイド3の戦争博物館から拝借したザクⅡ及びファントムガンダム。
元々戦争に巻き込まれた身で在った為、自身が戦う理由を見つけられずにいたものの、キゾ中将の命を軽視する作戦や行為に反感を覚え、ギロチンで処刑されたカーティスの友人の「百年争いの無い国を作る」という目標を受け継ぎ戦う事を決意する。
また、この時に助けた子ども達の中に実はお金持ちのお坊ちゃんがいた事から、その子の祖父他数名の資産家より「褒賞金」名目で元学生の身の上としてはかなり戸惑う(兵器を買ったり整備したりするには足りないが、個人としては一生遊んで暮らせる法外にも程がある)レベルな「そこそこの」礼金を貰う事になり、ちょっとした小金持ちに為ってしまった。そこで悩んだ揚げ句その礼金を原資にして、この騒動で「蛇の足」の捕虜と為っていたジャック・フライデイを雇う。(どういうシステムで捕虜の彼を雇っているかはジャック本人の項目を参照)
戦争やそこで戦う人々、更には彼らの事情に触れ、向き合う内に、やがて戦争と命に対する明確なビジョンを有する様に為って行き、元来の責任感の強さと相まって彼の心を支える柱の一つと為って行く。
カーティスの見立てではニュータイプ能力は持っていないとされているが、その反面デバイスの扱いに長けており、即座の判断力は他の追随を許さない。
しかし、それ故に個人の裁量を超える決断を短時間で繰り返してしまい、その結果「理性」を暴走させ、生命倫理より効率を優先する様になる。結果としてそれがカーティスとの不和を呼び、彼の身を案じたベルの手によって、カーティス達の下を去る。その際、クロスボーンガンダムゴーストを持ちだした事からかつてクロスボーンガンダムのパイロットで在ったシーブック・アノーと出会い、彼とベルの献身によって自らの過ちを認め、再びカーティス達の下へと戻り戦う決意を下す。
そして、エル・ザンスカール帝国としてザンスカール主流派から独立し、エンジェル・コールで汚染された艦隊をエンジェル・ハイロゥへ特攻させるべく活動を開始したキゾに対して最後の戦いに臨んだ。
だが、戦闘の最中に汚染艦と共に太陽へ進路を取った「林檎の花」をキゾによって占拠され、また自分達を支えたカーティスも重傷を負い、残された戦力でキゾとの決戦を余儀なくされる。これに対してフォントは持てる手段を全て投じて戦闘を演じ、途中再度理性が暴走しかけるが、ジャックの犠牲によって我を取り戻し、辛くも勝利した。
戦闘後、既に地球から遠く離れつつあった「林檎の花」から生還するべく、救出したベルと共に非常用冷凍睡眠カプセルで眠りに付き、カーティス達が自分達を捜索してくれると賭けて地球への帰路へ付くが、カプセルのビーコンが故障していた事から彼らが再び目覚めたのは15年後の情勢が一変した世界であった。
自分達に繋がる物が一切無くなり、更に目標も見失った状況で一度は自分が幻になってしまったのではないかと思い込むが、彼を救出した一派のリーダーがかつて自分が助けた子供の一人だった事、そして最終決戦で死んだと思い込んでいた仲間のジャックが生きていた事に希望を見出すと、自らを「ゴースト」と名乗り、世界がどう変わったのかを見て回るべく旅に出た。
「理性の暴走」
フォント・ボーというキャラクターを象徴する能力である。先述の様にフォントはデバイスを使うことに長けただけの一般人で在り、諸々の能力はニュータイプには遠く及ばない。
そんな彼が水爆ミサイルを爆発させずに迎撃する作戦を敢行した際に、人知を越えた状況判断を繰り返した結果手に入れた新境地が「理性の暴走」である。
これは脳が異常加速した状態であり、瞬時に周囲の状況を把握し、コンピューターの様な速度と正確さで情報を処理することが可能と為る。以前は戦闘が苦手なフォントで在ったが、この能力のおかげで常人離れした速度の戦況判断を行える様に成り、歴戦のパイロットを翻弄させる程の機転を見せつけた。
最終的にはキゾ中将との命を賭した戦いを経て更に「理性」は暴走し、未来予知すら可能とする程の境地に達してしまった。ある意味、凡人が努力によってニュータイプに近しい境地に辿り着いた状態と言える。
ただしこの状態は脳に過負荷を掛ける為、肉体や精神を疲弊させる諸刃の剣である。また、理性に偏るあまり人間性がどんどん欠落してしまう為、人の命を何とも思わなくなる危険な状態でもある。後にフォントは訓練によって精神に文字通りON/OFFを掛ける事でこの状態をコントロールする様に為った。
後日譚
最新作機動戦士クロスボーン・ガンダムDUSTにももう一人の主人公として登場。かつて自らが救い上げた子供の一人で本作の主人公アッシュ・キングと対峙し、彼に試練を与える存在として立ちはだかった。長引く宇宙戦国時代にピリオドを打つべく地球連邦軍の部隊であるキュクロープスに入隊しており、”幽霊(ゴースト)”の異名よろしく暗躍している。
数々の修羅場を経験して来た為か前作に比べどっしりと落ち着いており、前作で暴走していた理性もバランスの執れた思考の元に制御している。
”宇宙世紀を終わらせない”こと、そして”百年戦争をしない国”を作るべく地球連邦政府の復権を足掛かりに、地球とコロニー群と木星勢力とを互いに牽制させることで3者とも国力を回復させる、所謂天下三分の計を目論んでいる。
前述の様に「ゴースト」の時点で、兵器購入や整備には全く足りないが個人で持つには法外な資産を所有していたが、コールドスリープに入る直前にその全財産を商才に長けると目を付けていた高校時代の友人に預け、それを元手にした商売で得た利益の15%を自身に支払うという契約を交わし、友人はフォントの狙い通りその商才で15年後には大富豪に成っていた。契約の時点ではコールドスリープから目覚めるのは2年程度と見ていたので、「少し増やしておいてくれればラッキー」程度のつもりだったが、睡眠期間が15年の長きに渡った事で「しゃれにならない金額」に膨れ上がっており、「DUST」の時代では個人でファントムの武器購入や整備を行えるまでに成っていた。
ゲーム出演
ガンダムバーサスやEXVSシリーズの「マキシブーストON」からファントムを駆って登場。
過去のMSを纏めたサイトを運営していただけあって、過去の機体達を型番や著名であればパイロット名までも言い放ち、各陣営のフラッグシップ機は無論、正規軍に運用されずに情報も殆ど無い筈のΞガンダムやユニコーンガンダム、極一部の人間しか知り得ないEXAMシステム、
果てには一年戦争初期の試作機であるヒルドルブすら押さえてある筋金入りのオタクっぷりを見せている。
本編で関わったリガ・ミリティアやクロスボーンバンガードについても言及しているがキャラとの掛け合いは殆ど皆無であり、辛うじて光の翼を知るフォントに対してウッソが反応する程度。
尚、彼を象徴する様なセリフで「オタクを舐めるな!」とあるが、コレは原作では
発言しておらず、ゲーム作品によるオリジナルのモノ。
余談
『ゴースト』単行本3巻の著者近影によれば、名前の由来は「機動戦士Vガンダム」の主人公が「ウッソ」だから「フォント」。「嘘」と「本当」で対にしているものと思われる。また、明言こそされていないが苗字も「エヴィン(鋭敏)」と「ボー(呆)」で対にしてあるのではないかと推測されている。
尚、フォン・ド・ヴォーというフランス料理によく使われているフォン(出汁)があるが、これとは無関係と思われる。
関連項目
ゼロシステム:「新機動戦記ガンダムW」に登場するマン・マシーン・インタフェース。
ファンの間では「理性の暴走」はこのシステムを脳内で再現している様なものと例えられることが多く、「人間ゼロシステム」と呼ばれることも。