概要
武者ガンダムシリーズの12作目。
神田正宏による武者ガンダム漫画はこれが最終作に当たる。
これまでの作品において武者ガンダムは生命体として描かれていたが、本作では人間が乗る巨大ロボットとして登場している。Gジェネレーションの武者版というコンセプトで製作されたものの、あまり人気は伸びずわずか半年で終了する結果となった。結末はSD戦国伝シリーズにつながることを示唆しており、いわば武者ガンダムの「エピソード0」ともいえる。
前作に引き続き各武者の名前は片仮名で表記されている。本作の武者はBB戦士シリーズのGジェネレーションのキットへの金型を流用する関係上、今までのシリーズに比べて基となったモビルスーツのデザインに近い。
初期案はこれと全く異なり、「月からの侵略者に全世界の勇士が立ち向かう」というこれまでのシリーズの延長線上にあるもので、富野由悠季もアイデアを出していたらしい。(なお、武者ターンエーを主役にすることはこの時点で決定していた。)
ストーリー
武士の国では輝力と呼ばれる力を持つ白の武士団が平和を守っていた。しかし武士団の中に裏切り者が発生した。裏切り者たちによる黒の武士団は白の武士団を壊滅へと追い込み月姫を拉致してしまう。更に黒の武士団は古代文明の遺産である機械武者を使ってさらに勢力を拡大し始める。
白の武士団の生き残りである侶蘭はある夜、魔神像から現れた白い魔神と出会い黒の武士団に立ち向かう。
登場人物
天主
声:朴璐美(『SDガンダム GGENERATION-F』)
白の武士団の少年武士。一人称は拙者(コミックボンボン掲載時)、僕(単行本)。月姫を救うべく、偶然発見した武者ターンエーと共に黒の武士団と戦っていく。
月姫を守る秘密集団蒼の隠密団(ブルーディスティニー)団員。
武者の修復を行う武者鍛冶。最終決戦の最中、手薄になっていた敵本部へ乗り込み月姫を救出。
白の武士団の初代団長。死んだと言われていたが後の世に新たな悪が現れる事を予測して冷凍睡眠で長い眠りに付いていた。
天主を治める姫。東方不敗に囚われ、黒の武士団の表向きの象徴として利用されてしまう。最終決戦で珠童に助けられ、ターンエーを進化させる。
射亜と共に眠っていた意志を持つ機械。最終決戦では、ターンエーと一体化し、進化させた。
機械武者鍛冶屋嵐破の親方で珠童の上司。ヒゲを男の魂と考えており、ターンエーのヒゲにコンプレックスを感じる侶蘭を一喝しつつ、ターンエーの修復も行った。最終決戦後、武者頑駄無の兜飾りに憧れ、ヒゲを短くする代わりに、眉毛を伸ばすようになる。コミックボンボン版のみの登場であり、最終決戦後のやり取りは単行本で加筆修正されたもの。
黒の武士団/天主帝国
皇帝
天主帝国の皇帝。その正体は自我をもった武者で、超古代文明の残した巨大電子頭脳。コミックワールド版ではターンX+黒魔神といった外観だが、ボンボン版ではターンXの頭部から触手が映えた形状と、デザインが異なる。
侶蘭の師匠で白の武士団の団長であったが、ある時突如として裏切って黒の武士団団長となった。コミックボンボン版では最終決戦において、皇帝に改造されて、マスターの一部にされた末、ターンエーを巻き込んで自爆した。コミックワールド版では射亜の力で皇帝の呪縛から解き放たれて正気に戻り、白の武士団に復帰。
緋色と同じ蒼の隠密団団員だったが、裏切って、黒の武士団に就く。緋色との対決の末に戦死。コミックボンボン版のみ登場。
登場メカ
白の武士団
※リンク先はモチーフとなったMS。
武者ターンエーガンダム/ターンエー大将軍
侶蘭の搭乗機。白色の機体で、月結晶(ムーンクリスタル)の鎧・閃光銃・目牙閃光剣を有する神秘の機体。「月光戦神」の異名を持つ。天宮の遺跡から発掘された機体であるが、完全な形で復元されなかったことから鎧や武具が新たに装着された。かつては「ほわいとどーる」と呼称されていたとされる。コミックワールド版の最終決戦では、ターンエー大将軍となり、金剛の刃も使用。皇帝と運命を共にする。
緋色の搭乗機。蒼色の機体で、真珠(パール)の鎧・爆滅轟砲・閃光剣を有する荒ぶる機体。「蒼い戦慄」の異名を持つ。旧式の武者だが暴走するような戦いぶりをする。実は爆滅轟砲には自爆装置が内蔵されている。また頭部には全能力を爆発的に増加させる装置が搭載されているらしい。
「赤い彗星」の異名を持つ射亜の搭乗機。赤色の機体で、琥珀(アンバー)の鎧・閃光剣・飛翔閃光剣を有する気高き機体。
木馬遺跡の脇に封印されていた。
最初に発掘された機械武者で、当時は国中の武者鍛冶が一丸となってチューンナップした為か、現行の新型武者にも負けない戦闘力を持つ。
珠童の搭乗機。木馬遺跡の近くで発掘され、珠童が持てる技術をもってして復元した。古い記録にも存在しない緑色の機体で、翡翠の鎧・閃光剣・金剛力招来剣を有する不屈の機体。「金剛の刃」の異名を持つ。ただし、機体緒元に存在する「有線式自在閃光銃」は使用不能となっている。
黒の武士団/天主帝国
東方不敗の搭乗機。黒色の機体で、紫水晶(アメジスト)の鎧・暗黒破砕手刀・王者の楯を有する覇者の機体で出力も速度も他の武者を圧倒する。閃光兵器を持たず、素手で敵武者を破壊してしまう。「王者の風」の異名を持つ。コミックワールド版では改心した東方不敗に合わせるかのように、機体色が白に変化。
弐無馬守の搭乗機。武者ではあるが機体の各所に騎士の装備が見られる。キットでは、BB戦士 No.205の武者ブルーガンダムにBB戦士 No.78の皇騎士ガンダムの兜飾りと剣を取り付けることで再現可能。
黒の武士団の機械武者。こちらはモチーフと完全に同じ姿。
黒の武士団の機械武者。嵐破抹殺を企んだ。
黒の武士団の機械武者。右肩が長めで赤いカラーの紅鬼と左肩が長めで青いカラーの蒼鬼の2種類が存在する。
黒の武士団の機械武者。複数投入されている。
その他
黒の武士団に抵抗する農民たちの機械武者。ポンコツではあるがウォドムに対抗は可能になっている。
旧キットのボールとBB戦士Gアーマーで再現可能。
黒の武士団に抵抗する農民たちが復元した機械武者。
下半身が戦車になっている。
こちらもBB戦士のキットで再現可能。
コミックボンボン版のみ登場。武者ターンエーが進化した姿であり、外見は角飾り以外は武者頑駄無に酷似している。本編では、決戦後は侶蘭や珠童たちの手で等身大に改造され、異国に旅立ったとエピローグで紹介されているが、武者七人衆編の武者頑駄無と同一人物かは不明。コミックワールド版では、最終決戦後の珠童が建造した等身大武者であり、侶蘭にプレゼントされた。
ちなみにこの武者はボンボンの一般公募で決まったものである。
関連用語
- 機械武者
この世界における人型機動兵器。超古代文明の産物と言われており、主に遺跡などから発掘される。
3体あれば城でも落とせるらしい。尚、完全な状態で発掘されるのは稀なケースであり、新たに鎧や武器をあつらえたものが殆どで中には別の機体の部品を使って復元される武者も存在する。
戦いの末に機械武者たちは自我意識を持ち始め、機械生命体へと進化していったらしい。
- 超古代文明
大昔に栄えた文明。人々は天に人口の島を作ってそれを天空船などで行き来していた。しかし様々な武者や武器を作って戦争を繰り返した結果、衰退したらしい。今でも天空船であったと言う木馬遺跡などその文明の痕跡がいくつもある。
- 閃光兵器
武者の武器の一つ。光る粒子で敵を攻撃する武器で、閃光銃や閃光剣が存在する。ただ、この武器は同時代では製造できないうえに修理できる鍛冶も少ない代物である。
その他
- 初期案の段階では【豪腕武者アトミック】や【海賊武者シルバーガンダム】といったキャラの登場が予定されていた。
関連タグ
SDガンダム英雄伝・・・こちらもSDガンダムが人型機動兵器として描かれている。
SDガンダムワールドヒーローズ・・・本作の初期案のように、全世界の勇士が邪悪な陰謀に立ち向かうというSDガンダムシリーズ。