携帯電話
けいたいでんわ
概要
移動しながら長距離通信ができる小型の電話。電話機からの電波は基地局を経由して、別の携帯電話あるいは一般加入電話と通話できる。
デジタル化以降は、音声通話以外にショートメッセージや電子メールの送受信、インターネット接続などが可能になった。現在のスマートフォンはアプリ次第でどのようなこともでき、実質的に「電話回線に接続できる汎用コンピューター」である。
歴史
アナログ時代
1985年に登場した携帯電話「ショルダーホン」はその名のとおり肩掛け式で、重量は3kgもあったが、電話機本体の重さは1kgで、重さの元凶はバッテリーであった。それでも待ち受け時間は8時間、通話時間は40分未満で、実用性が怪しいものである。そもそもこれは自動車電話がシガーソケットにつないで電源供給していたものを単にバッテリーに切り替えただけという代物だった。1987年になってようやくまともに携帯できる電話が登場するが、これでも重量約900gと相当にかさばり、通話料だけでなく、機器レンタルの形であったためレンタル料がかかり維持費はかなりかかった。
ビジネスマンにはもっぱらポケットベルが呼びだし用に使われ、都会では至るところに公衆電話があったためにケータイの必要性はまだまだ薄かった。
デジタル化、一般への普及
携帯電話が一般に受け入れられはじめたのは、NTTがデジタル携帯電話(mova)をサービス開始した1993年頃で、この頃になってポケットに収まるほどになり、ビジネスマンやOLを中心に流布しはじめた。が、この頃のケータイは文字通り「携帯できる電話」でしかなく、通話だけしかできない。
1995年には通話料が安くバッテリーの持ちがよいPHSが登場し、個人のコミュニケーション手段として、高校生を中心とする若年層に受け入れられた。
1990年代後半から多機能化が進み、まずポケットベルとの連動がはじまり、続いてNTTドコモがWebサービス(iモード)による電子メールサービスを開始。さらにKDD・DDI(現au)が先駆けとなってEzwebサービスによるインターネットへの接続が始まる。この頃から、電卓機能をはじめ、携帯電話に付属する機能の多様化が始まる。
また、この頃にはカメラ付きのPHSも登場し、「ケータイで撮った写真をメールで送る」というスタイルが始まった。PHSはこの頃からデータ通信が低額であり、ノートパソコンやPDAを持ち歩くヘビーユーザーにモバイルコンピューティングのスタイルを定着させた。
そして2000年、J-PHONE(現SoftBank)によって「カメラ付きケータイ」が携帯電話に持ち込まれ、写メールというキャンペーンを打ち出すと、一躍大ヒット。以後、携帯電話にカメラ機能は必須となった。この頃には携帯電話会社の値下げ競争が激化。対抗馬であったPHSに向こうを張る力は残されておらず、定額通話やデータ通信といったニッチな分野で生き残りをはかることとなったが、ジリ貧に追い込まれていった。
モバイルインターネットとガラケーの時代
2001年にはNTTドコモが世界初の第3世代移動通信システム「FOMA」のサービスを開始。2003年、KDDI(KDD/DDIの経営統合企業)が3.5G(CDMA 1X WIN)の定額のデータ通信サービスを導入する。そしてvodafone(海外企業でJ-PHONEを吸収)が「テレビ付きケータイ」をリリース、翌2004年にはウィルコム(旧DDIポケット)がJavascriptに対応しPC向けのウェブページも表示することができる(つまり、Webアプリを使える)PHS端末を発売するなど、各キャリアの競争による携帯電話端末の機能の肥大化が進んだ。俗に言うガラパゴス・ケータイ、ガラケーである。
制度面でもガラパゴス化が進行しており、海外では2001年ごろから盛んに使われていたショートメッセージサービス(SMS)だが、日本では2011年になってようやくキャリアをまたいだSMSの送受信が実現した。
この頃になるとケータイは中高生にとっても必携の存在となっており、ソーシャルゲーム、ケータイ小説などケータイに特化したネットサービスは若者文化の中心となっていた。
スマートフォンの時代へ
2008年にiPhoneが登場。追ってAndroidも登場し、スマートフォンが急激に台頭する。これによりガラケー商法に依存していた日本の電機メーカーは、90年代のPC/AT上陸と同じような構図で第二の敗戦を迎えることになってしまった。
2010年、NTTドコモがLTEサービスを開始したが、リリースされたのは音声通信端末ではなくデータ通信用のアダプターであった。そして次に出たのはAndroid搭載のスマートフォンである。LTEの出現とともにすっかりスマートフォンが主流となり、音声通信に特化した旧来型の「ケータイ」は「ガラケー」と呼ばれ急激に陳腐化していく。スマートフォンも電話としての機能は持っているが基本的には手のひらサイズのコンピュータであり、一方でパソコンやタブレットにもLTE/3Gへの接続機能を持つものが一般化している。
フィクションの携帯
現代を舞台にしたフィクションでは我々の世界と同じようにガラケーやスマホを使用している事が殆どだが、文明が発展しながらも我々の世界とは大幅に異なる歴史を歩んだ世界には架空の携帯端末が登場する事も珍しくなく、中には古代文明が近代文明に先んじて携帯端末を作っていたという事例もある。
ヒーロー作品においては変身アイテムあるいはマシンを兼ねた携帯端末が登場し、公的な電話回線を使用しているかはさておき、通話を可能としている。
架空の携帯端末
- ポケギア(ポケットモンスター金銀)※腕時計型
- ポケナビ(ポケットモンスタールビー・サファイア
- ライブキャスター(ポケットモンスターBW)
- ホロキャスター(ポケットモンスターXY)
- スマホロトム(ポケットモンスターソード・シールド)
- アルセウスフォン(LEGENDSアルセウス)※当時としてはオーパーツに等しい
- PET(ロックマンエグゼ)※シリーズ毎に機種変されている
- トランサー/スターキャリアー/ハンターVG(流星のロックマン)※トランサーとハンターVGは腕に装着するタイプとなっている。スターキャリアーは古代に類似品が確認されている模様
- ファイズフォン/カイザフォン/デルタフォン/サイガフォン/オーガフォン(仮面ライダー555)※銃に変形。デルタフォンのみ無線機型
- ケータロス(仮面ライダー電王)
- ケータッチ(仮面ライダーディケイド)※通信機能の有無は不明
- スタッグフォン/ビートルフォン(仮面ライダーW)
- NSマグフォン(仮面ライダーフォーゼ)
- コンドルデンワー/コブラケータイ(仮面ライダーゴースト)
- ビルドフォン(仮面ライダービルド)※バイクに変形
- ファイズフォンX(仮面ライダージオウ)※銃に変形
- 飛電ライズフォン(仮面ライダーゼロワン)
- ガトライクフォン(仮面ライダーセイバー)※三輪駆動車に変形
- ガンデフォン50(仮面ライダーリバイス)※銃に変形
- デジタイザー/ケイタイザー(電磁戦隊メガレンジャー)
- Gフォン/Gブレスフォン(百獣戦隊ガオレンジャー)
- SPライセンス(特捜戦隊デカレンジャー)※携帯電話型のフォンモードがある
- マージフォン/ウーザフォン/グリップフォン(魔法戦隊マジレンジャー)※グリップフォン以外は魔杖型のワンドモードに変形。
- アクセルラー(轟轟戦隊ボウケンジャー)
- ゴーフォン/ウイングトリガー(炎神戦隊ゴーオンジャー)※ウイングトリガーは操縦桿型だが、テンキーがあり、携帯電話としても使用可能。
- ショドウフォン/スシチェンジャー(侍戦隊シンケンジャー)
- レオンセルラー(天装戦隊ゴセイジャー)
- モバイレーツ/ゴーカイセルラー(海賊戦隊ゴーカイジャー)
- 獣電モバックル(獣電戦隊キョウリュウジャー)
- アプリチェンジャー(烈車戦隊トッキュウジャー)
- ジュウオウチェンジャー(動物戦隊ジュウオウジャー)
- CCM(ダンボール戦機)※LBXのコントローラーだが、携帯電話としても使用される
関連タグ
無線 第5世代移動通信システム 無線LAN PHS Android(携帯情報端末)
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パケ死 : パソコン通信とダイヤルアップ時代のインターネットがみかかを恐れられていたのに対して携帯電話はデータ定額制が始まるまではこれが恐れられていた。