概要
MARVELコミックの代表的なヒーロー。
初出は1941年、MARVELの前身であるタイムリーコミックスの時代から出版されている最古参の1人であり、そのためかクロスオーバー作品でもリーダー格になることが多い。
通称はキャプテンの省略形である「キャップ」。頭部の装飾から「ウィングヘッド」などと呼ばれることもある。
正式な日本語表記は中黒入りの「キャプテン・アメリカ」だが、pixiv内では表記ゆれで中黒無しの表記の方が多用されているためこちらの項目で詳述する。
いわゆる"中の人"はコミック・派生作品含めて複数いるが、ここでは特記のない限り、初代のスティーブ・ロジャースを指すものとする。
人物
本名:スティーブン・グラント・ロジャース(Steven Grant Rogers)。
1922年(または'18年)7月4日、ニューヨークのブルックリンでアイルランド系の両親の下に生まれる。ちなみにブルックリンは非白人や白人でも非WASPの居住者が多い地区。
大恐慌の最中に両親を失い、天涯孤独の身で配達員として生計を立てていた。彼はナチズムへの義憤と愛国心に駆られて軍へ志願するも、徴兵基準を満たせないほど貧弱な身体の持ち主であったために弾かれてしまう。
しかし国のために命を懸けられる真っ直ぐな性根を見初められ、軍の「超人兵士計画」への参加を持ちかけられる。諦め切れていなかったスティーブは二つ返事で快諾し、計画の一環である人体実験(「オペレーション:リバース」)で超人血清を投与される。1941年、こうしてスティーブはキャプテンアメリカとして生まれ変わったのだ。
その後はナチス相手に懸命に戦うが、1945年終戦を前に北大西洋上で爆発する飛行機から投げ出され、氷漬けの状態で漂流を続ける。そして終戦から約19年後、「アベンジャーズ」のメンバーに発見され復活、同チームのリーダーに就任。時代のギャップに悩みながらも、自らの理想とする自由と正義の為に戦っている。
2000年より展開された「アルティメッツ」ではキャップの復活が発表当時の年代に変更されている。
それを元にしたMCU版ではその設定の踏襲、及び先に公開された『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『マイティ・ソー』との整合性を取るために、復活したのが約70年後となっている。
思想
その名前とバリバリの愛国者であることを殊更強調するコスチュームのせいで誤解され易いが、彼は祖国アメリカを愛しているが、アメリカ政府に忠誠を誓っているわけではない。
彼が忠誠を誓い、同時に彼を屈服させられるのは、アメリカが本来守らなければいけなかった理想「自由・平等・博愛の三本柱で成り立つ、アメリカン・スピリッツ」だけである。
実際、第二次世界大戦に関して言及した時に非常に簡潔ではあるが当時の同僚たちの横暴を堂々と批判。敵であったドイツ兵や日本兵に対しては、彼らの中にも尊敬できる人たちがいた、と評価している。
作品によっては、日本への原爆投下を許可した大統領に「愚行だ」と言い放った事もあった。
さらに、「キャプテン・アメリカの名前・装備は政府=国家に帰属するものである。よって、政府管理下に入るべし」との通達に反発したり、アメリカの正義に絶望した際には別のコスチュームと「キャプテン」の名前で活動した事もあった。
言い返せば、それほど読者の政治スタンスに投影されやすく、2004年からライターを務めたエド・ブルベイカーはインタビューで
「右派のファンは『フセインをぶっ飛ばす為にキャップをイラクに送れ』と言うだろうし、左派のファンはキャップに『ジョージ・W・ブッシュに投票するな』って言わせるだろう」
と答えている。
過去にはいかにも悪役然としたナチスや日本軍などを打ち倒したり、キャップが赤狩りを行うなどといったコミックも発表されたが、現在では「同じコスチュームを着た別人だった」という設定に変更されており、スパイダーマンの原作コミックスの展開の1つだった「クローン・サーガ」と並び公式で黒歴史化している(後述)。
また、生まれが戦前ゆえか、現代社会になじめず違和感を覚える事も少なくはなく、
「私は時代遅れの老人だ」
「今も私の心の中では、飛行機にはプロペラがあり、車は大きく背が高く、音楽はジャズ、雑誌の表紙はロックウェルの新作イラスト、ドジャーズのホームグラウンドはエベッツ球場だ」
などと物思いにふける事も。
MCUの各作品でも、2000年代のアメリカの流行を学ぼうと、四苦八苦する様子が書かれていた。
アイアンマンことトニー・スタークに対しても、色々な意味で対照的であるためか、
「トニーの発明した、素晴らしい装備を見るたびに(自分は老人だと)そう思わずにはいられない」
「トニー・スタークは未来に生きる男だ。私には真似できない」
と、自分以上のパワーを持つアーマーを操れる事に、うらやむ事もあった。
しかし、それらを承知したうえで、おのれのすべき事、すなわち、
「自由と平等と博愛から成るアメリカン・スピリッツ」
「それらを侵害する者に対しては、どんなに強大な相手であっても立ち向かう」
「(どんな相手であっても)私の知恵と、勇気と、拳で戦う。私の流儀……古風だが、死ぬまで捨てはしない」
という事を、常に忘れずにいる。
言うなれば、弱きを助け強きをくじく覚悟を決め、たとえわずかであっても世界を少しでも善くしようと尽力する、「正義の味方」でありたいと考えている漢である。
このヒーローとしての矜持と決意は、マーベルユニバース内でも他に並ぶものはほとんどおらず、彼以上のスーパーパワーを持つ他のヒーローたちも敬意を覚え、その言葉や行動に感銘を受けている。ヴィランたちですら、この愚直なまでのヒーローであろうとするキャップの矜持と決意、そしてその誠実さには一目置き、中には敬意すら覚えている者すらいる。
「ヒーローとは、超人的なスーパーパワーを有しているからヒーローなのではない」
「たとえ非力でも、虐げられた者たちのため、立ち上がり戦う意思を持つ者こそが、ヒーローと呼ぶに相応しい。」
「世界を変えるには、一人で十分だ。皆が座らされた時に立ち上がり、声無き者たちのために叫び、そして戦いを挑む」
こういった理想を、その活躍を以て、作品内のみならず読者に対しても知らしめるヒーロー。それがスティーブ・ロジャースであり、キャプテン・アメリカなのだ。
能力
彼は軍の超人兵士計画に志願し、超人血清を投与されたことで人間として完璧な肉体と頭脳を手に入れた超人である。X-MENの様な超能力は持っていないが、人間が人間の範囲で得られる最高レベルの凄まじい筋力と明晰な頭脳を駆使して戦うスタイルをとっている。銃で撃たれても戦闘続行できる。
ただし、超人血清を投与されているとはいえ、あくまでも肉体は常人の域を超えてはおらず、その点が同時に弱点でもある。ハルクのような人間離れした腕力、ミュータントなどが有する様々な超能力、アイアンマンのアーマーのような超兵器に対しては、直接的にぶつかっても負けてしまう事が多々ある。
また、「自分の肉体を主な武器とする接近戦がメインのヒーロー」の中でも純粋な身体能力は高い方とは言えず、コミックの正史世界版の公式設定では、単純な身体能力に限って言えばスパイダーマン、ブラックパンサー、ウルヴァリン、ルーク・ケイジなどに劣るとされている。
コスチューム
省略されがちだが、スーツは鱗の付いたスケイルアーマーである(ベースはレザーで、その表面に金属の小片を閉じている)。完全な防火・防刃・防弾仕様ではないが、ヴィランの刃や爪、牙などを防ぐ程度の防御力はある。
初期のコスチュームでは、マスクとボディとが別パーツだったため、首部分がむき出しになっていたのみならず、マスクも外れやすかった。後に改良され、マスクと首部分が繋がり、首部分の防御も完璧に。
シールド
円形のシールドを武器としており、これは彼のトレードマークにもなっている。このシールドは超人血清の開発者が偶然生み出した合金(主成分はヴィブラニウムおよびアダマンチウム)で出来ており、この世のどんな攻撃にも耐えられる程の防御力を持っている。
また、正確な投擲をする事でブーメランの如く使用者の手元に帰ってくる技量を持っている(盾によっては、そのような機能をガントレットや盾そのものに内蔵している場合もある)。
この盾、コミックの表紙では敵の強大さや絶望感を演出する目的で無残に割られている率が異常に高いが、実際には破損せずに終わる事が多い。ストーリー内で本当に盾を砕いた事があるのは、別次元から現れた超存在「ビヨンダー」の力を吸収したDr.ドゥーム、インフィニティ・ガントレットを装備したサノスなど、ほんの一握りだけである。
なお、初期のシールドは、縦に長い三角形の「スクエアシールド」だった。材質も通常の金属または鉄製で、表面には星条旗がペイント。ラウンドシールド同様に投擲して用いる事もあった。しかし当然ながら、射程距離や命中率、防御力などに難があり、破損する事も多かった。
MCUにて、スティーブがキャプテンアメリカとして初期に用いていたのが、このタイプのシールド。
このほか、原作では「エネルギーシールド」を武器にしていたこともあり、リパルサーのごとくプラズマ砲や格闘武器への転用も可能な万能装備だった。エネルギーの形状を変化させる事で、ナイフ状に変形させ使用する事も可能。
その他
軍人としての格闘スキルや銃器の取り扱いにも精通している。超人結成を投与後、アメリカ陸軍において戦術・戦略を学び、兵士としての技術と知識をマスターしている。
雷神ソーの持つ神鎚「ムジョルニア」に使用を認められた点でも、類まれなる高貴な正義心を持っているとされる。
宇宙の最高神「エターニティ」と融合した状態も存在し、全能とはいわずとも一気に能力が破格化する。
そして何よりも、卓越したリーダーシップと実戦経験から来る戦術論と判断能力はアベンジャーズとして活動するには必要不可欠である。事実、彼の指揮があってチームが最大限の働きをする。
例えばオンスロートの配下である強力なヴィラン「ホロコースト」「ポスト」と戦った際。この2名は、ソーを含むアベンジャーズ全員が直接攻撃しても敵わない相手であったが、キャップは策略でホロコーストの力を利用し同士討ちにさせ、アベンジャーズを指揮。見事に倒した事があった。
軍人なので当然銃火器の扱いも上手いが、作中では余り使うことはない。
ただ場合によるらしく、例えば映画『アベンジャーズ』では、その場を離れてはいけない状況だった為、敵の銃を奪って撃っている。また、バイクを武器にもする。
実は少年時代から絵を描くのが得意で、現代に復活後は一時期イラストレーターとなって生計をたてていたことがある。映画版でも戦地で1人絵を描いているシーンがある。
(「ヒーローズ・リボーン」でもイラストレーターとして過ごした時期があったが、フューリー曰く「あまり売れなかったがな」)。
なお、コミック版の正史世界であるアース616にもMARVELコミック社が存在するが……キャプテン・アメリカ本人が描いたコミックのキャプテン・アメリカの生原稿というメタな物が出て来るエピソードも有る。
また、2020年代のコミックのエピソードでは「作画にペンタブレットを使っているがレイヤー機能の使い方がイマイチわかっていないようにしか見えない」というシーンも有った。
関連人物
キャップの戦時中のサイドキック。
キャプテン・アメリカの宿敵。
キャップの大戦時の恋人:ペギー・カーターの姪(以前は年の離れた妹だったが、近年ではその設定が年代的に無理になった)。S.H.I.E.L.D.の女性エージェントとして登場し、スティーヴの現代の恋人として設定された。
『シビルウォー』後にレッドスカルに操られて、自らキャップを銃撃してしまうという過ちを犯してしまった(その際に身ごもっていたスティーヴとの子供を流産してしまう)。現在は復活したスティーブら、シークレットアベンジャーズのバックス担当として協力している。
第二次大戦中にカナダ軍の伍長として参戦しており、その時に出会った。
アニメ『X-MEN:エボリューション』にはウルヴァリンの回想と言う形でゲスト出演。ある強制収容所からユダヤ人を救出する作戦に参加。その時助けた少年の1人がマグニートーだったというエピソードがある。
また、ウルヴァリンが受けた改造実験計画「ウェポンX」は超人兵士計画==ウェポンⅠを引き継いだものであり、同じくウェポンXの被験体であるデッドプールを含めた3人で急造チームアップをしたこともある。
現代に蘇って以降の盟友。
同じアベンジャーとして公私ともに仲が良いが、高潔な理想家のスティーブとナルシストかつリアリストなトニーとの衝突も度々描かれており、アメリカ中のヒーローが互いに抗争を繰り広げるMARVEL史上有数の大事件『シビルウォー』を引き起こしてしまったこともある。
ちなみにトニーが女性として生まれ、彼らが結婚したことでそれが回避されたというブロマンス系ファンジンもかくやという並行世界が描かれたこともある。もはや「公式が最大手」状態である。
- サム・ウィルソン / ファルコン
キャップ暗殺のためにレッドスカルに洗脳されてキャップの相棒となった男。後に洗脳が解け、名実ともに相棒となった。キャップの称号を受け継いだときもある。
また2022年以降のコミックでは、彼を主人公とした「キャプテン・アメリカ」誌には"SENTINEL OF LIBERTY"「自由の守護者」の副題が付いている。
超人兵士計画
プロジェクト・スーパーソルジャー。
上記のレッドスカルが、その有り余る才能とナチズムにかける情熱を発揮し、世界中で破壊活動に精を出して連合軍に大きな打撃を与えたことを受けて、アメリカ軍が極秘裏に発案・決行した「対レッドスカル用兵士育成計画」。
アースキン博士が開発した、全身の細胞を活性・強化する「超人血清」によって作られた超人をスーパーソルジャーとして鍛え上げる計画である。
まず、最重要項目である「オペレーション:リバース(再生作戦)」に必須の超人血清が完成。唯一の被験者であるスティーブ・ロジャースに、血清を投与し処置。成功する。
が、開発者であるアースキン博士は、情報の流出を防ぐために、血清に関する情報をほとんどメモに残していなかった。そして、実験の視察に紛れ込んでいたナチスのスパイにより、実験成功の直後にアースキン博士は射殺。血清の再製造および大量生産は不可能になってしまった。
しかし、人類最高の肉体を手に入れたスティーブは、以後に戦略や戦術、戦闘技術など、兵士に必要なスキルを学び、超人兵士として活動を開始。キャプテンアメリカとして計画の目的通りの働きを見事にこなすようになった。
当初はアメリカ国内にて、様々なスパイを相手に戦うスパイバスターとして活躍。後に間の抜けた二等兵として陸軍に参加し、戦場でナチスや日本軍などを、時には超兵器を相手に戦うようになる。
キャップは計画の正しさを大戦中、身を以て証明し続けたのだ。
MCU版では、当初は「いくら超人兵士であっても、一人だけでは戦況を変化させられない」という理由から出番がなく、アメリカ軍の広報用キャラクターとしてコスチュームを着させられ、軍の国債購入推奨イベントや、舞台劇や戦意高揚用のシリアル(連続活劇)の主役として出演するなど、実際の戦場になかなか立たせてもらえなかった。
しかしある時に、絶望的状況下の軍の一部隊を、彼一人が救った事から、彼も実戦に参加するようになる。
戦後、この超人兵士計画は再開され、『インクレディブル・ハルク』ではブルース・バナーは不完全な超人血清を投与したことでハルクへと変貌してしまい、さらに同じ超人血清を投与された軍人エミル・ブロンスキーがアボミネーションへと変貌するという設定になっている。
再生作戦
オペレーション・リバース。上記「超人兵士計画」の中核となる「超人血清」の開発計画。
エイブラハム・アースキン博士により開発された血清であるが、彼は流出を防ぐためにそのほとんどをメモや書類に書き留める事無く、製造方法を自身の脳内だけにとどめていた。
被験者(スティーブ・ロジャース)の徹底した身体精密測定を行ったうえで、秘密基地内の実験室にて、限られた軍関係者の前で投与された。
関連書類がほとんど残されていないため、具体的にどのような物かははっきりしていない。
原作コミックでは、投与の際に下記の描写が見られた。
まず被験者であるスティーブに、最終調合した細胞増殖血清を注射(しばらくは眩暈がするが、すぐに治まる)。
続き、混合血清を経口投与させる。この際、血清の効果が薄れる前に一気に飲み干す必要がある(この混合血清は、失敗すれば被験者の命はないほどの劇薬であるらしい)。
そして、特殊光線「バイタ・レイ」を全身に照射する。この光線には、血清の効果を早め、細胞を活性化させる効力がある。
これらの処置が成功すれば、被験者の細胞一つ一つが新たな活力を得る事になる。
結果、スティーブ・ロジャースの虚弱な肉体は、人類が望みうる健康かつ完璧な肉体として「再生」。スティーブは完璧な肉体を得る事となった。
MCU『ファースト・アベンジャー』では、血清投与、およびバイタ・レイの照射は、専用カプセルに入る事で行っていた。
また、MCUにおける超人血清は肉体のみならず、被験者の精神にも強い影響を与えるらしい。
アースキン博士はスティーブを被験者にした理由を、劇中でスティーブへと語っているが、その際に血清の持つ特性も語っている。
それによると、アースキンは元はドイツ人であり、その時に未完成の超人血清をヨハン・シュミット(後のレッドスカル)に投与。その際、シュミットの残虐性が増した事を目の当たりにしていた。
「血清は未完成だった。だが、もっと重要だったのは人間の方だ。血清は打たれた者の内面を増幅する」
「良い部分は最高になり、悪い部分は最悪になる。君を選んだのはこのためだ」
「生まれてからずっと強い男は、力に敬意を払わない。だが、弱い者は力の価値を知っている。それに、憐れみも」
アメリカに亡命し、本作戦に参加。アースキンは血清の被験者を選定する際に、肉体的に虚弱であっても、強い正義感と勇気とをスティーブの行動から見出し、彼を被験者としたのだ。
スティーブ・ロジャースがヒーローでいられる理由は、血清がもたらした逞しい肉体のみならず、その正しくあろうとする強き心があるからこそなのである。
なお、原作コミックでは血清が成功した直後、アースキン博士は「これで世界中からあらゆる病を一掃できる」と口にしていた。博士自身は軍事目的のみならず、民間にもこの研究を転用。血清を用いて、世界中の全ての人間を健康な肉体にする事で、平和に貢献したいと考えていたらしい。
オンスロートにより別世界に転生した「ヒーローズ・リボーン」においては、血清の効力は不老不死のそれに近くなっていた。第二次大戦終結後にはスティーブは記憶処理され、自身は一般人として生活している。老けないために、軍およびシールドは、定期的に彼の職業と環境を変化させつつ生活を続けさせていたらしい。
また、リボーン世界においてはキャップ自身の血液にも血清の効力が多少はあるらしく、他者にその血液を飲ませる事で、効力を多少授与させる事が可能。
同じくリボーン世界に転生したサム・ウィルソンことファルコンが重傷を負った時に、キャップは自身の血液を飲ませる事で治癒能力を付加。助けた事があった。
遍歴
スティーブ・ロジャース以外のキャプテン・アメリカ
1945年に失踪した初代が仮死状態から復活し、アベンジャーズのリーダーに就任したのが1964年。
この際設定が変更されるまで、1941年のデビュー以来1954年まで活動していたキャプテン・アメリカは同一人物という設定だった。
二代目:ウィリアム・ナスランド / スピリット・オブ・'76
第二次大戦終戦間際、消息を絶ったスティーブは戦死したものと見なされ、士気の低下を怖れたトルーマン大統領の依頼によりキャプテンアメリカの代役を務めた。
常人だが優れた身体能力を有している愛国ヒーロー。アメリカ独立運動時を思わせる、帽子に軍服のようなコスチュームを着ていた。
※ちなみに「スピリット・オブ・'76」とは、1776年のアメリカ独立宣言時に提唱されたもので、簡単に言えば「人間の自由は尊重すべし」という思想である。
終戦後も国内の犯罪者と戦っていたが、1946年に死亡。
三代目:ジェフリー・メイス / パトリオット
元デイリー・ビューグルの新聞記者。恵まれた体力を活かし、犯罪と戦う道を選んだヒーローである。こちらも常人だが、元から正義感が強く、キャプテンアメリカに憧れていた愛国者だった。
この2人は1977年に再設定されたものであり、両名とも大戦当時は初代キャプテンと共闘していたヒーローである。
'50年代のスティーブ・ロジャース
1953年から1954年にかけて短期間刊行されたシリーズにおける「悪役」は国内の共産主義者であった。
これは当時の世相・風潮を反映したものであったが、現実世界においていわゆる「赤狩り」が批判されるようになり、正統派ヒーローであるはずのキャプテンがこれを行っていたストーリーは「なかったこと」にされ、1964年の設定変更まではキャプテン・アメリカというキャラクター自体が登場しなくなった。
こうした経緯もあり、復活後のキャプテンは「過剰な国粋主義」や「政府当局への盲従」には否定的な態度をとることが多いキャラクターとなった。
またキャプテンが"干されていた"期間には、
・1961年:ファンタスティック・フォー
といった、MARVEL世界の主だったヒーローたちがデビューしている。
※ちなみに、設定変更(大戦末期に行方不明になり、氷漬けになっていた)されて復活した際は、その前年からアイアンマンが連載されていた「テイルズ・オブ・サスペンス」誌の#59からダブル主人公として登場し、#100からはアイアンマンを追い出して個人誌となってしまった。
アイアンマンは翌年に個人タイトル誌を与えられ、改めて連載されている。
番外:ウィリアム・バーンサイド
上記の通り一度はなかったことにされたが、1972年に「初代とは別人だった」ことにして復活。
初代を崇拝する国粋主義者であり、その足跡をたどるうち超人血清製造法を発見。自ら調合した血清を服用し、新たなキャプテンになりたいと志願。軍がそれを許諾し、法的に「スティーブ・ロジャース」と改名させ整形手術まで施すが、彼を合衆国の象徴として配備するはずだった朝鮮戦争が停戦の運びとなってしまう。
落胆の末に国内でのヒーロー活動(1953~'54)を開始するが、不完全な血清の副作用で徐々に精神に異常をきたし、共産主義者や黒人に対して過剰な暴力を振るうようになる。これによって危険人物と見なされ、政府により拘束、冷凍睡眠状態に置かれた。
1972年に冷凍睡眠より復活し、かつて崇拝していた初代が黒人であるファルコンを相棒としていたことに腹を立て、「キャップの名を騙る非国民」と見なし彼を襲撃するが、結局返り討ちにあい再び冷凍状態にされる。
……が、その後に洗脳され、再度復活。グランドディレクターと改名し、ナチス系の組織を率いてキャプテンアメリカと敵対した。祖国からは称号を剥奪され、かつて憧れたヒーローに弓を引いた彼にとって、反共主義と人種主義だけが拠り所だったということか。
また、「(50年代の)古き良きアメリカこそが、(自分の理想とする)正しきアメリカ」であり、「現在のアメリカは自分が守るに値しないアメリカ」と思い込んだ事も、彼が道を踏み外した理由の1つ。要は「昔は良かった、それに比べ今は」という、現在の社会や国際情勢を受け入れられない老人のような思想を有していた。
設定上は三代目の後任に相当するが、1972年の時点では二代目と三代目の設定が確立していなかったこともあり、四代目として挙げられることは滅多にない。秘密裏にとはいえ正式に「キャプテン・アメリカ」の称号を受けた人物としては、なんとも不遇な人生である。
グランドディレクターとして敗北した後、洗脳は解けるも、現代のアメリカを放浪する事で、変化したアメリカを学ぼうと努める。
が、やはり受け入れられず、テロ組織ウォッチドッグに参加。テロ活動を行い、自分の理想としないアメリカを破壊せんと試みる。
しかしこれは実は、「派手なテロ活動でテロリストを一か所に集め、彼らを一網打尽に」という彼なりの作戦だった。彼自身も、現代のアメリカを受け入れられずとも、アメリカを守るヒーローとしての気概はまだ残っていたのだ。
その際に撃たれ入院したバーンサイドは、入院先の病院でスティーブ=本物のキャップと再会する。
スティーブは彼を責める事無く、一時的であってもキャップとして戦い、アメリカを守った事への感謝と、起こした事件の責任を負わせようとは考えていない事を述べた。
軍に関しても、バーンサイドを「名誉の戦死をした英雄」として葬儀を行い、それとともに「バーンサイドを、正式にキャップとしての義務から解放した」事を知らせる。
そして今後は、一人の人間として新たな人生を送れるように、心と身体を治療するための施設に送られる事を伝える。
これらの言葉を聞き、バーンサイドの心が救われた事は言うまでもない。
四代目:ロスコー・サイモンズ
1974年のストーリーにて、政府高官がテロ組織「シークレット・エンパイア」を操っていたことに絶望したスティーブが称号を捨てノーマッドと改名し、愛用の盾を譲り受けた人物。
その後、彼がレッドスカルに惨殺されたことで、スティーブは再びキャプテン・アメリカを名乗ることになる。
五代目:ジョン・F・ウォーカー / スーパーパトリオット / U.S.エージェント
1985年のストーリーにて、政府が「キャプテン・アメリカの称号と装備は合衆国に帰属するものであり、その活動には政府の許諾が必要である」として忠誠を強要。これに対してスティーブは自らが信じる「自由・平等・博愛」の精神に反するとして拒絶、称号と装備を返上し、民間人の「ザ・キャプテン」としてヒーロー活動を開始。
政府側はスーパーパトリオットとして活動していたジョン・F・ウォーカーにキャプテン・アメリカの称号と装備を与える。スーパーパトリオット名義の頃から(特に愛国心のあり方について)スティーブとは意見が合わなかったこともあり、両者は度々衝突した。
しかし命をかけて平和を守るヒーローとしての気概は共通しており、更に政府側の一連の決定が三代目レッドスカルの陰謀による離間工作であったことが発覚し、両者は和解。そして、紆余曲折の末、スティーブの自由意志を尊重することなどを条件として政府との協力関係が回復し、ウォーカーは称号と装備を返上、初代が復帰する。
一方スティーブがザ・キャプテンとして使用していた装備を贈られたウォーカーは、政府直属のヒーロー「U.S.エージェント」を名乗り、多くのヒーローチームを歴任することとなる。
イザヤ・ブラッドレイ / ブラック・キャプテン・アメリカ
2003年のストーリー「Truth: Red, White & Black」で初登場。
超人血清の開発中、複数の黒人兵士を被験者とした人体実験が極秘に行われており、その唯一の生存者。
MCUのドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』にも登場したが、あくまで米軍の実験体という扱いで、英雄扱いされることはなかった。
その後
2007年にスティーブが暗殺されてから2010年に蘇生するまではバッキーが、その後超人血清の効果が切れて老化したスティーブが前線を退いた際はサム・ウィルソンが、それぞれ称号を受け継いでいる。
未来
U.S.アベンジャーズでは、未来から転移してきた女戦士がキャプテンアメリカを務めた。
その正体はルーク・ケイジとジェシカ・ジョーンズの娘、ダニエルである。
別の世界のバージョン
マーベルの世界にはもともとの「正史世界」に対し、平行宇宙や別の時代・別の惑星等を舞台とした「派生世界」が数多く存在しており、幾つかは長期シリーズ化している。
その多くでキャプテン・アメリカ、あるいはそれに相当する立場のヒーローの活動が確認されている。
それぞれの世界のスティーブ・ロジャースが務めている場合もあれば別人の場合もあり、時には女性だったり(シークレットウォーズ2099、スパイダーグウェン)、ゾンビだったり(マーベルゾンビーズ)、おサルさんだったり(マーベルエイプ・ユニバース)、猫だったり(キャプテン・アメリキャット。スパイダーハムの居るラーヴァル・アースのキャップ)する。
2011年、正史世界の複数の時間軸と、幾つかの派生世界からそれぞれのキャプテン・アメリカが召集され、Captain America Corpsなるチームが結成されている。
メンバーは第二次大戦当時のスティーブ・ロジャース、U.S.エージェントと改名したジョン・F・ウォーカー、新キャプテンアメリカを襲名したバッキー・バーンズと、アメリカンドリームことシャノン・カーター、コマンダーAことキヨシ・モラレス。
なお、「このエピソードは『正史世界』の出来事ではない」事を表わす記号的表現として「別の世界のキャプテンアメリカ」の呼び名が「カーネル・アメリカ」になっている場合が有る。
(例:マーベル・ゾンビーズやコミック版「エイジ・オブ・ウルトロン」中の「歴史改変により発生した時間軸」など)
別名義
キャプテン・アメリカに付随する称号として
- 自由の番人 (The Sentinel of Liberty)
- 星条旗のアベンジャー (Star-Spangled Avenger)
- 第二次世界大戦の生ける伝説 (The Living Legend of World War II)
- ウイングヘッド (Winghead)
などがある他、政府から追われる立場となった際にブレット・ヘンドリックなどの偽名を名乗ったケースもある。
またスティーブ・ロジャースの、キャプテン・アメリカ以外のヒーローとしての活動もある。
これらについては個別記事参照。
他メディア展開
『MARVEL VS. CAPCOM』シリーズ
1995年の『MARVEL SUPER HEROES』から登場。
必殺技
- シールドスラッシュ(Shield Slash)
原作でもおなじみ、盾を投げつける飛び道具攻撃。弱・中・強で方向が異なる。
盾は跳ね返って戻ってくるが、受け止め損ねた場合はその場に落下し、拾うまでは盾無しの状態になる。盾無しでは必然的にシールドスラッシュが使えないほか、一部の技は性能が変化する。
MvC3では盾が必ず戻ってくるようになり、戻るときも攻撃判定が発生。
- スターズ&ストライプス(Stars & Stripes)
盾を構えて上方向にタックルを繰り出す、いわゆる対空技。
- チャージングスター(Charging Star)
盾を構えて、飛び道具を打ち消しつつ突進する、いわゆる突進技。
盾がない状態では飛び道具を打ち消せない。
特殊技
移動技として側転と二段ジャンプが使えるほか、タイトルによってはキック系の特殊技が追加されている。
超必殺技
- ファイナルジャスティス(Final Justice)
ポーズを決めた後突進、体当たりがヒットすると上空へ弾き飛ばし、連続攻撃を叩き込む。
- ハイパースターズ&ストライプス(Hyper Stars & Stripes)
『MvS』より追加された、スターズ&ストライプスの強化版。ケンの昇龍裂破に近い。
- ハイパーチャージングスター(Hyper Charging Star)
『MvS』より追加された、チャージングスターの強化版。
その他
『MSH』のストーリーは、1991年のクロスオーバー企画『Infinity Gauntlet』がベースとなっており、ゲーム上でもインフィニティ・ジェムの使用・争奪がシステムとして再現されている。
この一環として各キャラクターごとに『得意ジェム』というものが設定されており、これを使用すると共通の効果に加え特有の追加ボーナスも得られる。
キャプテンの場合はパワージェムがこれにあたり、使用すると通常の効果(攻撃力増加・通常技にケズリ効果付与)に加え、三種の必殺技の性能が更にパワーアップする。
『MvS』では隠しキャラの1人としてU.S.エージェントが使用可能。グラフィックはキャプテンの色違いなので、原作とはデザインが異なる。また、『MvC』ではスペシャルパートナーとしてU.S.エージェントが使用可能。使用する技はチャージングスター。
データイースト
- 『CAPTAIN AMERICA AND THE AVENGERS』(1991年)
全5ステージのアクションゲーム。二人同時プレイも可能。
使用可能キャラクターはキャプテンアメリカとアイアンマン・ホークアイ・ヴィジョンの四名で、当時の日本では四人ともほぼ無名の状態だったためか、ゲーム自体もあまり評価されなかった。
海外市場では家庭用ゲーム機(SNES、GENESIS、ゲームギア)に移植されたが、日本ではいずれも発売されていない。
- 『AVENGERS IN GALACTIC STORM』(1996年)
こちらは対戦格闘ゲーム。使用可能キャラクターはキャプテンアメリカと、サンダーストライク・クリスタル・ブラックナイト・シャタラックス・コーラス・Dr.ミネルヴァ・サプリモールの八名。
もちろんキャラクターの使用許可を出しているのはMARVEL側なのだが、二十年が経過した現在でさえ日本ではほぼ無名のメンツばかり揃っているのは逆にすごい。さすがはデータイースト。
ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ
CV:中谷一博
主要人物の1人。今作ではスーツがアーマー状になっている。
ロキにディスクに封印されてしまう。
ディスクの属性はファイト。スパイダーマンが所持していたがのちにクリス・テイラーのパートナーとなる。
MCU
フェイズ1から登場し、単独映画を挟みつつアベンジャーズのリーダーとして活躍している。
No. | タイトル | 全米公開年 |
---|---|---|
1 | キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー | 2011年7月 |
- | アベンジャーズ | 2012年5月 |
2 | キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー | 2014年4月 |
- | アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン | 2015年5月 |
3 | シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ | 2016年5月 |
- | アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー | 2018年4月 |
- | アベンジャーズ/エンドゲーム | 2019年4月 |
4 | Captain America: New World Order | 2024年5月予定 |
※カメオ・ノンクレジット出演は除く
第1,2,3作ではスティーブ・ロジャースが、第4作はドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で正式に襲名したサム・ウィルソンが主人公。
その他
- 新日本プロレスにキャプテン・ニュージャパンという、あからさまにキャプテンアメリカをもとにしたレスラーがいた。現在はヒールターン(善役から悪役になること)し、『BONE SOLDIER』と名を変え活動中(プロフィール)
- 映画(MCU)版の演者であるクリス・エヴァンスは過去に「ファンタスティック・フォー」でヒューマントーチ(ジョニー・ストーム)を演じている。なお、大戦期におけるキャプテンの戦友としてヒューマントーチという同名のヒーローがいるが、ジョニーとは能力が類似しているだけの赤の他人である。
- 東映の「バトルフィーバーJ」は、元々「東映版スパイダーマン」と同じくキャプテンアメリカの日本版ローカライズとして企画されていた。各国の国旗を取り入れたコスチュームや、口元がついたデザインのマスクはその企画の名残である。
- DCとマーベルの大規模クロスオーバー「DCvsマーベル」では、バットマンと対決。惜しくも敗れる。ただしその敗因は、下水道で戦っていた時に、予期せぬ水流に巻き込まれたため。そのため、状況的にはどちらが勝っても負けてもおかしくはなかった。
- バットマンと対戦する前には、バットマンの背骨を折ったヴィラン、ベインと対戦。背骨を折られそうになるが、投擲したシールドを直撃させ、ベインに見事勝利する。初見でバットマンを一度は倒したベインと直接戦闘し勝利した事から、キャップの実力は決してバッツに劣らない事が見て取れる。
- その後に「アマルガム」では、スーパーマンと合体し「スーパーソルジャー」となる(クリプトンから来た赤ん坊の死体から作った、超人血清を投与したという設定。「スーパーマンの力を得たキャプテンアメリカ」といったキャラになっている)。
- そのバットマンとは、1997年に公式にクロスオーバーを行っている。1945年、第二次大戦中のアメリカを舞台に、バットマンと協力して、ジョーカーとレッドスカルに対し戦いを挑んだ。キャップはロビンを、バッツはバッキーを連れて、別行動する……などというシチュも見られる。
- マーベルの並行世界アース11418では、より右翼的かつ保守的なキャプテンアメリカが存在、チーム「アメリコマンド」を率いている(Captain America Corps)。
- なお、DCコミックでは、「アメリコマンド」の名前のアメリカ愛国ヒーローが登場している。元は、第二次大戦中の自警ヒーローで、ムチを武器とする「ミスターアメリカ」の変名だった。しかしのちに、DCユニバースの並行世界、アース8における、盾を持った愛国ヒーロー「ジェームズ」として登場する。ヒーローチーム「クルセイダーズ」のメンバーにもなっていた。
- 更には、DCコミックのグラフィック・ノベル「キングダム・カム」には、愛国ヒーローとして上記とは別の「アメリコマンド」が登場。こちらは盾を持たず、右腕にユニット化した銃を装備。過激な愛国ヒーローで、攻撃的かつ保守的。リバティ島で自由の女神に陣取り、移民に対し宣戦布告したが(ちなみに、皮肉にも元ネタであるキャプテン・アメリカは父親の代にアメリカに移住した移民2世という設定)、スーパーマン率いる新生ジャスティスリーグにより一撃で無力化される。
関連タグ
キャプテン・アメリカ(表記ゆれ)
バトル・ガイ:キャプテンアメリカがモチーフと思われるMARVELヒーロー。
Dr.マンハッタン:DCコミックにおける“アメリカを象徴するヒーロー”。ただし、人物像がキャプテン・アメリカとは色々な意味で真逆。
アメリコマンド:やはりDCコミックの、アメリカ愛国ヒーロー。余談参照。