概要
ファイアーエムブレムシリーズは作品を重ねるにつれ、細かい部分は違えど似たような特徴を持つキャラが多く出現し、キャラ像がテンプレート化された「お約束」ポジションとなったものが多く存在している。
初代の暗黒竜と光の剣当時にアリティアの騎士として同じソシアルナイトで対照的なキャラが登場していたが、彼らのようなキャラも「対照的なキャラの赤っぽい騎士と緑っぽい騎士」として後発作品でお約束のような形で登場している。
ただしすべてのペアにいえるわけではないが多くの赤と緑は下記の特徴を持っている。
・同じ系統の兵種(たいていソシアルナイト)
・対照的な性格
・能力傾向も違う
・少なくとも片方が初期~早期に加入する
・主人公の国に仕える
歴代赤緑
暗黒竜と光の剣/紋章の謎
アリティアの騎士。赤のカインは「猛牛」と呼ばれる熱血漢、緑のアベルは「黒豹」と呼ばれる冷静な人物。暗黒竜では初期メンバー。紋章ではカインが先に登場し、アベルは上級加入でエストを人質に取られているため説得加入となる。
2人は【英雄王】マルスに仕えた騎士として異名と共に「覚醒」の時代まで伝わっている。
アカネイア王女ニーナに仕える騎士。祖国や主君の為ならば自発的に行動する弓兵ジョルジュと、主君の命令や意思を絶対視する勇者アストリア。紋章では二人の間で思想面での確執があったが、ジョルジュが主君の意思をアストリアに伝えて解決。上級加入かつ初期兵種が異なり、加えて両者ともアカネイア三種の神器(それぞれパルティアとメリクルソード)の使い手同士である。
なお、第1作「暗黒竜と光の剣」のジョルジュに赤色要素は無く、緑色の鎧を纏っていた。
外伝/Echoes
ソフィア解放軍の騎士。ソルジャーであるが上級職の関係でアーマーナイトタイプといえる。赤のルカは温厚で皮肉屋、緑のフォルスは熱血気味な性格。解放軍の同僚ではあるが相棒同士ではなく、フォルスの相方は弓兵のパイソンが務めている。ルカが初期メンバーでフォルスはパイソンと一緒に後から入る。
なお、外伝の頃はフォルスは紫髪に赤い鎧だった。
聖戦の系譜
シグルドに仕えるシアルフィの騎士。赤のノイッシュは生真面目、緑のアレクは軟派な性格。初期メンバーであり、同クラスだが性格同様個人スキルも違う。父親としてはどちらもスキルの補完として機能する。
封印の剣
フェレの騎士。赤のアレンは猪突猛進、緑のランスは冷静沈着。初期メンバー。
烈火の剣
キアランの騎士。キアラン公ハウゼンの命により公女リンディスと行動を共にする。赤のケントは生真面目で、緑のセインは軟派。リン編の序盤で入り、エリウッド編・ヘクトル編ではキアラン組として入る。
聖魔の光石
エフラム直属のルネス騎士。烈火とは逆で赤のフォルデがマイペース、緑のカイルが堅物。フォルデは弟がいる。エフラム初登場章で入り、8章終了時に合流して選んだルートについていく。
蒼炎の軌跡/暁の女神
赤のケビンはクリミア王宮騎士団所属の斧使いで熱血漢、緑のオスカーは弟2人のために王宮騎士から傭兵に転じたグレイル傭兵団所属の槍使いで柔軟な性格。もともと面識があるため支援はあるが、立場はだいぶ違う。
オスカーは蒼炎では1章から入り、暁でも傭兵団まとめて3部序章から入る。暁ではケビンが先に登場する。
ファイアーエムブレム覚醒
クロム自警団所属の新人騎士。赤のソワレは生真面目で武人気質のスピード型、緑のソールはのんびり屋のパワー型。ソワレは1章で先に入り、ソールが後から入る。ソワレはこのポジション初の女性であり、結婚すると娘のデジェルができる。女扱いによる手加減を嫌う、料理が苦手といった男っぽい気質はデジェルに受け継がれた。
ファイアーエムブレムif
白夜王国の忍者。騎士ではなく、それも双子の兄弟というパターンである。兄のサイゾウはリョウマ臣下で、熱くなりやすい性格。弟のスズカゼは主君を決めておらず、温厚で異性に好かれやすい。
2人とも副素質は同じだが結婚・バディ相手に違いがあり、子供もサイゾウの子グレイが忍者、スズカゼの娘ミドリコが薬師とタイプが全く違う。サイゾウは主君の関係もあり暗夜ルートでは加入しない。加入は白夜・透魔ともスズカゼが先だがサイゾウも加赤緑入は早期。
存在の設定のみがある赤緑ソシアルナイト
ニンドリのインタビューでは暗夜王国側にもマークス隊の先代の赤緑のソシアルナイトがいた事が明かされている。
ファイアーエムブレムエンゲージ
聖地リトスの「竜の守り人」の33代目を務めている双子の兄妹。妹のフランの初期兵種はモンクで元気いっぱい、兄のクランはマージでおっとりした性格と、素質が全く異なる。
いずれもリュールの臣下であり、同時に彼(彼女)をファンのように慕う。
カラーリングはピンクと緑に近い。
赤緑に近いコンビ
ファイアーエムブレム風花雪月では3学級に分かれるシステムの関係や、これまでと大きく変化したシステムもあり、明確に赤緑と言える存在はいない。赤緑的な要素を含むペアはいるが、これまでの赤緑とは大きく異なる。
一応、下記のペアは一部プレイヤーから赤緑と呼ばれているが、必ずしも多くのプレイヤーに共有されているとは言い難い。
王国貴族出身の騎士。軟派な赤のシルヴァンと、生真面目な緑のイングリット。幼馴染であり、性格は対照的だが主武装が槍で騎乗技能が得意、また英雄の遺産(それぞれ破裂の槍とルーン)を使えることが共通。ただしイングリットの方は飛兵(ペガサスナイト)系がデフォルトの職種となる。
色に関しては、5年後衣装の鎧についた襟巻きが赤緑となっている。が、逆に言うとそのくらいであり、シルヴァンは赤髪だがイングリットは金髪。鎧も特に塗装されていない。 → シルイン
セイロス騎士団の騎士。豪放で気さくな赤のカトリーヌ(ソードマスター)と、クールで現実主義の緑のシャミア(スナイパー)。
一応対になっているキャラではあるが、上級加入、カトリーヌは黒鷲の学級から紅花の章に行くと加入しない、兵種が全く異なるなど、赤緑的な要素は薄い。色に関しても、どちらかと言えば白青の方がイメージが強い。一応、FEHでは剣士のカトリーヌは当然赤属性なのに対し、弓兵であるシャミアが緑属性として登場している。
赤緑を彷彿とさせるコンビ
- オーシン/ハルヴァン(トラキア776)
- フィアナ村の住民。斧戦士のコンビで性格はオーシンが体が先に動くタイプ、ハルヴァンが大人しめと対照的。ともに初期メンバー。色的な対比はないが、関係性や性格の違いなどは赤緑に近いタイプになっている。
熱血or冷静、パワーorテクニックと赤緑コンビを思い浮かべるメンバーで、中には初期メンバーではないが、「トラキア776」のランスリッターコンビ「ケイン」「アルバ」もこのコンセプトに該当するキャラクターと言って良いだろう。
ただ前述の通り、ifは忍者ではなり、風花雪月は明確な赤緑が存在しないなど、近年ではあまり赤緑を意識されなくなっている。
元々のコンセプト
第1作「暗黒竜と光の剣」から第5作「トラキア776」までは、「初期ユニットの同職ライバル」というコンセプトのキャラクターが、各作品の各プレイヤー軍団に必ず1組存在している。
第5作「トラキア776」までは特に「赤緑」「ソシアルナイト」には拘っておらず、第4作「聖戦の系譜」の親世代に於いて単発のセルフオマージュネタとして赤緑コンビ「ノイッシュ」「アレク」を登場させた程度。
「赤緑」が本当にお約束になったのは、第6作「封印の剣」から。本作はメインデザイナーの交代を受けたシリーズの出直し作であり、原点回帰としてアカネイアシリーズを強くオマージュした作品になっている。
以降「初期ライバル」ではなく「赤緑」が継承されていくことになったのは、それまでに実質3作品(暗黒竜と光の剣、紋章の謎第1部、第2部)で活躍した「カイン」と「アベル」のイメージが如何に強かったか、ということの証左であろう。