概要
この世代は競馬人気復権の立役者・ディープインパクト1強であった。文字通りディープインパクト世代といってよい。ディープインパクトは競走馬としてもクラシック三冠などG17勝を挙げ国内では負け1度のみと圧倒的な強さを誇り、種牡馬としてもG1馬だけで国内外数十頭という凄まじい成績を残した。
一方でダート界もエルコンドルパサーの代表産駒にしてスカーレット一族出身、ダートで中央地方併せてGI9勝のヴァーミリアンと、金子氏保有であることから砂のディープインパクトと称されたカネヒキリが競いながらG1・Jpn1勝ちを重ね、スマートファルコン・エスポワールシチーの登場まで2強を形成した。
日米オークス馬にしてエピファネイアなどGI牡馬3頭の母でもあるシーザリオもこの世代。
障害競走においては、2022年現在でグレード制導入後唯一中山大障害を3歳で制したテイエムドラゴンを皮切りに中山大障害を5連覇し、中山グランドジャンプではカラジと激闘を繰り広げた世代。4頭が計6度J・G1を制覇した障害の黄金世代であった。
また、トウカイトリックやフジノウェーブ、ボンネビルレコードなど現役を長く続けた馬が多いことでも知られる。
現時点では、ノーザンファームが生産馬による五大クラシック完全制覇を成し遂げた唯一の世代である。
海外馬はアメリカンオークスで先述のシーザリオと競ったシンハリーズ、ヨーロッパで活躍した凱旋門賞馬ハリケーンラン、香港ヴァーズ連覇など世界各地を転戦したドクターディーノ、早世したドバイミレニアム産駒唯一のGI馬となり後継種牡馬として活躍馬を多く出したドバウィなどがいる。
勝利したG1
古馬G1の勝利は長距離・グランプリでのディープインパクトやダートが目立った反面、他の分野では前後の世代が台頭していた。
2-3歳
全日本2歳優駿 | プライドキム |
---|---|
朝日杯FS | マイネルレコルト |
阪神JF | ショウナンパントル |
皐月賞 | ディープインパクト |
日本ダービー | ディープインパクト |
菊花賞 | ディープインパクト |
桜花賞 | ラインクラフト |
オークス | シーザリオ |
秋華賞 | エアメサイア |
NHKマイルC | ラインクラフト |
ジャパンダートダービー | カネヒキリ |
ダービーグランプリ | カネヒキリ |
古馬
短距離 |
|
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マイル | |
中距離 |
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長距離 |
|
牝馬限定 | |
ダート |
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障害 |
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海外 |
代表馬
馬名 | 性別 | 勝利レース |
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ディープインパクト | 牡 | 牡馬クラシック3冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)など |
ヴァーミリアン | 牡 | ジャパンカップダート/フェブラリーSなど |
カネヒキリ | 牡 | ジャパンダートダービー/ダービーグランプリ/フェブラリーS/川崎記念など |
スズカフェニックス | 牡 | 高松宮記念 |
トウカイトリック | 牡 | |
エイシンデピュティ | 牡 | 宝塚記念 |
ラインクラフト | 牝 | 桜花賞/NHKマイルカップ |
エアメサイア | 牝 | 秋華賞 |
ディアデラノビア | 牝 | |
デアリングハート | 牝 | |
シーザリオ | 牝 | オークス/アメリカンオークス |
マイネルレコルト | 牡 | 朝日杯FS |
プライドキム(大井) | 牡 | 全日本2歳優駿/クラスターカップ |
ボンネビルレコード(大井) | 牡 | かしわ記念/帝王賞 |
フジノウェーブ(大井) | 牡 | JBCスプリント |
テイエムドラゴン | 牡 | 中山大障害史上2頭目、グレード制導入後初の3歳制覇 |
マルカラスカル | 牡 | 中山大障害・中山グランドジャンプ |
メルシーエイタイム | 牡 | 中山大障害。同レースで3歳から5年連続連対 |
キングジョイ | 牡 | 中山大障害2連覇 |
アドマイヤジャパン | 牡 | 京成杯 |
キングスゾーン(名古屋) | 牡 | サマーチャンピオンなど重賞11勝 |
外国馬
馬 | 性別 | 主な勝利レース |
---|---|---|
ハリケーンラン | 牡 | 凱旋門賞 |
シンハリーズ | 牝 | デルマーオークス |
ドクターディーノ | 牡 | 香港ヴァーズなど |
ドバウィ | 牡 | アイルランド2000ギニーなど |
シャマルダル | 牡 | セントジェームズパレスS/仏2000ギニーなど |
アフリートアレックス | 牡 | プリークネスS/ベルモントSなど |
種牡馬
ディープインパクト、カネヒキリ、ヴァーミリアンなどが種牡馬入りしている。
ディープインパクトはサンデーサイレンス系の最高傑作となり、これまでに三冠馬2頭など数十頭ものG1馬を輩出。さらに母ウインドインハーヘアの血統的背景からヨーロッパからも重宝されて海外調教のG1馬が数頭出た。母父としての活躍馬も今後増えることが期待される。
ドバウィも多数の活躍馬を出しており、このうちマクフィやモンテロッソ、ベンバトルは種牡馬として輸入されている。シャマルダルはタルナワが有名。
第66回菊花賞をディープインパクトと競り合ったアドマイヤジャパンは、直仔からはJRAの重賞勝利馬は出なかったが、2021年の阪神ジュベナイルフィリーズでサークルオブライフが勝利し、母の父としてG1馬を出した。
種牡馬 | 主な産駒 | 母父 | 父父・ひ孫以上 |
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ディープインパクト | |||
カネヒキリ | |||
ヴァーミリアン | |||
スズカフェニックス | |||
ドバウィ | |||
シャマルダル | |||
アドマイヤジャパン |
繁殖牝馬
この世代は繁殖牝馬も良質。シーザリオが勝ったアメリカンオークスの出走馬複数から日本G1馬が生まれている。