CV:不明
概要
ゲームアプリ「ウマ娘プリティーダービー」に登場する特殊なモブウマ娘の1人。
モチーフとなった競走馬はアドマイヤベガの母である二冠牝馬「ベガ」と思われる。
名前
モチーフ馬の名前の由来となっている「ベガ(Vega)」が琴座の一等星「α星」であることからの連想と思われる。
琴座の英語名は「The Harp(ハープ)」ではなく「The Lyra(ライラ。古代ギリシャの楽器リラ)」ではあるが、孫娘に「ハープスター」(一等星「ベガ」の別名)がいることから「ハープ」にしたのだろう。
余談ではあるが、ベガの曾孫にあたるハープスターの二番仔は「ライラスター」(22世代、ロードカナロア産駒)と名付けられている。
容姿
暗めの鹿毛で前髪ぱっつんロングヘア。肩口あたりから毛先にかけて大きくウェーブさせている。モチーフ馬の流星を意識したものか、頭頂部左よりから左目の上にかけて幅広の白髪部分がある。また、後ろ髪の左右にも同じように白髪部分が一筋ずつ見られる。
勝負服は明るい紫色がベース。暗紫色のチューブトップにオープンショルダーの七分袖ジャケットをあわせ、下はボディコンスカートに黒タイツ。シューズは編み上げブーツで、両足首に白のアンクレットを装着。両手には黒のオープンフィンガーグローブを着用。
紫はモチーフ馬のパドック用メンコ(白+紫の耳覆い)に使われている色で、勝負服とは全く異なる。ユキノビジンの勝負服に割とデザインが近い(ベガ=黄色地+黒縦縞に赤袖+黄色輪、ユキノビジン=黄色地+赤縦縞に青袖)せいだろうか。
ツリ目気味で、シュガーニンフェ同様、パドックではやる気の表情差分により常に目を閉じている。
アプリ内での登場
ユキノビジンの育成イベントでは桜花賞、オークス、秋華賞、大阪杯に登場。走りではなく容姿とキャラクター性でアイドル的な人気を集めたユキノビジンに対し、同世代のティアラ路線で抜きん出たその実力によって注目を集めており、2人に対するファンの熱狂の仕方の違いがクローズアップされる。
史実のとおり、秋華賞以降調子を落としており、大阪杯では苦悩する姿も見られる。
ハープアルファについているトレーナーAは女性口調で話す。女性になっているのは、ベガの鞍上をモデルにしたシンデレラグレイの女性トレーナーを意識したものだろうか。
ノースフライトの育成イベントでも登場。同期のユキノビジンからティアラ路線の有力者として名前が挙げられる。晩成型のノースフライトとは活躍時期もやや異なるため接点は薄いが、実際に目標外レースであるティアラ路線のレースに出走すると上位人気で登場し、オークスでは難敵となる。
能力と出走レース
脚質適性は先行A、距離適性はマイルA、中距離A、長距離E。スキル「垂れウマ回避」「スピードスター」「ギアチェンジ」等を習得している場合があり、特に桜花賞で手強い。秋華賞以降は能力が落ちていて、スキルもかみ合わせが悪くなる。
ユキノビジン/ノースフライトシナリオでの出走レース
強調はユキノビジンの課題レース、◯はユキノビジンの固有二つ名の条件レース
新馬戦以外の史実出走レース(92~94年)で対戦可能(☆1/☆2)。
- ジュニア
なし
- クラシック
チューリップ賞 桜花賞◯ オークス◯ 秋華賞◯(☆1) 有馬記念
- シニア
大阪杯(☆2) 宝塚記念
- 注釈
アドマイヤベガシナリオでは
アドマイヤベガの母として、ハープアルファと同じくベガをモチーフにした「ダブルティアラのウマ娘」が登場する。
アニメでは
2期13話「夢をかける」に、同じくベガをモチーフにしたと思われるアニメオリジナルウマ娘「ペラ」が登場する。名前は新聞の馬柱と実況で確認可能。
こちらの勝負服がモチーフの史実カラーに合わせてあり、黄色ベースに黒のベレー帽やブーツ、ワンポイントの赤というカラーパターン。セリフはなく、有馬記念で走る姿が確認される。
競走馬『ベガ』
93年 桜花賞
曲がった左脚で勝利したベガ。
ハンディは、強くなるためにある。
──JRA 2011年CM「桜花賞(未放送)」より
【織姫の夢】
いずれ燃え尽きることが
恒星の宿命ならば
宙駆けめぐる光跡を
せめて彩りで満たさんと
碧、紅、翠に輝いて
金、銀、白に煌めいて
熱くまばゆく世界を照らし
わが存在を知らしめよう
果たせぬ夢がのこるのなら
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社台グループが大枚はたいて購入した凱旋門賞馬トニービンのファーストクロップにして、社台総帥・吉田善哉氏が買い付けてきた20世紀No.1種牡馬ノーザンダンサーの直仔アンティックヴァリューの日本での初仔と、社台グループの期待を一身に集めた良血のお姫様だった。
本来は一口馬主クラブ「社台レースホース」の対象馬になる予定だったが、母アンティックヴァリューに似て左脚が酷く内向していた為、断念。蹄も深さのないベタ爪であり、負担のかかる調教を積むとすぐに脚部不安を生じる程の脆さから競走馬になること自体危ぶまれたが、脚元負担の少ない坂路調教を積むことでデビューに漕ぎ着けた。
馬主は総帥の妻・吉田和子氏で、勝負服は「黄色地に黒縦縞、黄色袖に赤一本輪」。
「ベガ」の名付け親は和子氏のお孫さん。額中央から左鼻にかけての細い斜め流星に星のような斑点がいくつも見られたことから星座をイメージし、織姫である「ベガ」の名を与えられた。
入厩先は坂路が整備されている栗東の松田博資廐舎。主戦騎手は武豊で、全9戦中8戦に騎乗している。
入厩後は脚元を考慮してじっくりゆっくり慎重にということで、2歳デビューは見送り。
1993年の年初に坂路で強めの調教を行ったところ、デビュー前の若駒とは思えぬほど素晴らしいタイムを叩き出したことから、急遽1月9日の新馬戦(京都競馬場 芝1800)でぶっつけ本番のデビュー。厩舎所属の橋本美純騎手を背に、ほとんど調教を積めない状態で2着と中々に好走し、今後の成長を期待させた。
その後、調教に遅刻した橋本騎手が降板となり、以降は武豊騎手が騎乗することに。3週間後の24日に折り返しの新馬戦(京都 芝2000m)では4馬身差と圧勝。しかし直後に内向している左脚に不安が出たことから、距離の短い桜花賞はパスして有利なオークスに絞ることも検討された。
その後、脚の状態が上向いたことから桜花賞トライアル「チューリップ賞」(当時OP。阪神1600m)に出走。逃げ馬エルカーサコスモを番手追走してコーナーで抜き去ると、後は後続をちぎり捨て、一番人気に応えた。
4戦目、GⅠ「桜花賞」(阪神 1600m)。ベガは適性的に距離が短いと見られていたが、それでも単勝2.0倍と抜けた一番人気に推された。対抗馬は二冠牝馬マックスビューティとの母娘制覇がかるマックスジョリー、報知杯4歳牝馬特別を勝ったヤマヒサローレル。
レースが始まると、ベガは逃げを打ったマザートウショウをヤマヒサローレルとともに積極果敢に追走。直線でマザートウショウを交わして抜け出し、猛追してくる2着ユキノビジン、3着マックスジョリーをクビ差でしのぎ切って先頭でゴールを駆け抜けた。
(実況:馬場鉄志)
実況の馬場鉄志アナは「花曇りの空に一等星輝きました!ベガ優勝です!」と実況。
解説の大坪元雄氏は「内向している脚、これが今後もって体重が増やせるようなら相当な器になる」と唸った。
次走はフランスのヴェルメイユ賞やダービーへの出走も取り沙汰されたが、結局「オークス」(東京 芝2400m)を選択。距離適性としては桜花賞よりもベガに有利ではあったが、初の東京遠征で一時体調を崩した経緯もあり、一番人気ながら単勝オッズは3.4倍に落ちた。
レースではヤマヒサローレルが逃げ、ベガは3番手のユキノビジンをマーク、そのベガを東の一等星ホクトベガとマックスジョリーが更にマークする形で進行。
直線に入ると、ベガは先頭に立ったユキノビジンに叩き合いを仕掛け、残り200mあたりから交わすとジリジリと差を広げ、1馬身3/4差でゴールを駆け抜けた。
(実況:三宅正治)
三宅アナは「西の一等星は東の空にも輝いた!6年ぶり史上9頭目(※1)の牝馬二冠達成!」と実況。
皐月賞(ナリタタイシン)に続いて春のクラシック3連勝を記録。
2着ユキノビジン、3着マックスジョリーと、1~3着が桜花賞と全く同じ着順になった。「ベレー帽の紳士」こと大川慶次郎氏は「直線伸びないんじゃないかと思ったが、二の脚を使った」「桜花賞では余裕があったとうことだろうか。そうでないと、この脚が2400で使えるとは思えなかった。見事だった」と語っている。武豊は桜花賞、- (※1)実況では9頭目となっているが、この時点の牝馬二冠は史上15頭目、桜花賞とオークスの連覇は8頭目。三宅アナはおそらく三冠目が菊花賞だった時代の二冠牝馬を数えていない。菊花賞時代の桜花賞とオークス連覇はスウヰイスー、ヤマイチ、ミスオンワード、カネケヤキ、オークスと菊花賞の連覇はクリフジ、桜花賞と菊花賞勝利はブラウニーが該当。
マックスジョリーの母マックスビューティ以来の二冠牝馬となり、メジロラモーヌ以来の三冠も期待が高まったベガ。ヴェルメイユ賞への出走も計画されていたが、レース疲れからか脚部不安を生じたこと、強いコズミ(筋肉痛)が出たことから計画を白紙に戻し、休養に入った。しかし、彼女はここから下降線を辿っていくことになる。
北海道の社台ファーム早来で蹄鉄を打った際には装蹄師が釘を深く打ち込みすぎて「釘傷」が出来てしまい、栗東の厩舎に戻っても本格的な調教は積めず、叩きとして使う予定だったローズステークスへの出走を回避して、牝馬三冠目の「エリザベス女王杯」(京都 2400m)にぶっつけ本番で挑むことになった。
状態が悪かったこともあり、人気はローズステークスの勝ち馬スターバレリーナ(3.4倍)に継ぐ二番人気で、単勝は3.7倍、ライバルのユキノビジンは三番人気4.0倍と拮抗していた。マックスジョリーは骨折の影響で出走しておらず(そのまま出走なく94年に引退)、ジョリーと同じ酒井牧場生まれのホクトベガは九番人気(30.4倍)と全く注目されていなかった。
レースが始まると、ベガはノースフライトと接触して失速し、武豊はいつもの先行押し切りではなく中段8~10番手あたりに位置取った。最終コーナーで外目に振って隙間を縫うように前進を開始したが、オークスで見せた二の脚は不発。それでも地力を見せて上がっていくのだが、後に“マイルの女王”と呼ばれるノースフライトの剛脚についていくことは出来ず、千切られてしまう。
しかしその刹那、パカッとあいたインコースをついて美浦の織姫の末脚が爆発。前を行くノースフライトをも差し切り、上がり最速の末脚でゴールを駆け抜けた。
(実況:馬場鉄志)
「ベガはベガでもホクトベガです!
1番のホクトベガ、加藤和宏!
3回目の挑戦で見事にエリザベス女王杯を制しました!
三冠ならずベガ!三冠ならずベガ!
勝ったのはホクトベガです!
東の一等星ホクトベガ!輝いたのはホクトのベガです!」
勝者の名はホクトベガ。奇しくも自身と同じく織姫星をその名に抱く馬だった。
ベガは序盤の接触で脚に4針縫うケガを負っており、苦しいレースの中でなんとか3着を死守。しかし、一等星の輝きはこれまでベガの影に隠れていたホクトベガのものとなった。2着はノースフライト、ライバルのユキノビジンは10着、スターバレリーナは9着。
この後、ベガはすっかり体のバランスが崩れ、これまでは調教で抑え込めていた内向からくる体の弱さがモロに出てくるようになる。
年末の有馬記念ではビワハヤヒデ、ウイニングチケット、エルウェーウィンら同期GⅠ牡馬との初対戦になったが、トウカイテイオー奇跡の復活の影で初めての着外となる9着大敗。
年が明けて古馬になると少し調教をつけただけでコズミがでるようになり、ステップに選んだGⅡ「産経大阪杯」ではスタミナが持たず、同期ネーハイシーザーの9着惨敗。
天皇賞(春)はスタミナ面を考慮して回避。ファン投票でビワハヤヒデにつぐ2位の表を集めた「宝塚記念」では積極果敢に前で競馬を行ったが、レース中に左前第一指骨骨折を発症しブービー13着に敗北。
そのままノーザンファーム(社台ファーム早来から改名)へ戻り、現役引退となった。
通算成績:9戦4勝(GⅠ2勝) 2着1回 3着1回
生涯獲得賞金:3億77万1000円
引退後
良血統のベガは、繁殖入り後に素晴らしい成績を残した。
当時旋風を巻き起こしていたサンデーサイレンスとの間に生まれた初仔のアドマイヤベガがいきなりダービー馬となり、同じくSS産駒の二番仔アドマイヤボスもGⅡセントライト記念を制覇。
更に、アメリカのミスタープロスペクター系種牡馬ティンバーカントリーとの間に生まれた三番仔アドマイヤドンは朝日杯フューチュリティステークスに加えてダートGⅠ5勝という大活躍を見せた。
四番仔は出産直後に死亡。五番仔のキャプテンベガ(SS産駒)は重賞こそ勝てなかったがオープン馬になっている。
ラストクロップとなった六番仔のヒストリックスターは唯一競走馬になれなかったが、母として桜花賞馬ハープスターを産んだ。
しかし、ベガはまだまだ母としてもこれからという2006年8月16日に蜘蛛膜下出血で倒れ、16歳で息を引き取った。2年前に急死した息子アドマイヤベガの後を追うかのような、突然の最期だった。
馬の性格
ベガは非常に大人しく、環境の変化にも対応できる我慢強さを持っていた。
我慢嫌いのワガママ女王様で環境の変化に敏感だったホクトベガとは、同じ織姫でも対照的。
史実でベガと対戦経験のあるウマ娘
※強調はベガが先着したレース。☆は勝ち馬、◎は勝鞍。
〈※〉はアニメオリジナルウマ娘。アニメ2期に登場。
〈◯〉はシンコウウインディシナリオに登場。
・ナイスネイチャ…93年有馬記念 94年産経大阪杯 宝塚記念
・デュオプリュウェン(※)セキテイリュウオー…93年有馬記念
・シュプールムーバー(※エルカーサリバー)…93年有馬記念 94年産経大阪杯
・シンプトンダッシュ(※アイルトンシンボリ)…94年宝塚記念
- 93世代(同期)
・ユキノビジン…93年桜花賞◎ 優駿牝馬◎ エリザベス女王杯
・砂の女王(◯ホクトベガ)…93年桜花賞◎ 優駿牝馬◎ エリザベス女王杯☆
※同期のナリタタイシンとは対戦経験なし。