会社概要
2002年(平成14年)12月1日に東日本旅客鉄道(JR東日本)東北新幹線盛岡駅(岩手県盛岡市)~八戸駅(青森県八戸市)間の延伸開業と同時に、その並行在来線として経営分離された東北本線の同区間中ほぼ青森県内にあたる目時駅(三戸郡三戸町)~八戸駅間の25.9km(営業キロ)の区間を継承した第三セクターの鉄道会社。
筆頭株主である青森県が第三種鉄道事業者として施設を保有しており、旅客列車を運行する青い森鉄道及び貨物列車を運行する日本貨物鉄道(JR貨物)が第二種鉄道事業者となっている。
この為、第三セクターの路線としては初の上下分離式が導入されている。
また、転換前が国鉄・JR線だった路線を保有する第三セクターの鉄道事業者としては唯一日本民鉄協会に加盟している。
2010年(平成22年)12月4日に東北新幹線が新青森駅まで延伸され全線開業したのに伴い、東北本線の八戸駅~青森駅(青森市)間の96.0kmについても青い森鉄道が継承し、総延長121.9kmになった。それまでの肥薩おれんじ鉄道(116.9km)を抜いて第三セクター鉄道の単一路線としては最長となっていたが、2019年3月23日に三陸鉄道リアス線(163.0km)の開業によりその座を譲ることとなった。
目時駅以南は同じく第三セクターのIGRいわて銀河鉄道が継承。盛岡駅〜八戸駅間で相互直通運転を行っており一体のダイヤが組まれている。
2009年(平成21年)7月からは公式キャラクター「モーリー」が登場。所有車両の青い森701系電車の側面にも描かれている。また2012年(平成24年)2月14日からは青森県の「ブランド化促進事業」の一環として青森県内に本社を置く鉄道事業者(青い森鉄道・弘南鉄道・津軽鉄道・十和田観光電鉄<※1>・南部縦貫鉄道<※2>)をイメージした「青森鉄道むすめ」の1人として鉄道むすめの「八戸ときえ」が登場し、モーリーと共にマスコットキャラクターとして使用されている。
※1:2012年4月1日鉄道事業廃止
※2:1997年(平成9年)5月6日路線休止、2002年8月1日鉄道事業廃止
路線データ
路線名 | 青い森鉄道線 |
---|---|
ラインカラー | スカイブルー |
路線区間 | 目時〜青森 |
路線距離 | 121.9km |
軌間 | 1,067mm |
駅数 | 28駅 |
信号場数 | 1箇所 |
電化区間 | 全線(交流20,000V) |
最高速度 | 110km/h |
複線区間 | 目時〜青森信号場 |
単線区間 | 青森信号場〜青森 |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | ATS |
運転指令所 | 青い森鉄道CTCセンター |
第二種鉄道事業者 |
|
第三種鉄道事業者 | 青森県 |
路線概要
「会社概要」の項でも記載したとおりJR東北本線の青森県区間を転換した路線であり、八戸市や三沢市等の青森県南部地方の都市と県都青森市を結ぶ役割を果たしている。
JR時代は特急「はつかり・スーパーはつかり」「白鳥・スーパー白鳥」「つがる」、転換後もしばらくは寝台特急「北斗星」「カシオペア」等が運行されていたが、現在は青函連絡や対首都圏輸送の役割は東北新幹線・北海道新幹線に譲った為、あくまで南部地方のローカル輸送に特化している。
後述のJR直通列車のうち、気動車で運行される列車については青い森鉄道線内もJR東日本の乗務員が乗務する。これは青い森鉄道には「甲種内燃車運転免許」(気動車の運転免許)を保有する乗務員がいない為である。
車両基地
青森信号場構内にある運輸管理所に全ての自社車両が所属している。
直通運転
同時に東北本線から転換されたIGRいわて銀河鉄道との直通運転を行っている他、JR線とも東北本線時代から引き続き直通運転を行う。
現在は以下の区間で直通運転を行なっている。
・IGRいわて銀河鉄道いわて銀河鉄道線:目時駅〜盛岡駅
・JR東日本大湊線(はまなすベイライン大湊線):野辺地駅〜大湊駅
また過去には以下の区間でも直通運転を行っていた。(特急列車の直通先は除く)
・JR東日本八戸線(うみねこレール八戸市内線):八戸駅〜鮫駅
沿革
転換前については東北本線の項を参照。
- 2001年(平成13年)5月30日:青い森鉄道(株)設立。
- 2001年11月28日:JR東日本が国土交通省に東北本線盛岡駅〜八戸駅間の廃止届を提出。
- 2002年(平成14年)3月18日:青い森鉄道が目時駅〜八戸駅間の第二種鉄道事業(旅客運送)、青森県が同区間の第三種鉄道事業を国土交通省に申請。
- 2002年5月18日:国土交通省が青い森鉄道の第二種鉄道事業及び青森県の第三種鉄道事業を認可。
- 2002年12月1日:JR東日本東北本線盛岡駅〜八戸駅間廃止。青い森鉄道青い森鉄道線開業。
- 2009年(平成21年)7月:公式マスコットキャラクター「モーリー」登場。
- 2009年11月25日:青い森鉄道が八戸駅〜青森駅間の第二種鉄道事業(旅客運送)、青森県が同区間の第三種鉄道事業を国土交通省に申請。
- 2009年11月27日:JR東日本が国土交通省に東北本線八戸駅〜青森駅間の廃止届を提出。
- 2010年(平成22年)2月19日:国土交通省が八戸駅〜青森駅間の青い森鉄道の第二種鉄道事業及び青森県の第三種鉄道事業を認可。
- 2010年7月3日:指令担当をIGRいわて銀河鉄道ぎんが指令からJR東日本盛岡指令青森分室へ移管。
- 2010年12月4日:JR東日本東北本線八戸駅〜青森駅間廃止。青い森鉄道青い森鉄道線延伸開業。指令担当をJR東日本盛岡指令青森分室から青い森鉄道CTCセンターへ移管。
- 2011年(平成23年)3月11日:東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で全線運休。
- 2011年3月12日:野内駅移転。
- 2011年3月14日:浅虫温泉駅〜青森駅間運転再開。
- 2011年3月16日:八戸駅〜浅虫温泉駅間運転再開。
- 2011年3月17日:全線運転再開。
- 2012年(平成24年)2月14日:鉄道むすめ「八戸ときえ」登場。
- 2014年(平成26年)3月15日:筒井駅開業。
- 2016年(平成28年)3月26日:寝台特急「カシオペア」廃止。青い森鉄道線を経由する特急が全廃。
- 2017年(平成29年)3月4日:奥羽本線直通の定期列車廃止。
- 2018年(平成30年)3月17日:線内完結の快速及び八戸線直通列車廃止。
- 2019年(令和元年)10月12日:台風19号の影響で狩場沢駅〜清水川駅間の路盤が陥没。夜から全線運休。
- 2019年10月14日:復旧工事完了に伴い全線運転再開。
現在の運行形態
臨時列車以外は全てワンマン運転を行なっている。
定期列車では三戸駅〜青森駅間で運行される普通列車1往復(八戸駅で列車番号変更。下りの三戸駅→八戸駅間は平日のみ運転)を除き、八戸駅で運行系統が分かれている。以下では八戸駅以南と以北に分けて記載する。
目時駅〜八戸駅
全列車が普通として運行され、半数以上がIGRいわて銀河鉄道との直通運転を行い、残りは三戸駅発着。目時駅を始発・終着とする列車は存在せず、同駅を経由する列車は全て直通列車。2018年3月16日までは八戸線直通列車も設定されていた。
直通列車は小鳥谷駅始発の下り1本を除き全て盛岡駅発着。金田一温泉駅〜目時駅〜三戸駅間は県境区間の為本数が少なく、最長4時間程列車間隔が開く時間帯が存在する。
三戸駅〜青森駅間は日中は1〜2時間に1本程度の運行。
八戸駅〜青森駅
転換前は東北新幹線との連絡ルートとして特急「白鳥・スーパー白鳥」「つがる」が運行されていたが、現在は普通列車と大湊線直通の快速「しもきた」のみ運行されている。
- 快速しもきた
大湊線直通列車。JR東日本のキハ100系0番台・200番台気動車で運行される。2021年(令和3年)3月13日ダイヤ改正で青森駅発着便が廃止されて以降は、八戸駅〜大湊駅間に3往復設定されている。そのうち1往復は青い森鉄道線内のみ快速運転を行い、大湊線内は普通列車として運行する。
停車駅
八戸 - 下田 - 三沢 - 上北町 - (乙供) - 野辺地 - 陸奥横浜 - (近川) - 下北 - 大湊
()は一部停車駅
- 普通
八戸駅〜青森駅間で日中は概ね1時間〜1時間半に1本程度設定されている。朝と夕方以降は浅虫温泉駅〜青森駅間の区間列車や早朝に三沢発八戸行も存在する。多くの列車が三戸駅・盛岡駅方面の列車と接続している。
2017年3月3日までは奥羽本線新青森駅に直通する列車が存在した。
駅一覧
会社名の記載がない路線はJR東日本
●:停車 ○:一部停車 レ:通過
※:転換後に開業した駅
駅名 | 快速 | 乗換路線 | 備考 |
---|---|---|---|
↑IGRいわて銀河鉄道盛岡まで直通運転 | |||
目時 | |||
三戸 | 当駅発着あり | ||
諏訪ノ平 | |||
剣吉 | |||
苫米地 | |||
北高岩 | |||
八戸 | ● | 運行系統上の境界 | |
陸奥市川 | レ | ||
下田 | ● | ||
向山 | レ | ||
三沢 | ● | 当駅始発あり | |
小川原 | レ | ||
上北町 | ● | ||
乙供 | ○ | ||
千曳 | レ | ||
野辺地 | ● | 大湊線 | |
↓大湊線大湊まで直通運転 | |||
狩場沢 | |||
清水川 | |||
小湊 | |||
西平内 | |||
浅虫温泉 | 当駅発着あり | ||
野内 | |||
矢田前 | |||
小柳 | |||
東青森 | |||
筒井※ | |||
青森信号場 | |||
青森 | JR管理駅 |
現在の使用車両
自社車両
全て運輸管理所所属
- 青い森701系0・100番台
開業時から使用されている電車。0番台はJR東日本701系1000番台を譲受した編成。100番台は転換時の新製車。
0番台8編成中1編成と100番台は転換時から運用され、0番台の残り7編成は青森延伸時にJRから譲受した。
青い森鉄道線全線及び、青森延伸前より運用は減少したがIGR全線で使用される。かつては東北本線盛岡~北上間と奥羽本線青森〜新青森間でも運用された。
青森駅延伸後の2014年に、筒井駅開業に伴う利用者の増加を見込んでE721系をベースとして新製された電車。三戸駅〜青森駅間で運用。導入以来他線への直通運用では使用されていない。
IGRいわて銀河鉄道所属
- IGR7000系0・1000番台
運輸管理所所属の電車。0番台は転換時にJR東日本701系1000番台を譲受した編成、1000番台は新製車。
定期列車では目時駅〜八戸駅間及びIGR線で運用されるが、臨時で青森駅まで乗り入れたことがある。
かつては八戸駅〜三沢駅間でも運用された。
JR東日本所属。
全て盛岡車両センター八戸派出所所属。
- キハ100系0・200番台
大湊線用気動車。
快速「しもきた」として八戸駅〜野辺地駅間で運用。かつては野辺地駅〜青森駅間でも運用された。
- キハE130系500番台
八戸線用気動車。
臨時快速「ふるさと大湊」「おおみなと」として八戸駅〜野辺地駅間で運用。
過去の使用車両
JR東日本所属
青森車両センター(現・盛岡車両センター青森派出所)所属の特急型車両。青い森鉄道誕生前は特急「はつかり」「スーパーはつかり」として、八戸駅〜青森駅間転換前は特急「白鳥」(485系)「つがる」として運用されていた。
青森駅延伸直後に運転区間が変更された「つがる」の間合い運用として、青森発浅虫温泉行快速と折り返し浅虫温泉発大館行快速(青森〜大館間は臨時特急つがる52号)として運用されていた。
盛岡車両センター八戸派出所所属のジョイフルトレイン。新青森駅〜大湊駅間で臨時快速「リゾートあすなろ下北」として運用されてきたが、「ひなび(陽旅)」「SATONO」へ改造する為運用を一時終了した。
- キハ40系500番台
八戸運輸区(現・盛岡車両センター八戸派出所)所属の八戸線用気動車。小鳥谷駅〜目時駅間で八戸線直通列車として使用された。
田端運転所所属の電気機関車。寝台特急「北斗星」「カシオペア」牽引機。
転換時はEF81形が、廃止時はEF510形が牽引していた。
尾久車両センター所属の客車。寝台特急「北斗星」で使用された。定期運行末期はJR北海道車との混合編成だった。
尾久車両センター所属の客車。寝台特急「カシオペア」で使用された。
JR北海道所属
- 24系
札幌運転所所属の客車。「北斗星」2往復体制時は単独で、1往復化後はJR東日本車との混合編成で運行された。