概要
『白井流』と言う忍者組織に所属している忍者。
かつて人間として一族に属していたが、『燐塊(Lin-Kuei)』という組織に属するサブゼロに一族を壊滅させられ、自身も殺害されてしまう。
その後サブゼロへの復讐を果たすために甦った。
すでに故人ゆえか、マスクの下の素顔は骸骨になっている。
黄色い装束が特徴的だがこれは青がイメージカラーの燐塊に対する敵対心の表れである(要するにネガポジの関係)。
生前の時の名前はHanzo Hasashi。
既婚者で子供も授かっていたのだが一族もろとも殺害されている。
炎を操る力を持っており、口から豪炎を吹き付けたり、地面から地獄の炎を呼び寄せたりする。
また、剣術・クナイの心得を会得しており、白兵戦にも秀でている。
サブゼロとのライバル関係に人気があり、モータルコンバットシリーズを通して、サブゼロと肩を並べる看板キャラクターとなっている。
かつて日本でシリーズが発売されていた当時は「全蠍人」という名前でも呼ばれていた。
時代背景
サブゼロに殺害されたスコーピオンだったが、初代MKで亡きものにすることで復讐の悲願を果たした。
しかし、MK2にてサブゼロが謎の復活を果たし、再び復讐の戦いを挑むものの、そのサブゼロの正体が、スコーピオンが前回殺した者の弟だった事が判明する。
復讐の不毛さを悟ったスコーピオンは、贖罪のためにサブゼロ(弟)を陰ながら守護する事を誓う。
そしてその誓いは、UMK3にでシャオ・カーンの手駒にされてもなお、忘れることは無かった。
しかしサブゼロが燐塊の総帥になると事態が一変、MK4で再び宿敵関係に戻ってしまった。
激戦に次ぐ激戦で、ようやくスコーピオンはサブゼロを追い詰めたが、実際にスコーピオンを殺したのはサブゼロではなく、彼に扮したクァン・チーである事が判明する。
スコーピオンという名前もクァン・チーが付けたもので、スコーピオンを甦らせたのも他ならぬ彼である。
MKDAのエンディングでモロクとドラミンに敗れ、怨霊の渦巻く世界に送られてしまうが、MKDではエルダー神に助けられたことにより神に仕える聖戦士(サーヴァント)となった。
しかし、MKAのオープニングでは敵軍勢の一員として参加していたりと、行動が一貫しない所もある。
MK9でライデンが時代を遡ったことで、兄サブゼロを殺した事を含め、色々な活躍や過ちはなかったことにされた。
しかし、運命を変えることはできず、クァン・チーに唆されたスコーピオンは激情に任せ、兄サブゼロを再び殺害してしまう。
兄サブゼロもまた、悪霊『ヌーブ・サイボット』として蘇ることとなる。
バトル時の彼
相手を引き寄せる「スピア」や地面(地獄)から炎を吹き出す「Hell Fire」など彼を印象づける特徴的な技が多いが、シリーズを通して技の癖が少なく、技の発動コマンドも簡単な初心者向けのキャラクターになっている。
ロープの付いたクナイ「スピア」(日本版『1』・『2』では「バトルハープーン」)を使って相手を引き寄せるときに発する「GET OVER HERE!」「COME HERE!」という台詞はシリーズを通して開発者のエド・ブーン氏が声を当てている。プロの声優が担当しているvsDCユニバース以降でも、例外的にこれらのボイスはエド・ブーン氏のものが使われている。
ちなみにスピアはMK9以降ロープの部分が鉄鎖に変更されており、MK11ではそれを活かしたFATALITYが存在する。
登場作品
モータルコンバット
モータルコンバット2
アルティメットモータルコンバット3
モータルコンバットトリロジー
モータルコンバット4
モータルコンバットデッドリーアライアンス
モータルコンバットディセプション
モータルコンバットショウリンモンク
モータルコンバットアルマゲドン
DCユニバースVSモータルコンバット
モータルコンバット9
モータルコンバットX
モータルコンバット11
FATALITY
魔焼波/TOASTY!
シリーズお馴染みのFATALITY
マスクを外し、ガイコツの素顔を見せた後炎を吐いて相手を焼き殺す。
魔焼炎波、魔焼突死波といった派生技もあり、前者はガイコツになった相手が爆散し、後者は前者の演出に加えて「TOASTY!」のナレーションが入る。
モータルコンバット3ではガイコツ顔を見た相手が思いっきり悲鳴を上げている(スコーピオン本人も例外ではない)。
ちなみに「X」で人間に戻ったスコーピオンもといHanzo Hasashiもわざわざガイコツ顔になって火炎放射する。
Nether-Gate
「9」で使用。
相手の首にスピアを巻き付けた後、地獄に繋がるポータルに蹴り入れ、地獄の業火で焼かれたであろう相手が別のポータルから何ともクリスプな状態の姿で帰ってくる。
また、その様から敵が首吊りしたような絵面になっているというモーコンらしいブラックな演出も入っている。
Stop Ahead
「X」で使用。
火の玉で相手の胸をぶち抜いた後、倒れてくる敵の顔面をスライスしてトドメを刺す。
胸をぶち抜かれた際にリアルに描かれた心臓が姿を現し、顔面を斬り落とされた際にこれまたリアルに描かれた脳みそがこぼれ落ちるというモーコンとして見ても強烈な演出が入る。
このような強烈な演出をあえて多くのプレイヤーが最初に使うであろうスコーピオンの1番目のFATALITYに採用することで、「『X』はこれまで以上に(良い意味で)ヤバい。」という開発者からのメッセージのような役割も果たしている技である。
You're Next
MK11で使用。
全身に炎をまとい、敵目がけて身体ごと突っ込み、腹部を焼き払って背骨だけにした後、首を切って蹴り飛ばす。
その後スピアで後ろから喉を貫きフィニッシュ。
最初のトレイラームービーで初めて使われたFATALITYであり、これもまた多くのプレイヤーが最初に使うであろうスコーピオンのFATALITYに採用することで、MK11を印象付けるメッセージのような役割を果たしている技である。
ちなみに、名称は各トレイラーにて終盤に流れたキャッチフレーズと同じである。
Chain Reaction
MK11で使用。
相手の胸部をスピアで貫き、後ろに回り込んで地中潜航したあと加熱した鎖を巻き付け、再び地上に上空高く出ると同時に引っ張って相手の身体を焼き切る技。
炎使いとしてみても斬新な攻撃手段には驚かされる。
スコーピオンの技として見てもスピアの刃先ではなく鎖の部分で攻撃する珍しい技である。
他にも
おまけのANIMALITY
- ペンギンに変身して相手の足元に爆発タマゴを産み落とす。サソリなのに。
実際にサソリに変化する機会はシーヴァに奪われた。
4ではサソリに変身し相手の上半身をぶっこ抜くFATALITYが存在する。
おまけのFRIENDSHIP
- 自分のフィギュアを自慢気に見せつける(初代)
- びっくり箱で対戦相手を驚かす(トリロジー)
- スピアを飛ばして引き寄せた巨大なテディベアに抱きついて癒やされる(11)
余談
日本語
日本出身の忍者であるためか、日本語を話すシーンのある作品が存在している。
モータルコンバットXがそのひとつであり、ケンシの息子タカハシ・タケダとの掛け合いシーンで確認できる。
スコーピオン「Takahashi Takeda…」
タケダ「Hanzo Hasashi…」
スコーピオン「ITAMI WA KANJIRU DAROU(痛みは感じるだろう)」
……かっこいいけど片言なので凄くシュールになる。
また、ターニャとの会話でも聞くことができる。
後述する「インジャスティス:神々の激突」の日本語版では、吹き替えが担当しているため流暢な日本語で喋る。
「魂ごと燃え尽きろ!」
他にもMK11のキャラカスタマイズの一環として、装備品を変更する『gear』が実装されているが、スコーピオンの一部の装備品に日本語が採用されている。
しかし……
- Hokkaido Ablaze(クナイ)=北海道炎上?
- Ageru Tsuki Anmo Blade(忍び刀)=上げる月アンモブレード?
- Burning Akunin Hell Spear(クナイ)=燃える悪人(もしくは悪忍?)の地獄槍?
なお、忍び刀の『Juzumaru(数珠丸)』は鎌倉時代実際に日本で作られた刀の名前でかつ日本語として上手く成立しており、格好良いものとなっている。
扱い・人気
3Dになった辺りから本来の主人公であるリュウ・カンよりも、スコーピオン(及び彼のライバルであるサブゼロ)のほうが優遇されるようになった。
例を挙げると…
- ディセプションからは彼(1P)とサブゼロ(2P)がキャラクターセレクト時の初期カーソルとなる。
- vsDCユニバースからはパッケージの一番手前を飾る。
- 9ではストーリーモードの出番こそあまり無いものの、パッケージのイラストはライバルであるサブゼロと死闘しているシーンで、リュウ・カンの面影は無い。
- バットマンやスーパーマンなどのキャラクターが登場するDCコミックの格闘ゲーム「インジャスティス:神々の激突」にゲスト出演。ゲスト出演の理由はインジャスティスを手掛けているNetherRealm Studiosが「モータルコンバット」を作っている為。さらに『2』では彼の代わりにサブゼロとが参戦した。(後にライデンも参戦した)
- 「9」の続編の「X」ではついに単独でパッケージの表表紙を飾った。さらにDLC全部入りのXLでは彼の代わりにサブゼロが大きく写っている。
- また、同作のファーストトレーラーはスコーピオンとサブゼロの1対1の決闘であり、やっぱりリュウ・カンの面影は無い。また間接的ながらもこのトレーラーはこの2人の参戦が真っ先に確定したことも意味している。(対するリュウ・カンのトレーラーは発売の約二週間前)
- 最新作の「11」でもやはりファーストトレーラーから登場。ただし相手はサブゼロではなく、「X」のストーリーモードの最後で闇堕ちしたライデン。
- 「X」に引き続き単独でパッケージの表表紙を飾る。さらに彼のイメージカラーである黄色が強調されたデザインになっている。
…どうしてこうなった。
GET OVER HEREについて
- シリーズお馴染みの彼の台詞だが、外伝作の一つである『ショウリンモンクス』では「GET OVER HERE BITCH!」や「GET THE FUCK OVER HERE!」とダーティーワードが入っているバリエーションがある。
サブゼロとの関係について
ゲーム内での設定では上記したようにライバル同士の二人なのだが、メタ的なことを言うと初代にて「復讐を題材にしたストーリー」を作ろうと計画されていたのだが、アーケード基板「Midway Y Unit」のメモリの量が限られており、復讐「する」側と「される」側のキャラクターを真面目に作ると、他のキャラクターを入れる余裕が無くなってしまっていた。
そこで「同じスプライトのデータを流用し、一部の色だけを変えて複数のキャラクターを作る」という手法が使われ、結果的に忍者のスプライトを流用することになった。
この際に復讐する側のスコーピオンは黄色、復讐される側のサブゼロにはその対極の色となる青色のカラーリングが当てられた。それと同時にスコーピオンには炎、サブゼロはその対極の氷の能力が与えられた。
この「青と黄色」、「氷と炎」という関係は視覚的にも対極同士の関係だということが分かりやすく、上記した二人の人気にも繋がったのではないかとも考えられる。
その後同様の手法で隠しキャラのレプタイル(緑色)、アーマック(赤色)が産み出された。ただしアーマックに関しては当時「狙って産み出されたキャラクター」では無かった模様。(詳しくはアーマックの項目を参照の事)
担当声優の変更について
下記するように2019年発売のMK11では担当声優がPatrick Seitz氏からRon Yuan氏に変更されたのだが、発表当時この件が米国を中心に大きく物議を醸した。(主にredditやYoutubeのコメント欄、Twitter等に嘆きのコメントが殺到した。)
MKシリーズにおいては声優の変更自体は過去に何度も行われているのだが、今回のケースではスコーピオンがMKシリーズトップクラスの人気を誇るキャラクターで、かつPatrick氏の演技も高く評価されていたが故に騒動が大きくなってしまったと思われる。
ただ誤解なきよう言っておくとRon氏のスコーピオンもPatrick氏の演技を受け継ぎ、かつ日本人のスコーピオンを演じるにあたってアジア人らしい訛りをかけて演じていることもあって、発売以降は概ね良い評価で収まっている。
公式もこの事を重く見たのか、2020年公開予定のアニメ映画『Mortal Kombat: Legends Scorpion's Revenge』(以下MK:LSR)では再びPatrick氏がスコーピオンを演じることになった。
担当声優
- Patrick Seitz:MKVSDC~MKX、インジャスティス(英語版)、MK:LSR
- Ron Yuan:MK11
- Ed Boom:全作品(スピア使用時のボイス)
実写映画において
2021年に公開したリメイク版「モータルコンバット」では真田広之がスコーピオン役を演じ、その吹替は井上和彦が担当している。役作りも兼ねてゲームセンターでモータルコンバットを遊ぶが配役のスコーピオンでプレイしたもののすぐに負けてしまった。作中では全編を通して日本語で話しているが、スピアを使う場面のみ"Get Over Here!"と叫ぶ。エド・ブーンの声に似せるよう低い声で叫んでいるため、リハーサルでこのセリフを聞いた他の演者やスタッフらは「この瞬間を待っていた!」と喜んだとのこと。
また、1995年に公開した「モータルコンバット」ではクリス・カサマッサが演じている。