ナイトメア・ドーパント
ないとめあどーぱんと
「私の姿を見たら…もう帰れないぞ!」
風都大学の何者かがナイトメアメモリを左腕に挿して変身したとされている。
白を基調とした身体に人形や鳥の頭部を生やした脈絡もない不気味な外見をしている。
一人称は「私」と落ち着いた物腰をしているが、その本性は荒っぽく常に苛々しているような態度が垣間見える。
他人の夢にダイブして操る能力を持ったドーパント。
武器として大きなドリームキャッチャーを所持しており、夢の中でこれを被せられた相手は能力が途絶えるまで二度と目を覚まさず、いずれ衰弱して死に至る。
眼を覚まさなくなった人は額にHの文字が浮かぶ。これがサブタイトルの「悪夢なH」の由来でもある。
夢の中では無敵であり倒してもすぐに復活するが、現実における素の戦闘は中の人間もあってか高くなく、ルナメモリ系の攻撃に手も足も出なかった。
だが、精神干渉波に耐性があるとされる照井を陥れた数少ないドーパントでもある(あくまで照井に耐性があるのは精神干渉"波"であって、ナイトメアは直接自分が相手の精神の中にダイブする能力なので照井にも通じた)。
またあくまで相手の夢の中であるため、なにもかもを完全に操作できるわけでもなく、相手もその気になればある程度好き勝手することができる(特にダブルドライバーの同じような能力で翔太郎の夢にダイブしたフィリップは完全に影響下に置けなかった)。
またダイブしている間はダブルに変身している間のフィリップと同じで、現実の体が無防備な状態で放置されるのも大きな弱点である。感覚は常時繋がっているらしく、有事の際はすぐに現実の肉体に戻ることもできるがその場合は当然ながら相手の夢からは出ていくしかない。
このように数あるガイアメモリの中でもかなりクセの強い能力のメモリである。
ちなみに劇中においてナイトメア・ドーパントが他人の夢に入り込む瞬間の描写は存在しない。
そのためどのようにして他人の夢にダイブするのか、相手をどのように指定しているのかなどは不明である。
「オイオイ…何見下してんの?」
正体は学生の福島元(ふくしま はじめ)。自分に好意を持っている(と思い込んでいた)学生の雪村姫香が、研究室の全員を「運命の王子様」と呼んで虜にしていたことに怒り、彼女を眠れないようにすることが目的だった。
大学の脳科学研究室の学生達を次々に眠らせ、自らも被害者のふりをする事で自分に疑いが向く事を防いでいた。
しかし、正体を告げられた亜樹子が寝言をはっきり発音するという珍妙な特技を有していたこと、および福島が病院搬送後目覚めて(寝た振りをやめて)退院していたことで足がつく。
正体が発覚した後は翔太郎に自分の動機を同情された事で激昂。フィリップがエクストリームメモリに吸収され行方不明となりダブルに変身ができない翔太郎を火炎弾で始末しようとするが、解放されたフィリップが間に合い形勢逆転。
「貴様ら、本物の仮面ライダーだったのか!?」
そう、翔太郎が変身していた姿を単なる空想の産物だと思っていたのだ。
夢にも思わなかった事実に驚愕する間もなく、二人の変身したダブルにまともな抵抗も出来ずに追い詰められ、情けない悲鳴をあげて逃げようとするもメモリチェンジしたルナジョーカーによって拘束されてしまう。
「腕が伸びたっ!?あ、悪夢だ!!」
完全に戦意を喪失した彼は幻想を司るルナメモリに翻弄された後、ルナメタルの「メタルイリュージョン」でメモリブレイクされた。
このエピソードでは夢の中ということでいつもの面々が時代劇の登場人物や関西人等に扮するというコスプレ回および『W』全話でも有数のカオス回である。その度合いたるや、公式が病気で名高いハイパーバトルビデオに匹敵するレベル。
屋外スタジアムのど真ん中で(しかもわざわざフィリップが翔太郎の枕を持ってきて)眠るW(とフィリップの体)、フィリッ八、江戸の町を自転車で疾走するダブルの光景はカオスかつシュール(スタジアムで眠る件は作中でも井坂に「シュールな光景」とツッコまれており襲撃されている)。
『疾風』『切札』のガイアメモリに本物と同じ立木文彦氏のガイアウィスパー、変身する翔太郎に歌舞伎の隈取りのような紋様が浮かんだりと芸も細かい…というか努力の方向音痴。さらに翔太郎が見た夢のイメージ元となった劇中劇『風の左平次 パニックリベンジャー』に、櫓の久蔵役で"5万回斬られた男"こと福本清三氏を起用するという無駄な豪華さも披露した。
亜樹子が夢の中で"なにわの美少女仮面"に変身したのもこのエピソードである。
しかしそれでいてただのネタ回ではなく、エクストリームメモリの出現、それに伴うフィリップの変調、「左翔太郎と共にいてはいけない」というシュラウドの警告、と次回に続くサイクロンジョーカーエクストリーム登場への布石も打たれている。
ちなみに、このエピソードを担当したのは平成ウルトラマンシリーズで数々の伝説を残した長谷川圭一氏。
なお、大阪が登場するシーンの撮影は実際の大阪で敢行された(基本的に関東圏で撮影する平成ライダーにおいてはかなり珍しい)。
ちなみに、フィリップ役の菅田将暉氏と亜樹子役の山本ひかる氏は実際に大阪府出身であり、作中話している大阪弁はネイティブのもの。滋賀県出身である照井役の木ノ本嶺浩を含めると、本作の主役側メインキャスト4人中3人が関西出身だったりする。
寺田克也氏の準備稿ではもっと悪夢的でフリーキーな外見だったが、ニチアサで放送するにあたりこれではまずいと修正された。