BEAST INCANATE
概要
本名「ブロック・エドワード・レスナー」。1977年7月12日、サウスダコタ州ウェブスターのドイツ系アメリカ人の酪農家の家に生まれる。
高校時代はアメリカンフットボールとアマレスに興じ、ビスマルク州立大学のレスリング部ではNJCAAヘビー級レスリング選手権で優勝したが、廃部によりミネソタ大学へ編入、全米大学体育協会(NCAA)のヘビー級チャンピオン、2度のNCAAオール・アメリカン、2度のビッグ・テン・カンファレンス・チャンピオンなどになった。また、ミネソタ大学の同窓生にはシェルトン・ベンジャミンがいる。
2000年にWWEと契約し、下部団体OVWでプロレスデビュー。2002年にポール・ヘイマンをマネージャーとしてWWEでのデビューを果たすと、同年8月のPPV「サマースラム」でザ・ロックを破りWWE統一王座を獲得した。ちなみに、これはWWE最高王座獲得の最年少記録であったが、2004年にランディ・オートンにより更新されている。
相手の巨体を物ともせず持ち上げる超人的なパワーと身体能力により団体のトップとして有り続けたが、2004年にアメリカンフットボールへの挑戦を考え、「レッスルマニア20」でのゴールドバーグの試合を最後に退団することを決意する。しかし、ゴールドバーグもこの試合を最後に退団すること、また両者の退団がインターネットを通じてファンにリークされてしまったこともあり、終始「大ブーイング」の中での試合という最悪の幕切れとなった。
またアメフトも、ミネソタ・バイキングスに入団こそしたものの開幕選手にはなれず解雇される。
2005年10月、新日本プロレス東京ドーム大会へ参戦、その初戦かつIWGPヘビー級戦にて藤田和之・蝶野正洋との三つ巴戦を制して王者となった。
その後の中邑真輔、曙との防衛戦も制したが、翌年10月に契約上のトラブルを理由に以降の新日での防衛戦を拒否する。新日は王座を剥奪したがベルトは返却されず、2007年6月にアントニオ猪木が興したIGFの旗揚げ戦にてカート・アングルに対して防衛戦が行われる。そこでカートに敗れ、その後にカートが新日に参戦して棚橋弘至が同王座を獲得するまで混沌とした状況が続くことになった。
2007年6月、「K-1ダイナマイト」にて総合格闘技デビュー。キム・ミンスを1ラウンド・1分9秒で破った。
同10月にはUFCと契約、翌年2月のフランク・ミアとの初戦では敗北したものの、11月にはランディ・クートゥアとの戦いを制してUFC世界ヘビー級王座に君臨した。
2011年、総合格闘技の引退を宣言するも参戦継続は視野に置いており、2012年に主にPPVへのスポット参戦という形でWWEへ復帰する。実際、UFCに復帰して2016年7月にマーク・ハントと対戦しているが、これに勝利こそしたもののドーピング検査でレスナーから陽性反応が出たため無効試合となった。
WWEでもユニバーサル王座を獲得するなど活躍はしているものの、前述の王座戦やビッグマッチ等のみのスポット参戦のみであること(一時は半年近くにわたって防衛戦を一切行わなかった事もある)、日本でのIWGPヘビー級王座持ち逃げ事件等ここまでの記述にあるように彼の実績の大半に何らかのミソが付いていること、また彼の試合が所謂塩試合(大味すぎるなど面白みに欠けるという意味)と評されることが多いことなどから、ファンと同じくらいにアンチも多い選手だった。
近年では2020年のレッスルマニア36でドリュー・マッキンタイアにWWE王座を奪取されて以降、暫く姿を見せなかったが、2021年のサマースラムのメイン、ジョン・シナVSロマン・レインズによるユニバーサル王座戦の直後に電撃復帰。
しかも、フサフサの口髭を蓄え、以前は殆ど見せなかった満面の笑みを浮かべながらの登場し、ファンを仰天させた。
以降、実力はそのままに農場の陽気なおじさんといったギミックに変身し、レインズとユニバーサル王座を巡って抗争を繰り広げる。
更に2月のエリミネーション・チェンバーではWWE王座を奪取、レインズの最高王座統一という偉業の橋渡しを務めた。
人物
- 最初の婚約者(事実婚)との間に男女の双子を儲けている。その後、2005年に元WWEディーバのセイブルと結婚し、2人の男子が生まれている。
- 全米ライフル協会の会員である。
得意技
- F5
代名詞ともいうべき必殺技。
相手をファイヤーマンズキャリーの状態で肩に担ぎ、旋回させながらマットに叩き落とす技。
名前の由来は竜巻の強さの最大値から。WWEが商標登録しているため、他団体では「バーディクト(評決)」と呼ばれる。
- キムラ・ロック
2012年の復帰以降使用しているチキンウィング・アームロック。
この技を喰らうと(アングル上)骨折する。
トリプルHとの抗争で幾度となく使っているほか、プロレスに転向した元UFC王者のケイン・ヴェラスケスと対戦した際には、この技でタップを奪っている。
- シューティング・スター・プレス
トップロープから相手に向かって飛びつつバック宙をしながら放つダイビング・ボディプレス。
小柄なルチャ系のレスラーでも難しいとされる技であり、彼の高い身体能力が垣間見える。
OVW時代はフィニッシャーの一つとして使用していたが、レッスルマニア19のカート・アングル戦では汗で滑って回りきれずに顔面から突き刺さるような形で落ちてしまい、以降封印宣言がされている。
(一部のファンからはシューティング・スター・ヘッドバットとネタにされている)
- ブロック・ロック
中西学のオリジナル技である、マフラーホールドとシングル・ボストンクラブを融合させた技。
2003年に開発されたが、プロレス的に「返しようがない」と評されている。
2012年以降は使用していない。
2002年頃に使用。
ハルク・ホーガンとの対戦では、ホーガンを吐血(ギミック上)させて勝利している。
デビュー時から使用しているが、特に復帰後にはレスナーを代表する技として認知される。
主に投げっぱなしを多用。
どんな相手だろうがとにかく強引に抵抗もお構いなしにぶっこ抜いては次々と投げ捨てていくのが特徴。
1発でも危険な技だが、強敵相手には一試合中に10発以上見舞うこともあり、レッスルマニア31でレスナー自身が試合中に発したのが広まった“Suplex city,BITCH!”のフレーズと共にレスナーの代名詞となっている。
- 連続パワーボム
F5以前のフィニッシャー。
高々と相手を持ち上げパワーボムで3回連続でマットに叩きつけ、フォールをするのが定番だった。
ファンの間では餅つきパワーボムとも。
- ベリー・トゥ・ベリー・スープレックス
フロント・スープレックス。
スロイダーとも呼ばれる。
捻りを咥えて放つのが本来の形だが、レスナーはそのまま引っこ抜いて放り投げる。
投げられた相手が空中でひっくり返る様は圧巻。
こちらもジャーマン程ではないが多用する。
破壊歴
力自慢で知られるレスナーだが、そのパワー駆使して様々な物を破壊している。
特に有名なのは、ビッグ・ショーとの対戦で、大塩さんをトップロープから雪崩式ブレーンバスターでぶん投げてリングをペチャンコに潰したシーンだろう。
実際には仕掛けがあるとはいえ、巨大なリングがペチャンコに潰れるシーンは圧巻の一言。
WWEでも屈指の巨体を持つ大塩さんをブレーンバスターでぶん投げるレスナーの怪力も相まって名シーンの一つとして知られる。
他にもセス・ロリンズと抗争した際には、セスが子分のJ&Jセキュリティに贈ったキャデラックCTSを斧で破壊したことも。
酪農家の出身からか重機の扱いも上手い。
サマースラム2022のレインズ戦ではトラクターに乗って入場、レインズをトラクターのバケットに乗せてリングに落としたばかりか、バケットをリング下に潜らせてリングをちゃぶ台返しするという衝撃的な方法でリングを破壊、観客の度肝を抜いた。
それ以外でも大塩さんをフォークリフトに乗せてドナドナしたり、レインズ達が乗っている車にフォークリフトで突撃してひっくり返すなど、重機エピソードにも事欠かない。
関連動画
- 入場曲 「Next Big Thing」
- 大塩さんをぶん投げてリングを壊したシーン。
- サマースラム2022でのリング破壊シーン。
ちなみにぶっつけ本番だったそうな。