曖昧さ回避
- 故事成語「青天霹靂」の日本語バージョン。⇒ 本項にて解説。
- 劇団ひとりの小説『青天の霹靂』とそれを原作とした同名の日本映画。… 小説は2010年発表、映画は2014年公開(※a5)。cf. Wikipedia:青天の霹靂 (小説)。※なお、既存の記事「晴天の霹靂」は事実誤認による間違った見出しになっている。 要改訂。「青天の霹靂(小説)」での立項推奨。
- 米の銘柄「青天の霹靂」(※a5)… 日本の銘柄米の一つ(※a5)。2015年発売(※a5)。登録商標(※a5)。cf. Wikipedia:青天の霹靂 (米)。※既存の記事「晴天の霹靂」での記述は事実誤認による間違い。 要改訂。「青天の霹靂(米)」での立項推奨。
概要
青天の霹靂(せいてん の へきれき)とは、思いがけず起こる突発的事変(※a1,a4)。急に起こる変動・大事件(※a2)。また、突然受けた衝撃(※a2)。
表記揺れ「晴天の霹靂」については「表記揺れ」節にて詳説する。
元来の漢語では「青天霹靂(※d)(拼音〈cf.Wikipedia〉:qīngtiānpīlì;チンティェンピィーリィ)といい、日本語では「せいてんへきれき」「せいてんのへきれき」と読む(※b)。
「青天」は「青空」を、「霹靂」とは「急に雷が激しく鳴ること」を意味しており、雲一つない青空にいきなり雷が起こることから、北宋時代の詩人が「筆勢の激しさ」「詩や文章の力強さ」の比喩として漢詩の中で使い始めたものである(※a3)。
最も早期に記録されたものは、北宋の詩人・王令(1032-1059年)の作品に見られる句で、友人の詩の出来映えを「万古青天飛霹靂(書き下し:万古の青天、霹靂飛ぶ。大意:昔から変わらない青空に雷鳴が響く。)」と褒め称えている。
また、最も広く知られているのは、南宋時代の詩人・陸游(1125-1210年)の詩「九月四日雞未鳴起作」に所収の句「放翁病過秋 忽起作醉墨 正如久蟄龍 青天飛霹靂 雖云墮怪奇 要勝常憫默 一朝此翁死 千金求不得(書き下し:放翁〈※陸游の号〉病みて秋を過ぎ、忽ち起きて酔墨〈※長患いして体がふらついている様子〉を作す。正に久蟄の竜〈※長らく穴ごもりしていた竜〉の如く、青天に霹靂を飛ばす。怪奇に堕すと云うと雖も、要は常の憫黙に勝えたり。一朝此の翁死すれば、千金求むるも得ず。)」である(※a4)。
そしてこれが後代に変化し、突然の大事変やそれによる衝撃を形容するようになった。
類義語として、「寝耳に水」、「足下から鳥が立つ (cf.Wiktionary)」、「藪から棒」がある(※c)。
表記揺れ等
pixivの作品数は、2024年3月1日調べ。作品総数は、小説も含む完全一致検索の結果。
表記揺れ
表記揺れとして「晴天の霹靂」があり、こちらは誤記とする辞事典も少なくない。しかし、もともと「青天(青い空)」と「晴天(晴れた空)」は中国語でも日本語でも結果的の同義に近い類義語であり、元代末に成立した禅書『続伝灯録』などの段階で既に「青天霹靂」と「晴天霹靂」の表記が見られ、当時から中国では「晴天霹靂」を誤りとはしていない。日本では、小学館『日本国語大辞典』が併記している(※a1)一方で、同じ小学館が出している『大辞泉』では誤記としている(※a2)。
用例
※語り手が野球に無関心な人なら割と災難(ボールは高値で売れる可能性がある)。野球ファンならどう考えても幸運でしかない。
※完全にポジティブなケース。
- 「出勤したら会社が倒産してたんだってさ。まさしく青天の霹靂ってやつだな。」
※完全にネガティブなケース。
対訳
英語では "A bolt from (out of) the blue." が定訳になっている(※a4,英辞郎1)。
また、"thunderbolt out of the blue"(※英辞郎2)も対訳として適当。
ここでの "the blue" はそれだけで "blue sky(青天)" を意味する。"out of the blue" だけで「思いがけなく」「突然」「いきなり」「出し抜けに」「不意に」「前触れ(予告)無しに」「藪から棒に」「唐突に」などを意味する(※英辞郎1)が、「青天の霹靂」の対訳となれば、"thunderbolt(サンダーボルト、雷電、落雷)" か、" lightning bolt(ライトニング ボルト、稲妻)" の略語としての "bolt"を添えるのが最適ということになる。
また、"out of the nowhere" もおおよそ近しい表現で、「出し抜けに」「いきなり」を意味する(※英辞郎3)。
脚注
出典
※a1 「青天の霹靂」 コトバンク > 小学館『精選版 日本国語大辞典』
※a2 「青天の霹靂」 コトバンク > 小学館『デジタル大辞泉』
※a3 「青天の霹靂」 コトバンク > 小学館『故事成語を知る辞典』
※a4 「青天の霹靂」 コトバンク > 小学館『ことわざを知る辞典』
※a5 「青天の霹靂」 コトバンク > 小学館『デジタル大辞泉プラス』
※b 「青天霹靂」 集英社『〈イミダス〉スピーチに役立つ四字熟語辞典』
※c 「「青天の霹靂」とは?意味や対義語・類義語、注意すべき誤用を一気に解説!」 小学館「Domani」、2023年11月8日公開。
※d 「青天霹靂」 ウィクショナリー (cf.Wikipedia)
※英辞郎1 "bolt out of the blue" 『英辞郎』(cf.)
※英辞郎2 "out of the blue" 『英辞郎』
※英辞郎3 "out of nowhere" 『英辞郎』