輝ける星をもう一度
概要
雑誌『電撃ホビーマガジン』で連載されていたメカニックデザイン企画。紙雑誌の廃刊ならびに『電撃ホビーWeb』への掲載内容の移転に伴い、Vol.20以降は不定期連載となり特集ページでの無料公開に切り替わっている。
『Re-Boot』の部分は『Re-boot』だったり『RE-BOOT』だったりと公式媒体の時点で表記揺れが多い。
『ティターンズの旗のもとに』や後述の『くろうさぎのみた夢』に登場するメカニックを、両作品でメカニックデザインを務めている藤岡建機氏により新たに描き起こされた設定画を交え解説しており、中には怪文書と揶揄されるほど濃く難解な内容に仕上がっている設定文も存在する。
旧作の頃より描かれていた『ガンダム・センチネル』との繋がりに加え、ゲルググⅢのシールドやマリン・ハイザックのバックパックに見られるように『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や『機動戦士ガンダムF90』など本作より未来を描いた宇宙世紀作品に登場する既存メカニックや装備とのミッシングリンクを意識した設定も多く、過去を描いた作品の設定についても旧作より後発の作品である『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』におけるペイルライダーの脚部推進器を転用したヘイズル・ケルデルクなど柔軟に取り入れられている。
ジオンマークに漢字の「火」をあしらったレジオンマークなど、藤岡建機氏独自のマーキングデザインも健在ではあるが、『ティターンズの旗のもとに』の頃に多用されていた氏の同人サークル『御機械屋(ヲメカヤ)』のサインを兼ねている「Omecha」のマーキングは鳴りを潜めている。
A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎのみた夢-
ADVANCE OF Ζの第3作目。
作者はメカデザイナーの藤岡建機氏。他二作とは異なりメディアミックスによる番外編などは展開されず、漫画一本で描かれている。
このため、同じく藤岡建機氏によって描かれた読み切り漫画『OVER THE MIND』の世界観も受け継ぐなど、より氏の独自色が強い作風となっている。
移行後のメカニックデザイン企画の方と同様に『電撃ホビーWeb』で不定期連載されている。描かれている物語の時系列が一定せず、単行本の収録の際に話の順序が変更されることもある。
火星編は完結し全6巻のコミックスとしてもリリースされているが、作者の藤岡建機氏は2019年に脳出血を患い現在休業中のため、次回作となる地球編の連載開始は未定となっている。
宇宙世紀0089年と0091年の2つの時系列を舞台に、火星を拠点とする2つのジオン残党軍「レジオン」と「ジオンマーズ」の抗争を描いた作品。
登場するモビルスーツはレジオン側はティターンズの、ジオンマーズ側はアクシズの機体をベースとしている。
レジオン側の運用する兵器は作業用MS以外は物語の中心となるガンダムTR-6をはじめあまり大規模な改修は施さずに運用されているが、ジオンマーズ側の兵器は外装や装備など何かしらの改設計が施されており、中にはエルメスとザクレロの設計思想を統合したヘリオスや、ジャムル・フィン2機の胴体をコアユニットとしビグ・ザムの後継機という本来のコンセプト通りに完成させたビグ・ザムール、ゲルググの改修機であるリゲルグの性能に満足せず開発されたゲルググⅢなどの新規設計機も多い。
あらすじ
U.C.0088年、グリプス戦役は終結した。
ティターンズは崩壊し、兵士たちは様々な境遇――連邦に帰順した者、ジオン残党勢力に合流した者、挟持を胸に処刑された者――を辿ることになる。
地球を守るはずのティターンズが、地球圏の敵となったという現実と、戦乱を招いたという罪悪感が彼らを苛み続ける。
彼らの戦いとはいったいなんだったのか――?
時は流れ第一次ネオ・ジオン抗争終結後のU.C.0091、地球圏を遠く離れた火星において一機のMSが起動しようとしていた。
火星に出現したティターンズの亡霊――TR-6。
その存在を通して、かつての彼らの戦いの意義が問われようとしていた。
登場人物
レジオン
火星を拠点とするジオン残党勢力「レジオン」の首魁。
外見こそ年端もいかない少女だが、独自の思想を胸に抱いており、火星に女性主体の社会を築くべくレジオンの力を利用する。
- バーバラ
彼女が目覚めたためにオメガが去ったとされている。名前のみで詳細は不明。
レジオン建国戦争中には[フルドドⅡ]に接続したファイターユニット([プリムローズⅡ]?)に乗ってオメガとアリシアのハイゼンスレイⅡを届ける任務を帯びたと思われる。この時のハイゼンスレイⅡは[フルドドⅡ]を介して[ファイバーⅡ]ユニットが接続されている。
- シンシア
アリシアを護衛するクローン強化人間部隊「アリス親衛隊」の一人。
親衛隊のリーダー。アリシアに次ぐNo2の地位にあり、親衛隊内外からもその能力を認められている実力者。
プライドが強く、自分が他の姉妹たちよりも優れていると信じて疑わない。
高圧的な態度で他の兵達に接する事も少なくはなく、また埃や砂塵によって服や身体が汚れる事を嫌う。
アリシアを護衛する「アリス親衛隊」の一人。
他の強化人間達とは違い操縦技術で劣り、また敵に同情するなど兵士としても半人前な感が否めず、姉妹たちから欠陥品の烙印を押され差別されている。同部隊唯一の男性であり、クローン達の間では浮いた存在。
- エレノア
生体ユニットとしてエレノアサテライトに組み込まれている。
- フェリシア
インレの翼奪還の為に地下基地を襲撃するジオンマーズ・ティターンズ残党に対しTR-6[キハールII]で出撃する。
- グロリア・ザビ
レジオンの副総裁。
三つ編みで眼鏡をかけている。
フォボス宇宙港でのジオンマーズとの交戦の際にはTR-6[クインリィ]で出撃、労働者の決起に対してはTR-6[フライルーII]で出撃した。
- マリナ技師
元ティターンズの技術者で、眼鏡にロングヘアの出で立ちと「でしゅ」「ましゅ」という口調が特徴的な男。
かつてはパプテマス・シロッコの下で働いており、優秀だが陰湿で偏執的な面もある。レジオンの下で男である為に冷遇されており、いやいやながらも働いている。詳細は不明だが、技術者ネットワーク「エフラファ」の一員。
チェスターJr艦隊との交戦時に宇宙港から脱出した後は行方をくらませたのかアルカディアシティの旧市街で孤児らと過ごしている。
己の保身のために自分だけでも逃げようとするが、その行動が誤解の末に不本意ながら大勢を救う結果に繋がっている。
旧市街の市民を救った際に名を聞かれたがどもってしまいマリナーと勘違いされており、おそらく後に再建された都市にマリナーシティという名がつけられたと思われる。
- カロン参謀
レジオン参謀。レジオンの先代首魁であるオメガの頃からの人物。
オメガが去ってからのアリシアを見限っており、地球侵攻してこそジオン再興の夢がかなうとジオンマーズと内通する等裏で動いている。
- オメガ・ザビ
レジオンの先代首魁でアリシアの許嫁。ザビ家の血を継いでおり、ティターンズ残党を引き入れてジオンマーズを破るが、アリシアとの内紛で敗北、そのままシャア・アズナブルの下に向かったとされている。
ザビ家のクローンである可能性がある事から、グレミー・トトやランス・ギーレン、ニー・ギーレンとの関係も予想されているが、詳細は現状では不明。
- アーチャー
レジオン特務部隊長官の女性。ジオンマーズに夫と子供を殺されており、チェスターを恨んでいる。
- ウェンディ
レジオン女性士官。祖母は宇宙世紀開始とともに火星に移住。内乱で孤児となるが、ジオンマーズから火星を取り戻してくれたアリシアを崇拝。
功績を上げて特務部隊のMS隊隊長に昇格し、特別にTR-6[バーザムⅡ] を与えられる。
- モス
ローザックでドナルドと共にパイプラン事故の復旧に向かった。旧ジオン公国残党で、ギレン・ザビの演説の際に輝ける星を見ているが、ソーラ・レイ照射に巻き込まれて片眼を失明している。
復旧処理中にパイプから噴き出すガスを浴びて全身凍傷を負うが、ローザックのパーツを用いて事故処理を行い、素肌で温める事で救おうとしたダイアナに輝ける星を見て息を引き取った。
旧ティターンズ
- トリスタン船長
レジオンに合流した旧ティターンズメンバーの一人であり、彼らのリーダー的存在。
元々はジャミトフ直属の部下であり、特務大佐として極秘部隊「ブラックヘアーズ」を率いていたが、シロッコに不満を持つ派閥を束ね、ヴァルハラよりTR-6等の戦力を得るもあえて投入せず、同調するティターンズの派閥と共に核攻撃の命令を無視して逃亡した。
その後は装備の一部をエゥーゴに引き渡したものの、残りを持って火星へと逃亡、レジオンと合流した。
ジオン残党に従う現状に不満を持ち、インレを奪還すべく他のティターンズメンバーを率いて決起した。
TR計画の発起人の一人であり、トライステラー計画の遂行のためにはどのような犠牲も顧みず、口数こそ少ないが時として大胆な行動に出る事も少なくはない。
- ミズノ
表向きは酒場を営むが、実はクローンの強化人間でマーキュリーの名でも活動し、旧市街でシスターとして孤児たちと共に暮らしている。
その立場を利用してレジオン・ジオンマーズ双方、更にエゥーゴに通じている。
決起時には建機仕様に改修されたサイコガンダムMk-Ⅱに搭乗し、強化人間OSの依り代となったが、機体は破壊されるもエレノアの造反により一命をとりとめる。
トライステラー計画の発起人である3博士一人、ヴァルハラのクローン強化人間。
- ツキモリ
トリスタンの部下。ミズノの酒場の従業員。小柄な少年。
インレとリンクすることが出来るティターンズの強化人間。
どこか冷淡な印象を与えるが、仲間付き合いは良い。
決起時にはヘリオス・マリナーに搭乗。
トライステラー計画の発起人である3博士のクローン強化人間。
- ホシマル
トリスタンの部下。ミズノの酒場の従業員。熱血漢な長身の男。
ツキモリに対して何かと下ネタを振りまき、ダイアナに手を差し伸べるなど、その性的趣向が窺える。
決起時にはズサブースター・マリンタイプを付けたアーリー・ヘイズルに搭乗。
その正体は計画の発起人である3博士の一人トリスタンのクローン強化人間で、インレとリンクすることが出来るという事も判明した
- ドナルド
トリスタンの部下。
レジオンに参加してノンブラビでパイプライン事故の対処に赴くが、独断専行の末にパイプライン破損事故の犯人に仕立て上げられ、「うさぎ狩り」の標的にされたが生き延びた。
その顔立ちのほか「ベル…」と呼ばれかけて昔の名前と遮ったり、不死身と呼ばれていたと語る等、『機動戦士ガンダム0083』に登場したベルナルド・モンシアその人であることが示唆されている。
地球至上主義は薄れているのか、パイプライン事故の後に捕まっていた際にはミズノに共に事故に対処した旧ジオン公国軍残党のモスとの約束の為にうさぎ狩り後に呑む為の席を二つ頼んでおり、決起時には頼まれた孤児院に金を届けるとともに孤児たち連れて行く役目を引き受けている。
ジオンマーズ(火星独立ジオン軍)
- アウトロー・チェスター
ジオンマーズの高官の一人で、親衛隊隊長。一年戦争時代はキマイラ隊に所属してゲルググ系列に搭乗したといわれているが、キシリア親衛隊の下でギャン系列に搭乗していたともいわれている。
レジオン建国戦争後は総司令官となり、中距離支援兵装を有したガルスSに搭乗している。
- コルト
猛牛の異名を持つ人物。
専用のガ・ゾウムマリンタイプに搭乗する。
- チェスターJr.
チェスターの息子でアクシズ軍に兵力となるMSを輸送がてらに加勢しようとしたが、紆余曲折を経て難民共々アクシズ残党軍を引き連れて火星に帰還した。
好戦的だが部下思いで、面倒見の良い少年だが、父への反発や視野の狭さなどから命令違反や独断専行が激しく、結果的に艦隊を全滅させてしまい「特別な存在」だったヌマーシュを喪い、ムンスキーらに見限られ罪人として捕らえられることとなる。
その後は労働者として建設用MSを使用していたが、ティターンズ残党とチェスター部隊の決起に合わせて蜂起する。その際の演説で火星の法となる事を宣言したことで「ローチェスター(法のチェスター)」と呼ばれるようになる。この異名はシャルル・ロウチェスターの姓と同じだが、現時点で関連性は不明。
火星降下作戦時にはゲルググⅢに搭乗し、決起時には作業用バイアランに搭乗する。
- ヌマーシュ
アクシズ残党軍強化人間部隊PG(サイコガールズ)部隊(PP(パワーサイコ)部隊とも)に属する強化人間。幼い頃から小惑星帯で貧しい生活を送ってきたため、火星での人間味ある生活にあこがれる。
強力な強化人間としての能力を持つ一方で精神的な幼さを残し、それによってチェスターJr.共々独断専行に走ってしまう。しかしながら自身を道具として扱うムンスキーより自身を人として扱ってくれるチェスターJr.へとついていき、最期はチェスターJr.を庇い戦死した。
ビグ・ザムールに搭乗する。
- ストンリィ、カイロード、ミーア
ヌマーシュの同僚のPG部隊の少女達。ストンリィをリーダーとしてフェンリス・ヴォルフに搭乗して小隊を組む。リボンがトレードマークの落ち着いた性格のストンリィ、ショートヘアの男言葉の好戦的なカイロード、ツインテールの幼い雰囲気のミーアである。
火星降下時のレジオンとの戦いで戦死したが、レジオンについたムンスキーの部下としてクローン強化人間として再生された。
レジオンでの搭乗機体はハイザック飛行型
- ムンスキー
アクシズ残党軍。一年戦争の頃からのベテランジオン軍人。強化人間部隊を率いている。
乗機は専用のリーベン・ヴォルフ。
ジオンマーズとレジオンを秤にかけて勝者の側につこうと目論み、火星降下時に意地を張るチェスターJr.とジオンマーズを見限りレジオンつき、その後はレジオン内で地上艦隊を任されるまでの立場となる。
エゥーゴ
- ヴァルハラ
地球軌道上のSSDでダンディライアンを用いた研究を行っているが、並行して自身のクローン強化人間を火星へと送り込んでインレの翼奪還を目論んでいる。
TR-6開発チームーの一員であり、TR計画の元であるトライステラー計画の発起人の一人であり、トリスタンの同志でもある。
民間人
- ゴルドマン
同僚・カッパードと共に移民船で火星に来たO機関の人物。
温和で理知的な紳士。地球に妻と娘がいる。
フレッドによりに持ちものを抜き取られたことで軍のシャトルに乗り損ね、ノッコやフレッドらと共に民間のシャトルで降下した。
- カッパード
ゴルドマンの同僚で学生時代からの知り合い。
ゴルドマンとは反対に粗暴で差別的な人物。
ゴルドマンと異なり軍のシャトルで火星に降下したためにシャトルは破壊され、死亡した。
- フレッド
ゴルドマン、カッパードと乗り合わせた女性。
その正体はヴァルハラのクローン強化人間の一人で、火星降下時にはシャトルへと荷物を紛れ込ませるといった工作を行いジオンマーズとレジオンの戦端を開かせたような動きをしており、インレの翼奪還のためにレジオン側にも接触するなど暗躍している。
火星への降下後は作業員に混じり働いていたが、決起に合わせてミズノへと新型の強化人間OSを渡し、アリシアと接触した。
- ノッコ
父が「人狩り」に遭い、母と赤ん坊の弟と共に命からがら逃げてきた少女。
ニュータイプと思わしき描写があり、火星降下時には歌を聞いており、以降も旧市街にて他の子供らと共にエレノアとリンクしており、決起時にはエレノアの造反のきっかけとなっている。
- シャルル
火星の都市アルカディアの戦災孤児のリーダーで、マリナを兄と慕っている。
亡くなった父親を戦犯扱いするレジオンを憎んでおり、ティターンズ残党の作戦に協力している。
一部のファンからは、後のシャルル・ロウチェスターとも思われているが、年齢的にまずあり得ない。というか、F90FFにおいて、シャルル・ロウチェスターには家族がいるということが妹のカナタから語られているため孤児ではない。関連性は不明。
- ホシマル
- カーバイン
- ツキモリ
- オバラ
0150年代のマリナーシティに住んでいるある学校の生徒達。
クラスの担任のバルヲ先生によると生徒らは強化人間であることを仄めかしており、本編において強化人間とされる人物と容姿と名が一緒である事から、インレのメモリから再生されたクローン強化人間ではないかと推測されている。
専門用語
レジオン
アリシア・ザビが率いるジオン残党勢力。火星に拠点を置き、火星に落ち延びた複数のジオン残党を武力によって併合する形で形成されている。
ジオンマーズ(火星独立ジオン軍)
アウトロー・チェスター率いるジオン残党勢力でキシリア派。
いち早く火星に逃げ延びて火星圏を制圧。圧政の下、アクシズに兵器と人員を提供してその勢力拡大に貢献していたが、レジオンとの抗争に敗北。
アクシズに向かっていた艦隊と地上に潜伏している艦隊と二分されている。
後のオールズモビル軍。
オマージュ・元ネタ
ファンの間で噂になっているがA.O.Z Re-Bootには元ネタがあるとされている。
それが1987年からレモンピープルで新田真子により連載されていたSF漫画「RUSH」、「RIOT」、「RAGE」、「RESSURECTION」の4作品である。
レジオン軍の登場人物、アリシア、バーバラ、シンシア、ダイアナ、エレノア、フェリシア、オメガの元ネタはVA型と呼ばれるABCDEFを頭に関した同名のアンドロイド、戦闘メカから持ってきていると思われる、
また火星民間人として登場したテデスコ、トライステラー計画の博士3人などといった設定もオマージュ元であるこのシリーズから取っているのではないかと言われている。
他にもレジオンの"赤"や"バニー"といった要素もこの作品シリーズの登場人物、アリシアから取られているものと思われる。
マーキュリーとグロリアの交戦はガンダム・ザ・バトルマスター2のグロリア・チェンバレーとマーキュリー・プロムナードが元ネタと思われる。