CV:徳丸完(TVアニメ版) / 戸谷公次(一部の『ギレンの野望』シリーズ) / 乃村健次(『エクストリームバーサス』他) / 武内駿輔(劇場アニメ版)
概要
元はジオン軍のMSパイロットだったが、自身の流れ弾により親を失った子供たちを目撃して衝撃を受ける。その子供たちまで殺すように命じる上官に反発し、ジオン軍を脱走。東南アジアの島(一説には長崎県の五島列島のあたりとされる)で世間から隠れ、子供たち共に自給自足の生活を送っていた。
武骨で寡黙で不器用なため誤解を受けやすいが誠実な人物。
TVアニメ版では中々に貫禄のある渋い風貌であるが、後の劇場版では若々しい見た目となっている。
武器らしい武器が脱走時に乗っていたザクだけであり(脱走直前にはザクマシンガンを持っていたはずだが弾切れをしたのだろう)、自衛のために武器を常に入手し、また温存していく必要があった。連邦、ジオンを問わず自分たちの島を軍隊が通ると丸腰のザクで攻撃し武装解除を要求。戦闘になると岩を投げつけたりザクによる徒手格闘戦を挑んだりする。
何度かジオン軍の追っ手を撃退していることや、アムロのコアファイターが撃ったミサイルを投石で爆砕させた上アムロを爆風で気絶させるなど、MSパイロットとしての技量も相当のもの。それを踏まえてか、ゲームなどでは強力な格闘能力を持っていると扱われることが多く、作品によってはザクがハイパーモード化して金色になる場合もある。
アムロとの邂逅後、アムロに「身についた戦いの臭いがさらに戦いを引き寄せている」と言われガンダムによりザクを海に沈められるが、それに感謝していた。
コミック作品では
ガンダムエース連載の『ククルス・ドアンの島』では特務少尉でMSのテストパイロット隊の隊長を務めており、ヤッ・デルマというジオン軍人の兄や地球出身の妻と子がいたことが判明している。
こちらでは子々孫々を連邦の奴隷で終わらせたくないという大義の下に戦う、寡黙で実直で誠実な人物で任務に忠実な軍人だが、それゆえに周囲から優秀な軍人だが冷酷非情な人物だと誤解されていた過去が描かれている。
コミック版での脱走に至る原因は、ドアンがあくまでも護ろうとした地球出身の妻子がジオン独立戦争の犠牲になったこと。地球出身だったドアンの妻と子はサイド3に居辛くなり、サイド2アイランドイフィッシュへと移住という形でドアンと別居。結果、ジオン軍の毒ガス注入によってドアンは護るべき妻子を失ってしまい、やがて大いに周囲に犠牲を強いる戦争に疲弊してしまう。実兄・デルマが素行不良の部下2名を始末するついでに手引することで脱走するに至っている。
このエピソードがのちに映画版での脱走経緯に一部流用されていると思われる。
ゲーム作品では
ギレンの野望シリーズ
ギレンの野望アクシズの脅威、ではエゥーゴシナリオで状況によってはシン・マツナガと共に志願兵として参加してくる。
Gジェネレーションシリーズ
GBAソフト「Gジェネレーションアドバンス」では、専用のザクを引っ提げて味方として参戦、当初は格闘以外低めの能力値でパッとしないのだが、条件を満たすとコレが豹変。
なんと、「魂の炎」とやらに目覚め、ドモンのようにハイパー化するトンデモ能力を覚醒させる。
結果、彼のザクは黄金色に変わり、ドアン自身の能力値と共に性能が大幅に向上する。
しかも、本作ではニムバスと因縁の関係にあり、彼が覚醒するのもユウとの最終決戦の場であり、ハイパーザクでEXAM全開のブルーディスティニー2号機を圧倒するという活躍を見せる。
ドモン曰く、ドアンにはガンダムファイターとしての才能があるらしい。
ガンダムバトルシリーズ
PSPで展開されたガンダムバトルシリーズではジオン公国軍所蔵機体として参戦。機体性能は近接戦に特化しており、武器は持たず攻撃は岩投げと格闘のみ。ただしこの岩投げ、何故か通常のものに加えて炎属性や雷属性という属性付きの岩を投げられるようになっており、サブ兵装も小型の岩投げ。リロード時間も短めのため、ひたすら大量の岩をどこからともなく取り出して投げつけまくる戦い方が可能。また格闘性能は通常のザクに比べて高い。
原作の作画再現のため、他のザクと比べて全体的に細長い。
ガンダムVSガンダムシリーズ
PS3版フルブーストより有料DLCとして(マキブ以降では有料会員コンテンツの一つである「エクストラ機体」として)非武装状態で彼の愛機ザクがまさかの参戦。コストは1000(基準が変わったマキブでは1500)。
マツナガ・ライデンといった他のザク乗りたちと区別する為なのか付いたあだ名はドアンザク。
マキオンとEXVS2まで一貫してほぼネタキャラ扱いながらもワンチャン性能が異様に高いというなんともいえない機体性能をしている。
見た目はCPU専用として登場するザクⅡとほぼ同じ。そのため見た目は普通のザクⅡだが、他のMSよりもディテールが少なく、どこかのっぺりした印象を受ける。
他のザクのようにマシンガンなどは持っていないため、射撃は大小の岩を投げて攻撃し、格闘もそのまんま蹴ったり殴ったりと本編準拠の原始的な攻撃で戦う。
射撃はどれも足が止まってしまうが、そこらに転がっている岩という質量兵器であるためか、当たれば火力は中々。
動きがもっさりしている反面、格闘の威力は低コストとは思えないほど凄まじいという判り易い長所短所を持ったパワーファイター。
クセが強いが、前格で繰り出す跳び蹴りの伸びが良いので一撃離脱戦法でなら一応戦えるレベル。
反面コスト相応の耐久力しかなく、メインの岩(小)はビーム一発で簡単に破壊され、アシストがあってもコアファイターのみなので自衛が難しく、ロクに相手を追うことが出来ないため、無視されると殆どやることが無いという玄人向けどころじゃないピーキーな性能となっており、基本的にはネタ対戦などに用いられる。
バーストアタック(覚醒技)は「ドアン正拳突き」
走って前進しながらただ拳で一発殴って吹き飛ばすというシンプルな技。原作でザクの腹を殴りぬいたシーンの再現で、原作通り技の最中に被弾すると肩シールドも吹き飛ぶ。
初段で強烈なヒットストップが掛かる鉄拳を叩き込み、その後一拍置いて大爆発する。
単発だが(相手機によるが)フル体力でも3~4分の1~半分近く削るほど威力が高く、発動中は多少の攻撃では怯まないスーパーアーマー状態となり、コンボを併用すれば低コストとしては異例の300ダメージ超えを叩き出すことも可能なロマン技。
ガンダムバーサスでは初期参戦機体として登場し、アーマー状態で突撃するダッシュ技も追加され、覚醒技を当てやすくなり、さらにEXVS2ではアシストがコアファイターからガンダムに変化したことが加わって前作までのようにただのネタ機体とは言い切れない性能のキャラになったが、EXVS2XBでは弱体化されている。
劇場版では
基本設定はこれまでとほぼ同じだが、ジオンの精鋭部隊「サザンクロス隊」の元隊長という設定が追加されている。なお、年齢は不明(劇中の描写などから少なくとも19歳ではないだろうが)。上記のコミック版とはパラレル扱い
脱走の理由は劇中では明記されていないが、ドアンもザクに乗って参加した戦闘に巻き込まれ犠牲になった民間人達の姿がトラウマになっていて、厭戦気分が高まっていたのがうかがえる。
住居としている島がカナリア諸島最北端の無人島「アレグランサ島」と設定され、養っている孤児が20人に増えており、一緒に連れてきたミルク用のヤギと共にプンタ・デルガーダ灯台で集団生活を営んでいる。
孤児たちの世話とは別に、何らかの秘密を抱えており、しばしば「仕事」と称してどこかへ出かけているなど不審な点もみられるが、子供たちを守ろうとする気持ちはやはり強く、嘗ての仲間たちとも命がけで戦う。そのドアンのひたむきな姿を見た孤児たちから厚い信頼を寄せられている。
MSの操縦技術は卓越しており、現地改修を繰り返しヒートホーク以外の武器を持たないボロボロのザクで奇襲とは言え白兵戦だけでアムロ/ガンダム相手を戦闘不能に持ち込み、アレグランサ島にやってきたサザンクロス隊を相手に連戦しながらも2名を撃破してエグバ相手に善戦している。
軍逃亡後とはいえジオン兵の間でもその名は知れ渡っており、サザンクロス隊に転属したてのダナンからも「赤い彗星か、ドアンかってね」と言われるほどに名の知れた凄腕の元エースである(特に今作のアムロはTHE ORIGIN設定のため、ランバ・ラルや黒い三連星との激戦をすでに経験済みであるにもかかわらず圧倒している)。
関連タグ
イワーク・ブライア...ゲーム版の中の人が同じで共に戦災孤児を育ているところなど共通点が多々ある。
バーナード・ワイズマン・ゲラート・シュマイザー:ザクでパイロットの搭乗したガンダムを撃破したネームドパイロット(バーニィは相討ち)。尤も両者とも相手パイロットはアムロほど卓絶した腕は持っていないし、武装を利用した攪乱作戦を用いてようやく撃破したため、特殊装備なしで技量と地の利だけでアムロを圧倒したククルス・ドアンは映像化されたオールドタイプ最強パイロットと評価されてもおかしくない。
以下劇場版ネタバレ
実はドアンの住んでいるこのアレグランサ島はクレーターの地下にジオン軍のミサイルサイロが設けられており、そこに保管されている分裂式の弾道ミサイルは上空で複数個の弾頭が分離することでパリをはじめ地球の各主要都市に壊滅的な打撃を与え得るものであった。
マ・クベ中将はこれを用いて地球連邦軍にオデッサ作戦を中止するよう脅しをかけていたが実際のところ残置諜者(撤退後の戦地に残り諜報活動を行う兵士)からの定期報告がある一方でオンラインでの起動ができないようにシステムが改竄されていた。この定期報告をしていたのが「仕事」と称し外出していたドアンであり、彼はアレグランサ島上陸時に本来のジオンの残置諜者を排除し成り替わることでシステムを改竄したうえで虚偽の定期報告を続けていたのである。
報告はあれどミサイルを遠隔操作で発射できない状況を不審に思ったマ中将がサザンクロス隊をアレグランサ島に派遣したことでこのことが露呈、エグバ、ダナン、セルマの駆る地上用高機動型ザク3機の襲撃を受ける。
アムロのガンダムと共にこれらを撃破することには成功するも、その間にサイロのコントロールルームに潜入していたウォルドによってミサイルを手動操作で発射されてしまう(ウォルド自身はコントロールルーム退出時にドアンに加勢する前のガンダムに踏み潰され死亡しており、発射されたタイミングはカウントダウンの時間差によるもの)。
ただドアンはミサイルの発射システムのみならずミサイルそのものにも細工を施しており、上空で弾頭を分離したミサイルは次の瞬間全て自爆して、各都市へ降り注ぐことはなかった。
その後は概ね原作と同じ流れでザクをガンダムに投棄され、飛び立つホワイトベースを見送っている。
小説版では
小説版では、ジオンを抜けた理由や島で子供たちと暮らす経緯が描写されている。
彼はもともと教会の孤児院出身であり、開戦前には傭兵稼業を営んでいた。妻と息子がいたが、妻は生まれつき聴覚障害があり、居眠り運転のエレカにはねられそうになったところを偶然ドアンに助けられたことで知り合った。
宇宙世紀0075年に囚人護送艇「オーリダ」からとある青年を相棒のエグバとともに救出した功績によりジオン共和国の正規軍人に任官され、それを機に妻と生まれた息子とともにサイド3に移住する。開戦によりサザンクロス隊はMS試験運用部隊から遊撃部隊となり、ブリティッシュ作戦では地球侵攻部隊配属を条件にGGガス(毒ガス)を積載した接合ユニットを牽引する軍艦の護衛任務にも就いている。
作戦終了後から家族との連絡が取れなくなるが、半年後に遅配された手紙から妻と子がサイド3から引っ越していたこと、その引っ越し先と手紙の投函先がブリティッシュ作戦の標的となったコロニー「アイランド・イフィッシュ」であったことを知る。さらに0075年にドアンらが救出した青年がGGガスの開発者であったことをウラガンから聞かされ、知らないうちに妻子を手にかけたという事実に深く絶望することとなり、同じく絶望を抱えていたセルマと互いの傷をなめあうように一夜を共にすることとなる。
翌日の戦場で見た戦災孤児のロペの姿が息子と重なり、体が勝手に反応して彼を救出。最前線から逃亡し、無人島にわたり自分が生まれ育った孤児院のように戦災孤児たちを集めて共に暮らすようになり現在に至る。