映画の内容については親記事である「GODZILLA」を参照。
本記事では同作に登場する、“ゴジラ”と呼称される怪獣について解説する。
(2019年公開の『King of the Monsters』版も便宜上記載)
概要
全高(身長):355ft(約108m)
体重:9万t
原典では「中生代のジュラ紀から白亜紀にかけて極めて稀に生息していた、海生爬虫類と陸上獣類の中間的生態を持つ生物」とされていたが、近年の古生物学の発展により、設定に大幅な変更が加えられている。
地上が今よりも濃い放射能で満ち溢れ、様々な巨大怪獣が跋扈していた古生代ペルム紀(約2億7000万年前)にその生態系の頂点に君臨していた「王たる種族」の末裔。ペルム紀末の大量絶滅やそれに端を発した放射能濃度の低下に伴い、地球の奥深くへと逃れ、現代まで生き延びていたらしい(実際、『髑髏島の巨神』では地球の深部に巨大な地下空間が存在しているらしいことが語られているため、おそらくそうした場所で生きながらえていたものと推測される)。以降は地球内部のエネルギーを吸収しながらひっそりと暮らしていたようだが、第二次世界大戦後に世界各地で行われた核開発や核実験の影響で地球全体のの放射線濃度が上がったため、地上への再進出を図ったと考えられている(前日譚にあたる漫画『GODZILLA AWAKENING』では広島に投下された原子爆弾の発する放射能に引き寄せられてきたシノムラの気配を感じとって復活したとされている)。
1954年、アメリカの原子力潜水艦がゴジラと初めて遭遇しその後、米軍は核実験を名目にゴジラを核兵器で抹殺しようとする。しかし、放射能をエネルギー源とするゴジラには効果はなく、逆にゴジラを強化させてしまうことになり、ゴジラも姿を消して消息不明となってしまった。
そして2014年、MUTOが出現したことを受けこれを排除すべく突如出現。
ハワイとサンフランシスコを舞台に激しい戦いを繰り広げることになる。
容姿・能力
シルエットは平成ゴジラに似ているが、背びれは黒く鋭く尖っており、頭は若干小さく首が非常に太くガッチリしている。全体的には熊を、目の周辺は鷹などの猛禽類をモデルとしたデザインになっている。ギャレス監督曰く、「オリジナルのゴジラは結構ずんぐりしていて、今のハリウッド映画にはちょっと可愛らし過ぎるので、丸みを落として攻撃性が出るようにした」とのこと。
ただ、その独特の体型から、一部のファンからは“DEBUZILLA”等と呼ばれているとかいないとか・・・。それとは対照的に正面から見ると細く見えることからゴジラの初代スーツアクターを担当した中島春雄からは、「薄っぺらい」とはっきり言われてしまった。しかしその反面中島は、「あのイグアナよりは良かった。」とも語っている。
大多数のファンからは監督の名から取って「ギャレゴジ」とも呼ばれている。
- 余談だが、平成ガメラの2作目のガメラの雛形にかなり造形が似ている。
- また、「ゴリラ」と「クジラ」らしさを出したようにも見えるという意見もある。
身長は108.2mと、VSシリーズや『ファイナルウォーズ』に登場した個体を僅かだが上回っており、歴代最大級のスケールを誇っていた(が、2016年の『シン・ゴジラ』に登場するゴジラはこれをさらに上回る118.5mとなった)。しかも小説版ではVSシリーズの敵怪獣らに比肩する120mにまで引き上げられている。
体重は90000tとこちらも最大の重さ。身長は同程度である4代目の1.5倍も重い。
表皮は非常に頑丈で、アサルトライフルはおろか誘導ミサイルや艦砲射撃を受けても傷一つ付かず、核攻撃にすらも耐えられるほど(というより放射性物質をエネルギー源としているため、核攻撃を受けてもダメージを受けるどころか逆にそのエネルギーを吸収してしまう)。
海中を移動する速度は本気を出せば55ノット(秒速28m)を超え、米軍の空母も追いつけなかった程の速度を出す。
泳ぐ時は日本のゴジラで多く描写されているように上半身だけを海から出すのではなく、背びれだけを海面から出すため、さながら鮫の背びれが向かって来るような印象もある。
体色に紛れて見難いが、ちゃんと首にエラがあるので水中での呼吸も問題なく行えるため、長時間頭を出さなくても水中移動が可能になっている。
体内には原子炉のような器官を持っており、そこで生み出されたエネルギーを口から青い放射熱線として吐くが、エネルギーの消耗が激しい為に多用はできず、奥の手として使用する。実際最後にこの技を使用した後はエネルギーを使い切ったのか、倒れてしばらくの間起き上がることも出来なかった。
なお、発射の際にはちゃんと背びれが光る。日本版とはやや異なり青い輝きが尻尾の先から背中、そして首へと段階的に広がっていく独特の光り方となっているほか、息を思いっきり吸い込むように胸が膨らむ様子も分かるなど、エネルギーをチャージしている様子がよくわかる演出となっている。
ただし、この熱線の演出はどちらかと言うとまだそれほど威力のなかった昭和期のものに近く、一部のファンから「細い」と不評である。
(また、熱線が細いことが不満だったあるファンがCG合成で熱線を太くしてみたという動画が存在する。「ゴジラ(2014)の熱線をぶっとくしてみたw」)。
しかし、公式ノベライズではMUTOの強力な電磁パルスによって体内の炉心が干渉を受け、全力を出せなかったという設定が存在する。
尚、この時のMUTOの倒した方のせいでかゲロゴジと称されることもある。
→MUTOのメスにトドメを刺したのもこの熱線であるが、その方法は口を無理やり両手でこじ開け、その口内へ発射という最早執念を超えて怨念じみたえげつないやり方である(ついでに言うと、の時MUTOの頭部が熱線によって焼き切られている)。ただしこれはあくまで我々人間側の価値観に基づくものであり、ゴジラ側からすれば確実に倒すための手段だったとも考えられ(実際メスのMUTOはトドメを刺される前にも熱戦を2発立て続けに受けたが倒れなかった)、制作側からすればインパクトを狙った演出だったともいえる。
戦闘ではもっぱら強靭な腕や顎を用いた格闘戦で戦うが、尻尾も強力な武器であり、空中から突撃してきたMUTOの雄を尻尾の一撃で打ち倒している。
生態
本作のゴジラは善悪を超越した存在として描かれており、今まで以上に「人知を超えた者」らしさが強調されている。
劇中では敵怪獣であるMUTOを狩るため執拗に追跡するが、その目的は明確になっていない。ペルム紀当時は宿敵の関係にあったが、核が豊富に存在する現代ではMUTOはゴジラと戦う気はなく、ゴジラ自身がわざわざ追跡してまで戦う必要性もない。これに関して、劇中で芹沢博士が、「自然における力の均衡を保つ」ためという抽象的な推測をしているが、本能レベルで組み込まれた行動である事もありうる。
ただ、(あくまで日本版のゴジラの話ではあるが)平成VSシリーズではゴジラは同族意識の強い生物として描写されており、もしこのゴジラにもこうした特徴が当てはまるとすれば、仲間を殺された為に目の敵にしているという可能性も考えられる。
性質は野生動物のそれで、標的に対しては猛烈な攻撃性・狂暴性を発揮する一方、それ以外には全く関心を示さない。人間が蟻にいちいち構わないように、ゴジラは足元にいる人間は全く眼中になく、周囲に多数の空母が随航していても全く気にせず泳ぎ、米軍の集中砲火を受けても少し鬱陶しがる程度の反応しか示さない。
しかし、その巨体故に泳げば津波を起こし、歩いているだけでビルを倒壊させるため、人類からすれば迷惑この上ない存在である。
一方で進路上の空母を丁寧に避けて泳いだり、橋の前でわざわざ一時停止するなどまるで人類に配慮したかのような動きを見せることもある(同時にこれは障害物を破壊するのではなく、避けることでリスクを最小限にするという知性的な行動とも取れる)。
このあたりは核実験によって安住の地を追い出されたことで人類に対して激しい敵愾心を抱くようになった日本のゴジラとは対照的であると言えよう。むしろ、日本の怪獣ファンからすれば平成ガメラを思い出させる怪獣像である(平成ガメラシリーズの監督を務めた金子修介氏も「当然ガメラ見たろ、ギャレス……いいんだけどね。」とコメントしている)。
作中では大昔の化石としてだが、同族が登場している。MUTOが“ゴジラに寄生する種”との表現があり、ゴジラも“放射能度が低下したので地球の奥深くに逃げた”とある以上、今なお海底や地底深くの地下空間にはゴジラの同族が存在していてもおかしくは無い(それこそゴジラジュニア的な個体などが)。
豆知識
海外メディアによって詳しい豆知識が公開されている。
- ゴジラの咆哮は4.83km先まで響き渡る。
- ゴジラの犬歯の根から切っ先までの長さは1.07mである。
- ゴジラの口には60本の歯が生えている。
- ゴジラの足首から先の最も太い部分は17.66mである。
- ゴジラの足跡の踵から爪先までは18.18mである。
- ゴジラの後頭部から尾の先まで89の背びれがある。
- ゴジラの身長は過去最大の108.2mである。
- ゴジラの尾の長さは167.74mである
- ゴジラの体積は89,724立方メートルである。
- ゴジラの体重は90,000tである。
その他
プレイステーション3向けゲーム、GODZILLAでは、ラスボスとして登場。
バーニングゴジラと死闘を繰り広げる。
更にゲームクリア後にプレイアブルキャラとして使用可能になる。所謂隠しキャラである。
プレイステーション4向けゲーム、ゴジラVSでも引き続き登場。
なお、このゴジラVSの紹介映像とCMで平成ゴジラと熱線の撃ち合いになる映像があるのだが、この映像を見るとこの2014年版ゴジラがどれだけ大きいかよくわかる。
余談
- ゴジラとMUTOの設定は平成ガメラとギャオスに近いという意見も少なからず存在する。
- 『GODZILLA』と同じ世界が舞台となっている『髑髏島の巨神』でも、「1954年に軍が何かを殺すために核実験を行っていた」という台詞を聞くことができる。また、ゴジラ自身も意外な形でスクリーンに登場することになる。
そして、2019年。
GODZILLA:King of The Monsters
ゴジラ、再び。
2018年7月22日に公開された予告にて再び人類の前に姿を現し、天に向かって放射熱線を放つことで怪獣時代の再来を告げた。
放射熱線が前作よりも太く長く届く従来の「光線」らしくなっており、身体能力に関しても素早いダッシュができるなど、その巨体からは想像もつかないほど優れた運動能力を見せている。
これらは設定変更されたというよりは、前作にて寝起きだったり、対ゴジラ用能力を持つMUTOの存在によって絶賛全不調だったと見た方が正しいのかもしれない(前作映画ではカットされているが、小説版ではMUTOの電磁パルスによってまともに熱線も吐けないほどだった)。
この短期間で進化を遂げたのか別個体かは不明だが、東京コミコンにて発表された巨大立像を見る限り、前回確認されたゴジラとはいくつかの相違点を持つ。
主に全身が“対怪獣戦”を想定したかのようにブラッシュアップされ、腰がさらに引き締まり、足の先の爪が鋭く伸びているのが特徴。
特に背ビレの形状は大きく変化しており、切り立った岩山のようだった2014年版と比べると日本のゴジラのに近いヒイラギの葉に似たものへと変化。そして前作では見え難かった山なり模様も、発光時にははっきりと分かるようになった。
PVを見る限りでは、背ビレの発光を利用して威嚇やコミュニケーションを図る事が可能なようである。
この背ビレについてドハディ氏は初代ゴジラをイメージしたと語っており、同時にそれは怪獣王に相応しい王冠であると定義している。
また公式Twitterのハッシュタグにて体長が119mとされており、これは「シン・ゴジラ」の118.5mを僅かに上回る数値である。実写作品においてはまたも最大記録を更新することとなった(実写以外も含めれば最大はゴジラ・アースの300m以上)。
関連イラスト
いわゆる「ゲロゴジ」
夢の対決
関連動画
Godzilla Official Main Trailer
Official Asia Trailer