概要
ギエピーとは、穴久保幸作が描く月刊コロコロコミックの漫画『ポケットモンスター』の通り名、及びその主人公のピッピの断末魔である。
表記は「ギョエピー」「ぎえピー」など複数のレパートリーがあるが、比較的入力がしやすい、「ギエピー」が使われることが多い。
『ポケットモンスター』を題材とした作品は数多く存在するため、固有タイトルを持たない当作品は「穴久保版」または「ギエピー」という愛称でファンから区別されている。
つまり、ギエピー=穴久保版ピッピだと思って良い。
ちなみに「ギエピー」の台詞が初登場したのは、6巻からと比較的に遅めである。
また、公式も認知しているらしく、近年(2016年以降)では公式でも積極的に使われている。
- コロコロアニキにて「おれはギエピーでおなじみのピッピ!!」
- 1年ぶりの連載再開一発目の話で「ギエピー!!」の台詞が数回登場。
- ポケモンフェスの穴久保氏のイラスト「なんでおれっピが映画の主役じゃねーんだギエピー!!」
- 深夜番組『OHA OHA アニキ』での穴久保氏のコロコロ40周年コメント「まんが『ポケットモンスター』の作者穴久保幸作で〜す!このまんがの主人公はピッピだけど、なんでピカチュウにしなかったのかみんな不思議に思ってるよね。僕も、21年間、ず〜っと不思議に思っています!ギエピー!ウオピー!まだまだ連載がんばるピー!」
- 「コロコロアニキの読者のみなさんこんにちは!!ギエピーのピッピを描いてる穴久保です!!」(穴久保先生のギエピー誕生秘話より)
解説
この漫画は、ポケモン初メディアミックス作品でもあり、その歴史はアニメやポケスペ以上に深く、ポケモン漫画の基礎を築いたと言っても過言ではない。
そして、1996年から連載されており、『スーパーマリオくん』と並ぶコロコロコミック長寿漫画の一つである。
2016年の9月号で月刊コロコロコミック連載20周年を迎えた。
この作品の何よりの特徴は、そのあまりにもフリーダムでカオスな作風にあると言っていいだろう。
まず、初期(無印編)はお下品ネタのオンパレードであった。そのため一部では、「ピッピがアイドル路線から転落したのはこの漫画が原因では?」とまで言われてしまっている。(現在、お下品ネタは沈静化している印象)
また、ピッピが初期にバリアーを覚えていたり(実際のピッピはバリアーを覚えることはできない)、彼のトレーナーであるレッドが「し、しまった!雷ポケモンは水に弱い!」と相性の誤解がまかり通っているかのような表現をしてしまったことでも知られる。(ちなみに単行本では「まずい!強力な攻撃だ!」に修正されている)
そしてミュウツーの遺伝子を奪い取り、顔以外がミュウツーそっくりになったピッピが、
「これでぼくはミュウスリーだっピ!!」と言い放った描写はあまりにも有名である。
しかしその一方では、ピッピとピカチュウがいとこであったり、サワムラーとエビワラーが兄弟であるという謎設定は現在、現実の物となっている(現・タマゴグループとバルキー)。
さらに、金銀発売前から「まるくなる」→「ころがる」のコンボを確立していた。他にもバリアーでフシギバナのソーラービームを跳ね返す「ミラーコート」の先駆けとも言えるような戦法を取っている(ただしピッピ自体はミラーコートを覚えない)。
そして当のミュウスリーも第六世代でミュウツーに新たな姿が登場した事でそれに近いものが実現化してしまった。
このように、既成概念に縛られない柔軟な発想は馬鹿にすることはできない。
なおこの漫画の連載が決まった際、穴久保先生は編集部から一方的に『おれは男だ!くにおくん』の終了と同時にカントー御三家とピッピ、ピカチュウの5匹のみしか資料がない状態で連載を言い渡されたらしい。
連載序盤にディグダに足が生えたような生物やミュウツーモドキなど謎モンスターが色々出てきたのはこれが原因。そもそも当時のポケモンはプレイヤーですらイラストなどもモノクロが基本で色付きの公式資料を手にいれる事すら困難な環境であった。
また、穴久保先生は資料の5匹の中から、本当はピカチュウを主役にしたかったという。この点においても穴久保先生は先見の明があったと言える。
そしてこのピッピ自身も、初代編最終話にてマサラタウンに接近するミサイルに、自らの危険も顧みず(動機不純ながらも)特攻し、死にかけながらも、全力でマサラタウンとレッド達を救った。その雄姿は当時の読者たちの心に熱く刻まれている。
その証拠に多くの絵師たちによって今もなお、彼やその仲間たちのイラストが数多く投稿されているのである。
またその功績が認められ、アニメ出演までも果たし、多くのファンを再び沸かせたのはあまりにも有名な話である。(関連動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm9811670)
そして当のゲームフリークはこの漫画について「ポケモンを立派にアピールしてくれた」と非常に高く評価している。いわば、ポケモン界のキャプテン翼のようなものである。
一部ではこの漫画を黒歴史として扱おうとする動きも見られるが、この漫画がアピールしなければポケモンはここまで広まらなかった可能性もあったということも覚えておいてほしい。
何より、アイドルとしてではないが結果として、ピッピは子供たちの人気者となれたのだから・・・
なお、ポケモン初のメディアミックス作品で大々的にポケモンが人間の言葉を喋っていたことから、アニメにおいても「ポケモンに人語をしゃべらせる」という案が真剣に議論されていたという。
もしもめぐりあわせが違っていれば「ポケモンは人語をしゃべる」が今日のポケモンにおけるスタンダードになっていたかもしれない。
登場キャラクター
ピッピ
主人公。ファンシーポケモンとしての常識を覆すようなずる賢い性格でデブである。
なぜかバトルの腕前は凄まじく、普通では到底敵わないであろう相手にも幾度も勝利を収めている。
口癖は「~だっピ」「ギエピー!」「ヤロー!」「オアー!」など。
割と多才な面もあり、正当なのから裏のものまであらゆるビジネスを起こしては成功を収めている…のだが、その後調子に乗ってさらに規模を広げようとしたあげく、不祥事がバレたり、あらゆる施設や貴重な宝などをぶっ壊しては借金まみれになるという、いわゆる両津勘吉パターンの展開が多い。
また、誰が悪いにしろ、基本的にオチに全てのとばっちりを食らうのは彼である。
BW編では、おそらく誰よりもポケモンを愛していると言って差し支えないあのNに「キ、キミは悪魔だ…」、「来るな、あっち行け!!」とまで言わせるほどのトラウマを負わせるなど、未だ衰えない自らの破天荒っぷりを読者に見せつけた。
その他の主要キャラクター
- レッド ピッピのトレーナー。本名・赤井勇(あかい いさむ)。ピッピによって度々問題に巻き込まれるもなんだかんだでカントー図鑑を完成させたり、対峙したジムリーダーや四天王らを全て撃破していくなど功績は高い。しかし女好きで、美女が絡むと暴走する面もある。
- ピカチュウ ピッピのいとこ。何故か彼だけ言葉が話せない。ピッピと違いきわめて優秀だが、初期はお下品ネタも披露していた。連載初期と比べると最も見た目が変化している。また、初登場からしばらくは鳴き声がピチューのそれと同じだった(しかもこの時点で金・銀の存在はまだ世間に知られていなかった)。XY編以降は吹き出しの中のみだが、台詞が翻訳されている。
- リーリエ SM編の途中でレギュラー入りした人物。何気に人間キャラがレギュラー入りするのはこのキャラが初である。本作がギャグ漫画故か原作と比べてかなり破天荒な性格であり、ピッピをぶん回したりお化け屋敷に平気な顔で入ろうとしたりとぶっ飛んでいる。何故か喋る度に語尾に「ですです」と付けるという変なキャラ。
かつての仲間達
- トゲピー 金銀編のみに登場。ウツギ博士から貰ったタマゴから孵ったのちバルキーと交換される形で離脱した。
- バルキー 仲間2。金銀~HGSS編まで登場。進化系達に一人前と認められ、故郷へ帰っていった。
- ローブシン BW編から登場。馬鹿力。結構癒し系。XY編に以降したと同時にレギュラー降板となったが、バルキーとは異なり別れのシーンも無く呆気ない出番終了だった。
主なライバル
- グリーン レッドの幼馴染でライバル。オーキド博士の孫。本名・緑川開(みどりかわ かい)。旅立ちの際にヒトカゲを貰っており、リザードンに進化させている。金銀編以来長らく行方不明だったが、BW編にて10年4ヵ月ぶりにチャンピオンとして再登場し、読者を驚かせた。XY編では大好きなゲームを買いすぎて破産。現在ワケあり物件に住んでいる。
- ブルー※ メガネ男。ゲンガーに取りつかれ根暗になっていた。名前にブルーが付く物を集めるのが趣味。カメックスを持っている。
- イエロー※ 不良少年。髪や服やパンツまで全て黄色。レッドに成りすまして悪事の限りを尽くす。なみのりピカチュウを持っている。
このほか、金之助(金銀主人公)や銀次郎(金銀ライバル)など、ゲーム版の主人公やライバルと同じ容姿のライバルが登場している。
※彼らはベースとなるキャラクターがゲーム自体に存在していなかったため、穴久保幸作がデザインしたオリジナルキャラクターとなっている。
主な登場ポケモン
- カイリキー 「ウオー!!」
- ミュウ 初期ではポケモンにされたマサキの妻(物凄く美人)という設定だった。しかし二回目の登場では独自に存在するポケモンであるという設定に変更された。
- ミュウツー ロケット団によってミュウの遺伝子から作られたポケモン。遺伝子を奪われてピッピが「ミュウスリー」になったり、逆にピッピの遺伝子を入れられて「ミュウツーピッピ」というデブキャラに変貌したりした。この話以降はボケキャラ化し、連載当時映画化された「ミュウツーの逆襲」をもじった「ミュウツーのギャグ集」を出版して大金持ちにもなった。なおこの個体が初登場ではなく、第2話のトキワの森にて何故か野生のポケモンの一味として登場していた。
- サワムラー エビワラーの兄。
- エビワラー サワムラーの弟。ピッピにエビフライにされてしまう。
- ヤドラン カンナチームやキョウのジムの番人。ほげーとしてて役に立たない。
- ビリリダマ 名モブ。カレーの具。
- ニャース サカキ弟の子分。時々レッド側にいることもあるが、それは人語を話せない方であり、ロケット団のは人語を話す。
- ディグダ 名モブ2。
- オコリザル 暴走族の族長。ピッピにトンカツにされてしまう。
- マリル ピッピに売られかけたがウツギ博士宅のメイドさんになる。男の子もとい♂なのに…マリ、マリ!マリリンモロロ!
主な博士
- オーキド博士 ボケも突っ込みも研究もこなす好々爺的な存在。実はハゲている模様で、ピッピにかつらを貰って大喜びする。ポケモンが装備できる兵器を発明したり、軍や警察とコネがあったりと、ロケット団に取って代われそう…もとい、抵抗できる実力派である。
- ウツギ博士 ワカバタウンにいる若い博士。空気。オーキド博士にご飯を出したがマリルに盗み食いされる。後にそのマリルをメイドさんとして雇うことになる。なお、そのマリルは♂だが気にしないのだろうか?
- アララギ博士 ピッピに「おばさん」と言われ激怒した人。ゲーフリの公式設定では彼女は「30代の女性をイメージした」との事なので、あながち間違いでもない。
その他の登場人物
- ちんみ 作者が飼っていた猫。連載初期に亡くなっている。
- あいや ちんみの子供。
- サカキ ロケット団のボスで、双子の兄弟。ゲーム版の方が弟で、顎髭を生やして恰幅の良いのが兄貴。テロやポケモン虐待など悪事も過激だが間抜け。
- カスミ レッドにトゲピーを貸した。イベントでよく司会を務めている。
- エリカ シルフカンパニーの社長令嬢。ヤマブキ・タマムシの両シティでは顔役であり、ロケット団に悩まされる人達からは頼られている。フシギバナの使い手。
- キョウ 忍術使いと悪代官を合わせたような和風トレーナー。ラッキーの卵を質にとって猿回しのような芸をさせたりするなど搾取をしていたが、ヤドランが間抜けなのとギャラドスがピカチュウに負けたのとで撃破され、ラッキー軍団を解放させられる。
- カツラ 中華料理屋のおっさんで、なぞなぞ大好き。ハゲヅラをかぶっている。これでもジムリーダー。リーグマスターの栄光に酔いしれているレッドやピッピをたしなめ、「ワシの夢をも叶えられるのはお主達だけ」と涙しながらポケモンを貸し与えるなど、シリアスな場面でも活躍する。
- ナツメ 胡散臭い超能力者。水晶占いが趣味。ピッピのインチキ超能力合戦で占い館を爆破されてしまい、戦いで賭けていた波乗りマシーンが壊れる。ユンゲラーやスリーパーなど、不気味なメンツを従えてインチキする場面も。ゲーム版のシリアスさ、アニメの可愛さは微塵もないおばさんである。
- キクコ まさかの美人。吸血鬼のように血を吸う。かわいい女の子になり済ますゴーストとブス大好きで変身下手なゲンガーがお伴。正体は変身の術を使うゴルバットだった。ピッピの血を吸い尽くすが、その意地汚くてお下品な細胞に内臓を痛めつけられて負けてしまう。
- マサキ ポケモンを合体させる研究者であり、自らの体もポケモンに合体させたマッドサイエンティストとして登場。ミュウはその研究の結果ポケモンにしてしまった自分の妻という設定だった。レッド達の活躍によって改心して人間の姿に戻ったが、その人間の姿も化け物じみたブサイクだった。二度目の登場ではロケット団に捕まり、ミュウの遺伝子からミュウツーを作らされた。この時ミュウの設定について変更がある。
- ハヤト ござる口調。ネイティを使う。マダツボミの塔で修行する長老の愛弟子。
- ミカン バルキーの初恋相手であり、初失恋相手。
- ヤナギ 兄とはぐれていたウリムーの面倒を見ていた。
- カリン 「四天王が修行してんの知ってんの」と寒いギャグをかました。
- トウキ メタボにされてペリッパー型の便器に突っ込まれた悲惨なキャラ。
- テッセン 電気屋の親父だったが、ピッピのせいで店が潰れた。
- センリ やさぐれ親父。飲んべえ。
- ヒョウタ 言葉遣いが乱暴で血の気が多い。
- ポッド、コーン、デント 仲の良い3兄弟でイケメン。ピッピが3人にケンカをさせてチームワークを乱そうとするが、逆に兄弟愛が深まってしまった。
- アロエ 図書館でピッピに静かにするよう注意するが、自分が一番うるさかった。
- アーティ プラズマ団にさらわれたピカチュウの救出に協力する。自分がおとりになってアジトに潜入しようとするがピッピに危険だと止められ、代わりにピッピがアーティに変装しおとりになろうとした。
- アデク マラソン大会で勝つためにレッド達にランニングシューズを貸したが、あまりの臭さに全員気絶してしまった。
- カミツレ レッドに惚れられ、最後まで付きまとわれてしまう。「おれは残る。カミツレちゃんとここで生活するんだ!!」
- フウロ パイロットを目指すレッド達にテストを出す。本誌掲載時は「フウカ」と誤植されていたが、単行本では修正されている。
- ヤーコン 燃料切れで動かなくなったSLを動かすために、ピッピ達と大量の石炭を掘りあてたがローブシンがSLによっかかっただけで動き出したため、石炭は無駄になった。
余談
「一極 マウチュ」と検索をかけてほしい、かなりヤバいものが出てくるが、こちらも穴久保先生によるものである。
参照:穴久保マウチュ
関連イラスト
タグ付けに対する補足・注意
たまに穴久保ピッピのみならず、普通のピッピに対してもこのタグが付く場合がある。
ニコニコ動画とかでもバトレボの対戦動画でピッピの系統キャラが戦闘不能になったときにも「ギエピー」のコメントがつく事もある。これは穴久保ピッピの存在感が、あまりにも大きすぎた為の現象と言えよう。
しかし、このタグは実質穴久保ピッピのみを示すものであり、きれいなピッピに対してこのタグを付けるのは控えたほうが賢明であろう。