"見つからないものを、見つけるために。"
概要
作風
作品全体のテーマは「生命讃歌」。盗賊の少年ジタンと黒魔導師ビビを中心に生きる事の意味を探す壮大な冒険が繰り広げられる。
FFが3Dの表現手法を取り入れてからFF7やFF8等のFFが「SF映画」と評されるようになっていったのに対し、こちらは同じ映画の枠組みでもディズニー系やピクサー系、ジブリ系の作品を思わせる「アニメーション映画」寄りの演出に仕上がっている。
また、「演劇」の色が強く打ち出された作風になっており、主人公ジタンを始め、各々のキャラクターたちが発する血の通った台詞は情緒に溢れ、思わず胸を打つものが多い。特にビビの純粋でひた向きな姿は多くのプレイヤーの心を鷲掴みしてきた。
戦闘
FF8以前の昔ながらのATBシステムに、ファイナルファンタジータクティクスシリーズのアビリティシステムが取り入れられている。更に、FF6に登場した「トランス」が復活。アビリティもトランスも戦闘で常用するシステムだが、実は物語の謎に深く関わる要素だったりする。この作品で再び4人パーティに戻った。
音楽
音楽や世界観の作り込みも高い評価が下されている。特に戦闘BGMは7以前に存在した戦闘突入時のイントロと曲の冒頭の「デケデケデケ」のベースラインが、そして勝利のテーマの後半のメロディまでもが7以前のものとなっている。EDの白鳥英美子が歌う主題歌「Melodies of Life」の後には、もちろんあの伝統のテーマ曲が待ち構えている。
ストーリー
霧に覆われた大陸の大国・アレクサンドリア。
その日、ガーネット姫の16歳の誕生日を祝って盛大な祭典が催されていた。浮かれ踊る街の人々の中、劇場飛空艇プリマビスタが劇団員たちを乗せてアレクサンドリアに到着した。しかし、その船団員たちは『盗賊団タンタラス』という別の顔を持ち、女王ブラネの一人娘であるガーネット姫の誘拐を企ていた…!!
一味の少年であるジタンは、祭りの騒乱に乗じて城への侵入に成功する。しかし、そこには目標であるガーネット姫の姿があった。ジタンが追いつめると、なんと彼女は「私を誘拐して」と申し入れてきた?!
この祭りの夜、この二人の出会いが、やがて世界の運命を分ける壮大な物語へと発展していくことになるとは、誰しも想像だにしていなかった……。
当時の販売状況と反響・評価
この作品のすぐ後に発売が控えていたDQ7の存在、ファン同士で情報を交換し合い初期FFの頃の懐かしい気持ちに浸りながら楽しんでほしいというプロデューサー(坂口信博)の意向による攻略情報規制、更に当時は世界中で最新ハードのPS2の話題が熱を上げていた頃であり、シリーズ初のPS2作品であるFF10と、同じく初のMMORPG作品であるFF11の続報が矢継ぎ早に人々の注目を集めていった。
そもそも本作がPS終末期の作品であることも含め、諸々の事情が一気に被さっており、取り巻く環境は良好とじゃ言い難かった。このため、歴代で見ればそこそこ売り上げたものの、一歩見劣りするセールス結果となった。よって、発売当時からしばらくはいまいち影が薄く脚光を浴びにくかった。
また、FF9のクリスタルは物語の終盤に満を持して登場する形になっている。これに対し、【原点回帰】と【クリスタル、再び。】のキャッチコピーに釣られて当作品を購入したクリスタルの扱いに固定概念を持つ古産ファンの一部からの評判はいまいち芳しくないものであった。(ちなみに本作のクリスタルはジョブチェンジの概念は無いが、物語上の役割を思い返すとある意味その概念自体を物語に組み込めていると考えられなくもない)
そして、評価を分ける一因として序盤の明るい雰囲気ドタバタ劇や児童文学のような可愛らしい作風に反した難解な世界設定にある。幾分ネタバレになるため内容は控えるが、終盤になると特に大学のおエライ教授の講義並みに小難しいうえに、哲学的になったりと、かなりの情報量が畳み掛けてくる。(ただし考察好きのプレイヤーには唾涎ものである)また、プレイステーションの性能を限界まで使っていたせいか処理落ちで重くなる事がある。解決策はプレイステーション2以降の互換機能で低減される模様。
しかしながら、それらを乗り越えた先に辿り着くエンディングは物語を充分やり込んだプレイヤーにとっては涙腺崩壊必至であり、また王道を目指したことでRPGのビギナーでもとっつきやすい作りになっているため、プレイしてみる価値は十二分にある。昔は散々だったが、今となってはアーカイブス版とリマスター版が発売され、配信開始時は売上げランキングで長らく看板作品のFF7を抑え上位をキープし続けるなどの実績があり、現在も度々ランキングに食い込み続けては支持を集めている。
受け継がれた原点回帰のコンセプト
その後、DS版FF3、FF4らのリメイクと新作である外伝光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝を経て、FFの要素を色濃く受け継いだ新作ブレイブリーデフォルトに発展していった。
登場人物
CV:ディシディア ファイナルファンタジー、オペラオムニア、キングダムハーツ2、ワールドオブファイナルファンタジー、LORD of VERMILION Re:2 / III
パーティメンバー
ジタン・トライバル | ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世 |
---|---|
CV:朴璐美 | CV:能登麻美子/歌:白鳥英美子 |
ビビ・オルニティア | アデルバート・スタイナー |
CV:大谷育江 | CV:広田みのる |
フライヤ・クレセント | エーコ・キャルオル |
CV:折笠愛 | CV:金元寿子 |
クイナ・クゥエン | サラマンダー・コーラル |
アレクサンドリア王国
太字は一時的にパーティに加入するキャラ。
リンドブルム公国
盗賊団タンタラス
ブルメシア王国
ク族
テラ
ボス敵
他キャラ
関連イラスト
対応機種情報
オリジナル版 | アーカイブス版 | |
---|---|---|
機種 | プレイステーション | PS3/PSP |
ジャンル | RPG | 同左 |
発売日 | 2000年7月7日(金) | 2010年5月20日(木) |
価格 | 8,190円 | 1,500円 |
発売元 | スクウェア | スクウェア・エニックス |
開発 | スクウェア | 同左 |
CERO | A(全年齢対象) | 同左 |
リマスター版
機種 | iOS&Android | PC | PS4 | ニンテンドーSWITCH | XboxOne |
---|---|---|---|---|---|
発売日 | 2016年2月10日 | 2016年4月14日 | 2017年9月19日 | 2019年2月14日 | 同左 |
開発下請 | シリコンスタジオタイランド | 同左 | GUILD STUDIO | 同左 | 同左 |
CERO | B | 同左 | 同左 | A | 同左 |
※ジャンル、価格、発売元は全て同じ。
ジャンル:RPG
価格:2500円
発売元:スクウェア・エニックス
※リマスター版は映像の高画質化に加え、3Dモデルのポリゴン数を増やし作り直すなど新たに手を加えられた要素もあり、実質的にはプチリメイク版でもある。(ただしオリジナル版と違い、UIが変わっていたり一部SEやムービー演出に移植にあたっての弊害(劣化)が見られる。
※ニンテンドーSWITCHでは、これまで任天堂のゲーム機ではかつての対立があった事も含めて移植される機会が中々無かったのだが、今回初めての移植となる。
関連タグ
会社 | スクウェア、スクウェア・エニックス(スクエニ) |
---|---|
スタッフ | 坂口博信、橋本真司、天野喜孝、村瀬修功、植松伸夫 |
種族 | 黒魔道士、召喚士、ネズミ族、ク族、ドワーフ、ジェノム、モーグリ、チョコボ |
国 | アレクサンドリア王国、リンドブルム公国、ブルメシア王国 |
組織 | 盗賊団タンタラス |
NL | ジタガネ、スタベア、ビビエコ |
表記ゆれ | FF9、FF9、FFIX、FFⅨ、ファイナルファンタジーIX、ファイナルファンタジーⅨ |
関連動画
リマスター版(スマホ&PC版) プロモ映像
リマスター版(PS4版) プロモ映像