*俺は サンズ。
*スケルトンの
サンズさ。
*俺はここで人間を
見張ることに
なっているんだ。
概要
『Undertale』及び『Deltarune』に登場するスケルトンのモンスター。同じくスケルトンであるパピルスは彼の弟である。
名前の由来は英文フォント名『Comic Sans』から由来しており、決して三途の川が由来ではない。また、アメリカでは"ダサいフォント"として知られている(日本における創英角ポップ体と同じ扱い、と考えればいい)。
彼の台詞には基本、専用フォントとして名前の由来である『Comic Sans』が使われている(Papyrusと対称に全部小文字)が、前述のシリアスな言葉を投げる時には通常フォントに戻ったりする。
また、骸骨+フォント名という組み合わせは『Helvetica』(外部リンク)という海外の作品のパロディである。ファミ通のインタビュー(外部リンク)に記載されているように、トビーは『Helvetica』の作者であるジョーンズと友人関係との事。
容姿
体格はパピルスに比べると低身。加えて厚着しているせいもあってか、ズングリとした印象を受ける。顔はややデフォルメされたドクロ風で、常にニヤついた表情をしており口角にはえくぼのような窪みが見られる。
衣装は上半身に白のタンクトップの上に青いジャケット(フードが付いているが、どちらに繋がっているかは不明)、下半身には白いラインの入った黒ズボンとスリッパを着用。ファンタジー風の甲冑や法衣姿のキャラクターも多い本作の中では、比較的現代風の出立ちをしている(ただし、本作の時間設定は2010年代以降である上、人間の文化はゴミなどから地下世界にもたらされているのでこれ自体はおかしな事ではない)。
また、容姿を見る限り年齢不詳である彼だが、5周年記念に公開された(5周年記念目覚まし時計セリフ集)にて、パピルスが『いいオトナが赤ん坊のように世話を焼かれるなんて情けない』と発言したことにより、少なくとも未成年ではないと見受けられる(ただ、少し価値観のズレたパピルスの発言なので信憑性は低い)。
性格
騒がしくハイテンションで几帳面なパピルスとは対称的に、マイペースで気楽な性格。アズゴアの掲げる「人間の『タマシイ』を集める」という政策にもあまり関心が無いようで、主人公をからかいこそするものの基本的に敵意を向ける事は無い。
基本的に感情を荒げる事も殆ど無く至ってクールだが、時折目のハイライトの消えた不気味な面持ちで凄みのある言葉を主人公に投げかけてくる事もある。
主にスケルトンに掛けたジョークを好んでおり、会話中も何かにつけて冗談を振ってきたり下らない悪戯で相手をからかう事がある。主な被害者はパピルス(もしくは主人公)だが、内心では彼を大事な兄弟として慕っている。
また、パピルス曰く怠け者であり、前述の怠惰な職務態度も然る事ながら部屋をゴミや脱いだ衣類で散らかし放題にしている。その為、彼から常々口うるさく注意を受けるが得意の話術でのらりくらりと躱している。寝るときもいつもの服を着たままらしい。更にはギャグも上手く「でもこう見えてトントン拍子に出世してるんだぜ?スケルトンなだけに!?」とサンズお決まりのギャグをぶちかました。
家の近くにある『グリルビーズ』という飲食店では常連客として知られており、顔馴染みの仲間達からは"サンジィ"と愛称で呼ばれている。会話イベントでも、この店を初めとしたスノーフルの住民から聞く事が出来るが、彼ら曰く「ある時に外からやってきた」との事から古くからの住人ではないらしい。
なお、この店ではいつもツケ払いをしておりその総額はかなりの物となっている。また、筋金入りのケチャラーでありそのまま飲んだりもしている。
しかしToby氏(ケツイのQ&Aより)によると、『ケチャップを飲み干すという奇行に走ったのは、主人公をからかう為か、単純にケチャップが好きだからなのかは分かりません』とのこと。
オイラショック
実は、記事冒頭の台詞は非公式日本語訳である。
2017年8月16日より公式の日本語版がリリースされたが、その際のサンズの一人称は...
*オイラは サンズ
*みてのとおり
スケルトンさ。
*ニンゲンが こないか
ここで みはってろって
いわれてんだ
何と"オイラ"であった。 因みに、原作フォントのcomic sansのゆるさを意識して公式日本語版ではポップ体(ハッピー)が使われている。
共通点はゆるいポップ体というものであり、ハッピーというフォント自体は業界トップのモリサワからも発売されている通り、デザイン性には一定の品質がある。ちなみに別メーカーからは教育漢字限定版のハッピールイカが無料で配布されていたりする。
そのため「ダサいフォント」という共通項にはできなかった模様。ちなみに、日本でよく使われている「ダサいフォント」といえば創英角ポップ体だが、こちらはMicrosoft Officeの標準フォントであったため使うわけにいかず、似たイメージのフォントを選んだと思われる。
これ以前に広く使用されていた非公式日本語化パッチでは、一人称として"俺"が採用されていたり、「以前にトビー氏がサンズの日本語一人称に"僕"を希望していた」という逸話が流れていたりなどで、それまで日本では俺サンズ派と僕サンズ派の両方が存在していた。
しかし、公式日本語版でオイラサンズ確定の第一報が流れた際、その双方とかけ離れたイメージだった為日本のファンの間で衝撃が走った。
そしてオイルショックに擬えて「オイラショック」という言葉が発生してしまったのである。
なお、上記の"僕サンズ"についてはトビー氏によると「あれは友達との個人的な雑談の中で出たちょっとしたジョークなので、ここまで真剣に受け止められるとは思いませんでした」とのコメントが出ており、公式日本語版サンズの一人称についても「"オイラ”のニュアンスの説明をきちんと受けた上で、私(トビー氏)自身が判断してOKを出しました」との事。
この"オイラ"の一人称には良くも悪くも反響を呼び、現在でも公式日本語訳そのものに賛否が分かれやすい理由の一つでもある。
しかし文脈と一人称を照らし合わせてよく読むと、この一人称に明確な意味があったことが判明する(後述)。
Undertale
兄弟で一緒にスノーフルで暮らしている。主人公が人間である事に出会った時に気付くも、挨拶代わりの軽い悪戯を皮切りに親しげに会話を交わした。
これ以降も、行く先々で主人公を監視しているかのように現れ、時には冒険のヒントとなる話題を提供してくれる。
普段は遺跡の見張り番の仕事をしているが、よく居眠りをしたり勝手に持ち場を離れたりとかなり良い加減。主人公に誘われたという建前で、『グリルビーズ』まで職務放棄して行った事もある。
なお、短時間で移動ができる"近道"という便利な能力があるらしく、主人公の行く手を先回りしたり障害物を避けて店に入るのに利用しているようだ。
Deltarune
*お。
おもしろいヤツが
ウロついてるな。
*ちょうしは どうだ?
*ああ。 まったく
どうかんだな。
*なんつったって アンタと
オイラは いま はじめて
あったからな。
何と、チャプター1の終盤にようやく登場。思わぬ形で彼と再び出会えた事に驚いたプレイヤーも多かった。
本作では上記の通り別の所から引っ越してきたばかりの住民となっており、更にスターシステムという設定から前作である程度関わっていた他のキャラクターとの関係は、現時点で殆どが赤の他人という事になっている。
また、この章では未登場ではあったが弟のパピルスも一緒について来たらしく、「明日弟と二人っきりで遊んで欲しい」と主人公に約束をお願いする。
今後のチャプターに期待しておきたい点である。
そしてチャプター2ではグリルビーズに外見がよく似たコンビニのレジに立っているが、本人曰く自分は掃除係でレジ係はいないのだとか。じゃあ誰が会計をするのかと言われたらオイラと答え、じゃあお前じゃんと指摘されるとオイラはただの助っ人で従業員は誰もいないと返す…などジョーク全開でクリス達(主にスージィ)を振り回す。
そしてチャプター1でサンズに出会った状態で弟の件について尋ねると残念ながら「悪いがまだ先だ」と告げられるが、クリスの兄がこの町に帰ってくる頃には会えるかもしれないとも語ってくれる。
関連動画
- 『Sans』
サンズのテーマ。彼の家やグリルビーズなどでも聞く事が出来る。おちゃらけたBGMはまさにこのサンズのテーマと言っていいだろう。
因みに、2018年3月9日に公開された『Nintendo Direct』でSwitch版へのリリース予定の告知でも本楽曲が採用された。
彼の秘密(ネタバレ注意)
※この先は、Undertale本編における重大なネタバレが含まれております。閲覧には充分ご注意下さい。
トリエルとの関係
人間である主人公に対して友好的なのは、(お互い直接の面識はないものの)かつてジョークを通じて仲良くなったいせきに続く扉の向こう側に居たトリエルから「もし人間がこの扉を通ってきた時は、その人を守ってあげてほしい」と頼まれたからである。
Neutral(中立)ルートのラストにおいては、サンズが主人公の携帯電話を通して後日譚を語るが、主人公がトリエルを倒している場合扉を訪れても彼女が返事をしない事を心配する言葉を呟いている。
モンスターを10体以上倒して、トリエルが生存した場合彼女が王位から追放され『いせき』に戻った場合、サンズは彼女について行き同居を始めた事を伝えている。彼女が死亡した上で他のモンスターが王位に就いた場合、彼自身の身の振りは大概王になったモンスターの腰巾着かサポート役を務めている。
サンズの家
正確にはサンズとパピルスの家。いつもギャグを言っているサンズが暮らす家なだけあり、リビングルームのテーブル上にジョークの本が置いてある。ちなみに本の中を覗いてみると中身は量子力学の本となっている。その中を覗くと・・・中身は別のジョークの本。さらに中を覗くと・・・別の量子力学の本だ・・・。
条件を満たすと入れる彼の部屋には「ゴミを利用した持続式トルネード」がある他、地下室と思われる鍵を入手する事が可能で、実際にそこに向かうと見覚えの無い人物達と映っている写真や謎の設計図、壊れた機械などが置かれている。
作中ではこの謎の機械についてはこれ以上掘り下げられる事は無く、続編へのフラグか物語の構想過程でボツになった設定ではないかと議論される事もある(MOTHERシリーズのパロディという話も)。
また、Pルートクリア時にはアルフィーと知り合いである様子が見られる為、二次創作においては彼女と同じ王立研究所員だったという設定がなされる事もある。その部屋の写真を調べると…。
*(せびょうしの うらから
カードが とびだしている)
*(えがおの じんぶつ 3にんを
えがいた つたない え だ…)
*(もじも かいてある…)
*「わすれないで」
この「3人」が誰のことなのかは一切明かされていない。
研究仲間ならば「サンズ、アルフィー、ガスター」とも考えられる。真相は闇の中である。
クリスマスパーティ
クリスマスパーティ後のパピルスによれば
「兄ちゃんは何も言わなかったけど…沢山の友達と楽しくお祝いできて、嬉しかったんじゃないかな。兄ちゃんが最後にそういうことできたのいつだったか、思い出せないもん。」
とのこと。
5周年記念クリスマスパーティでのサンズやパピルスの発言は、かなり大きな考察材料になりそうである。
一人称の意味
公式日本語版では、普段は一人称に「オイラ」を使い、そして主人公に対しての二人称に「アンタ」を使うサンズ。
しかし場面によっては一人称が「オレ」、主人公に対しての二人称が「おまえ」になる。その条件は基本的に、主人公に対して友好的でない態度で接する時である。ストーリーの進め方にもよるが、時に凄みを利かせるサンズから「オレ」「おまえ」という言い回しを聞くこともあろう。その時、たいてい彼の様子は普段の怠惰なそれではない。どうもこれがサンズの素の姿であるらしく、一人称を使い分けることに意味があったようである。
怠惰の「例外」
彼が怠け者の態度を取らない例外は主に2つある。1つは上記の「友好的でない態度を取るとき」、そしてもう1つは「弟のパピルスが本気で助けを必要としているとき」である。
Nルートでパピルスしか主要生存者がいない場合、珍しく彼はパピルスのために本気で仕事に打ち込んでいる。普段はあきれているパピルスもこれには驚いたようで、サンズが普段怠けている本当の理由を知ったうえでこれを考えると、弟のためであれば諦観さえも棚に上げるほどの兄弟愛を持っていることが読み取れる。
最後の審判
Nルートの終盤、アズゴアの城に繋がる『最後の回廊』で主人公の前に現れ、今まで取った行動から審判を行う。同時に、この世界の『EXP』と『LV(LOVE)』についてもここで真の意味が判明する。
どちらもある単語の頭文字から取られており、前者は他者に与えた痛みの量を示す数値『Execution Points』、後者は他者を傷付ける能力を数値で表した暴力レベル『LEVEL of VIOLENCE』で、両者が高い程無感情で心の痛みを感じず何の躊躇いも無いまま誰かを傷付ける事が出来る程の残忍な性格と化する。という事実が明かされる。
冒頭でフラウィが「LOVEをわけてあげる」と言いつつ攻撃してきたことにも辻褄が合う。
そして、この数値の量次第でサンズは主人公へそれなりに相応しい言葉を残して去って行く。
ちなみに不殺(LOVE1・EXP0)の時にこの審判を繰り返すと、ある隠し要素へとつながる会話へと変化する。
※Gルート終盤のネタバレがこの先あります。
*heya.
*よう。
*you’ve been busy, huh?
*いそがしそうで なによりだな。
*. . .
*so, i’ve got a question for ya.
*おまえに ききたい ことがある。
*do you think even the worst person can change. . . ?
*すくいようのない あくとうでも かわれると おもうか?
*that everybody can be a good person, if they just try?
*どりょく さえすれば だれでも いいひとに なれると おもうか?
*heh heh heh he. . .
*ヘヘヘヘ…
*all right.
*まあいい。
*well here’s a better question.
*しつもんを かえよう。
*do you wanna have a bad time?
*…おまえ サイアクな めに あわされたいか?
*‘cause if you take another step forward. . .
*それいじょう ちかづくと…
*you are REALLY not going to like what happens next.
*こころの そこから こうかい することに なるぜ?
*welp.
*しかたないな。
*sorry, old lady.
*ゴメンよ おばさん。
*this is why i never make promises.
*だから やくそくは キライなんだ。
それは、Nルート・Pルートにおけるアズゴアの「ごらん? きょうは ステキな日だ。はなが さき ことりたちは さえずり⋯ こんな日は おにごっこでもして あそびたいねえ⋯」とそっくりなセリフから始まった。
『公式日本語訳』 | 『非公式日本語訳』 |
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トリエルやパピルス、アンダイン、メタトンなどの主要人物を含む作中の殺害可能な全てのモンスターを殺し尽くす事で展開されるGenocide(虐殺)ルートでは、アズゴアの居る謁見室へ続く最後の回廊(通称 "審判の間")にて、他のルートでも置かれているセーブポイントのみならず、異次元ボックスまで置かれている。つまり所持アイテムの整理と入れ替えができるこの箱が用意されている以上、それらを必要とする死闘が待っていることを意味する。
そしてサンズから言い渡されたのは、通常の審判ではなく、主人公への処刑宣言であった。彼こそ、このルートにおける事実上のラスボスである。
サンズのステータスはHP・攻撃力・防御力どれも全て1。実際にチェックした際の説明文にも“もっとも ラクな てき。(最弱の敵)”、“1ダメージしか あたえられない。”と記載されるように一見すれば今までのモンスターの中でもトップクラスに低く、たった一撃すら耐える事の出来ない最弱のスペックである。
そのうえこの戦闘の直前に最強武器/防具を拾えるため、主人公とサンズとのステータス差は天と地ほどもある。
しかしながら、「もっとも ラクな てき」というのは全くの嘘である。
まず彼は何故かこちらの攻撃を確実に回避する。今までのどのモンスターも逃れられなかったバトルシステムによって確定命中するはずの主人公の攻撃を避けまくることにより、主人公の攻撃力は完全に無意味なステータスと化す。
また、サンズの攻撃のみダメージを受けた後の無敵時間が1Fしかなく、さらには自機に被弾させた攻撃エフェクトが消えずに残るため、自機が攻撃に重なっているあいだダメージを受け続けることになる。「1ダメージしか与えられない」という表記が間違っているわけではないが、実際はフレーム単位で無数の1ダメージを叩き込まれるので結果的に大ダメージとなる。
そして1ダメージはいくら軽減しても1なので、主人公の防御力も完全に無意味なステータスとなってしまう。
さらに、サンズの攻撃を喰らうと受けたダメージと同じ量の体力ゲージが紫色になり、その分がスリップダメージとして追加される仕様になっている。さすがにスリップダメージではHP0にならないが、紫色のゲージは回復アイテムでも打ち消せないので回復を急ぎすぎるとスリップダメージで結局HPが減ることに。
- 「くもったメガネ」等の無敵時間延長効果のある装備をつけると無敵時間が2Fになりダメージを軽減できる。しかし、詳しい説明は省くがスリップダメージがあるせいで被ダメ半減にならないため、延命にしても気休め程度。武器まで無敵時間に拘る必要はなく、やぶれたノートを使うなら回復アイテムの効果増加が見込めるこげたフライパンのほうが実用的。
以上すべての仕様は、ステータスの数値だけなら最強となった主人公へのあてつけのようなものと言えよう。
能力を用いる際は左目が黄色とシアン色に点滅。重力操作による壁面への叩きつけや瞬間的に切り替わる弾幕、遠隔砲撃ユニット『ガスターブラスター』を用いて、これまでの戦闘が馬鹿らしくなるほどの猛攻撃を仕掛けてくる。
攻撃方法自体も『壁面に骨群を一瞬かつ連続で発生させて串刺しにする』、『重力操作により特定行動を取らなければ回避不可能の弾幕を張る』、『瞬間移動により相手をブラスターの射線上にワープさせて間髪入れず焼き払う』といったように一つ一つが反則じみた初見殺しのオンパレードであり、普通のプレイヤーが数回程度のリトライで凌ぎ切る事は不可能。
しかも他のバトルと違い、例外的に最初のターンはサンズ側がプレイヤーよりも先手で動き、いきなりこれらの攻撃を仕掛けてくる。初めて彼に挑んだ主人公のほとんどは戦闘BGMが開始する前に殺されるだろう。
要するに上記のステータスが事実上のフェイクとして機能しており、実際のサンズとの戦闘はゲームシステムを逆手に取られた勝機の見えない壮絶な難易度の死にゲーと化している。
攻撃が壮絶である点で言えば他ルートのラスボスもかなりのものだが、あれらは理不尽な中にもプレイヤー側が勝利に近づけるようにするためのシステムが設定されている。一方でこの戦いは、理不尽極まりない攻撃を何の救済措置もないまま全部通しで切り抜けなければならない。
ファンの間でよく言われるのがPルートのラスボスとの対比だろう。勝てる気がしない「最弱の敵」であるGルートのラスボス・サンズに対し、あちらは「最強の敵」と表示されるが負ける気がしない戦いとなっており、ちょうど真逆になっているのが面白い。
なお、ノーダメージで切り抜けている場合でもない限り、この戦闘中のテキスト内容に時折「"おかした つみの かずかずが せすじを つたう"」という一文が入る。また、この戦いではHPバーにKR(Karmic Retribution,あるいはKARMA。意訳すると『因果応報』)という見た事も無い文字が加えられる事から、サンズの攻撃は単純なスリップダメージではなく殺戮を犯した主人公への呪いを利用して戦っていると思われる。ちなみに非公式日本語版だと「貴方の背中に罪が這い上がるのを感じた」となる。
この「罪が背筋を伝う」というメッセージだが、非公式日本語版(=英語版)ではノーダメージでも表示されるようになっているため、本場のテキスト執筆者は「罪そのものはもともと這い寄っておりそれがダメージ増幅になる」、公式日本語訳スタッフは「ダメージを受けた時の増幅によって罪が這い寄るのを自覚する」というニュアンスの違いになっていることがうかがえる。
公式日本語版ではノーダメージだと「こうげきを つづけろ。」だったり「サンズは かなりつかれてきているようだ。」という相手の様子を見る余裕すら見せる一方、それ以外ではKRダメージの蓄積量によってメッセージが変わる。「おかした つみの かずかずが かたに のしかかる。」「からだじゅうを カルマが めぐる。」「「し」の カルマを せおった!」というバージョンがあるが、後者2つを見るのはよほどタイミングを狙わない限り滅多に見られないだろう。
サンズに対しては、ダメージを与えることはできない代わりに「攻撃した回数」に応じて徐々に追い詰めていく形になる。ただのターン経過による耐久戦ではないため、回復連打でターンを引き伸ばしても延命にしかならない。
ちなみに13回攻撃を加えると、彼は「ぶきをおいてくれたら、オレのしごともラクになる」とこちらを見逃そうとしてくれる。だが一人称をよく見ると、友好的でない「オレ」のままであるため本心は察するべし。
ここまでの流れを見ればわかる通りもはや話し合いが通じる状況ではないし、詳しくは後述するが今の主人公を見逃すことは世界にとって破滅を呼ぶことに等しいため、彼は見逃すフリをして主人公を倒そうと考えている。つまり、無視して攻撃を続けなければならない。騙し討ちとはいえ結果的にインターバルではあるため、回復アイテムで立て直すならここが絶好のチャンスとなる。
この誘いを蹴った場合、戦闘は更に先の段階へ進むことになるが、14回目の攻撃をした後はなんとプレイヤーのターンにさえ介入して攻撃してくるようになる。具体的には攻撃に使う骨がコマンドカーソルめがけて出現、コマンドのカーソルであるハートマーク=プレイヤーのソウルがこれに当たると通常の攻撃と同じく高速でダメージを受ける。このダメージではHP1までしか減らずスリップダメージも入らないが、カーソルが骨に当たらないよう細心の注意を払いながら適切なタイミングを見極めて入力していく必要があり、迅速かつ慎重なカーソル運びを強要される。
最初はメッセージウインドウが標的になるだけだが、16回目の攻撃を加えると今度は画面下部の4つのコマンドを標的にしてくる。さらに18回目の攻撃を加えた後は、いよいよそれら全てに対して骨攻撃を仕掛けてくるため、すべてのコマンド入力において休む暇が全く無くなる。
本作で最も苛烈となる彼との戦いでは、まさに“サイアクなめ(bad time)にあわされる”。多彩な攻撃パターンを完全に把握し、その攻略法を確立しない限り勝ち目はない。
『公式日本語訳』 | 『非公式日本語訳』 |
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上記の台詞のようにサンズは、主人公の能力である『セーブ』の存在を独自に調査してある程度掴んでおり、主人公のセーブ・ロード・リセット行為といったメタ世界を感知する事が出来る。上記の絶対回避能力やコマンドへの攻撃はこの研究成果を応用した物であることを示唆する発言をしている。
戦闘開始時にも主人公の死亡回数(最大11回まで)によって台詞が変わり、自身が"何回目の"闘いなのかを計測してくる。
回数によっては、セリフの途中で中断して攻撃を仕掛けてくるケースもあり、あらゆる方向から主人公を倒す手段を選ばない。
『公式日本語訳』 | 『非公式日本語訳』 |
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サンズが他のモンスターと違い地上への帰還を渇望せずにいつも怠けていたのは、どんな結末を迎えようが結局はその「何者か」のリセットによって戻されてしまう事を知っていた為であり、その事実と絶望を隠し、より怠惰で道化な自分である為に、普段は"オイラ"・"アンタ"を使っている事が判明する。
つまり一人称がオイラであることに明確な理由付けを感じ取れる作り方がされているため、一部で未だ続いている一人称への批難もいささか短絡的であったと言えなくもない。なお、Pルートでのまよえるタマシイに変化したサンズも「オレはとっくに諦めた」という発言が聞けるが、「ふっかつ(SAVE)」に成功すると「オイラはアンタを応援してるぜ」と普段使用している一人称・二人称に戻っている。
そんな諦観に浸かった彼がここに来てなぜ立ち上がったかというと、彼はGルートの結末で何がもたらされるのかまで知っており、その内容とは主人公の残虐性によりUndertaleの世界そのものが破壊される事である。
『公式日本語訳』 | 『非公式日本語訳』 |
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すなわちこのGルートにおける彼の戦いとは、モンスター達の仇討ちなどではなく、モンスター・人類を問わず全てが消滅するという最悪の結末を防ぐ為、壮絶な攻撃を以ってGルート自体を諦めさせる事が目的である。実際戦いのさなかに彼は、主人公の手で死んでいった仲間たちの名前をほとんど言わない。
主人公がリセット・リロードで何度でも挑戦できる以上、プレイヤーが途中で攻略を諦めない限りいつか必ず負けるであろうことを知っている。数々のなりふり構わない攻撃もプレイヤーの心を折るための知略の限りを尽くした抵抗であると言えるだろう。23回目の攻撃の攻撃を突破された時、彼は最後の手段を行使する事となる…。
スペシャルこうげき
戦闘が終盤に近付くと、彼は何度も「スペシャルこうげきを使うことになる」と警告をし始める。
23回目の攻撃ののち、彼は「本当にスペシャルこうげきを使う」と宣言する。
しかし、彼は何もしてこない。
何もしてこないからと「こうげき」「アイテム」のカーソルにタマシイを動かそうとするとどういうわけか元の位置に戻されてしまう。
実は彼のいう「スペシャルこうげき」というものは存在しない。
カーソルにタマシイを動かせないので主人公にターンが回ってこない。
当然、サンズのターンが永遠に、たとえ時が果てようとも続くことになる。
永遠に自身のターンに留める、戦闘システムを逆手に取った反則技かつ彼なりの精一杯の抵抗である真の意味での「スペシャルこうげき」である。
しかし、主人公のケツイは、彼の意思をもはや上回っていた。
疲れからか居眠りを始めたサンズ。
主人公は、タマシイを移動枠ごと動かし、強引にたたかうコマンドを選択するという反則手段でサンズに強引に攻撃を仕掛ける。
…しかし、サンズはその攻撃すらかわしてしまう。
だがその瞬間、明らかにプレイヤーのものではない攻撃がサンズを捉え、ついに彼は敗北する。
真っ赤な血のような液体を傷口から流すサンズ。
「オレは止めたからな?」という台詞の後、行きつけの店に行こうと言い、主人公の手によってあの世へ逝ってしまった弟に「お前も腹減ってるか?」と訪ね、静かに息絶えるのであった。
そして、主人公のEXPとLOVEがカンストするのであった。
ちなみに、サンズを倒しただけならばまだ引き返すこともできる。Gルートのエンディングはすぐそこに待っているが、最後に踏みとどまってリセットするのならば回避は可能であり、それはサンズも遠まわしに言っていることである。
しかしそれは言い換えれば、戦闘前の時系列まで戻って再戦もできることを意味する。
Undertaleに触れた無数のプレイヤー達の中には、それを繰り返す実力を持つ者もまた存在する。Gルートをニンゲンの手によって最後まで進まなかった代わりに、自身が全力で行った抵抗さえも1つのゲームとして繰り返し遊ぶプレイヤーの有様に気づいた戦闘開始時の科白は、もはや呆れ果てたとも言うべきコメントへと変化する(2回まで変わる)。
普通に考えれば「Undertaleの世界の住人」であるサンズにとっては絶望とも言える展開であるが、そもそも幾度もリセットなどの結末を観測している彼にとっては『世界を存続させる』ことがせめての望みとなっている。皮肉であるが破滅の終わりを迎えるよりも永遠と繰り返し留まっている方が世界にとって望みがあるため、彼もそれを承知で再び挑んでいるのだろう。
また、作中ではかつてFloweyとも戦ったことがあるらしく、最終的に敗れているようだが、Floweyもまた幾多のGルートを歩んだプレイヤーと同様にケツイの力で何度も蘇る必要に迫られるほど相当苦戦したらしく、Nルートを同じパターンで何度もクリアするのを繰り返した場合、Floweyがエンディングで「あの男(サンズ)には近づくな(正体を悟られるな)」という警告を行うことがある。
彼ともし戦いになったら壮絶な戦いが待っていることを暗に示しているが、サンズの戦闘能力の高さをまさか教えられるのは、フラウィのメッセージ目当てに何度も同じことを繰り返すプレイヤーは好奇心でプレイしている(≒Gルートをそのうち探し当てるだろう)ということを作者に先読みされているかのよう。
そして、彼の「最後の審判」には開発者の見落としなのか仕様なのか幾つかの特例が存在する。
一つはGルートを進行しつつマフェットやRG01・RG02だけ見逃した場合。LVは通常のGルートと同じ19まで上がるにも関わらずNルートになっており、この時どうやらLV19かつNルートであることを想定していないらしく、LVに応じたメッセージが省略されてしまい、EXP1以上の「どう思ってても自分には関係ない」およびパピルス殺害時の「主人公への怨み言」だけを残して去っていく。途中まではメタトンNEOとの戦いまではGルートの展開になるのだが、ニューホームに到着した段階でNルートの展開となる。
二つはNルートにおいてボス皆殺しかつその他は全生存という進め方で来た場合。エンディングで主人公に入れた電話のメッセージがパピルスを殺したはずの主人公に感謝を述べるという極めて特殊なものとなる。
なお、セーブやロードについて感知する彼だが、主人公のチートも同じく感知する事が出来るようで、Nルートではデータ改造によってエンディングを迎えた場合、電話でそれについて言及する。
ここまで見れば気づくと思うが、このGルートとはUndertale世界の人々を抵抗の有無に関わらずEXPとして皆殺しにするという凄惨な物であり、主人公自身が最恐最悪の存在となる絶望のルートである。彼自身もこの事を熟知した上で戦いを挑んでおり、戦闘中に彼が主人公に対して発する警告は何も間違っていない。
Gルートを興味本位で最後までやり切ってしまったが最後、何をどうあがこうがハッピーエンドは2度と訪れなくなる。彼との戦いの場となる『審判の間』とはまさのその通りの意味であり、この戦いは彼の課す艱難と命がけの説得を踏みにじって先へ進むだけの『決意』があるかを試すものに他ならない。
『Undertale』を一つの"世界"として受け止め、戦いをやめるか。
それとも、1つの"ゲーム"として遊び尽くし破壊するか。
全てはあなた次第である。
人気
国内外問わず、サンズが作中でも高い人気を誇る理由の1つがこのGルートにおける彼との戦闘である。実際に、pixivにおいても彼のタグがついた作品は大体がこのルートにおける彼である。
その為、サンズを検索する事自体が作品のネタバレに触れる事になるのは必至であるとも言える。
スマブラSP
2019年9月5日から配信されたVer5.0のアップデートで、Miiファイター(射撃タイプ)用のDLCコスチューム「サンズのぼうし/ふく」として登場。インディーズからの登場はアシストフィギュアのショベルナイトに続き2例目ではあるが、Miiコスチュームとしての登場は異例である。
詳しくはSans(SSB)を参照。
pop'n music
2022年12月22日に配信された「Hopes and Dreams/夢と希望」「Battle Against a True Hero/本物のヒーローとの戦い」「MEGALOVANIA」の3曲を引っ提げてまさかの登場。
3曲とも原曲ではなく「MEGALOVANIA」以外の2曲は新アレンジ。(MEGALOVANIAはギタドラ版アレンジの移植)
Sansもポップン風の絵柄で書き下ろされており衣装は「Steam Trading Cards」で描かれたアレンジ衣装に準拠している。
3曲とも無条件でプレイ可能&低難易度も完備。Sans本人もプレイヤーが使用可能と初心者に向けた万全の配慮がされている。
各種モーションはGルートの戦闘を元に作られており「目を青く光らせ左手で十字に切る」「ほんもののナイフを避ける」「ガスターブラスターを360度から発射」「戦闘に疲れて眠ってしまう」など原作再現度は非常に高い。
勝利モーションはバスケでダンクシュートを決めるという原作にはない場面が描かれているが元ネタは原語版の「geeettttttt dunked on!!!」とLINEスタンプのUNDERTALE Vol. 3と細かい場所から拾われている。
ポップンでは全キャラクターに誕生日が設定されており、そんなポップンで明かされた彼の誕生日はPC&switch版発売日の「9月15日」。とはいえ本当に彼の誕生日なのか、あるいは便宜的に設定されたのかは不明である。
戦闘曲
Gルートの事実上ラスボスであるサンズとの戦闘曲で、上記の「Sans.」とは全く異なるテーマ曲。
『Undertale』の中でもトップクラスの人気を誇るBGMで、海外でも有志によるアレンジが非常に多い。
しかし、この曲自体は本作の他のサウンドトラックとの関連性(フレーズ引用・ライトモチーフ)を唯一持っていない。
というのも、この曲は過去にトビー氏が携わった『Earthbound Halloween Hack』(即ち改造版『MOTHER2』)で登場した楽曲(後述)をアレンジして収録した為である。
『MEGALOVANIA』という曲名の由来は、ゲーム『ライブ・ア・ライブ』のボス戦闘曲『MEGALOMANIA』(英語で誇大妄想狂)と、ドラキュラの伝承で有名なルーマニアの地名『トランシルヴァニア(Transylvania)』を組み合わせたものであることが、Homestuck版公開当時のRadiation氏(=Toby Fox氏の別名義)のコメントによって語られていた(アーカイブ)。
ただし、勿論ながらあくまでタイトルと雰囲気の元ネタに過ぎず、曲自体は全く異なっている。また、後半の「〜VANIA」の部分は上記のハックロムがハロウィンをテーマにしていた為、そのイメージの地名から採られたとのこと。
余談だが「sylvania」で「森林地帯」というようなラテン語の意味となるため、「vania」はぎなた読みでありこれ自体に意味はない。『悪魔城ドラキュラ』の海外名である『Castlevania』も似ているが、これも元ネタの地名が共通しているだけで直接の関係はないとのこと。
由来が誇大妄想狂+地名である事から『誇大妄想郷』という意訳も一部で広まっている。
一般的にサンズのテーマと認識されているが、一部では「サンズのテーマというより主人公(プレイヤー)のテーマなのではないか」という考察もある。Gルート自体の状況、『sans』のフレーズが入っていない、後述の未使用曲の存在が主な理由である。
「Earthbound Halloween Hack」の作風や、当該作品で使われるタイミングと本作サンズ戦の共通性からは、「RPGにおけるモンスター殺害行為に対して疑問符を投げかけるテーマ」とも言える。
双方共に、後戻りできないほどの状況に陥ったところで使われること、このBGMが使われたら最後もはや当人は幸せにはなれない点も一致している。
『Undertale』版は全て大文字表記だが、他作品では以下のように小文字混じりなど微妙に表記が異なっている。
- 『Megalovania』(Earthbound Halloween Hack版)
本曲の初出であり、リミックス前の原曲にあたる。
- 『MeGaLoVania』(Homestuck版)
- 『MEGALOVANIA』(スマブラSPアレンジ)
詳細はSans(SSB)を参照。
戦闘曲…?
- 『Song That Might Play When You Fight Sans』
邦題は「サンズとのバトルで流れるかもしれない曲」
「かもしれない」……という言葉が指す通り、Gルート以外でサンズと戦うことは一切無いため、こちらは実際のゲームでは聴けない未使用曲である。
テーマ曲「Sans」のフレーズが曲に組み込まれている。
関連イラスト
関連タグ
Frisk(Undertale) Chara(Undertale)
三途の川:一見するとこれが由来かと思いきや、そうではないもの
『MOTHER2』の主人公。服装および、テレポート・重力操作などPSIを思わせる能力・家に隠されているアイテムなどから、恐らく彼をモチーフにしていると推測される。
なお、前述の通り『スマブラSP』でコスチュームが登場した事で擬似的ではあるものの彼との共闘や勝負という夢の構図が遂に実現出来るようになった。
(その際の公式紹介画像の背景ステージはなんとマジカント。任天堂側からの逆リスペクトと思われる。)
「骨」のジョークを好むおどけたガイコツ繋がり。
- 仮面ライダークロノス:ゲームモチーフの仮面ライダーで、ポーズやリセットを自身の固有能力として発動でき、戦いを有利に進められる(どちらも無効化されたが)。