解説
通常のサーヴァントよりも一段階上の器を持って顕現した英霊。グランドサーヴァントや冠位のサーヴァントとも呼称される。
人間(霊長)と、人間によって築き上げられた文明を滅亡させる大災害、七つの人類悪を滅ぼすため、天の御使いとして遣わされるその時代最高峰の七騎。英霊の頂点に立つ始まりの七つ。
「抑止の守護者」同様に、このグランドサーヴァント達が討つ敵は「文明から生まれ文明を滅ぼす人類の自業自得のアポトーシス」、即ちビーストである。
人類存続を守る抑止力の召喚、霊長の世を救うための決戦魔術である降霊儀式・英霊召喚によって召喚される。
※ちなみにソレを人間の都合で使えるように"格落ち"させたものが、召喚システム「聖杯戦争」であり、『stay night』では、聖杯戦争のシステムは抑止の守護者を参考に作られたとも語られている。
選定基準
能力と逸話のどちらも高水準で、基本7クラス(セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー)それぞれの頂点に立つものが候補として存在する。
頂点と言っても一人だけではなく、グランドの資格を持つ英霊は一つのクラスにつき一騎だけとは限らず、事実グランドキャスターには複数の資格保有者が存在しており、その時代の「超克対象」ごとに最終決定される。
ただしグランドアサシンのみ、“山の翁”しか適性者が存在していない模様。しかし後に、それを不都合に思ったテスカトリポカが己が適性を工面して、やや無理のある代理なれど第二の候補に収まった。
なお、ただ強ければなれるというものではないらしく、例を挙げるとグランドキャスターはそれぞれ性質は違えど、万象を視通す「優れた千里眼」を保有しており、言い換えれば「監視者」としての力を持っているという言及がある。
そのため他のグランドクラスにおいても、何かしらクラス特有の能力や条件、クラスとしての役割が要求されるのではないかと予想されているが、一切明かされてはいない。
また、神たる神霊がグランドになる事は有り得ないと明言されているが、クィリヌス神のマテリアルを見るに、半神かつ"人間"の側に立った在り方の者は、例外的に"ヒトの英霊"として扱われ資格を得る可能性がある事が仄めかされている。
能力
通常のサーヴァントと桁違いの力を誇っており、通常のサーヴァントを「個人に対する英霊(へいき)」とするならば、彼らは「世界に対する英霊(へいき)」と擬えられている。
作中では通常のサーヴァントの攻撃がグランドサーヴァントに通用しない描写があるが、これは霊基の出力自体の格が異なるため。
なお「霊基の格」と「英霊の格」は別の概念である。例えばマシュの中の英霊は聖杯に選ばれた者ということから、英霊としてはソロモンに引けを取らないとロマニに言われていたが、霊基出力の違いからサーヴァントとしての戦闘では惨敗している。
冠位の返上
グランドサーヴァントとしての活動自体は個々の裁量に委ねられており、時には自らの意思で資格を返上(放棄)することができる。奈須きのこ氏曰く「人類全体を救うために存在する資格であるため、誰か個人の為に力を使う場合は、その資格を捨てる必要がある」との事。
資格を捨てた場合具体的にどうなるかの説明はされておらず不明だが、第七章バビロニアを経てアサシンの座は”空席”になったとされている。
ただし実際の描写から推測すると「資格を失っても、連続して現界している間はすぐに霊基の強さが落ちるわけではなく、その位に相応しい力を支えるエネルギーが回復しなくなる」という説明が正しい模様。故に放棄後もその霊基に蓄えられた分は冠位相当の力を行使でき、使用後は通常のサーヴァントたちと同じ出力になる様だ。
冠位資格と冠位英霊
非常に勘違いされがちではあるが、冠位の資格を持つ英霊がイコール冠位英霊(冠位の霊基を持った英霊の事だと思われる)ではない。
あくまで(アサシン以外は)複数存在する資格保有者の中から「超克対象」に合わせてグランドクラスを選定しているだけで、冠位霊基を持たない冠位資格持ちの英霊は作中でも多数登場しており、冠位資格を持っていることと冠位英霊であることは作中で明確に区別されている。そして全編通してグランドの霊基を保ち続けている者は、現状一人もいない。
具体例で言えば1部7章で登場したマーリンは登場直後に「グランドキャスター」を自称するが、その後「あくまでグランドの資格があるだけで霊基は普通だからただのキャスター」と前言を翻している。
それ以外でも、1部7章ではグランドキャスターの資格保有者の例としてギルガメッシュが挙げられている一方で終章では(クラスは異なるが)自身を冠位ではないと否定している描写もある他、逆パターンだがアーケードで山の翁が「冠位資格持ちどころか冠位英霊そのもの」と玉藻に驚かれている描写がある。
該当者一覧
クラス | 真名 | CV |
---|---|---|
アーチャー | オリオン | 神奈延年 |
ランサー | ロムルス=クィリヌス | 置鮎龍太郎 |
ライダー | ノア | 花守ゆみり |
アサシン | 初代ハサン・サッバーハ | 中田譲治 |
アサシン | テスカトリポカ | 三上哲 |
有資格者
冠位の資格を有する魔術師で優れた千里眼を保有する例として挙げられたが、実際にグランドの霊基で登場はしていない。
※マーリンはストーリー中にグランドキャスターを自称するが、実際の霊基は通常のキャスターであると語っている。
本編での描写・活躍
Garden of Avalon
マーリンの詳細な描写の初出の作品で、ここでマーリンが千里眼を保有すること、千里眼は最高位の魔術師の証であること、どれほど魔術に優れていようと千里眼を保有していなければ最高位の座に呼ばれないこと、が明かされた。
この時点ではグランドクラスの設定説明が無かったため、これらの詳細な意味は不明だった。
Fate/Grand Order
作中では、実際にグランドクラスの霊基を持って召喚されたサーヴァントと、1部7章マーリンの様にあくまで適性があると明言されただけで霊基は通常のサーヴァント、という2パターンが登場している。
なおロムルスに関しては、グランドのままでカルデアに現界出来ない=単に召喚に応じるために冠位を捨てたことが本人のマイルーム会話から判明。
第1部
第4章終盤、第1部全体の黒幕としてソロモン(?)が登場。同時に、"グランドクラス"についての詳細が明かされた。
7章では賢王ギルガメッシュが通常霊基で召喚したマーリンが登場。ロマニとの会話で、グランドキャスターの資格保有者は皆優れた千里眼の保持者であること、ソロモン、マーリン、ギルガメッシュ(※)がその資格を有していることが明かされた。
※後の章でアーチャークラスの本人は自身が冠位であることを否定している。
同章終盤には初代ハサン・サッバーハ"山の翁"が参戦。冠位の返上を宣言し、残った霊基を消費して冠位としての力を宿した一撃を人類悪の一つに放っている。
第2部
第4章中盤、クリプターの1人デイビット・ゼム・ヴォイドの契約サーヴァントが冠位(グランド)である事が言及された。
終盤にグランドアーチャーであることを明かし、世界のためではなく「恋人のため」にその力を使うことを宣言。残った霊基をもって神を撃ち落とした。
続く後編では、異聞帯の王たる主神へのカウンターとして、終盤にロムルス=クィリヌスが降臨。
6章と7章の間にあたるイベント『非霊長生存圏ツングースカ・サンクチュアリ』に登場した太公望はライダー|として召喚されているものの、「ノアはグラ友(グランド友達)」「キャスターで召喚されたらグランドキャスターになっていた」「グランドライダーってことも有り得るのかなァ。」という旨の発言をしているが、ライダーの霊基ゆえか千里眼を保有しておらず、実際のところは不明の状態である。
7章序盤ではついに7騎が集合したが、カルデア一行と相対する前のU-オルガマリーに敗北。
そのメンバーはストーリー中では明言されていないが、オルガマリー本人の夢という形での戦闘パートでは(名前はクラス表記だが)オリオン、ロムルス、ハサン、詳細不明のバーサーカーに加えてセイバーがアルトリア・アヴァロン、ライダーには太公望、キャスターはマーリンが割り当てられていた。
※このうちアルトリアについては、6章のプロット段階ではグランドセイバーとして登場予定だったと、C100にて頒布された「Avalon le Fae Synopsys」で明かされている。
そして前編の終盤、デイビットの召喚したテスカトリポカが登場した。
Fate/Grand Order Arcade
第7章に登場したサーヴァントの1人は当初、あるサーヴァントが大人になった姿と思われていたが、その正体はノアであった。
終章ではビーストⅥ討伐のために別世界のマーリンが参戦、同行していたグランドアサシン"山の翁"も参戦している。
この折に"山の翁"から、別世界のマーリンは己の冠位を放棄した「元冠位」なのだと明言された。
同章の最終盤にはノアも助っ人を連れて登場している。
なお、AC版は"山の翁"が冠位資格を返上しグランドアサシンの座が空席となった後の出来事のはずだが、こちらでは再びグランドアサシンとして登場しているため、冠位資格の有無や状態については1つ1つの並行世界単位で判定されている可能性がある。(上記の別世界のマーリンもその一例かもしれない)
余談
対の存在たるビースト共々、実質的に『FGO』から本格導入された設定である為、当然ながら以降の情報も同作に依存している。
FGO関連
プレイアブル実装された冠位適性持ち達は、Buster支援要員のマーリン、Buster特化型アサシンの山の翁、自己スキルだけでBusterを桁違いの度合いで強化していく超人オリオンというように、大半がBuster特化の性能になっている。
第三異聞帯における真人の霊基をコピーした始皇帝は冠位相当の霊基と表現されているが、冠位そのものではない。『Fate/strange Fake』で示唆された汎人類史の彼に関しては不明。
このような既存サーヴァントの派生・ifの可能性や、既存であってもオリオンやロムルスのように登場後長らく経って資格持ちと明かされたパターンなど、ビースト同様、「該当者がいるのでは」という可能性だけが示唆されている。
これらはファンの間でもしばしば混同され混乱の元となっており、正当な区分や適性者候補を巡っての解釈論争も起こりやすい。トラブルを防ぐ為にも、節度を守った考察を推奨されたい。
なお人類悪が顕現しても、幼体の状態や抑止力対策などの理由で抑止力に判定されないとグランドは遣わされないことがビーストⅢの件で明らかとなっている。それは、成体に育つ事を拒んでいた獣が物語の最初からいた時点で明確である。
逆に幼体だとしても一定以上成長していたらグランドが遣わされる事がある。
これまで顕現したビースト達は人類愛が根底にあるからか、性別が不定も同然なビーストⅠを除けば女性が占めているが、対してこれまで確認されたグランドクラス達は男性のみとなっている。
型月全体関連
魔術協会で最高位の位階は冠位(グランド)と呼ばれるが関係については不明。ただし、死徒二十七祖は死徒達にとっての冠位(グランド)である、と表現されることもあるように、単純に"最高位の存在"であることを示す共通ワードとして使われているだけの可能性も高い。
関連イラスト
いわゆる集合絵は現状ほとんどなく、この点もビーストたちとは対照的といえる。
関連タグ
Fateシリーズ サーヴァント ビースト(Fate) グラ友
もしかして → グランクラス
???:例外中の例外。絶対にあってはならない冠位。