概要
首都 | ヘルシンキ |
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面積 | 33万8472平方キロメートル |
人口 | 557万8082人(2023年6月) |
建国 | 1917年12月6日(ロシア帝国より独立) |
通貨 | ユーロ(2002年2月 – 使用中)・(マルッカ(1860年4月 – 2002年2月) |
公用語 | フィンランド語・スウェーデン語 |
国家元首(職) | 大統領 |
政体 | 議院内閣制 共和国 |
フィンランド共和国(フィンランドきょうわこく、フィンランド語:Suomen tasavalta、スウェーデン語:Republiken Finland、英語:Republic of Finland、通称:フィンランド)は、北ヨーロッパに位置する共和国。スカンジナビア半島東部に位置し、スウェーデン・ノルウェー・ロシアとは国境によって隣接している。
歴史
1581年7月にヨハン3世が後のフィンランド大公であるフィンランド及びカレリア大公となり、スウェーデン王国が宗主国となる形でフィンランド公国の建国が宣言された。しかしこれはフィンランドに植民したスウェーデン人が中心で、長くは存続しなかった。1721年9月にニスタット条約が締結され、フィンランドの一部(カレリア)がロシア帝国に割譲された。1809年9月にアレクサンドル1世はフィンランド大公国を建国し、フィンランド大公を兼任した。この時にフレデリクスハムンの和約が締結され、フィンランドはロシア帝国の統治に服した。
1917年12月にロシア帝国から独立し、1922年12月にソビエト連邦が成立した後は冬戦争・継続戦争を一貫して不利な状況で戦い抜いた。
冷戦時代は自由・民主主義を守りながらもソ連の影響下にあった。当時は資本主義経済を維持しつつも外交的には東側の1国であるかのように振る舞っており、国内でも冬戦争でのソ連の侵略に言及するのはタブーとなった。
国際関係
ロシア連邦
冷戦時代から中立主義を堅持し、国境を接しているソ連とは友好関係を維持してきた。ソ連崩壊後もロシアとは長らく対立を避け、強力な国防力を持ちつつ、友好関係を築くという明確な国家目標を定めてきた。
しかし、2022年のロシアのウクライナ侵攻を境に、この関係は崩壊。フィンランドはロシアへの悪感情を隠すことはなくなり、明確に距離を置くようになった。2022年5月にスウェーデンとともにNATOへの加盟を申請。翌23年に正式に加盟国となった。
日本国
歴史的には独立以来、第二次世界大戦中の一時期を除いて良好な関係にある。経済的には木材や紙の輸入が多く、日本はフィンランドにとって林業産品の最大のお得意様である。最近は駐日大使館の公式アカウントが荒ぶっていたりもした。
フィンランド国内では現在でも猟銃として旧日本陸軍の三八式歩兵銃が使用されている例が見られるが、それは冬戦争の前後に大量に輸入したものが先の大戦の終結後に放出された事に由来する。
日本におけるフィンランド像
フィンランドは他の北欧諸国と並んで、子育て支援や福祉国家という点でリベラルなイメージが先行する一方、トルコなどとともに一部の人々によって歪んだ親日イメージが広められている側面がある。例えば日露戦争の勝利がフィンランド独立の後押しとなったとしばしば言われ、Banzaiという軍歌が作られたことに見られるように一部では日本の勝利を歓迎する風潮もあったようであるが、実際には多くのフィンランド人がロシア軍に参加して日本軍と戦っている(フィンランドはロシアの支配下にあったのだから当然であるが)。フィンランド大使館は独立の直接のきっかけとして「世界大戦やロシア革命」を挙げ、日露戦争の影響をはっきり否定したことがある。東郷ビールの逸話(親日の記事を参照)のような偽史や創作実話については迷惑がっているようである。
なお、「一部の人々」にとってのフィンランド像は昔からこういったものだったわけではない。冷戦時代には反共意識が強かった日本の保守層から、当時のフィンランドの対ソ外交政策がフィンランド化などと揶揄され、「ソ連の属国」などと侮蔑される事も多かった(中曽根康弘が首相時代に防衛努力の必要性を強調する意味でフィンランドを引き合いに出し、フィンランド大使館が抗議したこともある)。これが一転したのは冷戦終結後、冬戦争での奮戦が知られるようになってからである。
政治
1995年1月以来ヨーロッパ連合加盟国であり、自由主義・男女平等を重視する。2019年12月に34歳の若い女性首相が誕生した国で、他の北ヨーロッパ諸国と同様に手厚い福祉制度の構築に力を入れてきた。しかし近年は日本並みに出生率が低下しており、急速な高齢化を考慮すると現状の福祉水準を維持する事は難しいと危機感を募らせる。
スウェーデンと違って移民の受け入れには消極的だが、ロシア・バルト3国の出稼ぎ労働者は少なくない。政体は議院内閣制の共和国であり、1919年7月に憲法が制定された時は半大統領制であったが、2000年3月と2012年3月の憲法改正で議院内閣制に移行した。
少なくとも現状においては国内は安定しており、2011年から2022年まで、世界失敗国家ランキングで最下位、つまり世界で最も失敗国家から遠い国と評価されていた。
2023年は最下位ではなくなったが、それでも下から3番目であり、現状世界でもトップクラスに安定した国と評価されている。(2023年の最下位はノルウェー、次点はアイスランド)
軍事
冷戦以降、東西双方に加担しない中立政策を取り、NATOに加盟していなかった。しかし、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻したのを受け、同年5月にスウェーデンと共に加盟を申請した。
スウェーデンはクルド人関係でトルコと揉めてしまったが、フィンランドは2023年4月4日を以て正式加盟した。
国内
地形
全体的に平坦で高い山地が少ない。おおよそ南部の湖沼地帯と、北部のラップランドと呼ばれる地域の一部を含む平野に分類される。最高地点はノルウェーとの境にある標高1365メートルのハルティ山の1324メートル地点にある。
文化
ラップランドは日本では『ニルスのふしぎな旅』でのガンの群の最終目的地・サンタクロースの公認居住地の1つ(他にグリーンランドなど)として知られ、クリスマスをテーマとしたテーマパークなどがある。
世界で1番ダサいPVはこの国で製作された。エアギター・奥様運び・携帯電話投げ・サウナ・アヴァント水泳・雪合戦大会・コケモモ摘み・泥サッカーといった奇抜な大会で知られる。モータースポーツの世界で優秀な成績を残す選手を多く輩出しており、業界内ではフライングフィンと呼ばれている。この愛称自体は元々陸上競技の選手に与えられていたものであり、モータースポーツ選手に限定されず使用されている。
言語
公用語はフィンランド語(スオミ語)とスウェーデン語の2つである。このうちフィンランド語は周辺のヨーロッパ系言語とは全く異なるウラル系の言語で、同じくフィン・ウゴル語派のマジャル語・エストニア語とはいとこ同士のような関係である。印欧語と異なるので欧米人にとって最も難しい言語に数えられるが、日本語とは発音・文法など近い面が多いので比較的簡単そうに思えるが、やはり日本人にとっても難しい。
スウェーデン語が公用語となっているのは長らくスウェーデンの支配下にあった名残であるが、現在でもオーランド諸島をはじめとしてスウェーデン系フィンランド人は全人口の6パーセント弱を占めている。日本で定着している「フィンランド」という国名はスウェーデン語由来の呼び方であり、フィンランド語では「スオミ(Suomi)」と称される。
人口
2023年6月時点での人口は557万8082人である。
産業・経済
豊富な木材資源を活かした林業・製紙・製材を初め、化学・金属産業が中心である。日本にもフィンランド産の木材・製材品が多く輸入される。他にもIT産業が盛んで、携帯電話メーカーであったノキア(現在は通信機器メーカー)などが有名である。
経済は高所得国の部類であるが、2008年9月のリーマンショック以来失業率が高い状態が続く。他の北ヨーロッパ諸国と比べるとほぼ日本の高度経済成長と同じぐらい経済発展した時期が遅く、外需依存率の高さとユーロ圏に組み込まれている事もあって、世界的な景気変動の影響を受けやすい。2002年2月に通貨がユーロになり、1860年4月以来使用してきたマルッカを廃止した。
関連項目
スオミネイト:古くから存在するフィンランドを擬人化した存在。フィンランドの地理を説明する際にしばしばこのスオミネイトの体の部位に例えられる。
関連キャラクター
曖昧さ回避
- ヘタリアの登場人物→ティノ・ヴァイナマイネン
- Scandinavia_and_the_Worldの登場人物。
関連イラスト