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小麦の編集履歴2024/12/18 09:16:46 版
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概要

コムギ属の一年草の総称。普通はパンコムギ (Triticum aestivum)を指すが、デュラムコムギ(Triticum durum)はマカロニスパゲッティピザなどの原料にする。いずれも脱穀製粉して各種の食の用途に充てる。種子が崩れやすく、籾殻を取ると粒が割れてしまう。このため製粉しないで食べられることはまずない(麦飯にするのは大麦である)。また、麦わらは麦稈(ばっかん)ともいい、麦わら帽子などの工芸品の材料とする。

小麦は比較的冷涼かつ乾燥した気候でよく育つ作物である。したがって一年中暑く降雨の多い熱帯雨林気候下ではほとんど栽培されず、の少ないヨーロッパオーストラリア北アメリカ中国北部などでの栽培が多い。暑い気候の地域が多いアフリカ諸国では小麦の自給ができず、6割超をウクライナロシア産に依存するため、ウクライナ侵攻による価格高騰の影響が直撃した。

英語ではWheatという。名前のせいで日本では同類と思われている大麦やライ麦は英語ではそれぞれBarleyRyeでコムギとは別物と認識されている。これらはいずれもイチゴツナギ亜科のコムギ連で比較的近縁ではあるが、属レベルで違うので同類というほど近いわけでもない。

パンコムギの遺伝子は2回の種間交雑と染色体倍加を経て成立した異質六倍体で、約154億塩基対という巨大なゲノムサイズを持つことが知られている(ヒトで約30億塩基対、イネは約4億塩基対)。しかもその80パーセント以上が反復配列で構成されるため、ゲノム解読の魔境とされていた。このため解読が非常に遅れ、全塩基対の確定は2018年になってからであった。

日本における小麦

本州以南では秋まきで梅雨入り前に刈り取る冬小麦が主流で、作の裏作としてよく栽培されていた。しかし、やや乾燥した場所を好む小麦を水田の裏作として作付けするのは難しい面もあり、かつては大麦の方が作付け量がずっと多かった。また、ムギの刈り取りと田植えの時期が重なってしまうという問題があり、田植えが早期化した昭和40年代以降の東日本では稲作の裏作ではなく(水田転換畑も含めて)で作付けするのが主流である。しかし、九州などでは排水対策の徹底や機械化の進展、品種改良により、昭和40年代以降は水田稲作の裏作としての小麦の作付けが逆に盛んになっている。

「小麦」の名は粒の小ささによるものではなく、製粉技術が普及していなかった古代においては、粒のまま利用できない小麦は大麦より有用性が低いと考えられていたことによる(室町時代頃までは砕けた小麦の粒を何度もふるいにかけて小麦粉を取りだしており、うどんそうめんは大変ぜいたくなものだった)。日本において小麦が重視されるようになったのは、水車などによる製粉技術が一般化し粉食文化が庶民にまで広がった江戸時代のことである。

小麦の旬

お米であるのと同様に、小麦にも旬があり、それは初夏である。麦秋という言葉もあり、夏の季語になっている。

夏至の時期には中国では小麦で作ったまんじゅうを食する習わしがある。日本では農作業の繁忙期のためか夏至独自の食べ物はほかの季節と違って見当たらないが、それでも地域によっては小麦で作った料理を食べる風習を散発的に見ることができる。

健康との関わり

最近では小麦自体に含まれているグルテンという植物性タンパク質肥満便秘統合失調症、あるいはグルテン運動失調などを引き起こすという主張がある。しかし、グルテンの摂取を避ける「グルテンフリー」はグルテン感受性がある人には有効であるが、すべての人に効果があるわけではない。グルテンの摂取により様々な消化器症状を引き起こす「セリアック病」という自己免疫疾患があり、小麦ほどではないがグルテンを含む大麦ライ麦などの摂取も避けなければならない。

参政党は「グルテンには発がん性がある。癌を患った人は例外なく大量に小麦を摂取している。欧米人は古くから小麦粉を食べていたのでグルテンの毒性に耐性があるが、小麦とはメリケン粉、つまりアメリカから来た粉なので、戦前の日本には存在しなかった」などと主張しているが、「グルテンの発がん性」はセリアック病患者のみに当てはまることである。また、「小麦粉は戦前の日本には存在しなかった」なる認識は上述の通り日本にも古くから小麦粉食文化があったので明らかな誤りである。

中医学では「小麦(しょうばく)」で生薬の一つとされ、熱感の除去や、喉の渇きを止め、精神不安を取り除くとされている。ただし、これは粉にする前の粒の事を指している。

パンコムギで作るもの

デュラムコムギで作るもの

乾燥パスタ、(イタリア料理としての)ピザ(北米などではパンコムギで作ることが多い)、クスクス

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