働け。命ある限り__。
概要
『モーニング』掲載の初嘉屋一生作画・原田重光脚本(原作)の「はたらく細胞」スピンオフ漫画。
原作者の清水茜は監修としてクレジットされている。
タバコ、酒、ストレスで血液ドロドロになってしまった身体の中で、ブラック企業の如き過剰労働に苦しめられる細胞たちを描いた、ディストピア漫画。
物語の舞台となる体の「人間」は本編に比べて不摂生かつ不健康で、細胞たちの生活模様もかなり過酷なものになっており、作風もダーク&シリアスの傾向が強い。
『働き方改革なんて微塵も導入される事のない』と公式の紹介ページでも書かれている程の内容で、殺伐とした雰囲気と鬱シーンが絶え間なく押し寄せる。
本家の明るい雰囲気を気に入っている人は、読む際にある程度の覚悟を持つべきかもしれない。
また、本編では表現が暈かされていた「溶血」や「膿」などの血球キャラたちの死亡シーンが直接描かれるようになっており、その死に様も悲惨なものが多い。
2018年27号~36・37合併号まで第一部が連載。2018年45号より第二部が連載開始され、2021年8号で完結した。
全8巻。第一部部分が2巻までで、第3巻からは第二部となり、輸血により別の身体に来てしまい、カフェイン依存症、糖尿病、うつ病、そしてがん細胞との戦いというより一層過酷な環境下で働くこととなる。
「はたらく細胞!!」(「はたらく細胞」アニメ第2シリーズのタイトル)と同時期の2021年1月からに「はたらく細胞!!」との抱き合わせ1時間枠でTVアニメが放送される(ただしネット局によってはこちらの放送は一旦は行なわず、後日改めて「はたらく細胞!!」の後釜として放送)。ナレーションは津田健次郎が務めており、一部の展開に第二部の内容も含まれている。
第3・4話については流石に本来の時間帯で放送するのはマズい内容だったのか、別の時間帯で1時間スペシャルとして放送(ただし前述の変則ネット局に限り本来の時間帯でそのまま1話ずつ放送)。
なお、「はたらく細胞!!」は全8話であり、終了後は「はたらく細胞」の傑作選を放送しているが、当作は引き続きそれとの抱き合わせ1時間枠で放送(無論先述の変則ネット局除く)。
2024年12月公開予定の実写映画『映画 はたらく細胞』はこちらも原作としており映画オリジナルキャラクターの漆崎日胡の父・漆崎茂の体内の世界がBLACKにおける環境となっている。
あらすじ
原作漫画
毎日せっせと体中に酸素を運ぶ、新米赤血球。
しかし彼の職場(世界)の労働環境は、徹底的にブラック――!!
飲酒、喫煙、ストレス、睡眠不足……不健康の総合商社のような世界で、過重労働の末に細胞たちは何を思うのか?
これは、あなたの体の物語――。
アニメ版
(公式より引用)
新米赤血球AA2153は、一細胞として体を動かす使命に燃え、目を輝かせて仕事へと向かった。
ところが出会う細胞の誰しもが、生気や活力に欠如しており、オマケに体全体も未修復な箇所がチラホラと……。
不安を感じつつも仕事に取り組む中、体内に潜入してきた肺炎球菌に襲われた彼は、好中球1196に助けられ一命を取り留める。
そして彼女から告げられたのは、この体(セカイ)が直面する絶望的な現状だった。
登場人物
※実写版演者についても記載
赤血球
本編と同じく体内への酸素と養分の運搬及び老廃物と二酸化炭素の回収が仕事。この世界の赤血球は細菌に襲われたり過酷な環境で溶血するシーンが非常に多い。個体識別番号は帽子裏に縫い付けられている。糖が唯一の栄養源なため糖を摂取することもできる。だが、糖を取りすぎると酸化を引き起こし炎上してしまう。
AA2153
本作の主人公であるメガネが特徴の新米赤血球。メンタルの状態でアホ毛の跳ね方が変わる。過酷な体内環境により多くの仲間を失いながらも体のために働き続けるが、第7話(アニメ版第10話)のある事件で心が折れてしまう。
だが1部終盤での絶望から覚醒を遂げ、赤血球としての覚悟に目覚める。
第2部では顆粒球輸血で別の体内へ行くことになる。
AC1677
CV:KENN
AA2153の同期の赤血球で、糸目が特徴。若干チャラついた軽い性格。肝臓の綺麗なお姉さんが大好き。
アニメ版では原作より出番が大幅に増えている。
ビビリなため危険な職場にすぐ音を上げて逃げたがる(AA2153が真面目すぎとも言える)一方でAA2153とは仲が良く、何だかんだで彼の覚悟に付き合う事が多い。
ブラックな労働環境で心が折れかけるAA2153を励まし助け合っていたが...
後輩赤血球
原作第9話で登場した2153の後輩。彼も第2部で輸血される。
DA4901
第2部に入り、輸血先の赤血球のうちAA2153たちと交流する個体のリーダー格として登場。一時はイケメンライバル風にありがちなイヤなやつに逆走するも自己回復。
その後は薬全否定に陥って運びたがらないAA2153を正しく一喝したり、落ち込む白血球ちゃんを励ましたり、がん細胞との戦いの中でも率先して行動し、皆を鼓舞するなど主人公に代わるほどの存在感を発揮したが...
白血球
こちらも本編と同じく外部から体内に入ってきた異物の除去が仕事。本編では男性の姿だがこちらの体内では女性の姿をしている。個体識別番号は制服の裏地に縫い付けている。体内環境の劣悪さにより本編よりも熾烈で過酷な戦いを強いられており、多数の戦死者が出ている。
CV:日笠陽子
本作のメインヒロイン。2153を「新米」と呼び、時には彼を守り励ます強く優しいクールビューティ。容姿は銀髪ロング右目を前髪で隠し。ノーブラの上から制服を着用しショーツの色は黒。両手にはWBC(White Blood Cell)の文字が入ったグローブ。
2153に好意を寄せており肝細胞といい雰囲気になっている所を目撃した際には不機嫌な顔をしていた。日本刀が主武装で胸の大きさをものともしない身のこなしで白い戦闘服を真っ赤に染めて細菌と戦う。第8話では未知の細菌にロケットランチャーやアサルトライフルを使用していた。しかし攻撃していたのは細菌ではなく血中で溶解しきれなくなった尿酸の結晶、尿酸塩であり、痛風を引き起こしてしまう。
第2部では2153と共に輸血で別の体へ、敗血症で壊滅状態の体内で戦う。この時から2153を「赤血球」と呼んでいる。
2部白血球
第2部で登場した白血球。こちらも女性の姿をしているが胸は控えめ。別の体内のためか1196と違いサーベルが武器。
因みに…
AA2153からは白血球ちゃんと呼ばれている。
血小板
CV:久保ユリカ
本編と同じ容姿で登場する。アニメオリジナルキャラのリーダー格の個体は口が悪い。胃潰瘍で危険極まりない胃や動脈硬化で傷ついた血管の補修をしているが皮肉にもその血管修理で生じた血栓が狭心症、心筋梗塞の原因となってしまった。
CV担当の久保氏は乳酸菌のブチも担当
一般細胞
数多くいる一般市民である細胞の一人。
クッパー細胞
肝臓内に存在するマクロファージの一種。
内毒素の無毒化や古い赤血球を貪食し、胆汁色素にすることが主な役割。おっぱい丸出しの踊り子のような姿で登場(2巻表紙では流石に隠しているが)。
アニメではインドの踊り子のような姿で登場。
肝細胞
CV:ブリドカットセーラ恵美/演:深田恭子
肝臓の中のキャバクラで赤血球たちに酵素を振る舞うお姉さん。
物質の代謝や解毒が仕事...なのだが宿主の飲酒量が非常に多くアルコールを分解する時に変化するアセトアルデヒドにあてられてしまいアルコールを分解する酵素を出す力が弱まってしまっている。
主細胞
CV:鳴海崇志
外見はおじさん。ぶっきらぼうな職人気質だが根は優しい。ピロリ菌と胃潰瘍でボロボロの胃を必死で動かす。
ヘルパーT細胞
宿主の過度のストレスにより少しでも細菌の可能性があるものは駆除するという考えにいたり自己抗原を誤って攻撃させてしまいステロイドに捕縛される...
キラーT細胞
本編と同じ格好で登場。ヘルパーT細胞のストレス化による異常指令により毛母細胞を攻撃、円形脱毛症を引き起こしてしまう。
LDL
作業服にサングラスを掛けた容姿の男。細胞では無いが擬人化されている。所謂「悪玉コレステロール」。
赤脾髄
CV:平林剛
血液をろ過し不要な物質を取り除く。古くなったり傷ついた赤血球を処理する。「自分はもう働けない」と処理されることを望む2153を「働くことに意味を見出すなど100年早い」と一蹴した。
脳細胞
CV:平川大輔(第1部司令官)
神経系の中枢で、思考や感情、身体の生命維持を担う。作中では身体全体を統括する司令室として描写され、司令官の他にオペレーターや年配の重役がいる。
第一部では眼鏡の若い男性、第二部では壮年の男性が司令官を務める。
β細胞
第二部に登場。ランゲルハンス島で糖の吸収を助けるインスリンを生産している。発注の多さに疲弊しきっていて生産が停滞していた。やってきた赤血球に生産を頼まれるとタメ口を語りながらインスリンの生産を再開する。しかし最期は限界に達し...
糸球体
腎臓内に存在する毛細血管の塊。血液の濾過して老廃物を除去するのが主な仕事で、赤血球などをシャワーで洗う。腎臓が「沈黙の臓器」なだけあって基本は黙々として働く。和装の若い女性の姿だが、リーダーの個体は老婆。
原作では第二部から登場するが、アニメでは第一部の身体の細胞として登場。
病原体
1話に登場。駆け付けた白血球に排除される。
3話の宿主の性接触により体内に侵入。細菌としては驚異的な増殖力と強固かつ高速で再生する細胞壁の鎧によって白血球の貪食を上回る速度で勢力を拡大、4話で白血球たちを物量で圧倒するが、ペニシリンによって防御の要だった細胞壁の再生を封じられ弱体化、殲滅される。
「淋菌」だけに「淋しい」が口癖。性病の病原体ということでアレを連想させる姿をしているが、アニメではデザインが修正されている。
胃潰瘍などの消化器系の疾患を引き起こす。胃酸を中和し胃壁を荒らしまわったが投薬と白血球の活躍で撃破した。
容姿は本編と大きく異なり、ウナギのような細長い身体が特徴。
基本的には無害だが宿主の免疫機能の低下と不潔な環境が合わさり水虫を引き起こした。
第2部1話に登場、俗に人食いバクテリアと称されることがある細菌の一種。
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