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名称

漢字表記は金神手長海老・金神草蝦。

種小名larラテン語での尊称を意味する語(英語のSirとほぼ同じ意味)、または古代ローマ守護神ラレースに由来するともされる。

(どちらもニュアンスとしては「偉大なもの・素晴らしきもの」のような意味合いだと思われる)

英名はMonkey River Prawn、Ryukyu Freshwater Prawn、Tahitian Prawnなど。

漢名は貪食沼蝦、過山蝦など。

形態

日本最大のテナガエビであり、雄成体は第2胸脚(腕)を伸ばした状態では30㎝に達する。

体色は薄緑ないしは青磁色がかった黄褐色や黄土色で、第2胸脚も同系色だが明らかに濃い。可動指(指節)基部や腹節側面に橙色の斑紋があるが、頭胸甲には目立つ斑紋はない。老成した個体は腹節背面から側面にかけて青黒く染まることが多い。

額角は細く水平に伸びるが、先端は僅かに上方を向き、触角鱗先端には達しない。上縁歯数は7~9(頭胸甲上には2歯)、下縁歯数は2~4。

第2胸脚は左右相称形だが、長さが僅かに違う場合が殆どである。掌部断面は円筒形。全体に非常に細かい小棘を呈するが不動指には少ない。可動指・不動指ともに先端が内側に彎曲し、咬合面に大きな歯がある(不動指の歯が近位)。可動指は掌部の0.8倍程度、鉗は腕節の2倍以上、掌部は腕節の1.2倍以上。

生態

河川上流域から河口域まで幅広く棲息する。

基本的には中流域から下流域の砂礫底に多いが、市街地コンクリート張り用水路であっても、多少の割れ目や転石があれば住みついていることも珍しくなく、鍾乳洞内を流れる地下水系や、滝壺や周辺の甌穴(ポットホール)でもよく見られる。登攀能力も高く、落差が50mほどのさえも遡上することがあり、漢名の一つ「過山蝦」の由来となっている(「山を越えるエビ」の意)。

棲息環境の幅広さから、分布域の多くでは優占的な種といえ、個体数自体も多い。

基本的には夜行性で、昼間は岩陰や抽水植物の根元に潜み、薄暮時から夜間に掛けて特に活発になるが、薄曇りの日には日中に活動することもある(特に若い個体)。

食性は極めて肉食性が強い雑食性で、小魚水生昆虫貝類ミミズ同種を含めた甲殻類を好んで食べ、水草の切れ端なども多少は囓る。動物の死体にも群がるため、捕食者と同時に分解者としての側面もある。

大型の雄は縄張り意識が強い。

日本での繁殖期(抱卵期)は5月から9月で、最盛期は7月8月。熱帯地域では繁殖周期の間隔が狭まり、例えばアンダマン諸島では4月から9月まで(最盛期は6月と7月)と、10月から翌年2月(最盛期は11月)までと、1年間で2回の繁殖期を迎える。1回の繁殖で雌は長径0.6㎜程の卵を7000~20000卵ほど抱える。卵及び幼生の発生には海水と同等から70%の塩分が必要。産卵から3週間から1ヶ月弱で孵化し、1ヶ月から1ヶ月半の間に変態を終えて稚エビとなり淡水域に戻る。

性成熟には1年程度を要し、寿命は3~5年程度とされる。

人間との関係

棲息地での個体数の多さから、食用釣り餌として漁獲され、本種自体も釣りの対象になる。

素揚げ塩焼き剥きエビにして炒め物スープなどで賞味され、魚醬に加工することもできる。いずれの品々も非常に美味である。

比較的簡素な設備でも養殖が可能であるとされ、発展途上国での新たな水産資源の一つとしても検討されているが、繁殖周期が短くより大型化するオニテナガエビが産業上の強力な競争相手であり、事実ハワイでは事業に失敗し、養殖場から脱走または遺棄された本種が外来種化している事例が知られている。

琉球列島では本種を含めたテナガエビを「タナガー」と呼び、産卵数の多さから子孫繁栄の縁起物として、古くから陶磁器織物ガラス細工の意匠に用いられ、更に家屋を新築する時は、柱を建てる場所にテナガエビ(地域によってはサワガニオカガニを用いる場合もある)を這わせる風習が有った。

美ら海水族館アクアマリンふくしま新江ノ島水族館などで飼育展示されている。また、ペットショップ熱帯魚店で売られることもある。水替えを怠らず、低温に晒さないようにすれば飼育は容易な部類だが、個人レベルの飼育設備での複数飼育や繁殖はかなり難しい。

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コンジンテナガエビ
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