バラバキューム
ばらばきゅーむ
マシン帝国バラノイアが使役するマシン獣の一体。
紫色のボディと長く伸びた蛇腹状の首、そして大きな口と赤いモノアイが外見上の特徴。自律行動は可能であるものの、人語による意思疎通能力までは備わっていないようで、作中ではもっぱら「ハーッ!」という叫び声を発するのみであった。
バキュームの名の通り、大きな口を開いて照射する光線で対象を縮小化した上で、体内へと吸引する能力を備えており、吸引された対象にはカッター状の歯車が多数稼働する体内で、バラバラにされてしまう運命が待ち受けている。
口からはこれ以外にも白い高圧ガスを噴射できる他、右手と一体化した二連装の機銃も強力な攻撃手段として使用可能である。
裕司からパワーブレスを強奪し、バラノイアへの接近を図るジニアス黒田に対し、表向きはこれと協調する姿勢を示したブルドントであったが、その裏では彼を出し抜きブレスを手に入れることを画策しており、好機が訪れるまでの間変身できずにいる裕司を狙うべく投入されたのが、他ならぬバラバキュームであった。
その裕司は樹里と共にブレスの探索中、受信機の反応に従い黒田の息子である茂と接触を図ろうとするが、バラバキュームはバーロ兵の一団と共に彼等を強襲、苦戦する裕司をまんまと自らの体内に吸引せしめた。
吸引された裕司が、バラバキュームの体内で迫りくる歯車を必死で回避するのを尻目に、その後もバラバキュームはブルドントと共に茂へと迫り、機銃によるダメージで彼の体内から現れたブレスを吸引しようとするも、咄嗟の判断でオーグリーンが石を投げつけたことで口を塞がれて失敗に終わってしまう。
そこから、オーレンジャーとバラノイアとの間でブレスを巡る熾烈な争奪戦が展開されるのだが・・・最終的にオーレッドの手に渡ったところで彼もろともブレスを吸引したまではよかったものの、そのためにレッド経由で裕司の元にブレスが戻った上、内部からの攻撃によるダメージで2人の脱出を許してしまった。
已む無くバーロ兵と共に5人揃ったオーレンジャーに立ち向かうも、オーブルーの激突ローリングボンバーと稲妻超力トンファの連続攻撃、そして5人のキックで追い込まれた末にジャイアントローラーを受けて敗北。
巨大化後は、オーレンジャーロボに銃撃を見舞って抵抗するも、グラビトンヘッドの超力レオンビームで反撃された上に、高圧ガスを吐こうとした隙を突かれる形で投げつけられたスーパークラウンソードが口内に刺さり、その流れから繰り出されたクラウンファイナルクラッシュで撃破されるに至った。
デザインは大畑晃一が担当。オウム真理教関連の事件の影響を少なからず受けたことが指摘されている『オーレンジャー』であるが、バラバキュームも正にその一例とも言える存在である。
というのも当初のラフの段階では、ガスマスクをモチーフとした頭部を持つ「バラクリーナー」として考案されていたものの、オウム事件直後ゆえにこのガスマスクに対してダメ出しが出たため、無機質な表情のない顔への変更を経て、他の怪人とのバランスを考慮し決定稿にもある顔っぽいものへと落ち着いたという。大畑自身は当初のガスマスクモチーフの頭部に愛着があると、後年のインタビューにて言及している。
デザイン画稿では胴体が太め、かつ足も短めのプロポーションとされているが、造形の段階でスーツアクターが中に入ることを考慮してか、より細身かつ頭身を上げる形でアレンジが施される格好となった。
CV担当の西尾は、前年の『忍者戦隊カクレンジャー』(クイズ番組の司会役)に続けての参加であると同時に、本作が草創期から関わり続けてきたスーパー戦隊シリーズ、ひいては東映特撮における最後の出演作ともなった。