2018年の平昌オリンピック会場であるアルペンシアリゾートの一角に設置されているオブジェ。2013第1回江原道国際美術展覧会に出展され、江原道が購入・設置した物で、本来オリンピックとは関係ない作品だった。
首から下が真っ裸になった全身銀色の男性像であり、袋を被せたような頭部の形状も相俟って、横からだと卑猥なモノに見えてしまう。
概要
発端
平昌オリンピックの会場内で、報道関係者の待ち合わせ場所となっているメインプレスセンター。その前に、謎の銀色のオブジェが飾られていた。しかも三体。
それは頭に被り物をした裸の男性の姿で、東京スポーツの記者が近くにいた現地のボランティアスタッフに「これは何なのか?」と問うたところ、口を揃えて「モルゲッソヨ(知らないです)」と返されたという。
(参照:東京スポーツ記事原文)
この記事をソースに5ちゃんねるで立ったスレの>>5が即座にAA化したことで大いに盛り上がり、5ちゃんねるやTwitterでAAを交えたネタとして広まって、まるで「モルゲッソヨ」がこのオブジェの名前であるかのような扱いを受けることとなった。
現状
上述の通り本来は平昌オリンピックとは無関係だが、同オリンピックにおけるパフォーマンスの類やマスコットキャラクターはどうにも印象が薄かったため、偶然目についたこの奇妙な像が平昌オリンピックの“非公式キャラクター”としてネット上で祭り上げられる事となった。
そしてそれ以降なぜかカルト的な人気を誇り、平昌まで観戦に訪れた人がついでに足を運ぶ観光名所と化している。
日本ネットコミュニティでの盛り上がりは韓国メディアでも紹介され、pixivでも韓国人ユーザーによって開会式の「人面鳥」(韓国の不死鳥伝説を表したオブジェ)などのネタと組み合わせた作品がいくつか投稿されている。
pixivにおけるイラスト作品だけでなく、MAD動画やハンドクラフト作品も作られている。「筋肉質な裸の男」という扱いやすい素体がベースであり、顔を描写する必要も無く、“芸術”だと言い切ってしまえば恥ずかしげも無く股間部の描写が可能。肌の色も銀色で統一されており人間なのか無機物なのかが曖昧で、人数も問わないなど、汎用性が高い。
作者の金氏(後述)の元にも取材が行き、戸惑いつつも「面白い」とコメントしている。
名前について
「モルゲッソヨ」
先述の通り、「この像は何なのか」と訊かれた現地の人間の誰もが「モルゲッソヨ」と返したため、「モルゲッソヨという人気キャラクターなのではないか」という誤解からこの名前が定着してしまった。
本来「モルゲッソヨ」は韓国語で「わかりません」という意味であり、人々は「(日韓問わず公共の場によく設置されているような意味不明系オブジェの1つなので)知らない」と答えていただけである。
分解すれば、
- 「모르-」が「모르다:分からない」の語幹
- 「-겠-」が未来・推量「~だろう」や婉曲の意を表す語
- 「-어요」が丁寧な語尾(韓国語にはもう一つ丁寧な語尾「-ㅂ니다」があるが、それより砕けた表現。日本語の「~よ」に近い?)
といった意味合いである。
自然な言い回しにすると「さあ?分からんねえ~」が適当なところか。
正式名称
この像は本来「총알맨(銃弾マン)」という名前で、作者は韓国の彫刻家・金知鉉。氏の作品はこのように不気味である物が多いことで有名らしい。当該作は氏が2009年から手掛ける連作の一つで、「かっこいい身体、富、名誉等の人間の欲望」を表現したものであるという。
「총알맨」は「弾丸マン」「弾丸男」と訳されることもあるが、
であることを踏まえて直訳すれば「銃玉マン」。自然に訳すなら「銃弾マン」が最も適切であろう。
モルゲッソヨ/「銃弾マン」の特徴
あくまで芸術作品である為、どこがどう「かっこいい身体、富、名誉等の人間の欲望」を表現したものなのか見た目だけではよくモルゲッソヨ(わからない)ので、ここではとりあえず見た目の特徴を挙げる。
頭の被り物
頭巾なのか兜なのか不明であると同時に、彼の素顔も不明。弾丸に似ている形状が題名の由来と推測される。後述の身体と合わせて頭隠して尻(もとい股間)隠さずを地で行くインパクト大なデザインである。
……造形がどことなく卑猥な物を連想させるとか言ってはいけない。
が……男性の芸術家が「人間の欲望を形にする」というコンセプトで作った「銃弾マン」という「モロに男性性の象徴のような名前の作品」である以上、意図的にそう見えるように作っている可能性こそ高いとも言える。
身体
筋骨隆々な逞しい裸体である。作者が言う「かっこいい身体」とは間違いなくこれであろう。しかし躍動感が無い直立不動のポーズである為、否応無く不気味な印象も……。
「人間の欲望を形にする」というテーマで「モロに男性性の象徴のような名前」の作品である以上、「男にとっての、自分がこうなりたい身体」になっているのも当然と言えよう。
股間
現物からして無駄にリアルかつ御立派な造形。
富とか名誉を表してるんじゃないかな(適当)……よくモルゲッソヨ(わからない)けど。
なお、モルゲッソヨは複数あるらしく、股間が簡略化された物もあるらしい。
銃弾マン「俺のキ●●マを見てくれ。どう思う?」
皆様方「すごく・・・大きいです・・・」
ネタとして描く場合、大抵簡略化されるか隠される部分でもある。
「人間の欲望を形にする」というテーマで「モロに男性性の象徴のような名前」の作品である以上、「男にとっての、自分のもこうなって欲しい股間」に以下同文。
結論
R-18作品に見えなくもないが……その辺ギリギリを狙うのが芸術だろう。
――まぁ、とにかくモルゲッソヨ(わからない)。
日本上陸
2019年6月、宮崎ブーゲンビリア空港において「第30回宮崎国際現代彫刻・空港展」において金色になったモルゲッソヨこと「Golden Bullet Man」が出展。
金の銃弾マンつまりきんの(ry…これ以上考えるのはよそう。
余談
この人とは関係無い…と思う。
外部リンク
- Wikipediaの記事「弾丸マン」
- 東京スポーツの記事「【平昌五輪】メインプレスセンター前に“謎のオブジェ”」:事の発端。
- ニコニコ大百科の記事「モルゲッソヨ」
- アニヲタWiki(仮)の記事「モルゲッソヨ」
関連タグ
「총알맨」:原題。
「銃弾マン」:その日本語訳。
スホラン:平昌オリンピックの公式マスコットキャラクター。
バンダビ:平昌パラリンピックの公式マスコットキャラクター。
人面鳥(平昌オリンピック):平昌オリンピックの開会式に登場したキャラクター。
三角頭:これを思い出した人も多かった。
ペプシマン:銀色な点でこれを思い出した人も少なからずいた。
チェルノ・アルファ:これを連想した人もいたとか。
永遠の闇:「メタリックで何か被っててほぼ全裸」繋がり。しかも謎すぎる所まで同じ。
放課後電磁波クラブ:ほぼ全裸に近い格好で、頭部も似てなくもない。
ブリオン:先述したニコニコ大百科の記事の関連項目に記載。
ジャガー(けものフレンズ):「わからん」(彼女の有名な台詞)=「モルゲッソヨ」という関連付けで描かれたネタ絵も投稿されている。
やらない夫:ピピ美(前述)以上に造形が似ており、投下されたアスキーアートのうちやらない夫の改変がかなりの割合を占める。
折田先生像:京都大学の風物詩。日本一レベルの知性持ってて何やってんだアンタらは…
モルゲッソヨ化:様々なキャラクターがモルゲッソヨ同様の「頭を覆う被り物だけを身に付けた裸体で、金属化された姿となる」シチュエーションを描く状態変化。元ネタの造形上R-18指定されている作品がほとんどなので要注意。詳細はリンク先にて。