伊邪那岐大神とは、アトラスのRPG『ペルソナ4』に登場するペルソナの一体である。
※本記事は重要なネタバレ事項を含みます、ご注意ください!! |
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概要
真実の先にあったもうひとつの真実に辿り着いた主人公が、すべての元凶との戦いにおける土壇場で覚醒させた究極のペルソナ。
主人公の初期ペルソナ「イザナギ」が白ラン姿に"金の環の大太刀"を装備した外見をしており、他のペルソナにはない荘厳さを兼ね備えている。
その姿から、ファンからは『総長』・『特攻隊長』などの通称を持つ。
ラスボス最大の技・『幾千の呪言』の呪詛によって一度は死の淵に沈んだ主人公であったが、自身が築き上げてきた多くの人々との"絆"を伝って送られる温かな声に励まされ、絶望の淵から復活したことで『世界』のアルカナを手に入れ、その象徴たるこのペルソナを発現させる。
その力は、『幾千の呪言』を跳ね返し、たった一度の『幾万の真言』で元凶を打ち倒してみせるほど。
この力の前に元凶も遂に屈し、自称特別捜査隊の意思を認めて消滅した。
スキル使用時には矛を回転させるが、恐らく日本神話の天沼矛の逸話が由来であると思われる。
また、何気に固有ペルソナの中では唯一「世界」のアルカナが充てがわれた存在…であったのだが、『ペルソナQ』ではメサイアに「世界」が充てがわれた為に唯一では無くなった。しかし続編の『ペルソナQ2』ではメサイアが「審判」になったため再び唯一の「世界」のアルカナに返り咲いた。
『4』以降のナンバリング作品では「世界」は一貫して伊邪那岐大神系専用のアルカナとして描かれている。
『P4U2』では一撃必殺技使用時に召喚される。その際のセリフは日本神話におけるイザナミとイザナギの決別を意識したものとなっている。
人気に対する不遇な歴史
ラストバトルで見せた圧倒的な活躍に加え、元よりデザイン面の評価が高いイザナギから更にパワーアップしたビジュアルにより、極めて高い人気を誇るペルソナであるが、その実扱いはかなり不遇。
ゲーム二周目以降になると、隠し要素の一つとして「伊邪那岐大神の生成」が可能になる。
その方法は驚異のペルソナ十二体を用いた大規模なペルソナ合体というもので、手持ちペルソナ全部を使う上に上級ペルソナも多く必要とするため、入手は困難である。
加えて、苦労の末に生成に成功したとしても「合体素材に出来ない」「ペルソナ全書にも登録されない(=一度消したら作り直し)」「素材からのスキル継承が出来ない」「そもそも覚えるスキルが微妙」「アイデンティティたる"幾万の真言"が無い」等、性能面ははっきり言って微妙。特にスキル面は『幾万の真言』はイベント用スキルだと諦めるとして、そのほかがアギ・フブ・ガル・ジオの単体攻撃魔法と、各属性の威力を50%上昇させるハイブースタのみと、言って仕舞えばやや器用貧乏なラインナップとなっており、最終的には『ガッカリ大神』という不名誉な称号が付いてしまった。
面目躍如?
リメイク版『ペルソナ4ザ・ゴールデン』では、合体時にスキル継承が可能になった上、スキルカードによって後からスキル追加も可能になった為、ある程度性能の補填が効くようになった。
また、ペルソナからスキルカードを抽出するシステムが実装され、伊邪那岐大神の対応スキルは激レアスキル『勝利の雄たけび』が割り当てられ需要が急上昇。
作成する事でトロフィーも獲得出来るようになったため、一度は作る必要が出て来るなど、大幅に立場が改善された。
「むしろスキルカード取ったら用済み?」「そもそも強化されたりせの戦闘後回復スキルだけで十分?」「結局は専用スキルが強いヨシツネの方が遥かに強い?」
言 う な
データ
必要なペルソナ
各ペルソナの頭文字をとると「イ/ザ/ナ/ギ/ノ/オ/オ/カ/ミ/ツ/ク/レ」となる。
覚えるスキル
- 初期スキル ―― メギドラオン/勝利の雄たけび/大天使の加護/コンセイトレイト
- 修得スキル ―― アギダイン/フブダイン/ジオダイン/ガルダイン/各属性のハイブースター
バランスブレイカーへ
とある別の物語で英雄の力になったペルソナ。日本神話の創世神の1柱。八百万の神々に先駆け、天、海、夜の三界を統べていた。後に、同じ創世神たる伊邪那美と、黄泉路の果ての黄泉比良坂にて運命的な対峙を迎えた。 |
散々な扱いを受けて来た伊邪那岐大神だが、次回作のブラッシュアップ版『ペルソナ5R』にて、まさかのダウンロードコンテンツ化。
かつての「ガッカリ大神」の汚名返上とばかりに、強烈なアップグレード(を通り越した魔改造)を施されて実装された。
- ここに来てまさかの「幾万の真言」が待望の攻撃スキル化。その効果は万能属性の大ダメージ×3というヨシツネの「はっそうとび」やルシファーの「明けの明星」も真っ青な鬼畜っぷり。ヨシツネの「はっそうとび」は物理属性の小ダメージ×8なので、物理属性に耐性・無効・反射を持つ相手だけは苦手だが、P5Rの万能属性には耐性はあっても無効・反射はないため、ほぼ全ての敵に痛打を通せる。ルシファーの「明けの明星」も万能属性の特大ダメージ×1と相当強力なスキルだが、万能属性の大ダメージ×3と比較すればどちらが上かは言うまでも無いだろう。
- ヨシツネの「ランダマイザ(敵1体の全ステータスダウン)」+「ヒートライザ(味方1人の全ステータスアップ)」+「チャージ(物理スキル攻撃力2.5倍)」に相当する「ランダマイザ」+「ヒートライザ」+「コンセントレイト」(魔法スキル攻撃力2.5倍)のバフコンボも当然使用可能。おまけにペルソナ5Rは怪盗団の面々が味方全体にヒートライザやら敵全体にランダマイザやら味方全体にコンセントレイトやらを習得する為、状況次第では上記のバフコンボからの幾万の真言を1ターンで発動可能。
- ここに万能ブースタ&万能ハイブースタが加算される上に、ダメ押しとばかりに「ペルソナ全書」の達成率に応じて攻撃力と防御力が最大100%アップする特性「国産みが如き業」を所持している。なんとブースタ系スキル及び上記バフコンボと干渉せず加算して発動するという徹底っぷり。ここまでやるとラスボスすら灰になる。
- 祝福・呪怨以外のほぼ全属性に耐性を持つ。先述の「国産みが如き業」も合わさって防御面も非常に優秀。
- そして極めつけは、DLCだからゲーム序盤から課金して入手可能。上記のバフコンボは使えなくともタルカジャで攻撃を上げて真言をぶっ放すだけでも雑魚は消し飛んで行く。
- この関係でレベル上げも容易になってしまうのでRTAにはもってこいの存在だと言える。
はっきり言ってしまえばペルソナ5R最強のペルソナであり、シリーズ屈指のバランスブレイカーとなっている。
その暴れっぷりは「ペルソナの構成や敵との相性による駆け引き」というペルソナシリーズのバトル要素の醍醐味が文字通り崩壊しかねないレベルであり、故にファンからの評価は「周回プレイ時のお楽しみ用」として封印し、完全にゲーム本編では触れない方向で扱われている。
汚名返上を通り越して、もはや「なぜベストを尽くしたのか」と問わざるを得ない。
また、「この性能をせめてP4Gで条件付きでも発揮してほしかった」という声や、スキル化した「幾万の真言」が使えるのが番長ではなくジョーカーである点に口惜しい思いを抱くファンも見られる。
かつての不遇を撥ね退けてなお余りある「ハッチャケ大神」と化した伊邪那岐大神にうれしさを覚える反面、一抹の寂しさや今後の扱われ方への不安を抱いてしまうプレイヤーも。
ちなみに、合体素材は集団ギロチンで「ヤマタノオロチ×ソロネ×イヌガミ×ナーガラジャ×バロン×ノルン」。
マイナーチェンジ版である『伊邪那岐大神・賊神』の合体素材は「オオクニヌシ×オルトロス×カーリー×ミトラス×クー・フーリン×ルシファー」。
これらの頭文字を繋げると「ヤソイナバノオオカミクル(八十稲羽の大神来る)」となる。
余談だが、マイナーチェンジ版である『伊邪那岐大神・賊神』は、通常版とは異なり頭部が赤い学生帽の様な帽子を被った様な形状になり、白ランは赤を基調とした物に変更されており、裏側が秀尽学園高校のチェック柄になっている他、金の環の大太刀は刃が金色のサバイバルナイフ状、輪の部分がメタリックカラーになっている。
続く2024年2月発売の『ペルソナ3リロード』では、同年9月に事実上最後のDLC『エピソードアイギス』が配信されたものの現在に亘るまで音沙汰はなく、実装なしという結果に終わってしまった。
なお、本ペルソナの不在に関連してか、ジョーカーとは異なり番長のチャレンジバトルも存在しない。
詳しい理由は定かではないものの、P5Rの特性システム廃止や有料コンテンツであることを差し引いても幾万の真言の効果は流石にやりすぎと判断されてしまったからだろうか……。
あるいはアルカナ的な事情が関係していると見る向きもあるが、依然として真実は霧の中である。
ちなみに同ポジションの後輩の「大罪の徹甲弾」は今作において「敵全体に万能超特大ダメージ+中確率で闇属性即死効果」といった具合に仕上がっており、ゲームバランスを崩す程ではないものの順当に強力なスキルとして評価されている。
なお、『P3』から『P5』までの主人公のペルソナでは珍しく、第一及び第二の固有ペルソナが融合したような強化形態が存在せず、自称特別捜査隊メンバーで第3のペルソナを持たないのは4主人公だけだったりと歴代主人公の強化版ペルソナの中では異端の存在でもある(※)。
(※)参考までに3の場合はオルフェウスとタナトスの要素を持つメサイア、5の場合はアルセーヌと???の要素を持つラウール(こちらは強化形態としてではなくDLCで手に入る)といった具体。