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経歴編集

デビューまで編集

高校時代までは、活字どころかマンガすらあまり読まない読書嫌いであったが、高校2年の時、小峰元の『アルキメデスは手を汚さない』を偶然手に取り、1週間で読破してしまう(本人曰く「大事件」)。以来推理小説にのめりこむようになり、自分で小説も書くようになる。そして処女作『アンドロイドは警告する』を数カ月で書き上げ、2作目は数年の時をかけて『スフィンクスの積木』を完成させる。内容は現在まで公開されていない(『あの頃僕らはアホでした』の中で、両作の大まかな筋書き、1作目のメイントリックにあたるものなどには触れられている。「下手すぎて読み返しても内容が理解しきれなかった」とも)。

大学卒業後に工学系エンジニアとしての仕事の傍ら執筆活動に勤しみ、社会人時代に応募した『人形たちの家』(未公開)が、江戸川乱歩賞の2次選考を突破する。翌年に応募した『魔球』が最終候補に残り、さらに翌年の1985年、『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞。


ブレイクまで編集

1985年のデビュー後は、本格推理を中心に執筆。90年代以降は作風が変化し、『宿命』『むかし僕が死んだ家』『ある閉ざされた雪の山荘で』のような本格推理に拘らない新しい形のミステリや、『天空の蜂』『天使の耳』のような社会派ミステリ、『分身』『パラレルワールド・ラブストーリー』といった理系出身のエンジニアという経歴を生かした科学物、はては『~笑小説』シリーズ『浪花少年探偵団』『名探偵の掟』などのお笑い物まで、幅広い作品を執筆し続ける。

が、どれも売り上げはさっぱりで(1998年の『名探偵の掟』でやっと少し注目を集めた程度)、また文学賞に15回連続で落選するなど、厳しい時代が続き、無冠の帝王とも呼ばれる。

それでも苦節14年、『秘密』で第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞、広末涼子主演で映画化されるなど大ブレイクを果たし、やっと人気作家の仲間入りを果たす。


直木賞受賞まで編集

しかしながら文学賞の落選は売れっ子になってからも続き、直木賞では5連続落選という辛酸を舐める(もっとも、直木賞落選は選考委員のひとりである渡辺淳一に、非常にどうでもいい私怨で嫌われていたせいであるというのが専らの噂)。

それでも2005年、『容疑者Xの献身』で6回目の候補にして遂に第134回直木賞を受賞、同作は本格ミステリ大賞、このミス1位など計5冠を獲得した。

2014年、その直木賞の選考委員に就任。執筆活動を優先したいとして、2019年に退任している。


現在編集

直木賞を取ってからは著作が増刷の一途を辿るようになり、100万部越えの作品をいくつも抱える大ベストセラー作家となっている。この流れの中で、90年代に出版されてさっぱり売れなかった著作が評価を受けて、十数年越しの増刷や映像化されるという現象も起きる。

2009年、大沢在昌に推されて日本推理作家協会理事長に就任(2013年まで)。

毎年のように原作が映像化され、出す本は軒並みヒットを連発するなど、今や国内トップクラスの人気作家として君臨している。


作家生活25周年記念編集

2011年で作家生活25周年を迎えたことで、三社合同で25周年記念企画が行われた。東野自身が自信作と認める3作を3ヶ月おきに刊行。

3月3日に加賀シリーズ最新作『麒麟の翼』(講談社)、6月6日にガリレオシリーズ最新作『真夏の方程式』(文藝春秋)、9月9日に新作『マスカレード・ホテル』(集英社)をそれぞれ刊行した。

更に無料公式ガイドを配り、人気ランキング応募企画を並行して実行。2月15日に講談社から『東野圭吾公式ガイド 読者1万人が選んだ東野作品人気ランキング発表』が発売され、応募総数1万に及んだ人気ランキングが発表された。



作風編集

2021年現在、80作以上の著作を生み出している多作家。非常に幅広い作風の持ち主で、別人が書いたと思えるほど振れ幅が大きい作品があるのも特徴。

デビュー当初は本格推理がメインだったが、近年は社会派など、広義の意味でのミステリに移行、ミステリというジャンルの幅を広げる意欲的な挑戦をしている。


作品は大体3人称、殆ど独立した作品が多い。シリーズ物にしても、何から読んでも差し支えない(無論、一から読めばより面白い)。


最近の著作は、いきなり文庫化(『白銀ジャック』『マスカレード・イヴ』など)やソフトカバー(『夢幻花』『虚ろな十字架』など)での刊行が多く、ハードカバーは見られなくなっている(こうした単価の安い本は出版社にとって薄利多売の商品なので、まとまった部数が売れる見通しが立っていないと出しにくい。文庫書き下ろし新作が多いというのは人気作家の証しでもある)。


自身が偶然手に取った一冊で小説に開眼した経験からか、自分の著作が紙の本として読者に届くことに強いこだわりを持ち、電子書籍を出さない作家として知られる。例外的に、COVID-19禍で本を買いに行くことすら困難な状況になった2020年春に、いずれも映像化されている人気作7作に限って電子化を許諾している。


シリーズ編集

ガリレオシリーズ編集

推理小説では非常に珍しい科学絡みのトリックが登場する作品。著者作品の中でも最も知名度が高く、人気も高いシリーズ。


加賀恭一郎シリーズ編集

江戸川乱歩賞受賞第1作、『卒業』(この作品だけ大学生)から登場する刑事・加賀恭一郎を主人公とするシリーズ。デビュー当時から作者と共に歩んできた、著者曰く「頼れる」キャラクター。

1993年に『眠りの森』が実写ドラマ化された。

その後、2010年に『新参者』がドラマ化。加賀を演じたのは阿部寛。同年の年末には『赤い指』がスペシャルドラマ化。2012年に『麒麟の翼』が映画化。2014年正月には『眠りの森』が再びスペシャルドラマ化された。2013年現在の最新作は『祈りの幕が下りる時』。


天下一シリーズ編集

本格推理物の様々な「お約束」(密室時刻表、ダイイングメッセージetc)をおちょくった作品、『名探偵の掟』に登場する自称・名探偵、天下一大五郎の作品。2009年にまさかのドラマ化がされ、松田翔太が天下一を演じた。何気にブレイクのきっかけを作った作品でもある。

本人曰く『名探偵の使命』という第3弾の構想がある。


しのぶセンセシリーズ編集

『浪花少年探偵団』『しのぶセンセにサヨナラ』の2作品がコレ。破天荒な大阪の小学校教師・しのぶ先生が活躍する連作短編集。コテコテの関西弁と東野らしいミステリでファンの間では根強い人気があるが、続編の構想はもうないという(著者曰く「書けなくなった」)。山田まりや主演でドラマ化された。2012年にはTBS多部未華子主演でドラマ化。


「笑」シリーズ編集

『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』『歪笑小説』がこれにあたる。いずれもブラックで毒のきいた笑いが詰まった短編集。『黒笑』と『歪笑』は文壇におけるネタが盛りこまれている。人気のあるシリーズだが、作者曰く「業界の皆様、ご安心ください。もう書きません。」らしい。


マスカレードシリーズ編集

『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イヴ』『マスカレード・ナイト』の3作品がこれにあたる。

破天荒な捜査一課刑事・新田浩介とホテル・コルテシア東京のフロントクラーク・山岸尚美が活躍する群像劇をベースにしたシリーズ。2019年に『マスカレード・ホテル』、2021年9月に『マスカレード・ナイト』が映画化。


映像化編集

非常に多くの作品が映像化されている。ガリレオや加賀シリーズはいうまでもなく、『流星の絆』、『秘密』(映画では広末涼子だが、ドラマは志田未来が演じた)、『白銀ジャック』など多数。世にも奇妙な物語でも度々短編が映像化されている。 映画は2003年の『g@me.』から、ほぼ毎年映画化がされている。


中でも『白夜行』はドラマ化、舞台化、映画化など何回も使われている。

令和3年9月17日『マスカレード・ナイト』が映画公開。


人物編集

  • ウィンタースポーツ好きのスノーボーダー。44歳でスノーボードにはまり、50を過ぎた今でもゲレンデを滑りまくっている模様。トリノ五輪を観に行ったり、カーリングで大けがしたり、ウィンタースポーツに関する著作(『カッコウの卵は誰のもの』『夢はトリノをかけめぐる』『鳥人計画』『白銀ジャック』等)も書いている。
  • 大阪府立大学工学部電気工学科出身(現在は、工学域電気電子系学類電気電子システム工学課程)。当時の学生街をモデルに『学生街の殺人』を執筆する。
  • 怪獣が好き。ガメラで監督を務めた金子監督とも対談したことがある。『怪笑小説』のラストでは……。
  • 大学時代はアーチェリー部の主将も務めたスポーツマン。その経験を生かして『放課後』を執筆した。また、『ガリレオ』シリーズにもスポーツを題材とした作品が幾つか存在しており、主人公湯川のスポーツ万能ぶりは作者の影響とも考えられる。
  • 社会人時代はデンソーに勤めていた元エンジニア。作家としては珍しい理系畑で、その知識や経験を生かした設定や描写を得意とする。
  • 大沢在昌奥田英明とは飲み友達である模様。またノワール作家として知られる馳星周とも仲が良いらしく、東野の『白夜行』のあとがきで「いつか銀座の馬鹿高いクラブで奢らせてやろう」と記しているのに対し、東野も馳の著作『ダーク・ムーン』で似たようなことを書いている。
  • 公言したこと自体は少ないが、阪神ファン。『巨人の星』を好きなマンガに挙げている。
  • 引っ越し魔。かれこれ6回以上は住処を変えているらしい。
  • 夢吉という(通称は「ぷん」)を飼っている。エッセイ『たぶん最後の御挨拶』ではこの猫の写真が表紙になり、夢吉に対する記事もある。捨て猫を拾ったということだが、夢吉が咬みつくせいで著者の右手は傷だらけらしい。
  • 馳星周は東野を「トリックスター」と称している。いたずら好きの無頼漢が彼の本性らしい(『白夜行』の解説より)。真保裕一は東野の作風について「理科系・関西人」という2要素で説明できるとしている(『天空の蜂』の解説より)。
  • 『夢幻花』が著者初のPHP研究所より刊行されるが、小説誌で連載終了したのが10年前であり、連載終了から刊行に6年かかった『ダイイング・アイ』よりも長い。本人曰く「殆ど一から書き直した」とのこと。
  • 『秘密』(映画版)『g@me.』にエキストラとして出演している。秘密では大学教授に扮して壇上で喋る演技をし、NGなしで撮り終えた。昔行われた日本推理作家協会主催の劇では天下一大五郎を演じたり、講演会で白衣を着て登場している。
  • 直木賞を受賞した際、「落ちるたんびにやけ酒飲んで、みんなで選考委員の悪口言って、普通の人はできない面白いゲームやったな。今日は勝てて良かった」「楽しいゲームでした、みなさんに感謝!」と発言。

主な作品編集

加賀恭一郎シリーズ

卒業―雪月花殺人ゲーム ※『卒業』に改題(2009年、文庫新装版時)

眠りの森

どちらかが彼女を殺した

悪意

私が彼を殺した

嘘をもうひとつだけ

赤い指

新参者(このミス1位)

麒麟の翼

祈りの幕が下りる時(第48回吉川文学賞受賞)


ガリレオシリーズ

探偵ガリレオ

予知夢

容疑者Xの献身(第134回直木賞受賞、このミス1位、計5冠)

ガリレオの苦悩

聖女の救済

真夏の方程式

虚像の道化師 ガリレオ7

禁断の魔術 ガリレオ8

沈黙のパレード

透明な螺鈿


マスカレードシリーズ

マスカレード・ホテル

マスカレード・イヴ

マスカレード・ナイト


その他代表作

放課後(第31回江戸川乱歩賞受賞。デビュー作)

秘密(第52回日本推理作家協会賞受賞)

ナミヤ雑貨店の奇蹟(第7回中央公論文芸賞受賞)

白夜行

幻夜

変身

プラチナデータ

夢幻花

ゲームの名は誘拐

レイクサイド

名探偵の掟

片想い

手紙

人魚の眠る家

危険なビーナス

クスノキの番人

ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人

白鳥とコウモリ(2021年現在の最新作)


関連イラスト編集

流星の絆

容疑者Xの献身表情練習 湯川学

関連タグ編集

大沢在昌 奥田英明 馳星周 福山雅治 阿部寛 使命と魂のリミット

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