人物
氏ムシメ(読み:うじ ムシメ)というコテハンは、楳図かずおの代表作でもある漂流教室の「ふん、うじむしめ!」という台詞からネーミングしている。
プロ漫画家志望として、今は無き漫画投稿サイト「マンマル」(2011年にサービス終了)を中心にアマチュアのWeb漫画家やイラストレーターとしても活動していた。
スティッカムのネットラジオ活動では、主に自作漫画の製作実況を行っていた他、日々の貧困生活やアルバイトなどに関するフリートークを毎回高いトーク力を活かしたマシンガントークで語っていた。
ニコニコ動画ではkurobuntyouという氏がかつて飼っていた文鳥にちなむユーザー名で動画を投稿していた他、生主でもあるニートスズキやぴんすけらと交流していた。
漫画製作だけではなく、野鳥観察、園芸、フィギュア製作、ガラス工芸、テコンドーなど趣味は多岐にわたるが飽きっぽい性格だったようである。
政治思想に関しては、大のアンチ自民党で、左寄りだった。自民党は子供の頃からずっと嫌悪しており、ブログでは左翼的な発言に加えて自民党を批判する内容の書き込みを頻繁に行っていた。その為、ネトウヨ全盛期だったブログ活動当時(2009年前後)は、ネトウヨによる炎上を何度も受けていた。
また、皇室に対しても否定的だった。
2009年、代々木アニメーション学院に入学。在学中はデッサン教室などにも通っていた他、数々のマンガ大賞にも応募していた。
エピソード
- 幼少期にはヒューザー製の新築マンションに引っ越しているが、2005年に起きたヒューザー物件の耐震偽装発覚事件により、氏が住んでいたマンションも耐震偽装物件という事実が発覚。これによって、家族は莫大な借金を作ってしまった。こうした事態こそが、氏の家庭を崩壊させた大きな原因となっている。
- 母親は氏を身籠る前に精神病の予兆によって先に身籠っていた子を堕産している。その後、氏が小学生の頃に次女を生んだ後に、精神病(躁鬱病の一種)が悪化。その為、日常生活では借金の返済などと言った経済の面だけではなく、母親の治療と介護の面でも苦労していた。ちなみに母親は、彼女自身の実家で別居暮らしをしている事が多かった。
- 中学生時代は園芸部に所属していたが、部員は本人一人だけであった。そんな当時は地元の園芸少年として地元のテレビ局が当時製作したローカル番組に少しだけ出演している。
- 小学校時代から高校時代までずっといじめを受けていた。いじめはその後のアルバイトでも受けており、「ワープア漫画道」ではその経験を元にしたエピソードを自虐交じりで自ら漫画化している。
- ブログ初期の2008年2月頃には硫化水素自殺のやり方を撮影した動画をYouTubeに投稿した事と、硫化水素自殺のやり方を自身のブログに書いた事や、実際に硫化水素自殺未遂をした事によって日本テレビに目を付けられ、後には同年の5月12日に放送されたNEWS ZEROに出演している。また、この一連の騒動によって、livedoorのサービスでやっていた旧ブログは運営によって削除された。その後、Seesaaのサービスでブログを新設&再開している。
- ニコニコ動画だけで活動していた頃は、顔がお笑い芸人のほんこん似と囁かれていたが、当時は顔出しが皆無だった為に真偽不明だった。その後のスティッカム移行後には変装状態ながら顔出しを解禁した他、ブログ上に顔晒し写真をいくつか公開しているが、特に似ていない模様。あえて言えば、F1レーサーの佐藤琢磨や、歌手・タレントの星野源に似ている。
- 華原朋美の大ファン。彼女を大いにリスペクトしていた。他に好きなアーティストとして、倉木麻衣、上原あずみ、misono、倖田來未、ZARDの故・坂井泉水らを挙げていた。
- ぴんすけとは代々木アニメーション学院の先輩後輩関係でもあった。
- ニートスズキを人生の師匠として尊敬し、サインを大切に持っていたり、ブログで何度も言及したりしていた。そんな彼とは最初はニアミスが続いていただけであったものの、ニコ生主の一人でもあるウスイのオフ会で念願の対面を果たした。しかし、2008年9月のスティッカムのネットラジオ放送で彼の気に障る発言をしてしまい、それを彼本人がたまたま聞いた事で関係が悪化してしまった。
- 身長は160cm未満で、かなり小柄だった。
- 喫煙者だった。
自殺
2011年1月4日、東京都世田谷区の多摩川河川敷で自身の母親と共に硫化水素自殺を遂げた事によって、わずか23年弱の短い生涯を閉じた。享年22歳。
この件は当時、産経新聞のネット記事では以下の内容で実際に報道されていた。
『多摩川で男女2人遺体見つかる 50代の母と20代の息子が無理心中か 遺書に生活苦の悩み』
4日午前7時45分ごろ、東京都世田谷区野毛の多摩川河川敷で、ポリ袋をかぶった男性と女性が倒れているのをジョギング中の男性が見つけ、110番通報した。
2人は搬送先の病院で死亡が確認された。警視庁玉川署によると、亡くなったのは50代の母親と20代の息子とみられ、倒れていたそばに遺書もあった。同署は無理心中とみて身元の確認を急いでいる。
同署によると、男性はうつぶせでポリ袋を頭からかぶり、女性はすぐ横にあおむけで倒れていた。
ポリ袋の中には、トイレ用洗剤と入浴剤を混ぜた液体入りの洗面器があり、硫化水素で自殺を図ったとみられる。
遺書には生活苦や病気の悩みなどが書かれていたという。
2011年1月4日の未明に投稿されたブログ最後の記事「灯火」には、母親と硫化水素自殺を遂げる直前に撮影した、多摩川の夜景と思わしき写真が貼られており、それに加えて「街の灯り見てると切ない」という当時の心境を書いた文章だけが添えられている。
漫画・イラスト作品の特徴
作品内で自分自身を登場させる場合は必ず、自身の姿を骸骨として描いて自虐していた。これは氏曰く、自身が骸骨のような瘦せこけた顔と容姿をしていた事が理由である。実際に氏は身近にいる人達からよく、「ゾンビに似ている」「骸骨に似ている」などと言われていた。また、この骸骨として描かれた氏の分身キャラは、氏のブログと漫画・イラスト作品におけるマスコットキャラクターとなっていた。
それに、中高年者の顔の描き方には定評があり、どの作品においてもあらゆる中高年者達の顔が、徹底して恐ろしく・醜く描かれていた。
また、氏が一貫して漫画に描き続けたテーマは、世の中と人生の不条理と、人間の醜い部分や、氏自身のような弱者が抱える闇や苦しみなどと言った、世の中の負の側面を抉り出すような物だった。
こうした作風は、氏自身の貧困と幾多ものいじめや挫折などを経験してきた生前の壮絶な生い立ちの影響が強く表れている。
氏は主に尊敬する漫画家として、長谷川町子、けらえいこ、臼井儀人、山田花子、蛭子能収、辛酸なめ子、花くまゆうさく、さくらももこ、西原理恵子、楳図かずおらを挙げていた上に、作風と絵柄共に彼らの影響を大いに受けていた他、漫画家として彼らと同じような路線を目指していた。
他に好きな漫画家として、 新條まゆや咲坂芽亜らも挙げていた。
作品一覧
漫画
- ワープア漫画道
ブログにて2009年1月20日から2010年12月11日にかけて連載(全425話)。マンマルにも連載していた。氏自身の貧困生活や日常などを自虐とフィクションを交えて描いた四コマギャグ漫画であり、氏の最も代表的な作品。初回はワープア漫画日記という異なるタイトルだった。
- ワーキングプアのクリスマス
漫画デビュー作。後にリメイクし、「ワーキングプアのクリスマス2009」というタイトルでネットに公開していた。※マンマルだけに投稿していた為、現在は閲覧不可能となっている。
代々木アニメーション学院の学園祭宣伝漫画。
アイドル願望を持つアラフォーの中年女性がアイドルを目指して奮闘するストーリーを描いたショートコメディ漫画。没となった初期設定では、主人公は少女で、最後はバッドエンドになる予定だった。
1ページ単発漫画作品。
短編漫画作品。
- ハートに火をつけて♡
ネット上において最後に投稿した作品。※マンマルだけに投稿していた為、現在は閲覧不可能となっている。
イラスト
イベントのポスターイラストを制作。
著書
- 『社会人大学院生のススメ―働きながら、子育てしながら博士・修士』オクムラ書店 2012年5月出版
亡くなった翌年に発売された氏の遺作。氏は漫画家のぼうごなつこと共に書籍のイラストを担当。生前の氏は、当書籍の編纂を担当した教育評論家の松本肇氏と交友関係があった。
関連項目
氏と関わりのあった最も代表的な人物。
主に月刊漫画ガロを中心に活動していた故人の女性漫画家。氏が大いに影響を受け、尊敬していた漫画家の一人でもある。
とても厭世的かつ悲観的な考え方の持ち主であった事と、自虐的な人柄であっと事と、幾多ものいじめや挫折などを経験した壮絶な生涯を送ってきた事や、世の中と人生の不条理と人間の暗部や自身のような弱者の悲哀をテーマとした露悪的かつ厭世的な作風の漫画を描いていた事が被る上に、最期はわずか20代前半の若さで自殺という同じ末路を辿った。
また、媒体は異なるものの、亡くなる直前までの数年間に渡って日記を集中的に書き綴っていた事も共通する。
骸骨姿の主人公=作者繋がり。
外部リンク
氏のブログ。
動画は2017年2月頃に全削除された為に現存しない。
氏に関するまとめ記事。
関連タグ
故人 ニコニコ動画 Web漫画家 漫画家 スティッカム ブロガー 自殺 社会問題 貧困 イラストレーター ワーキングプア メンヘラ