Wの呪い
かめんらいだーだぶるののろい
放送から15年以上経っても尚、根強い人気を誇る平成ライダー第11作『仮面ライダーW』。
近年の映画においても、後輩ライダー達が歴代のライダーの力を宿したフォームチェンジを行う事が多く、Wもそのひとつなのだが、そんなWの力を借りて戦ったライダー達は、何故か後に酷い不幸…ならぬ大罪を背負ってしまう事が多い。
その為、一部のライダーファンの中には、「Wの力は呪われているのではないか?」と憶測する者も少なくない。
果たしてこれは単なる偶然なのだろうか? それとも…。
そんな事例のひとつとして有名なのが、『仮面ライダー鎧武』において強烈な闇落ちぶりを披露した仮面ライダー龍玄こと呉島光実である。
彼は『天下分け目の戦国MOVIE大合戦』において、Wアームズに変身したのだが、後のTV本編において光実はオーバーロードの恐ろしさを知ったあまり、連中に協力しつつ他者を犠牲にしてでも人類を守るという非情な行動を取ってしまい、かつての仲間達と対立(皮肉にもそんな光実にWアームズを与えたのは、自分が最も守りたかった相手の成れの果てだった)。次第には彼らに「クズ」呼ばわりするほどにまで堕ちてしまった。無論、最終的には自責の念に囚われつつも和解したものの、それでも視聴者に与えた影響は計り知れなかった(ただし、光実がここまで自分を追い込んでしまったのも、兄である貴虎から「ノブレスオブリージュ」を叩き込まれた事も一因であり、そもそも光実が登場する作品では何かと問題点を抱える人物も多い為、光実だけに落ち度があるとは言い切れないのも事実である)。
次に、2016年に公開された映画『仮面ライダー1号』において、ダブル魂に変身した仮面ライダースペクターこと深海マコトに至っても、Vシネマ『ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダースペクターにおいて自分の生みの親を信用してしまったが為に親友を傷付ける行為を始めとした計7つもの大罪を背負ってしまう羽目になった(しかもその生みの親は、マコトの妹であるカノンを危険に晒したとしてマコトを殴り飛ばして叱責しておきながら、そのカノンを自分の目的の為に犠牲にしようとするという理不尽ぶりである)。
そして2018年に公開された映画『平成ジェネレーションズFOREVER』において、Wアーマーに変身した仮面ライダージオウこと常盤ソウゴにおいても、後に最低最悪の魔王という十字架を背負う事となった。ただし、これはあくまで未来における話であり、ソウゴ自身は未来から来たという仲間との交流や共闘を経て、「最高最善の魔王」となる事で未来を変えたので、上記の2人よりはまだマシな方かもしれない(最もソウゴは、同じく王になりたかった相手から逆怨みならぬ理不尽な八つ当たりを受けたり、自分と名前が似ている人間やこれまで自分をサポートしてくれた協力者に嵌められるなど、大罪とは別に酷い仕打ちを受けているが…)。
因みに全ての平成ライダーに変身できるという仮面ライダーディケイドこと門矢士は、当然ながらWにも変身できるはずなのだが、実は劇中において一度もWに変身していない。最も彼に至っては、Wに変身する以前に上記の連中以上の大罪を背負っているワケだが…。
上記の様に、仮面ライダーWの力を借りて戦ったが為に、数多くの拭いきれない罪を背負ってしまったライダー達がいる訳だが、そうでなくとも罪を犯してしまったライダーも決して少なくない(実際、強化フォームの副作用で暴走し、人を殺してしまった事例もある)。
そもそも仮面ライダーは元々悪の組織によって生み出された改造人間であり、運命が違っていれば人類の敵になっていたとしてもおかしくはなく、そう考えると存在そのものが罪なのかもしれない。
そして仮面ライダーWの変身者達もまた大罪を背負い、それを償うべく戦い続ける戦士達なのである。
彼らの象徴である「お前の罪を数えろ」と言う様に、彼らの力を借りるという事は、同時に罪そのものも背負う覚悟も必要だったのだろう。
呉島光実、深海マコト、常盤ソウゴ:いずれもWの力を借りた事で大罪を背負ってしまったライダー達。
ウルトラマンベリアル:Wと同年に登場した悪のウルトラマン。こちらに至っても、彼の力を借りて戦おうとしたウルトラ戦士が罪を背負う羽目になっている。