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ケムリクサ

けむりくさ

同人サークル「irodori」制作のオリジナルアニメーション作品、およびそれを元にした2019年1月放送のヤオヨロズのテレビアニメ作品。
目次 [非表示]

赤い霧に包まれた、

荒廃した建造物に囲まれた人気の無い世界を舞台に

3人の姉妹が生き抜く物語。

物語の中心的人物でまとめ髪の特徴的なりん

猫耳でいつもおっとりしている

お姉さんキャラのりつ

メイド調の服に身を包み天真爛漫な

ムードメーカーりな

謎多き世界で

この姉妹が目指すものは一体…

(アニメ公式サイトより)


概要編集

ケムリクサ

ヤオヨロズ所属のアニメーター・アニメ監督であるたつきが代表を務める同人サークルirodori」による自主制作アニメーション作品。

2010年2012年制作。サークルの作品としては第4作目となる。

2012年10月27日、「第24回CGアニメコンテスト」にて作品賞を受賞。


2017年12月に開催されたコミックマーケットに参加した「irodori」出品ブースにて、本作の主人公の一人である凛の後ろ姿が描かれたモノクロアートのチラシが配布される。そのチラシの右下端にピンクで「TVアニメ 始」と刻まれており、訪れたファンの間で話題となった。

そして翌2018年2月11日、ヤオヨロズの近況トークイベントにて正式にテレビアニメ化が発表された。

2019年1月から、TOKYOMXチバテレビとちぎテレビ三重テレビサンテレビおよびBSフジ、ついでにフジテレビ系1局にて放送。ついでに2ヶ月遅れながらTBS系約1局でも放映している。また、Amazon Prime Videoでの独占先行配信も行われている(但し好評を受けそれを利用し無料配信もやったことがある)。


放送開始と同時期にはウルトラジャンプにてたつき自身による物語をわかばの視点から見たスピンオフ漫画『ケムリクサ わかばメモ』が連載されていた。


配信&DVD&Blu-ray予約のAmazonの売れ筋ランキングにも入っている。

参考①

参考②


放送終了後の2019年4月3日には最終話直後の状況の話と思しき“12.1話”がネットで公開された。

何か続編の展開を示唆するかのような内容であったが、それからその後のエピソードが作られる事はなく、これ以降の作品展開は行われていない。


内容編集

前年にほぼ同スタッフで制作されたTVアニメ「けものフレンズ」と比べて、ハードで退廃的な世界観となっている。物語序盤の展開などは件の作品と似通った点がいくつかみられる(自主制作版を考慮するとある意味こちらが先だが)が、それ以外は世界を旅するという要素を除いて違う方向性となっている。


自主制作版ではショッキングなシーンが描かれている他、TV版でも「死」と隣合わせな環境における登場人物の姿を描くなど、ほんわかした絵柄からは想像のつきづらいギャップのある描写が特徴。スタイリッシュなOP・EDからもその点は窺えるが、極限状態においてもマイペースさを保つ登場人物が多く、意外にもゆったりとした雰囲気を醸し出している。


監督を務めるたつきらしく、毎話に謎が散りばめられており、視聴者がそれらを受けて様々な考察を行うことが、作品の楽しみ方の一つともなっている。

ただし、本編で描かれたあるいは言及された情報以外の本作の世界背景に纏わる裏設定に関しては放送終了後も謎のままになっているものが多い。


制作スタッフ編集

自主制作版(OVA)

監督・アニメーションたつき
モデリングタチ
キャラクターデザイン・2D平安
背景美術ゆっこ
ちゃぼ
音2かきね
スペシャルサンクスema
スペシャルサンクス2毎月見て下さった皆さん

主題歌

ED新世界へのプロローグ箸休/hashiyasume

テレビアニメ版編集

原作・監督たつき
作画監督伊佐佳久
美術監督白水優子
スペシャルサンクスエイベックス・ピクチャーズグッドスマイルカンパニー集英社ウルトラジャンプ編集部、バンダイバンプレストフライングドッグローソン、BANDAI SPIRITS
アニメプロデューサー福原慶匡
制作ヤオヨロズ
製作ヤオヨロズケムリクサプロジェクト

主題歌

OPKEMURIKUSAナノ
EDINDETERMINATE UNIVERSゆうゆFeat.ケムリクサ

※EDは自主制作版と同じくVOCALOIDによる歌唱になっている。最後まで見ると・・・。


登場キャラクター編集

※CVは2010年版 / 2019年版

()は同人版での漢字表記

※りく以下のキャラクターはTVアニメ放送開始前に配信された前日譚短編映像にて登場


凛りん

CV:琥遥ひより (同人版)/ 小松未可子(TV版)

姉妹の一人。四女。毛先が上を向いたポニーテール、首元に巻いた白いマフラー(同人版では黄緑色)とライダー風の黒いスーツを着込んだ少女。

真面目で勝ち気な性格をしており、姉妹の中では事実上のリーダー的存在として振る舞っている。


律ケムリクサの二人

CV:kokko(同人版) / 清都ありさ(TV版)

姉妹の一人。三女。巫女装束のような服とアホ毛の付いたロングヘアーと猫耳・しっぽが特徴の少女。

拠点で「木」の管理と防衛、拠点付近に現れた虫の検知、そして「木」からケムリクサを生成する役目を担っている。

心優しい性格で、姉妹たちのまとめ役を務める。


りなちゃんケムリクサ

CV:桜音恋(同人版) / 鷲見友美ジェナ(TV版)

姉妹の一人。五女。 パッツン前髪にツインテール、メイド風の衣装が特徴の少女。

とある経緯から6人に分身したが、現在は「りなっち」「りなじ」「りなよ」「りなむ」の4人となった。

無機物を摂取することで増殖でき、さらにその食べた資材を複製生産する能力を持つ。


ケムリクサアホ

CV:方広寺悠宇(同人版) / 野島健児(TV版)

姉妹が「ミドリ」を育てるために置いていた水槽の中から現れた謎の青年。

記憶を失っており、自分が何処から来たのかも分からず、当初はりんに警戒され殺害されそうになるも、虫との戦いでりなを命がけで助けた事でりん達の仲間になる。


最近描いたケムリクサまとめ2

CV:小松未可子

空橋のヌシの残骸の中から現れた小型の虫。

起動直後から一行を尾行しはじめ、主人と認識したわかばに何度か協力した後で改めて彼らの旅に同道するようになる。


りく姉

CV:桜音恋 / 天沢カンナ

姉妹の一人。次女。 黒いフード付きのコート、そして鋭い目つきとギザ歯が特徴の少女。

自身を俺と呼ぶなど男勝りな口調と性格をしていたが、りつのケモミミを触っては喜ぶという可愛らしい所もあった。

能力は“触覚特化”だったとされ、姉妹の旅の中では水探しで活躍していたという。


ぴゃあ゛っ⁉️

CV:関根明良

姉妹の一人。末っ子。セーラー服に眼鏡というまるで現実にいる女学生のような感じの少女。

子供っぽい性格をしているが、知的好奇心に溢れ、知識を深めること、知らないことを調べてそれを知ることを楽しいものだと考えている。

この世界の滅びた旧文明の遺物、残骸などに対して強い興味を持っており、それらの収集や研究を積極的に行っていた。


センシティブな作品

CV:三村ゆうな

姉妹の一人。長女。セクシーなチャイナ服を着たスレンダーな女性で、短めのおさげ髪と線目が特徴。

言葉遣いこそおっとりとしたのんびり屋のようだが、何よりも虫との戦いを楽しみ、さらにもっと強い虫との対決にも期待を抱くようなかなりの武闘派気質な性格。


姉妹の会話にのみ言及された自分達を生み出したとされる存在。

姉妹達を創造すると同時に入れ違いの形で死亡したとされ、何か彼女たちに行動の指標となる情報を残そうとしていたようだが、それがあまり意味不明かつ理解不能な内容だったことから、りょくはこの存在を信用していい人物なのかどうかを疑っていた。


ムシの一種である「シロ」が示唆した存在。


用語編集

本作のタイトルであり、キーアイテム。

本作の世界の中に存在する半透明に発光する植物のような物体の総称で、だいたい何かしらのに見える形状をしている。

複数の種類があり、色ごとに働きが異なる。


  • 姉妹

ケムリクサlog

りつ、りん、りな、そして今は死亡しているりょう、りょく、りくの6人の姉妹

顔つきと格好、そして性格もバラバラだが皆共通してマゼンタに近い赤い色の頭髪をした10代~20代程の女性の姿をしているのが特徴。

姉と妹の順番は分割後に目覚めた順らしい。


通常の“人間”と違って生きる上で肉や野菜といった食物は不要で、代わりに水を栄養源にしており、一度に大量の摂取を必要とする反面、最低でも10日程度はそれだけで保つらしい。


感覚の方も常人とは微妙に異なっており、特に触覚については“致命傷を負っても痛がらない”、“わかばが悶絶する程熱い赤霧の中に入っても熱そうな素振りが無い”等、痛覚に対してはやや鈍感であると思しき描写がある。また視覚についても、りん以外の姉妹は赤霧が「赤い」ということが分からないらしいことが描写されており、後述する「感覚特化設定」は旧版から受け継いでいる。


体内に赤色の「ケムリクサ」と思しき葉を内包しており、それが失われない限りは不死身で、作中では腕が吹き飛んでも即座に再生できたが、本人の体力に対応しているのか弱ったりすると中の葉が萎れた状態になり、そして何らかの理由で致命傷を負った場合はマゼンタピンクの細かい葉を無数に散らしながら消滅する。


服装、髪型、語尾と姉妹それぞれ属性過積載の傾向があるのだが、自分で始めたとされるキャラ付け以外はどういう由来と根拠によるものなのかは不明となっている。


自主制作版の設定では2000年前に物語の舞台である星に不時着した異星人(さいしょのひと)が、星の環境に適応するため自らを7体に分割したことで生まれた存在。律曰く「仲良し萌え萌え七姉妹」。

そうして生まれた「ななし」「稜(りょう)」「綠(りょく)」「陸(りく)」「律(りつ)」「凛(りん)」「鳴(りな)」の七人はそれぞれ「ななし」またさいしょのひとから継承されたのか、各々がそれぞれ一つの能力、感覚に特化しているが、反面対応していない感覚は鈍い様子。


同作においても姉妹は自分たちを「人間」であると定義しているが、虫に破壊された鳴の体の断面がピンク色であり頭部を抉られるほどの致命傷を負っても普通に会話ができ、死後は体が霧散するなど、人間(むしろ生物)としては異質なものとなっている。またわかばに対して「血が赤いのは虫だ」とも発言している。


なお長女(?)であるななしはオリジナルから記憶と情報を引き継ぐも、分離直後に自害したという(動機は不明)。


アカムシ

物語の舞台となる空間の中に多数生息している謎の物体の姉妹間における俗称。

サイズや造型は様々だがその外観は呼称の通り節足動物を彷彿とさせ、高度な機械技術で形成されたロボットのようでもある。


廃墟を彷徨くだけの無害な白いタイプとりん達を執拗に襲う凶暴な黒いタイプが存在しており、後者は姉妹から「アカムシ」と呼ばれ、黒ずんだボディに歪な葉脈状の赤いラインが走っているという実に禍々しいカラーリングが特徴。バラバラにする程度では機能停止できず、倒す為には大きさに関わらず、緑のケムリクサを使うか一撃で粉々に破壊する必要がある。

大型のものになるとりん以外の視覚に難がある姉妹たちでも各々の感覚で察知できるくらい臭いが強い。

そのアカムシも機能停止したりケムリクサの作用で大人しくなると白いタイプのように色が抜けて無害化し、破壊された際にはヒトの血に似た赤い液体が流出する(この特徴の為、わかばは最初アカムシの一種だと姉妹たちに思われてしまった)。


ソラバシのヌシ

中には全長10m近くありそうな巨体を持つ「ヌシ」と呼ばれる個体もおり、三島と四島を結ぶ空橋の上で襲ってきた個体はただ巨大なだけでなく強力な熱線砲まで撃てるなど、完全に軍事兵器レベルの戦闘能力を有している。


本来は過去にこの空間で行われていたある業務をサポートしていたドローンの一種。

彼らもまた姉妹と同様にケムリクサによって生み出され、そしてそれを核にして稼働している。

このため、一部の正常状態のムシはこの空間のかつての管理者の因子を受け継ぐ者を自身の主人と認識してそれの指示に従うような行動を取る。

「ヌシ」と呼ばれる形態への巨大変形機能も元から備わっていたものであり、さらに個体同士が合体して特定の用途に合わせた機能を持った「ヌシ」へと変化する事も可能となっている。


自主制作版でも登場したものは凛たちが木を維持するために行っている水の収集を妨害するが、その目的は不明。「ヌシ」と呼ばれる大型は人語を発し、彼女たちにマニュアル的な言葉で警告する場面も見られた。


  • 赤霧

本作の世界に充満している赤い霧のようなもの。

有臭性で空気よりも重く滞留しやすい。

中は高温で腐蝕作用もあり、姉妹やわかばなど人間には有害で、長時間この霧の中にいると命に関わる。

また、りんでも見通せないほど色濃くなることもあり、りつ曰く「雑音が酷い」ため、アカムシがこの中に潜んでいると察知するのは難しくなる。そのため姉妹たちはこれをアカムシとともに常に警戒している。


その正体は暴走ケムリクサの集合体が放出しているケムリクサの育成を阻害する粒子。

しかもムシのプログラムに干渉する情報も含んでおり、これに触れてしまったムシはそのプログラムを書き換えられてケムリクサ(とそれを内包する存在)を敵と認識して破壊しようとする「アカムシ」へと変貌してしまう。


りん達が拠点として使っている、広島電鉄1900形1904号「かも川」と思しき鉄道車両。

荷重強度に優れ車輪が可動状態である為、『ミドリちゃん』を保護しつつ移動ができる優れ物。五島で発見したとのこと。2話以降は遠征用に貯水槽(電話ボックス)を上部に取り付けられた。

軌道があればミドリちゃんの根で押しながら走行し、軌道が無ければ根を脚とすることで多脚戦車の如く歩行する(大型の虫に似てなくもない)。

半分に割れているのは、DVD付属の私的資料集『ケムリクサIROIROBOOK』によると最初から半分だったとの事。


本作のキャラクターが存在している空間の総称。

日本における九州の長崎県から関東の東京までの街並みが再現されているが、その建造物の大半は半壊状態になっている。

現実にもある地理用語なのだが、ケムリクサの世界では海洋は存在しないため「居住・長期滞在が可能な陸地」くらいの意味と思われ、姉妹たちはたとえ地続きになっていても”壁”を境に別々の島とみなしている。


姉妹たちが島と島の境界とみなしている巨大な構造(?)物。

一島から六島までのはほとんど破壊されているが、七島以降からはまだ完全なものが残っている。

全体的に青いガラス質で出来ており、その正体は青のケムリクサが展開する障壁とほぼ同質の存在であると考えられ、壁自体はケムリクサの操作と同じ要領で一部の開放が可能になっている。

一方で、危険を察知すると青い霧状の粒子を放出して近辺にいる虫を汚染し、赤虫のように凶暴化させてしまう機能も備わっている。


岩盤の掘削を目的とした地上最大の自走可能な乗り物。詳細は当該記事を参照。

本作では本来の掘削用途では使われず、本編より過去の時間軸にてホイール部分を回して物を引き上げるクレーン車のような重機として利用されていた。

また、陸上ではなく空中を浮遊して移動するという実際には無い機能で稼働していた。


初期の作品イメージビジュアルに大きく写っていたり、ED映像に於いて後ろで回転している色々な物体が混ざったオブジェクトの一部になっていたりと、ストーリーに関わる事が容易に推測されていた。

尚、初期構想では電車車両では無く、これを移動拠点にする案があった。



自主制作版イントロダクション編集

ずっと昔、さいしょのひとが船に乗ってこの星に不時着したとき

船の外は紅霧に汚染され外に出られませんでした。

さいしょのひとはこの星で生きていく為に、

ピンクの液体を使い自分を7分割し、

それぞれに特化させた能力をもたせました。


そのうちの一人は脳を特化させ、

さいしょのひとの記憶と情報を引き継ぎましたが、

分割の直後に自ら紅霧に飛び込み死んでしまいます。

残った6人は手探りで生活をはじめました。


近くに生えていた樹のまわりは紅霧の濃度が低いこと、

紅霧のなかには虫が出ること、虫には樹から取れる葉が有効なこと、

色々なことを時には命がけで学んでいきました。

それぞれ名前もつけ、互いに識別しやすいように髪を結わえました。


それから2000年ほどの月日が流れました。


関連動画編集

自主制作版(前編)

※自主制作版後編はirodori自身が削除している。

ED曲が関係していると推測される。


あれこれ編集

Blu-ray/DVD初週売上は第1巻が5,752枚、第2巻は12,379枚と、2019アニメの中でも記録的な売上となった。


第1巻の初週がやや低いのは、当初初動予測を5,000枚程度と過小評価していたことが主な原因。基本的にたつき監督のオリジナルアニメは所謂スルメであることが多く、初動よりもじわ売れタイプであるためである。

ところが本作は予約開始直後に注文が殺到、この為販売サイドで若干の混乱が起こった。初回限定盤が即日完売したため、通常版の予約がある程度溜まったのだが、その時点で初回限定盤の追加販売が決定。予約の差し替えなどで混乱がおき、結果として初週売上がやや低い結果になった。

ちなみにたつき監督はこの情報に驚愕していた。


たつき監督とはカップヌードルのCM用オリジナルアニメ以来の付き合いである日清食品とのコラボも実現している。



関連タグ編集

自主制作アニメ TVアニメ 2019年冬アニメ

たつき監督 ヤオヨロズ株式会社

ポストアポカリプス

煙草/タバコ:タイトルや一部キャラクターの由来と思われる。


けものフレンズ(アニメ):irodoriメンバーが制作に携わったテレビアニメ作品。


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外部リンク編集

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