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メタルギアREX

めたるぎあれっくす

コナミから発売されているステルスアクションゲーム『メタルギアソリッド』に登場する核搭載二足歩行戦車。「核搭載二足歩行戦車」として開発された事実上最後のメタルギアである。
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概要編集

2005年アメリカ合衆国アラスカ州・フォックス諸島沖にあるシャドーモセス島の核廃棄処理施設に偽装した基地において、アメリカ陸軍(及びDARPA)と大手兵器開発企業「アームズ・テック社」によって極秘裏に開発されていた核搭載二足歩行戦車。その名称は第二次世界大戦中に連合国が旧日本海軍水上戦闘機強風」につけていたコードネームに因むもの。


開発は国防省長官ジム・ハウスマン、DARPA局長ドナルド・アンダーソン、アームズ・テック社社長ケネス・ベイカーの3人の主導の下、新型核弾頭の開発計画と並行して進められており、ハル・エメリッヒ博士(オタコン)を初めとした開発チームに、TMD(戦域ミサイル防衛)用の撃墜弾体射出システムのプラットフォームと偽って設計・開発させていた(ちなみにこれらREXと新型核弾頭の開発プロジェクトは、いずれも『愛国者達』には無断で進められていた計画である)。


ソ連のグラーニンの設計を発端とする本来の核搭載二足歩行戦車のメタルギアとしては、事実上の最後の世代にあたる機体である(作中に登場した最後の核搭載二足歩行戦車でもある)。


本機はメタルギアソリッドシリーズの記念すべき第一作目に登場した、同シリーズを代表する最も有名なメタルギアであり、メタルギアと言われれば大抵のファンが真っ先に連想するのは本機である(MGS4でシリーズ初のプレイヤー自身の手で操作できるメタルギアとして、再登場した事も大きい)。


機体解説編集

機体は完全密閉型コックピットと左右にガトリング砲2基を搭載する大型のスポンソンを備えた頭部とレールガンとレドームを備えた後部モジュール、対戦車ミサイルを膝部分に備えた逆関節型の2つの脚部からなり、その様はティラノサウルス・レックスに近い。


武装として撃墜体射出用大型レールガン30mmガトリング砲、FEL(自由電子レーザー砲)、対戦車ミサイル等々を装備している。機体自体の密閉性も非常に高く、堅牢なセラミックス複合装甲を採用している為に、高性能な成形炸薬弾でもなければ有効なダメージを与える事はできない。

しかし、オタコンの「人も兵器も弱点が無ければ可愛くない」という美学から、REXのコックピットには覗き窓等が全く無く、外部からの情報収集は機体後部右側のレドームに格納された各種レーダーやセンサーのみに頼っており、そこから全ての外部データを収集するという弱点が意図的に盛り込まれている。

操縦システムは各種センサーで収集した視覚情報などの外部情報をコックピット内部のモニター上に投影する一種のVRシステムになっている為に、センサー類が集中しているレドームが破壊されれば、パイロットはコックピットハッチを開いて肉眼で直接外部を視認・索敵しながら操縦するしかなくなる。


さらに実は、ロボットアニメオタクである開発者のオタコンによって極秘で格闘用モーションが組み込まれており、後述のメタルギアRAYとの戦闘では対メタルギア用メタルギアとして開発されたRAY相手に勝利を収めている。


なおコイツもRAYも特徴的な咆哮をあげる事があるが、これはパーツ同士の干渉による軋み(金属製のドアを開ける時の蝶番の金属音に近い)によるもので、性質上咆哮というよりパーツの寿命を削る悲鳴である…筈なのだがメタルギアの名を冠する兵器のほぼ全てにこの咆哮は搭載されておりいつまで経っても直される気配がない。


ロマン…だろうか


武装及びシステム編集

30mmガトリング砲編集

かのA-10に搭載されているGAU-8「アヴェンジャー」。REXでは架空の6砲身型「XGAU-8/R」を頭部コックピット両脇のスポンソンに左右1基づつ計2基搭載している。

撃ち続けると高熱で焼き付く恐れがある為、冷却の為一定時間停止する。


対戦車ミサイル編集

現実ではAH-64等に搭載されている「ヘルファイア」。REXに搭載されているのはセミアクティブレーザー誘導方式のP型で、両膝部及び後部のミサイルモジュールに装備している。

発射すると装填に時間がかかる為、連発はできない。


FEL(自由電子レーザー編集

REXの股間部に1基装備されているレーザー砲。

巨大な電磁石で加速した電子ビーム内部にレーザーを入射することで出力を大幅に増幅させたレーザー砲で、REXに搭載されたものは通常の化学レーザーの10倍に及ぶ100メガワットの高出力を実現している。チャージ時間がある為こちらも連発はできない。


撃墜体射出用レールガン(ステルス核弾頭射出システム)編集

REXの後部右肩部に搭載された大型レールガン。REXの従来のメタルギアとは異なる最大の特徴である。


表向き「TMDに用いる撃墜体射出用レールガン」とされているが、実際には最初から核弾頭を射出する事を目的としており、非常に高い加速力によって理論上世界のどこへでも弾頭を到達させることができる核砲弾射出システムである。そして、これを利用して核弾頭砲弾のように撃ち出せば、原理的には大砲と同じである為に、通常のミサイル兵器に伴う推進剤の燃焼を行わずに核弾頭の大陸間到達が可能であり、噴射炎などを捉える現行の弾道ミサイル警戒システムでは探知する事ができない(文字通り、大陸や大気圏すら超えて弾頭を撃ち出せる巨大な大砲なのである)。


さらに本機で運用される予定だった新型核弾頭そのものが、レーダー反射断面積(RCS)低減や電波吸収素材(RAM)の使用など各種の撹乱技術が施された、まさにステルス核」と言えるものである。また、ロケットブースターを使用しないのでコスト面でも優れている他、核弾頭の運搬手段がミサイル爆撃機では無い為に、詭弁ながら戦略兵器削減条約に抵触しないともされている(オタコンはあえて「有効な主張」と評していた)。加えて湾岸戦争の教訓から地中貫通式核爆弾である。


核発射制御システムは通常時はロックされており、DARPA局長とアームズ・テック社社長の2人しか知らない暗号コードを、両方打ち込まなければシステムのロックは解除されない。しかし非常時用の安全装置として、PALキーによって発射システムのスタンバイ・解除のいずれかを行えるシステムが極秘裏に用意されており、さらにPALキーは3つ必要であり、それを指令室の3つの端末に入力する事で操作できるシステムである(実際はPALキーは1つで、形状記憶合金で出来ており、温度変化によって3つの鍵の役割を果たすようになっている。小説版ではPALキーと登録された生体情報の2つで解除されるようになっていた)。


隠密展開即時発射可能なメタルギアの核搭載二足歩行戦車としての利点と、ステルス化された『見えない核弾頭』に加え、さらに『地下基地なども破壊可能な地中貫通式の核』の面まで併せ持っているREXの存在は、「どこから核が飛んでくるか分からない」というまさに東西冷戦時代の先制核攻撃の恐怖の再来であり、悪用されれば世界の核バランスを崩壊させかねない存在であった。

REXはかつてオタコンの父親も唱えていた「核搭載歩行兵器での核抑止」という理論の下で作られた核搭載歩行兵器の究極形と言える機体なのだが、皮肉な事に逆にその理論の不完全さ、むしろ既存の核抑止理論すら崩壊させて世界のバランスを崩しかねない危険性を自ら体現してしまった兵器なのである。その為に、リキッド・スネークからは「21世紀を導く悪魔の兵器」と評されている。


ただしレールガンのデータ上でのスペックはアームズ・テック社の誇張が含まれており、『シャドーモセスの真実』ではナスターシャ・ロマネンコのローレンス・リバモア国立研究所への極秘インタビューによると、実際のレールガンは命中精度は完成段階ではあまり高くなく、その為にオタコンは通常のミサイル・モジュールも装備されていたと述べている。それ故にREXと新型核弾頭の発射システムを完成させるデータ収集の為にも、シャドーモセスでの模擬核弾頭発射演習が行われたのである。


格闘プログラム編集

オタコンが、密かにREXの制御システムに隠していた白兵戦時を想定した戦闘プログラム。


巨体である上に、そもそも遠距離での核攻撃を想定された兵器であるメタルギアが白兵戦の状態になる事自体がRAYの開発まで当然ながら想定されておらず、同等の兵器がないとありえない上にそもそもREXの運用目的には完全に不要なものだったのだが、ロボットアニメオタクとして自分が完成させた二足歩行ロボットに格闘能力を持たせたかったオタコンの独断で、密かに実装されて秘匿されていた。


その為にこの格闘プログラムについては、アームズ・テック側も開発計画の関係者もリキッドも全く知らず、だからこそMGS4で彼が再起動して直接制御した際には、リキッドが操縦していた時よりも大立ち回りができたのである(その為にMGS時のREXは、本領を発揮できてはいなかったと言える)。


各種格闘モーション

  • 蹴り:相手へハイキックをお見舞いする。

  • 噛みつき:コックピット部分である顎部関節で噛み付いた上に、そのまま持ち上げて一気に地面に叩きつける。操縦者は大丈夫なのかと色々不安になる攻撃である。さらに持ち上げた状態から、股間部分の自由電子レーザーをぶちかますモーションもある。

  • 踏みつけ+自由電子レーザー:REXがひるんだ相手に全重量で飛び降りた上に、さらにジャンプして自由電子レーザーをぶちかます。

  • 体当たり:REXの頭部で、相手を壁で押しつぶすが如く体当たりをけしかける。

  • 対戦車ミサイル一斉射撃:噛みつきの発展型。地面に叩きつけた上に、さらに追い打ちをかけてミサイルを直接浴びせる。これでトドメを刺すと何とも言えないカタルシスに至る。

…最早歩兵と兵器を繋ぐ歯車どころか、グラーニンも驚愕のビックリドッキリメカである。

流石にこのロボットアニメのロマン全開の「オタ魂」だけは、グラーニンも含めた古今東西のあらゆるメタルギア開発者や、その関係者達も誰一人発想できなかったであろう(というか、これらの格闘プログラムを「オタ魂」だけで一人で組み上げて、実際に機体に実装して見せたオタコンが凄すぎる)。



劇中の活躍編集

MGS3編集

メタルギアシリーズの時系列では、1964年のソ連において科学者であるグラーニンの草案が最初となる。


しかし当時は二足歩行戦車の優位性が確立できず机上の空論の扱いをされていた為に、ソコロフが設計したシャゴホッドの方が採用されてしまっていた。

後に、それを不満に感じたグラーニンがアメリカの友人に設計図を渡し、さらにオセロットによってCIAに渡され、技術情報は二つのルートからアメリカ側に渡る事となった。

余談だがグラーニンのオフィスには、エメリッヒとの写真やREXとRAY、そして何故かジェフティの模型があり、一種のファンサービスになっている。


MGSPW編集

グラーニンから渡った技術の転用の結果、実際にCIAでピースウォーカーが、ビッグ・ボス率いるMSFでメタルギアZEKEが最初の実機としてそれぞれ完成しており、特にZEKEの技術は後にREXに引き継がれたらしく、フォルムにその影響が見てとれる。ただしこの当時は、いずれも有人型ではなくAI制御である(小説版では、ZEKEの方は有人操作システムも入っていた)。


MGSV編集

REXに至るまでには「サヘラントロプス」が技術的には通過点としてある模様。ただし、サヘラントロプス自体はグラーニンの草案からはやや離れたものである上に、ハッキリ言って兵器としては欠陥品である。


ここで、グラーニンの草案から誕生したメタルギアの技術は、直接のものとしては一旦は途絶える事となる。


MGS編集

アームズ・テック社とDARPAは、シャドーモセス島の基地で繰り返されていたVR上の仮想演習のデータを具体的に裏付けるべく、模擬弾頭による最終演習を行おうとするが、その直前に武装蜂起したリキッド・スネーク率いるFOXHOUNDと次世代特殊部隊によって奪取される。


リボルバー・オセロットが暗号コードを聞き出す前にドナルド・アンダーソンを殺害してしまった事で(実際は口封じの為に意図的に殺害した)、核を撃てない状態だったが、リキッドの罠に嵌められたソリッド・スネークによって、核発射モジュールのロックが解除されてしまう。

リキッドに駆られたREXはスネークと対決するが、開発者であるオタコンのサポートと、グレイ・フォックスの活躍もあってレドームを破壊され、スティンガーミサイルを直接コックピットに撃ち込まれた事で、コックピット内部が損傷して活動を停止し、機体はそのまま放棄される。


事件後、オセロットによって持ち出されたREXの設計図と演習データがブラック・マーケットにばら撒かれた事で、メタルギアの亜種が世界各地で生み出される事になった。


MGS4編集

REX本体は擱座したそのままの状態で放置されていたが、SOP導入以前に作られた裸の核弾頭を求めたリキッド・オセロットによって、搭載されたままのステルス核弾頭とレールガンが持ち出された。


損傷したコックピットは、メタルギアMk.Ⅲ経由でオタコンがシステムを組み直し、無事な部分で操縦可能にした事で再起動に成功する。そして自爆型月光が迫る中でスネークに操縦されて、月光達を蹴散らしながら地下基地から脱出する。しかし直後に、アウターヘイブンに搭載されたメタルギアRAYを駆るリキッド・オセロットに襲撃され、交戦する事となる。

開発者であるオタコンの直接のサポートもあって、後継機であり対メタルギア兵器であるRAYに直接戦闘で見事に勝利する。しかしその直後に機体は限界を迎え、メタルギアMK.Ⅲとの接続が解除されて機能停止した。


レールガンの方はアウターヘイヴンに搭載され、衛星軌道上の『J.D.』を狙って使用されるも、発射直前にワームクラスター「FOXALIVE」によって、アウターヘイヴンに積まれた『G.W.』を含む全代理A.Iネットワークが停止した事で、核攻撃は完全に阻止された。


なお、オタコンが語り部を務める小説版MGS4でもREXの状態について触れられており、再起動には成功したものの、実際には秒単位で自己診断プログラムが喚き立てている有様で、回路を閉鎖するか別系統に回すなどして、REXのサポートをオタコンがリアルタイムで行なっており、「まるでバラバラに分解していく飛行機を、修理しながらどうにか飛ばしているようなもの」とまで評されている(それでも動かせたのは、偏に開発者であるオタコンの高い能力に他ならない)。

また小説版では、交戦したRAYは無人型である量産型RAYを無理矢理有人型に改造したものという設定がなされており、元から有人機として作られたREXという優位も勝利の要因であったと語られている。



余談編集

MPOの拡張版であるMPO+では、REXの格納庫(当然REXも格納されている)が対戦ステージとなっている。

MGSPWでは、REXがモデルのモンスター「ギアレックス」が登場している。

大乱闘スマッシュブラザーズXなどにおいても、シャドーモセス島ステージの背景でランダムで出現し、ファイター達がいるエリアにレールガンやレドームを向けてくる(攻撃はしてこない)。

さらに観賞用フィギュアも登場している。


本機やその他のメタルギアの象徴である咆哮だが、あれはパーツ同士が干渉して軋んで発生する異音であり、当然パーツの寿命を縮めるものである。その為に実の所は咆哮というよりは悲鳴であり欠陥と呼ぶべきものなのだが、メタルギアの名を冠する兵器はどいつもこいつも咆哮をあげ続けている。月光のものは音声がプリセットされているだけなので文字通りの鳴き声でパーツが干渉している訳ではないのだが、そうまでして鳴かせ続けるのはロマンという奴だろうか(月光の音声に関しては、敵兵士に与える心理的恐怖やプレッシャーを狙ったものである可能性も高い)。


また、先述の通りMGS3のグラーニンの部屋には何故か本機の模型が飾られており、MGS4ではノーマッド内のオタコンのコンピューターの近くにも模型が飾られている。


MGS4でリキッド・オセロットは、REXのレールガンをある目的で使う為に、シャドーモセス島から持ち出したのは先述したが、投射軌道が対地と打ち上げと異なるし、期待される核砲弾が及ぼす効果も異なるとはいえ、先述の「命中精度が問題が残る」という点を知っていたのかは不明。とはいえ、演習データの中身を持ち出したのは彼自身なので、それを見ているのであれば当然承知の上だと思われる。また上記の通り、そもそもこの演習はまさにそのレールガンの命中精度の問題を解決する為にも行われたものだったので、演習データを回収していた彼等はレールガンをREXから手に入れた後に、そのデータを用いて命中精度の問題を発射前に改善していた可能性も高い。


ちなみにMGS4でのREXを駆って、月光の群れを蹴散らしながらの地下からの脱出・RAYとの決戦という展開や演出が、同社のがんばれゴエモンシリーズのゴエモンインパクト戦と非常に似通っている。その為に、一部のファンの間では「オタコンインパクト」とも言われている。


立体物編集

東京ゲームショウ2003にて、ザ・ツインスネークス仕様のペーパークラフトが配布されていたのだが、コトブキヤにて1/100スケールのプラモデルとして初代MGS仕様が販売された(リキッド・スネーク、ソリッド・スネーク、グレイ・フォックスのフィギュアが付属)。 当初は後のダメージ仕様(以後:MGS4仕様)を製作する際は、装甲パーツや武装パーツを取り払いコックピットの仕様も展開状態にしなければならなかったが、MGS4仕様(オールド・スネーク雷電、メタルギアMk.Ⅲのフィギュアが付属)も後に単体で立体化された。また、模型オリジナル仕様として特製デカールの付いた初代MGS仕様のブラックバージョンも発売されている。


メガハウスから「ヴァリアブルアクションD-SPEC」というシリーズにもラインナップ。小さいながらもよく動き、コックピットハッチの展開ギミックも再現されている。また、ブラックカラー版も限定で販売された。


ThreeAからは1/48というビッグサイズで発売され、その後はハーフサイズ版も登場している。レールガンの砲口及び頭部のライトが発光する仕様となっている。


関連タグ編集

MGS MGSPW MGS4


オタコンハル・エメリッヒ) オールド・スネーク リキッド・スネーク


ギアレックス


ガンダム試作2号機…同じく敵勢力に強奪された核弾頭が搭載されたロボット。残念ながらこちらは核弾頭が発射され甚大な被害が出てしまった。

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