「静かに暝れ…友よ…」
「満喫したのならとっとと出て行ってくれませんかねぇ…僕の日本から」
概要
黒ずくめの組織に潜入している日本の公安警察官。29歳。階級は警部。右利き。
愛車は白のマツダ・RX-7 (FD3S)。親しい者から呼ばれていたあだ名は「零(ゼロ)」。
手持ちの拳銃は警察用に開発されたH&K P7M8小型自動拳銃(重量780g,装弾数8+1)。
公安警察の中でも「警察庁警備局警備企画課(通称「ゼロ」)」という、全国の公安警察を統括する秘密機関に所属する。警視庁公安部の風見裕也警部補をはじめ多数の部下を指揮するが、立場上表立って事件の捜査を行うことはできず、また接触が可能な警察官も極一部に限られている。
組織にいつから潜入していたのかは不明。本編の4年前の時点では既に「バーボン」のコードネームを得て幹部として活動していた。
表向きの顔である「安室透」は、組織からのシェリー捜索命令を受けたバーボンが、以前から組織に怪しまれていた毛利小五郎に接近する目的でつくり上げた仮初めの存在である。
かつてライとして組織に潜入していたFBI捜査官赤井秀一のことを「スコッチ」の死に関わる確執から酷く憎んでいる。
コナンとはシェリー、そして赤井秀一を巡りバーボンとして、一時敵対したが、自身の正体が公安であるとばれた以降はそれなりに友好的な関係を築いている。
人物
性格
冷静、生真面目。公安の職務中は特に厳格になる。
基本的にはクールな気質だが、極度の負けず嫌いで一度火がつくと執念深い。
普段使用している一人称は「僕」だが、極々稀に「俺」になる。
素は後者であることが週刊少年サンデー掲載の対談記事で明言された。感情を揺さぶられた時や少し常軌を逸した時に出てしまうらしい。
職務への誇りなのか郷土愛なのか日本への愛情がやたらと強い。
好きな食べ物はセロリ。嫌いなものは赤。赤色の物体や赤を連想させる名前の付くもの全てに拒否反応を示す。ただし日の丸の赤だけは例外。
能力
公安警察・降谷零、組織の探り屋・バーボン、探偵兼喫茶店員・安室透の3つの「顔」を持ち、それを他者に悟られないよう演じ分けながら全ての仕事を掛け持ちでこなす様はファンや公式から「トリプルフェイス」と称され、降谷のある種の特殊技能と捉えられている。
また、多才なキャラが多い本作においてもとりわけ多芸な人物で、彼が習得している技術は劇場版やスピンオフで披露されたものも含めれば枚挙に暇がない。
代表的なものは、趣味でもある「ボクシング」「ギター」「料理」や、松田に教わった「爆弾解体」、萩原に触発されて習得した「ドライビングテクニック」など。
コナンに引けをとらない推理力を持ち、身体能力も作中屈指の実力を見せている。
作者曰く、赤井さえ関わらなければなんでもできる。唯一の苦手が赤井秀一、とのこと。
過去
幼少期
両親の片方が外国人であり、日本で生まれ育つがハーフであるためその目立つ髪色をからかわれ、喧嘩と怪我が絶えなかった。
19年前、それを見留めた女医の宮野エレーナに同じハーフだった事から目をかけられ親しくなる。宮野一家が医院を畳み組織の研究施設に移るまで彼女との交流は続いた。
同時期、長野から転校してきた諸伏景光と出会い、お互いに「零(ゼロ)」「景(ヒロ)」と呼び合う親友となる。
警察学校時代
22歳で警視庁警察学校に歴代一の成績で入校、鬼塚教場に在籍する。
警察を志した動機は、当時行方知れずとなっていたエレーナを探すためという個人的なものだったが、同教場の松田陣平・伊達航・萩原研二・景光の4人の親友と過ごした日々を経て、日本と国民を守る警察官になるという使命を抱くようになった。
この時期にスカウトを受けたことから、卒業後に警察庁に入庁しゼロに配属された。
人間関係
安室透として潜入した先で親しくなった少年。正体を知られた後も普段は安室透として接し、公安や組織としての動向は隠している。
当初はただの子供と見ていたが、眠りの小五郎の真実に気づいた後は認識を改め「恐ろしい男」と評した。抜群の頭脳に加え、阿笠博士の発明品による、彼の大人顔負けの捜査手腕には絶大な信頼を寄せている。
コナンの正体が幼児化した工藤新一であることには気づいていない。
と思われたが最新の1136話にて前々からコナンと新一は似ているという疑念を持っていた事が判明し、遂に同一人物だと確信した。
組織を追い来日しているFBI捜査官の一人で、2年前まで組織で「ライ」の名で活動していた元潜入捜査官。降谷にとっては、スコッチ/諸伏景光に拳銃を手渡し、彼の自殺を手助けした男。
ライ時代から赤井の能力を見抜き誰よりも高く評価しており、コナンと並ぶ「僕より怖い男」と評する。同時に、それほどの実力者である赤井が同じ潜入捜査官であるスコッチの命を容易く見捨てたことが許せず、「殺したいほど憎い男」と激しい憎しみを向け続けている。
赤井とコナンは協力関係にあり、コナンが手に入れた情報を元に赤井が詳細を調べる形で降谷の正体は彼らに暴かれた。降谷が一貫して赤井を嫌っている一方で、赤井の側は同じ組織を追う者として降谷を割合好意的に見ている。
- 諸伏景光(故人)
小学生時代からの幼馴染でかけがえのない親友。降谷に料理を教えた人物。
警察学校卒業後は警視庁公安部に配属され、降谷と同様組織に潜入。スナイパーとして成果を上げ「スコッチ」のコードネームを得たが、数年前に組織に公安であることが露見し、目の前にいたライの拳銃を使って自殺した。彼の死は降谷にとって大きな傷となった。
- 松田陣平(故人)
当初は反りが合わず殴り合いをするほどだったが、とある事件をきっかけに信頼関係が生まれ、以来気の合う友人となった。爆弾解体技術は在学中に彼から教わったもの。
卒業後は爆弾処理班に配属、その後警視庁捜査一課に転属し、26歳で爆弾の爆発により殉職した。
- 萩原研二(故人)
社交的な性格で同期一のモテ男。降谷のことを「降谷ちゃん」と呼ぶ。実家が車の修理工場で運転が抜群に巧く、降谷のドラテクは間近で見た萩原のカースタントに触発され習得したもの。卒業後は爆弾処理班に配属。22歳で爆弾の爆発により殉職した。
- 伊達航(故人)
降谷たちが所属していた班の班長。面倒見が良く皆に慕われ、卒業後のあだ名も班長だった。警察学校での成績は降谷に続く二位。卒業後は所轄、後に警視庁刑事部捜査一課強行犯三係に配属された。28歳で交通事故に巻き込まれ殉職した。
警察関係者
警視庁公安部の警部補。降谷直属の部下で、頼れる右腕としてこき使っている。
警視庁捜査一課管理官。階級は警視。初登場時は長野県警に出向していた。
表向きには秘密だが実は公安の裏理事官で降谷の上司に当たる。
長野県警刑事部捜査一課の警部で景光の実兄。学生時代に景光経由で面識を持っている。
高明は本来公安に関わる一切の情報を知る術のない立場だが、降谷が匿名で届けたある物により、弟が辿った運命と現在降谷が置かれている状況のおおよそを理解している。
安室透として長野で遭遇した際はお互いに他人のフリを通した。
警視庁捜査一課所属の警部補。直接の関わりとしては警察学校時代に一度言葉を交わしただけだが、伊達や松田、愛車のRX-7を通して間接的な縁がある。佐藤の方は降谷を覚えておらず「安室さん」として認識している。
- 宮野エレーナ(故人)
「宮野医院」の女医。自身と同じハーフである降谷のことを「零くん」と呼び可愛がっていた。
恩人であり初恋の人。わざと怪我をして彼女に会いに行くこともあった。
- 宮野厚司(故人)
「宮野医院」の医師兼研究員でエレーナの夫。顔見知り。
- 宮野明美(故人)
宮野家の長女。怪我をしている降谷を医院まで引っ張ってきたり、エレーナの手当てを手伝うこともあった。後に組織の構成員となる。バーボンの噂は耳にしていたが対面したことは無く、バーボンが降谷である事には気づいていなかった。
宮野家の次女にして、組織の裏切り者の科学者シェリー。バーボンとして彼女を生きたまま組織に連れ戻す算段だったが、想定外の事故により目の前で爆死させてしまった。
実際は、志保の爆死はコナン達による偽装工作で、現在も彼女は灰原哀として生きている。志保は宮野夫妻が組織のラボに移った後に産まれたため、バーボン=降谷と宮野家の交流のことは知らない。
余談
- 安室透と同じく、名前の由来は担当声優の古谷徹氏と彼の担当した機動戦士ガンダムの主人公アムロ・レイ。
- 『名探偵コナン』ではこれまで刑事や交通課の警察官は登場してきたが、公安警察官はモブキャラを含めて降谷が初。公安バレ前のバーボンが登場するエピソード『ジョディの追憶とお花見の罠』では、灰原がコナンとの会話の流れで何気なく公安警察の話題をあげるという形で、バーボン=公安警察の示唆が行われていた。
- 降谷の愛車(RX-7)には「メーカーがマツダ(松田)」「RX-7(FD3S)開発時のキーワードの一つが『The Spirit of Zero 』」「ナンバーが73-10(古谷徹氏の誕生日が7月31日)」「アムロ・レイの搭乗機の型番RX-78の由来がRX-7」「車体の色が白(アムロの異名が連邦の白い悪魔)」と複数のネタが盛り込まれている。
- 赤NGは本編外で語られた裏設定ながら、その影響力は強く降谷の版権イラストには赤を身に着けたものが殆ど無い。クリスマスの定番のサンタ衣装は白色や緑色で乗り切っている。アニメOP48『タイムライン』では、初回放送時は赤色だった降谷のネクタイが次々週から緑色に差し替えられるという珍事件が起こった。