棲み分けとは
- 生活様式のほぼ等しい異種の生物群が、生活空間や生活時間・時期を分け、競争を回避しながら共存する現象。
- 銀行と消費者金融、トラック輸送と鉄道輸送と海上輸送のように競合関係にある業界が、それぞれの特色を生かすことで共存している状態。類似したものがうまく共存すること。
すみわけ【棲み分け】の意味 - 国語辞書 - goo辞書より引用
「住み分け」とも書く(本項では記事名に合わせて難しいほうの漢字に統一する)。
pixivにおける「棲み分け」の概要
主に下記の事柄が、棲み分け問題(または注文の多い閲覧者問題)となっている。
- 全年齢におけるきわどい描写は問題だ
- 好き嫌いの分かれる嗜好を避けて通れないのは問題だ
- 原作のイメージと違う二次創作を誰でも見られるのは問題だ
- 二次創作による原作のネタバレは問題だ(→ネタバレを参照)
- オリジナル作品が二次創作に埋もれるのは問題だ(→オリジナルを参照)
- 同名によるタグの競合は問題だ
特に、好き嫌いの分かれる嗜好を二次創作に混ぜることを問題視する人々の声が大きい。
そこで、嗜好を持つ投稿者・閲覧者が「腐向け」タグや「百合」タグなどのタグを入れ、苦手な作品傾向がある閲覧者はマイナス検索を利用するという手段が生まれた。このように一般の閲覧者に不快感を与えないよう配慮してつけられるタグを「棲み分けタグ」という。
※まずは検索のヘルプを参照。(→pixivで作品を検索する方法を知りたい)
※ここでは、好き嫌いの分かれる作品の特徴を「"属性"」「"特殊嗜好"」と記す。
※パーソナルタグという機能もあるが、ここでは作品に登録するタグをさす。
棲み分けの具体的な方法
タグの棲み分けは四種類ある
- 【棲み分けタグ追加 → マイナス検索】 腐向け、百合など"特殊嗜好"に当たる作品を投稿する場合は、その"属性"を表すタグを付け、一般の閲覧者がマイナス検索を使ってその作品を避けられるように配慮する。
- 【棲み分けタグ追加 → AND検索】 動植物や歴史にちなんだ名前では、版権キャラに登場作品名を、そうでなければ上位概念やオリジナル用のタグを付け、閲覧者はAND検索で対象を絞る。
- 【曖昧さ回避】 ABCの代わりにABCDというタグをつける。ABCだけ見たい人はマイナス検索でDをはじくか、ABCのタグを完全一致で検索する。
- 【専用タグ使用 → 隔離】 二次創作の腐向け・百合作品には、腐向け・百合専用タグとカップリングタグのみを付け、原作名タグを付けない(一般閲覧者が原作タイトルで検索した際にヒットしてしまう事を避けるため)。
上記の「隔離」を棲み分けと呼ぶ人が、「普通の(絞り込み検索をしない)検索で混ざったら棲み分けにならない」と考えることがあるが、定義が食い違っているのだ。
棲み分けタグ追加 → マイナス検索
「腐向け」・「百合」タグなどの"特殊嗜好"に関するタグを追加する。
"特殊嗜好"を持つ人はAND検索、苦手な人はマイナス検索をして対応する。
"特殊嗜好"を気にしない人はそのまま検索が可能。
AND検索とマイナス検索を同時に行うこともできる。
"属性"、"特殊嗜好"の出現や拡大にあわせてユーザーの細かな好みに対応でき、
さらにタグ編集により閲覧者もタグ追加ができるため、普及が容易。
また、普及の半ばであっても相応の効果があり、邪魔になりにくい。
ただし、苦手な"属性"に初遭遇・不意に遭遇した場合、意味をなさない。
また、"特殊嗜好"が苦手な人はマイナス検索の手間が増える。
専用タグ使用 → 隔離
「忍玉-腐」・「うた腐リ」など、作品名と"属性"を複合したタグを使用する。
その元となった作品名タグやキャラ名タグなどを付けないことにより、
作品名やキャラ名で検索したときに"属性"を持つ作品がヒットしなくなる。
その"属性"を好む人は専用タグを検索、苦手な人は作品名やキャラ名でそのまま検索が可能。
その"属性"を気にしない人はOR検索をして対応する。
ユーザーの細かな好みに対応でき、さらにその"属性"について無知な人の検索からも除外できる。
ただし、タグのルールが特殊ゆえ、達成にはかなりの(特に投稿者の)賛同・協力が必要となる。
さらに、専用タグ普及ができても統合ができない場合、検索は却って煩雑になる。(ポケ擬を参照)
統合ができた場合でも、その"属性"を気にしない人はOR検索の手間が増える。
またその"属性"が苦手かどうかもわからない無知な人に対して価値観の押し付けになる側面もある。
また、作品の関連用語がうっかり普通の単語と重なると、検索する人の手間が専用タグのせいで増える。
つまり、ともすると原作すら知らない閲覧者がマイナス検索のために作品名だけでなく専用タグも調べるという本末転倒な日常がある。ついでに、略称のタグのみがついた版権絵(上の例でいえば「鬼灯」や「刀剣」のみ)にはマイナス検索ができない。
棲み分けタグについての意見の列挙
棲み分けタグをつければ解決すると思われがちな問題だが、「問題」に関してのラインはあいまいである。嗜好、性的描写、ネタバレなどはライン引きがあいまいだったり、必要性に関する意見も少なくない。
一部のユーザーからは「だったら見なければいい」「ネットだから仕方がない」などの意見もあり、棲み分けに関しては日々討論となっている現状である。
そもそも検索に引っかかってしまえばサムネイルだけとはいえ強制的に目に入るので、「嫌なら見るな」では絶対に済まない。
逆に、
- 閲覧数を稼ぐなどの目的で様々なタグを盛り込む(検索妨害)
- 棲み分けが必要とされる作品に、わざとそれを嫌う人が目にするようなタグをつける
などの行為は荒れる素になるので控えるべきである。
全年齢におけるきわどい描写
性的描写とは言い難いが、きわどいもの(裸体・ノーパン等)が、R-18ではない通常のランキングや検索に引っかかってしまうことへの対応。
きわどい作品によくあるキーワードを絞り込み検索するなど。(ランキングはタグではどうにもならない)
- 「R-15」「R-17.9」「微エロ」などのタグがよく使われる。イラストでは「セウト」「KENZEN」も多い。
- おっぱいに関するタグは多いが、大体は「乳」「ぱい」の文字が入っている。
- 「半裸」なども使われる。「裸」は「全裸待機」などの感想タグに埋もれるため絞り込みづらい。
- 「咥えゴム」から派生した「咥え髪留め」のように、表記揺れを応用してエロと非エロのシチュエーションを棲み分ける場合もある。
- 「えっちなエレン先生」のように投稿数の多いキャラクターに特化した棲み分けタグもある。
好みの分かれる嗜好
百合・BL・リョナ・スカトロ・獣姦・おねショタのような、好き嫌いが大きく分かれやすい傾向(特殊嗜好)の作品が、検索に引っかかってしまうことへの対応。
(勘違いしないでもらいたいのは、同性愛そのものは特殊嗜好ではないということである。ここで言う特殊嗜好は、あくまで同性愛を扱ったジャンルの創作を指すのだ。詳しい事はこちらやこちらを参照されたし)
R-18ではキャラの性別を重視する閲覧者が多いが、SEXの行為などを表すタグはほぼ男女共用。棲み分けについては、女キャラを見たい人が「腐向け」などのタグがついた作品をマイナス検索ではじく一般的なやり方が主。
- 腐向けの場合、「抱き合っていれば腐向け」と考える人もいれば「キスや性行為をしていなければ腐向けではない」と考える人もいる。「じっとりした感じで抱き合っていれば腐向け」と雰囲気を頼りに考える人もいるが、こちらは「シリアス」などの別の"属性"の担当ではないか。
- ケモノと獣耳は、顔が人間に近いかどうかで使い分ける傾向。獣化については「変身の途中か、すでに変身した後か」を重視する観点もあるので該当項目を参照。
- 「干支→干支娘」「サンタ→サンタ娘」「眼鏡→眼鏡っ娘・眼鏡男子」のように男女別で派生するパターンは多いが、一般的な事物では棲み分けに熱心な人がほとんどいないので、派生前の「眼鏡」などをタグに選んでも問題は生じにくい。
- エロやマニアックなものでは「おっぱい→雄っぱい」「肥満化→男の肥満化」「しっぽリボン→男のしっぽリボン」のように男を分かつパターンが多い。
- 「悪堕ち」と「闇堕ち」は表記揺れだが、なんとなく男キャラのタグは「闇堕ち」が多い様子。
- 「女体化」に女性向けが多いため、男性向けの女体化は「TSF」を棲み分けタグとして使う。
- R-18の「逆○○○」タグは、女×男または男×ふたなり用とされることが多い。(例えば逆リョナは女×男。男×男は男リョナらしい)
- 男×男のR-18用タグはとても少ない(BLの「○○攻め・○○受け」は行為よりもキャラ紹介にあたるものが多い)。だから腐女子は臆せず汎用のタグを使えばよいのだが、「腐向け」か「BL」の文字が入ったタグも一緒につけたほうが無難かもしれない。
原作のイメージと違う二次創作
原作とは異なるジャンルやカップリング等の二次創作・捏造・非公式設定(原作にないNLカップリング・夢絵・腐向けや百合などの捏造カップリング描写・二次設定・性転換・パラレルなど)と公式設定を混同し、非公式にもかかわらずあたかも公式のように扱う利用者がいることへの対応。
ネタばらし・非公式に関してはpixiv公式ルールとして定められておらず、また性描写や特殊嗜好(腐向けや百合など)の作品に関しては明確な表記がない。そのため問題ないと思われがちだが、「特殊嗜好を持つ投稿者・閲覧者」にとっては問題がなくとも、「それ以外の閲覧者(原作準拠・未プレイ等)」に不快感を与えてしまう。
作品ジャンルによっては特に、出す場所を間違えると荒れる元となる。荒らしが用いる常套手段として度々悪用されている程、デリケートなものがあるので注意が必要である。
そもそも公式と混同している人がそんなにいるのか、原作未読の人が先入観を持ったところで問題はあるのか、などの意見はあまり省みられない。
原作の対外的なイメージに影響を与えたら権利者が怒って二次創作が禁止される、という大義名分で動くのが二次創作の棲み分け支持者だからだ(原作が二次創作を許可している作品であってもだ)。
トラブルを回避したいのであれば、こうした絵を描く際には棲み分けタグを付与しておくことを推奨する。このトラブルとは自分だけではなく、同じような作品を描かれている方・原作準拠な方に迷惑をかける恐れがあります。自分だけの問題ではないことを理解したうえ、正しくお使いください。
棲み分けタグに熱心な場所ほど感想タグによってほうぼうの検索結果に誤配していくのはご愛嬌。
- 閲覧者が「棲み分けタグ追加 → マイナス検索」では満足せず「専用タグ使用 → 隔離」を投稿者に求める傾向があり、しばしば揉め事の種になる。マイナス検索を求められること自体が不快というのが彼らの意見である。そんな。(AND検索はいいのか?)
- 腐向けの専用タグについては「作品・作者別、腐向け作品リンクタグ」を参照。
- 「solo」はキャラクターが単体で描かれた絵によく用いられる。一人でいる所を探せば二人の関係に悩む機会も減るのでは……。
- 原作のイメージを崩さない二次創作の専用タグは希少。「原作紹介二次」は少数。「原作沿い」はパラレル設定にも使うので一概に忠実とは言えない。「原作再現」「原作準拠」は半ばネタタグ。
- 絵柄なら、作者自身がつけるには向かないが「野生の公式」などはある。
- 「ポケモン擬人化」⇔「ポケモン原型」
同名の競合を回避
普通名詞と固有名詞や、同名キャラクター同士の競合への対応。
ジャンルで用いる造語のタグを作る際に全く異なるジャンルの単語を混ぜて作り、ジャンルの壁を悪い意味で破壊することは望ましくない。
「タグ」項の「版権物のキャラクターについてありがちなこと」、「カップリング」項の「同名カップリングについて」も参照。
「吹雪(艦隊これくしょん)」のような曖昧さ回避タグがよく作られる。
文字数の少ないタグは絞り込み検索に向かない。例えば、花の「桜」を「桜+花」などのAND検索だけで絞るのは難しく、マイナス検索だけならもっと難しい。ちなみに吹雪(雪の)も難しい。
タイトルと主人公キャラが同名の作品で、キャラを絞り込む難しさと似ている。
一般からニッチなものを分ける一方で、一般の側にも棲み分けタグの需要がある。
- 「百合の花」は、本来の意味の「百合」を求めるユーザーが嗜好の「百合」にタグを譲った結果としての棲み分けタグといえる。人名やカップリング名は漢字二文字が多いため、「赤緑→赤と緑」「入江→入り江」のように助動詞や送り仮名があるとかぶりにくい。
- 「ワンピース服」も、「ワンピース」の検索が漫画の「ワンピース(ONEPIECE)」で占められる状況に適応したタグである。ここで「一般的なワンピースに配慮して、漫画のタグには『ONEPIECE』だけを登録すべきだ」と提唱してもまず成功はしない。
- 「ヘタリアの人名・愛称タグ一覧」のように特殊なやり方もあるが、やはり一定規模の表記揺れは出る。人気の版権作品であるほど統制は無謀だ。
- 「うちはサスケ」のイラスト等を海外ユーザーが投稿する場合に「SASUKE」と登録する場合があるが、日本の場合はTBSで放送されているスポーツ番組を指す。その為、「NARUTO」の「うちはサスケ」は「SASUKE」でタグ付けをしないようにと指摘したとしても、日本のユーザーには通じるが海外ユーザーには通じないかもしれない。こういった事例も存在する。
- 動植物のタグに漢字とカタカナの表記揺れがあるとき、同名キャラクターが少ないほうを選ぶことで自然と棲み分けられる場合もある。しかし新たな人気作の出現によって一気に割合が変わることもあるので不安定。なお、「犬 イヌ いぬ」のように表記揺れのタグを併記する方法は、意外と絞り込み検索に強い。
- 文字の重複に注意。例えば東方Projectには霧雨魔理沙というキャラがいるため、「東方 雨」と検索しても雨の場面に絞れない。対策は「雨」「霧雨」以外の言葉(雨宿りなど)を当てること。
関連項目
検索 pixiv機能 タイトル キャプション タグ タグ掲示板
表記揺れ・類似タグ