一般的海賊イメージと現実の海賊
海上における略奪行為を生業とする賊のこと。古くはヴァイキング、近世・大航海時代におけるフランシス・ドレイクなどの私掠船が挙げられる。
最も有名なのは大航海時代のカリブ海の海賊たちだろう。ドクロの旗を掲げ、宴と武勇を好んだ豪傑たちというイメージがある。一種のロマンチシズムを匂わせる存在でもあり、たびたびフィクションの主役にもなる。
pixivにおいても、こうしたイメージに基づいた豪奢な姿で描かれることが多い。
しかし、現実には専業海賊というものはなかなかおらず、漁民などの兼業や副業がむしろ普通である(普段は密輸に精を出し、略奪対象として手頃な相手を見つけたり、取引が不調になると海賊に変貌するわけである)。
果ては海軍までが副業として海賊行為に及んでいたとされる。
上述の私掠船のように国家容認で敵国の船舶を襲うように仕向けられた海賊も多い。
現在でも東シナ海や南シナ海、インド洋、アフリカ近海で同様の海賊行為が横行している。
近年の海賊は大航海時代のようなステレオタイプの海賊と異なり、銃火器による武装化が充実し、最新の通信機器を装備した高速小型ボートによる少数で 大型船を襲撃しており、一層悪質になりつつある。
彼らのほとんどはやはり元漁民で、紛争や自然環境の悪化による貧困が背景にあり、一部では国際的テロ組織と通じた者も存在する。
しかし、元漁民とは思えない高度な装備を持ち組織化されているなど、武装組織が資金稼ぎとして海賊行為を行っていると見られる例もある。
また、違法行為の場合は真面目に働くよりも多くの金銭を稼ぐことが出来るため、貧困にあえいでなくとも漁民が海賊に転身したと見られる例もある。
またエコテロリストと目される場合のあるシーシェパードの捕鯨妨害行為もまた海賊行為の一つとみなされる。
なお国際海洋法条約では、公海上の海賊は人類共通の敵であるため、交戦して殺害しても良いことになっている(特定の国の領海では、管轄国が取り締まらなくてはならない)。
なお、国際海洋法条約での海賊の定義は101条で公海における他の船舶若しくは航空機又はこれらの内にある人若しくは財産に対して私有の船舶又は航空機の乗組員又は旅客が私的目的のために行うすべての不法な暴力行為、抑留又は略奪行為を海賊行為と定めており、
さらにこのような海賊行為をするという事実を知って船舶・航空機の運航に自発的に参加する行為、海賊行為の扇動・故意の助長も海賊行為に含まれるとしている。
日本における海賊
日本でも海賊は古代から存在し、時の権力の悩みの種だった。平安時代に藤原純友は瀬戸内海の海賊を討伐するはずが逆に海賊を率いて決起した。ただし、これらの海賊行為は必ずしも単なる無法行為ではなく、「寄船」「津料」「上乗」といった慣習によって正当化されていた(黒嶋敏『海の武士団』)。寄船とは、難破した船や水に濡れた積荷は漂着物とされ、地元の船乗りたちに処分権が与えられるという慣行であり、津料とは「置石」「勝載料」等とも呼ばれた港が船に課す入港料金である。また海域を通過するには「上乗」という水先案内人を雇って安全航行が保証された。津料を払わなければ、港にあれこれと口実を作られて船や積み荷を寄船とされて海賊に襲われ、上乗を雇わなければこれも海賊が襲ってくるのである。
鎌倉幕府は寛喜三年(1231)年の法令と翌年の御成敗式目で寄船や海賊を禁止し彼らを指揮下に治めようとしていく。しかし幕府に従う地頭たちも現地では寄船や海賊の慣習に手を染めており、幕末にかけて幕府に従わない悪党としての海賊の活動が活発化していった(黒嶋敏、同書)。黒嶋によれば、室町幕府はむしろこれら地方の海の勢力の活動を公認し、その慣習を利用して海上交通や交易の支配を狙った。幕府に従う守護が海賊たちを従え、日明貿易や国内の交易を警護させた。しかし、幕府と現地の守護の関係が悪化すれば、交易船は寄船や海賊の脅威にさらされることにもなった(黒嶋敏、同書)。かくして海賊は同時に船舶の護衛や水先案内をする存在ともなり、「水軍」と呼ばれた。室町時代には東シナ海で「倭寇」と呼ばれる武装商人が広域に多数出没し、明朝や朝鮮に経済的打撃を与えた。
戦国時代には、商船の性能が向上して頻繁に港に停泊せずとも持続航行が可能となり、地方の港が衰退して港を根城とする海賊に打撃を与えた(黒嶋敏、同書)。黒嶋によれば戦国大名たちは海賊禁止令を出すようになり、追い詰められた海賊たちは大名の水軍としての働きに活動の重点を移していき、後には天下人に海軍力として協力した。有名なのが毛利氏に従った村上水軍や織田信長に仕えた九鬼嘉隆である。海賊は近世にもいたが数はずっと減り、近代にはほとんど消滅。最後に確認されたのは終戦直後の混乱した占領期である。
ジョリー・ロジャー(海賊旗)
「髑髏に交差した骨」が典型的な海賊旗のマークであるが、実際には交差した剣であったり様々なバリエーションが存在する。
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