概要
フルネームは野比のび太。
漫画及びアニメ作品『ドラえもん』の副主人公である眼鏡の男の子。10歳の小学生で、この作品の主人公であるネコ型ロボット・ドラえもんと硬い友情で結ばれ、一緒に暮らしている。
誕生日は8月7日(鼻の日・バナナの日・パートナーの日etc.)の獅子座。毎年誕生日付近には、「のび誕〇」(〇は西暦)タグをつけられた絵が多数描かれて盛大に祝われる。
家族は両親(野比のび助・野比玉子)のみの一人っ子。幼いころは祖母(のび助の母)とも同居していた。
一方、のび助の父であるおじいちゃん・野比のびるは、のび太が産まれる前に亡くなったが、「夢まくらのおじいさん」のエピソードでのびるおじいちゃんがのび太を自分の孫だと素直に認識していた。他、のび太のおばあちゃんでも、「おばあちゃんの思い出」において小学生ののび太(=おばあちゃんから見たら未来ののび太)を大切な孫だと認識していた。二人揃って孫に優しい老夫婦でもある。
性格
ドジで怠け者だが、心優しい素直な少年。年上に対してもタメ口でしゃべる傾向もしばしばある(先生、同級生の親、世話になる人物を除く)。しかし、自分が興味を持ったものに対してはのめりこむタイプである。
悪人ではないのだがいたずら好きなところがあり、調子にも乗りやすい。
短編はもちろん、大長編などでも危機に陥った際には、勇気ある正義感が強い持ち主という一面を覗かせる(この点はスネ夫にも指摘されたことがある)。
ドラえもんのひみつ道具を使って騒ぎを起こし、しっぺ返しを受けることも多いが、誰も思いつかないような使用方法を考えて人助けをしたり有効に使う場面もある。
おちこぼれの代表キャラクターとされることが多いが、漫画を深く読めばわかるとおり、長所も欠点もあるごく普通の活発な男の子である(ただ、普段あまり役に立たないようなことが得意で、勉強や運動など普段必要とされることが苦手)。
何かにつけてドラえもんに頼ってしまうことが多いのは確かであるが、自分だけの力でなんとかしようと努力する気持ちも持っている。
また、子どもらしい純真な心を持ち、過去には首長竜のピー助や台風のフー子、木の子どもキー坊、裏山の精霊、雪の精霊などに慕われ、大長編「のび太と雲の王国」では、その生き物に対する優しさで地球を救った。
しずかのパパものび太のことを「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことが出来る」と評価している。実際、普段から自分をいじめているジャイアンやスネ夫についてどんな関係か聞かれても「友達」と即答したり、ピンチに陥っても躊躇することなく助けようとする。時にはつい調子に乗り過ぎたり、人助けが空回りしてジャイアンやスネ夫以外の人々に迷惑をかけてしまうこともある(大半は悪気は無い)が、その時はしっかり反省して謝ったり、自分で責任を取ったりする誠実さを見せている。原作者である藤子・F・不二雄も「のび太は失敗を繰り返すけれど、その度にちゃんと反省する」と述べている。
あまり話題にならないが、実はかなりの精神力の持ち主でもある。1度だけ無人島に家出してそのまま帰れなくなったことがあるが、その時はなんと無人島でそのままただ1人極限状況の中を過ごし、ドラえもんが助けに来てくれると信じて10年間待ち続けた。
それだけでなく、普段からジャイアンやスネ夫にいじめられることが多いのび太だが、一時的に落ち込んだり泣いたりすることはあってもそれを引きずることはせず、すぐに明るい笑顔で学校に通うことが大半である。これはおばあちゃんがダルマをプレゼントした時、「転んでも1人で起き上がるダルマのような強い子になってほしい」と言われ、それを約束したことが強く影響する。「さようならドラえもん」では、未来へ帰るドラえもんを安心させるためにジャイアンとタイマンで決闘し、ボロボロになりながらも諦めることなく勝利したことも、のび太の持ち前の精神力が強く表れている。
自制心も強く、使い方を間違えればとんでもない効果を持つひみつ道具を持ったとしても、調子に乗って失敗してしまうことはあっても、本当の意味で悪用することはしない。実際、タンマウォッチ(時間を停止させる)やソノウソホント(いかなる嘘でも本当になる)等の強力な道具を貸してもらっても、いじめっ子への軽い仕返しだけで済ませて自分の欲望を満たすために使うケースはほとんどない。どんなひどいことをしても逆に喜ばれる秘密道具「悪魔のパスポート」を手に入れた時は、どんだけ相手が喜んでいても自分が悪いことをしているのは変わらないという自己嫌悪に耐えられなくなり、自分がやってしまったことの後始末を自ら行い、悪魔のパスポートを自分からドラえもんに返したほどである。その様子を見たドラえもんは「君が悪人になるのは無理なんだよ」と優しく微笑んだ。そもそも、何でも出来る親友が傍にいる(普通の人間なら誰でもドラえもんに頼りたくなる)状況でも日々の生活を普通に過ごし、将来的に真っ当な社会人として生きていくのび太はある意味大物かもしれない。
苦手
勉強とスポーツ。
いつも0点を取ってはママに怒られている。しかし自力で一度だけではあるが100点を取っており(ドラえもんエピソード「な、なんと!!のび太が百点とった!」より)、また一夜漬けで65点を取ったこともある(ドラえもんエピソード「のび太の0点脱出大作戦」より)。『魔界大冒険』でも、出木杉の難解な話を全て理解した上で鋭い指摘をしたこともある。ひみつ道具を組み合わせて使ったり、今までにない新しい使い方を生み出したりと応用力も高く、持ち主であるドラえもんを感心させるほど。これにより、本人にやる気が無いだけ、もしくは周りから勉強が出来ないレッテルを貼られて自信を無くし自分はダメだと思い込んでいるだけで、実際には地頭は良く潜在能力は高いとも考えられる。
また、よく宿題を忘れたり、朝遅刻して先生からよく叱られ、廊下に立たされることが多い。
スポーツもかなり苦手であり、野球ではいつもエラーや三振をしてジャイアンに責められている(三振の原因はボールが過ぎてからバットを振るため。エラーはのび太が向かった位置と正しい位置が違うことに落ちる直前で気づくのが理由)。ただ、苦手ではあっても嫌いというわけではなく、プレイすること自体は好きなようである。
野球だけではなくサッカーやスケートをしたことがある。
料理や絵を描くのも苦手である。
雷などの一部の自然現象に恐怖心を抱いていたがドラえもんのひみつ道具によって克服した。
妙におしっこシーンの多いキャラ。たまにしてしまうおもらしやおねしょ癖は公然の秘密。
特技
昼寝と射撃、あやとり。あやとりは自作の技を開発するなど熱心だが、「金がかからず疲れないから」という理由でのこと。射撃の腕前は天才的で命中率は100%近く、二丁拳銃の早撃ちは見るものを圧倒する。おそらく漫画やアニメの登場人物の中では1、2を争う腕前と思われる。二次創作的にはこちらがよく引用される特技である。
特に大長編とそれを原作とした映画では、のび太の射撃能力がクローズアップされる場面が多く、射撃の名手の代名詞になった『のび太の宇宙開拓史』では宇宙でも屈指の腕前を持つ殺し屋ギラーミンとの一騎打ちを演じた。
またその能力をいかんなく発揮した『のび太と銀河超特急』では、標的の空き缶を1発目の射撃で浮かせ、残りの5発全てを浮いている間に命中させるといった超絶離れ業から、横に回転しながら射撃し4人(漫画だと横っ飛びはしないが早撃ちで6人)に一気に命中させるアクロバティックな射撃を決めている。ラストはラスボスを誘い出して早撃ちで撃退するなどしている。
早撃ちの速度は0.1秒であり、これは同じく射撃、狙撃の名手である次元大介(0.3秒)、ゴルゴ13(0.17秒)、冴羽獠(0.2秒)を上回る。割りとありがちなモブに早撃ちで負けることのある星野鉄郎とかもう涙目。
なお、原作ではタイムマシンで西部開拓時代に行ったときにリボルバー型拳銃の実弾射撃で人を撃った経験もある(ガンマンとの最初の対決では流血描写はあるが絶命に至らなかったが、撃ったのび太は直後にショックで気絶している。その後のガンマンたちとの最終決戦では、ドラミが駆け付けるまでに先述のリボルバーの二丁拳銃でガンマン数人を’’’無力化’’’している。(アニメではその前にドラミがかけつけ相手を眠らせる秘密道具ドリームガンを渡している)
大長編でもフリントロック式の銃を使用して射撃し、悪役が使用する機械の破壊も行っている(機械のすぐそばに人がいる状況での狙い撃ち)。
だが、この様な銃の天賦の才がありながら銃とはほぼ無縁の日常にいる事は彼にとっては実に幸いであろう。
昼寝は文字通り彼のぐうたらぶりを象徴する特技であり、なんと0.93秒で眠りにつくことができる。それも、目を閉じてから0.93秒ではなく、枕代わりの座布団を持って立っている状態からそれを頭の下に敷き横になる、という一連の動作まで含めて0.93秒なのである。
原作では一度『もしもボックス』を使って『眠れば眠るほどえらい世界』を実現したことがあり、オリンピックでの眠り競技で日本代表選手として活躍が期待されるとまで言われていた。もっとも、おそらくこの記録を塗り替えるのはのび太以外には確実に不可能だろう。
のび太曰く、早寝のコツは『頭の中をカラにする』ことであるというから、この速さも納得である。
また技能に関してはゴム風船のスペースシャトルを工作したり、鉄道模型の寝台車にベッドを組み込むといった細かい改造もこなしている他、足の指でもインベーダーゲームも操作できることから、指先を使った作業が得意なようだ。
鼻くそをほじって1ダース揃えたり、それを飛ばして部屋の照明の紐に命中させたりしたとすごくくだらないこともするが実はこれこそが上記ののび太が射撃の才能がある事を自覚した出来事である。
タケコプターの技量も優秀である。
反面、本人曰く「ぶきっちょな人間」であり、機関車の模型を作り方を間違えたことがある。だがロボットプラモによるジオラマ制作合戦ではきちんとプラモを組み立てているし、ジオラマ背景の製作はドラえもんの道具を使ったがウェザリングは完全に自力である。
ラジコンの操作も苦手でスネ夫に「のび太だとラジコンを壊すからな」と馬鹿にされたりもする(成年時ではあるが自動車は普通に運転していた)。
器用が不器用かは微妙なところであり、出来不出来の差が激しい。
服装
最近のアニメでは様々な服を着用しているが、旧作のイメージが強いため、今も大きな白襟のついた黄色いシャツを纏って描かれることが多い。ズボンは、パジャマや特別な場合を除いては、半ズボンが基本であり、パンツは白いブリーフであるが、それらは原作が描かれた頃の、小学生男児の標準的な服装である。
その他
永久に年を取らないキャラクターの代名詞の一人。
ただし、サザエさんやアニポケとは違ってのび太には青年期以降の「未来の姿」が描かれるシーンが比較的多い。ドラえもんと触れ合って成長したのび太は、大山版では環境保護局に就職し動植物の調査の仕事に就いたり(いわば環境省に入って国家公務員となっている)、見事しずかと結婚することが出来たらしい。(良くも悪くもリア充になったともいえる)
原作・わさび版では、どんな職業についたかは不明だが勤め人にはなっている。しずかとノビスケを問題なく養えるだけの収入は得ているようだ。
ドラえもんが来る前ののび太の未来については1巻の初対面シーンでセワシの口から語られている。
それによると、のび太はジャイ子と結婚し、子供を6人授かるも、大学にも行けず就職もできず、果てに自分の手で会社を起こすが、その会社が自分が遊んだ花火の不始末で火事になり倒産、莫大な借金を残すこととなってしまったらしい。
あまりにも借金の金額が大きすぎて孫のさらに孫であるセワシの代でも返済しきれておらず、そのせいで、セワシのお年玉はたった50円なのだという。
ドラえもんがのび太の家に居候し、のび太の私生活を改善されて、大学卒業後にしずかと結婚した後には、自分の父親と同じ名前を持つ野比ノビスケという一人息子を設け、更にはノビスケとゆかりの子供である玉子似の孫息子(「のび太の息子が家出した」より)も設けることとなる。
ただ、これらの価値観が連載開始の1970年代のものであるため、バブルが崩壊し終身雇用が以前ほど当たり前ではなくなり、一方で日本人の価値観が多様になった近年では、「本当にドラえもんが来た後の未来が幸せなのか」「起業できるなんて男の夢じゃないのか」と言う意見がある。また「借金取りが家に押しかけるなんて相当のやり手」(通常、このような場合担保を処分して借金はチャラである。つまり、のび太は相当な額を無担保で信用借りをしていたことになる)とも。
F氏自身の作品でも『のび太の創世日記』では、のび太の行動によって祖先が財を得るという“神のいたずら”があったものの、のび太のそっくりさんである野火氏は産業革命後の社会(概ね第一次世界大戦後レベル)において一大コンツェルンを創設していた事がある。
その影響で、主に二次創作で元の夫人であるジャイ子が結婚相手としてのび太を狙っているシーンが出てくるようになり、トヨタの実写版CMでその様子が描かれている(ただしこれらは公式が関わっているとはいえ、原作やアニメの世界観とは一切関係が無い)。
ちなみに、未来ののび太像については世代によるもののドラえもんが来る前と後ではかなり違う。
ジャイ子と結婚した場合は痩せていて無精鬚を生やしているが、しずかと結婚した場合は、大沢のぶ代版ドラえもんでは、痩せてはいるものの無精ひげは生えていない。さらに、わさび版ドラえもんの場合はやや肥満体型であり、メガネがない状態で生活している。
更に、しずかと結婚したルートでの大人のび太は、ノビスケのいる時代での容姿が原作版とアニメ版とで異なる場合もあり、原作版とわさび版ドラえもんではのび助の面影を残した雰囲気が出ており、のぶドラでは少年時代の幼さを醸し出していた(「ミニドラSOS!!!」より)。「のび太の結婚前夜」における大人のび太でも、のぶドラでは前述の「ミニドラSOS!!!」に基いているのに対して、わさドラでは原作版のように少年時代とはかなり異なる髪型となっている。
『アメトーーク!』では『のび太ほっとけない芸人』としてピックアップされた。
歴代担当声優一覧
日本テレビ版
テレビ朝日版第1期
大本眞基子、小原乃梨子(幼少時代)
大川透(45年後)
テレビ朝日版第2期
門脇舞以、大原めぐみ(幼少時代)
関連イラスト
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