概要
「短パン」と合わせて、丈の短いズボンの総称として用いられる事もある。
ただしこう呼ぶ場合、先方以上に「小学生以下の男児向け」というニュアンスが強くなる。
また、「ハーフパンツ」とは本来全くの同義である。
ただし現代の日本では、1950年代半ば(高度経済成長期に入った頃)から1990年代初頭(バブル期の終わり頃)に多用されたふともも全開の物を「半ズボン」と、それ以降に増加した膝前後に達する物を「ハーフパンツ」として区別して捉える傾向がある。
戦前以来の学童用半ズボンはゆったりとした作りの物が多く、今日のハーフパンツに近いシルエットをしていた。例えば『となりのトトロ』のカンタの格好を思い出してほしい。
それが戦後しばらく経つと丈が短くなり始め、ついでに何故かピチピチになる傾向が都市部で見られるようになり、徐々に地方にも広がっていった事で「半ズボン」のイメージを形成した。
これにハイソックスとスニーカーを合わせたスタイルは、昭和期における男子小学生のある種の完成形であり、その姿を現代に伝えているのが『サザエさん』の磯野カツオや『ドラえもん』の野比のび太達というわけである。
彼らがそうであるように、「子供は風の子」という当時の風潮から一年を通して半ズボンという子も珍しくなく、トップスも半袖のままという強者さえいた。流石に豪雪地帯では冬場になると「あまり」見られなくなったが。
ちなみに中学生以上になっても部屋着として半ズボンを履いていた男子は結構いたらしい。
衰退
バブル期に、日本の子供ファッションは海外トレンドの影響を受けた。当時の海外製半ズボンは概ねハーフパンツ型で出揃っており、日本もそれらに追随したため従来型の「半ズボン」は急減する事となった。
まとまった数が見られた体操服についても、女子のブルマ排除に合わせてハーフパンツ型に切り替えられる例が続出し、21世紀に入る頃にはほぼ消滅している。
ブルマに比べると大きな社会問題にはならなかったものの、「半」とは名ばかりの股下がほとんど無くなりトランクスはおろかブリーフすらはみ出してしまい(ブリチラ)、股間にもピッタリ貼り付いて膨らみをはっきり浮かび上がらせるというスタイルは限界をきたしていたのである。
1990年代のテレビアニメや漫画やテレビドラマなどでも徐々に侵食が始まり、その年代の前半から後半まで連載された赤ちゃんと僕は最初の頃は冬の時期以外の話で半ズボンとハーフパンツ半々で少年キャラ達が描かれていたが連載終盤ではハーフパンツ丈のみと世相反映されている作品の1つで
同じく1990年代に展開していたエルドランシリーズや勇者シリーズも後期の作品ではハーフパンツの少年キャラが登場するようになり同じ傾向が見られる。
1990年後半(1996年)からシリーズ開始したポケットモンスターは最初に出た頃の作品は半ズボンの男の子キャラが居たが2010年発売のBWからリメイク作品を除きハーフパンツ丈の少年キャラしか出なくなった。(ちなみに半ズボン丈の物を着用している男主人公は1人も存在せず着せ替えが有る作品でも男主人公用の半ズボン系の服はコスプレか祭り系のみで普段着の物が存在しない)
現在でも制服のある小学校などで、折襟またはイートンジャケットの学童服に半ズボンの組み合わせを採用しているところはある。
ただし、これらも往時の半ズボンに比べるとゆとりを持たせた作りになる傾向がある。
主な例
以上の経緯から、昔の児童漫画に登場する少年が非常に多いが、令和に突入した現在でもリアルとは違い昭和設定ではない2次元の商業作品でも希に登場するので侮れない。
なお半ズボン着用の少年でも必ずしも声が高いわけではなく野太い男声の場合もままある。
作中に該当者が多数登場する作品は主人公(女子や女性や成人男性などが主人公の作品はメインヒーローや接点の最も大きい少年)のみ記載する。
少年
- 『ちびまる子ちゃん』のクラスメートの男子の大半(アニメのみ、学習漫画では明確にハーフパンツ、原作漫画でもハーフパンツ寄りの丈に描かれている事が多い)
- 『鉄人28号』の金田正太郎
- 『ジャイアントロボ』の草間大作
- 『巨神ゴーグ』の田神悠宇
- 『パーマン』の須羽ミツ夫
- 『Gu-Guガンモ』の佃半平太
- 『勇者警察ジェイデッカー』の友永勇太
- 『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけ
- 『少年アシベ』の芦屋アシベ
- 『地獄先生ぬ~べ~』の立野広
- 『飛べ!イサミ』の月影トシ
- 『ナースエンジェルりりかSOS』の宇崎星夜(掲載時期がハーフパンツへ移り変わってた頃で私服はハーフパンツが多い)
- 『爆走兄弟レッツ&ゴー』の星馬烈(アニメのみで漫画原作ではハーフパンツ)
- 『エルドランシリーズ』の日向仁、霧隠虎太郎、立花浩美
- 『ペルソナ3』の天田乾
- 『団地ともお』の木下友夫(学校の体操着はハーフパンツ)
- 『絶対絶望少女』の大門大
- 『HUNTER×HUNTER』のゴン=フリークス(日本テレビ版アニメのみ)
- 『ポケットモンスター』シリーズのたんぱんこぞう(第1世代~第4世代とそのリメイクであるLPLEとBDSPのみ)
- 『ポケットモンスター金銀』のツクシ(たんぱんこぞうと違いリメイクや近年の新作にゲスト登場する際もハーフパンツ化せず半ズボン継続中)
- 『わくわく7』の爆皇雷
- 『オレカバトル』の内木デー太(テレビアニメ版のみ)
- 『ヒーラー・ガール』の森嶋健史と森嶋康史
- 『爆釣リトリーブマスター』のヒロ(主人公)
- 『マジンガーZ』の兜シロー
- 『ぐるぐるガラクターズ』のユウタ(主人公)
- 『勇者聖戦バーンガーン』の芹沢瞬兵
- 『とんでも戦士ムテキング』の遊木リン
- 『フェ~レンザイ-神さまの日常-』のナタ(一番来ている服が半ズボンであり学校の制服や他の私服にハーフパンツ有り)
幼少期のシーンが半ズボン
その他
※実年齢や外見年齢が高かったり人外やロボットだったりするキャラクターたち、外見が少年相当で若く見えるケースでもこちらに含む。
- 『ゲゲゲの鬼太郎』の鬼太郎(アニメの4期と5期はハーフパンツ)
- 『刀剣乱舞』の短刀男士の大半
- 『ナイツ&マジック』のエルネスティ・エチェバルリア(前世の記憶を持ったまま転生した少年主人公)
- 『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』のプリンス暁
- 『美少年探偵団』の足利飆太
- 『SCARLET_NEXUS』のルカ・トラヴァース
- 『ゴエモン新世代襲名』のゴエモン
- 『東京ミュウミュウ』のタルト
- 『AIの遺電子』のパーマくん
…など。
余談
イラストにおいては、上記の「1年中半ズボン」という点から、元気な性格の男の子を表現する記号として扱われることが多い。また、ブルマ同様、「ショタコン」と呼ばれる層の間では「少年らしさの象徴」と捉えられている節があり、「ショタケット」などの同人誌即売会では、現在も高い確率で半ズボン少年を扱った作品を手に取る事ができる。
二次創作では本来半ズボンでないキャラに履かせてみたりと、作者のこだわりを垣間見る事もあるだろう。
また、会場にはコスプレで自分自身が半ズボンショタになろうとする者が現れる場合もある。
そこまで行かずとも、「古き良き時代」を懐かしむツールとして、時折大手メディア等も取り上げていたりする。
こうした企画が成り立つあたり、ブルマに比べて黒歴史と捉える元着用者は少ないようである。