概要
日本語の「テレビ」は、英語由来の「テレビジョン(television、遠隔で(tele)映像(vision)を送り込むもの)」の略称。
漢字表記は電画、電視機など。
事前にスタジオなどで収録した、または生(なま)の映像と音声を、放送局から無線電波もしくは有線通信で発信して、それを受信した側が視聴する。
受像機は、かつては4:3のブラウン管が主流だったが、地上デジタル化後は16:9の液晶や有機ELタイプが主流。(1980年代末から2014年までプラズマディスプレイのテレビもあった。)
言葉としては、動画を電波を使って不特定多数のために放送する仕組みである「テレビジョン放送」の略として使われることがある。放送形態もアナログ放送からデジタル放送に移行した。
ちなみに我々が日頃使うテレビは誰が発明したかとは一概に言えないシロモノである。言うならばブラウン管は電極菅・液晶はディスプレイ(そもそもパソコンのディスプレイモニターをテレビと言わないあたりでおわかりだろう)で、スピーカーはオーディオ、電波受信はチューナー(無線機)と複数の機器の集合体といえるからである。
日本のテレビ放送の歴史
大正時代よりテレビ放送の研究が進められており、高柳健次郎が「無線遠視法」を提唱したのは1923年(大正12年)のことである。
1939年(昭和14年)には有線による実験に成功。1940年(昭和15年)にはテレビ放送が本格的に行われる予定で、同年4月にテレビドラマ『夕餉前』が試験的に放送された。しかし有事により各国でテレビ放送が中止、日本も同様であった。
戦後、1953年(昭和28年)2月1日に、NHKがテレビ放送を開始。このころの番組は大相撲、プロレス、プロ野球などのスポーツ中継や記録映画などが放送されていた。また、テレビが一般に普及していなかったため、街頭テレビや飲食店のテレビなどで視聴されていた。
1958年(昭和33年)には東京タワーから放送が開始され、1959年(昭和34年)の皇太子明仁親王のご成婚を期に一般に普及し始める。
1960年(昭和35年)9月10日に、カラー本放送開始。
2006年(平成18年)4月1日に地上デジタル放送と「ワンセグ」が放送を開始。
2011年(平成24年)3月31日に地上アナログ放送が約60年の歴史に幕を閉じた。
テレビ放送の近況
かつては「娯楽の王様」と言われる程影響力が強く、起きている間ずっとテレビを点けているような人も少なくなかった。しかし近年はインターネットなどメディアの多様化によりテレビは王座から転落。10代〜20代を中心にテレビ離れの傾向が強まっており、テレビが家にあっても見ない人、そもそもテレビ受像機を持っていない人も増えている。
取材などで街頭にカメラが出ると遠巻きにVサインを出している野次馬に取材しようとマイクを向けると逃げ出すのが普通だった。が、個人でビデオ撮影を手軽に楽しめるようになりENG(Electronic News Gathering)取材の受け答えも容易になっている。
なお世界的には、既にケーブルテレビや衛星放送による多チャンネル放送が主流であり、日本のように地上波放送だけを見る視聴者が大半を占める国は少ない(アメリカ合衆国では地上波テレビを見るのは主に貧困層であり、中流層以上はケーブルテレビや衛星放送を主に視聴する)。
しかし日本では日本放送協会に高額な衛星契約料を取られるため衛星放送がなかなか普及していない。
通信回線の発達でインターネットテレビも登場し、動画配信サービスとの境界はますます曖昧になっている。
テレビメーカー
かつてのお家芸だったが近年は中国台湾勢、韓国勢に押されて見る影も無くなっている。
実は、日本もアメリカのテレビジョン産業を空洞化させてしまったのでよその国のことは言えない。ZenithやGE、Magnavox、Philco そしてブラウン管のロイアリティで黙っていても巨額な金が入っていたRCAも、それ以上の開発をすることなく1年に1度早いと半年に1度の大規模モデルチェンジで性能向上した日本メーカーに後れを取り、車などと同様に日米通商摩擦の1つになっていた。
撤退、存在しないメーカーもあえて掲載。
昭和
愛称を太字表示に
東芝:王座 ファミリービジョン→パブリック(白黒) 名門(カラー) 回路:ユニカラー ブラウン管:ブラックストライプ
日立:シルビア スザンナ フローラ(白黒) なおフローラの愛称はWindowsPCでもう一度目にすることに。ブラウン管:キドカラー(希土類使用で赤に強いとされた) トランジスタ化 ポンパ(ブラウン管のヒーターは稼働時の1/2で温め、瞬間受像をアピール オイルショック後はそれを切るスイッチが登場)
三菱:桂(白黒) 高雄(カラー) ごく初期のカラーは3ブラウン管方式のトリネスコープを出した。筐体のわりに画面が小さい6インチであった。B/G/Rの各色で光らせたブラウン管を特殊なミラーで色合成した。大画面用でブラウン管をより高輝度にしたプロジェクションTVはスクリーン上で合成(各社から、なお無理しているので、静止画(ゲームなど)には使わない旨注意がなされた。蛍光面が焼けてしまう。)
ナショナル:嵯峨(白黒) パナカラー ブラウン管 クイントリックス(ブラックストライプと同じイメージ) レンジャー、トランザム 5インチの白黒テレビで持ち出し用個人用として。SONYのマイクロテレビは専用鉛蓄電池であったところICで置き換えられ消費電力低減化成功し市販の高性能マンガン電池8本12Vで利用できるようになりAC,乾電池,カーバッテリーの3Way電源)としたが、電池では運用時間はやはり短かった。トランザムは後にラジオカセット付きTVの愛称に移行した。
コンソールタイプ後期のカラーテレビ トランザムの例(ラジオ付き)
三洋:日本(白黒) 薔薇(赤に強いイメージより、カラー) サンカラー ブラックシャーシ ズバコン(ワイヤレスリモコン 超音波使用でガラスが擦れる音でも反応した)
シャープ:歓 ロングランカラー
NEC(新日本電気):インスタントビジョン(白黒)真空管時代に瞬間受像を実現した。(もちろんヒーターをもともと温めておく方式で、受像直後から安定した映像が見られるとうたっていた。他社のは20秒後から徐々に映像が現れ画像や同期が安定するまでには真空管が充分温まる20分ほどかかった。)NECの真空管部門では、真空管の寿命に対する影響は軽微で、冷温から見る都度電源オンするよりは良いということだった。 太陽(カラー)
コロムビア:巌(白黒) 世界(カラー)
ビクター:(回路)ワイヤレスリモコン(ズバコンより早く白黒時代で実現 ch切替のみ),光線タイプで懐中電灯でも動作した)純白カラー(自社でブラウン管は作らず、松下、日立のブラウン管を使用) フリフリQ(球形) ラテカセ ラジカセ付き
富士電機製造:(ターレットチューナーの接点から)白金(早い時期に家電品から撤退)
ゼネラル(現富士通ゼネラル):金剛(白黒) 王朝(カラー) ブラウン管:カラーネトロン(神戸工業)
カラーネトロン開発後その技術者たちは大量にSONYに引き抜かれてしまったという逸話がある。
そしてゼネラルはカラーテレビの開発力が下がりその後テレビ製造から撤退することに。
SONY:マイクロテレビ TV5-303高圧整流とブラウン管以外の真空管を廃しスポーツ実況席モニターとして使われた。(その前に初の直視型8インチを出したが耐久性に難があった)サンヨーはソニーのOEM(5-TP1) 三菱は自社開発(6P-125)して初期のマイクロテレビができた。電源はAC,専用鉛蓄電池、カーバッテリーの3WAY。 表示面中央下部にメーカーロゴをつけた意匠は今やほとんどのテレビに使われている。
その後、カセット付きをジャッカル、軽量化したものをウォッチマン(ブラウン管→液晶)を商品化し、初期のブラウン管より消費電力低減化を図った。
偏向方法を変えたブラウン管はTVドアホンにも使われたが、今は液晶にすべて置き換わっている。
ブラウン管 クロ(苦労)マトロン(クロマトロン販売時は真空管回路) → トリニトロン(元ゼネラルの技術者たちとの合作、13型であったがブラウン管以外はシリコンが使えるようになったため固体化回路になっていた。)
カラーブラウン管は米RCAからのライセンスによるシャドーマスクを使っていたが暗い、色合わせがしにくい等の問題でトリニトロン発表後シャドーマスクを線状にしたブラウン管(ブラックストライプ、クイントリクス)に置き換わった。(初期のシャドーマスクは色合わせがしにくい(特に赤)のが有名でテレビ毎に色合いが異なった。テストパターンや人物の肌で色相(TINT/HUE)を合わせることが特に真空管が弱ってくると常態化した。まあ放送形式のNTSC自体がNo Television Same Colorですから。)
ダイエー:ブブ BUBU PBの走り。ラジカセと同様クラウンに製造委託 当時小型でも10万円前後したカラーテレビを¥59,800の破格で提供し一時は商品がなくなったが、まだ一家に1台なので、家電メーカとの信用を取り戻した後は販売不振となりOEMテレビからは撤退した。
平成以降
太字は現在販売中。
東芝/TVS REGZA:Face[液晶・プラズマ] → REGZA[液晶]ハイセンス社に売却、子会社「TVS REGZA株式会社」から販売。
ナショナル/パナソニック:画王〔大画面ブラウン管] T(タウ)[液晶・プラズマ] → VIERA(ビエラ)[液晶・プラズマ・有機EL]長らく王者として君臨したパナソニックだが2022年以降は低価格機種のTCL委託を発表し、自社での生産能力を大幅に縮小する。有機ELテレビなどの国内向け高価格機種は自社での生産を続ける予定。
三洋:帝王[大画面ブラウン管 アナログハイビジョン搭載]定価50万したが当時はバブル期でかなり売れ、ナショナルが画王を出すきっかけになった(なおSONYは当時平面ブラウン管を開発中)。
日立:Wooo[液晶・プラズマ]2018年後期に自社テレビ販売終了。
三菱:リアル(REAL)[液晶]2022年6月頃に液晶事業から撤退予定。
シャープ:AQUOS[液晶]世界の亀山ブランドとして最先端を突っ走ったが、過剰な設備投資の影響により、鴻海売却前の末期にはかなり他社に見劣りした。なんとか再建し、現在はスマホのブランドとしても使用している。
SONY:WEGA (ベガ)[ブラウン管・液晶・プラズマ] → ブラビア[液晶]
平面ブラウン管で一気に市場を盛り上げ各社追随したがシャープが薄型の液晶を出し一気に下降。高精細の(PC,放送用)モニターに軸を切ったがその分野も液晶に奪われた。WEGAが好調だったため液晶に乗り遅れシャープやパナソニックに後塵を拝し、韓国製液晶パネルを利用することとなったが、2010年代にはシャープ・パナを猛追し国内市場を再奪取している。現在はソニーグループの中で安定的に黒字を出すことができる部門の一つである。
船井電機:ガッツマン ビデオレコーダ付きテレビの愛称。かつて北米テレビ市場で高いシェアを誇った。現在はヤマダ電機向けに液晶テレビをおろしている。2021年にコンピュータやビジネス関連の出版社である秀和システムに買収された。
ノジマ(家電量販店):ELSONIC ブラウン管テレビよりPB商品としてのモデルを販売(OEM元不明)
アイリスオーヤマ:LUCA・Fiona[共に液晶]2019年から参入。ホームセンターで見かけることが多い。
ドン・キホーテ:情熱価格 大手ディスカウントメーカードン・キホーテのPB。低価格テレビとして知られる。2021年にテレビチューナーのついていないテレビを発表して話題になった。
山善:Qriom 低価格テレビで有名。Amazonなどで購入することができる。
aiwa:? かつて業績不振によりSONYの一部門となったが2008年にブランド終息が発表された。現在アイワブランドは十和田オーディオなど複数の企業が展開している。
ORION:? ブラウン管時代は船井電機と同じように安価なカラーテレビで主に子供用ゲームに使われることが多かった。液晶になり国内生産にこだわり一時(2012年8月期)はSONYを追い抜き国内5位に上ったものの価格競争に負けその後売却するも法人消滅。ORIONブランドは株式会社ドウシシャが設立したオリオン株式会社へ引き継がれることになった。
PIXELA:Smart TV 従来テレビ向け外付けチューナーで有名AEON向けOEM販売もした。 4Kモニタに接続するチューナーも販売している。
MOAグループ:maxzen 韓国出身の人物によって創業された。現在は香港系投資ファンド傘下。低価格テレビブランドとして知られる。
ジョワイユ:Joyeux Amazonで売られている低価格テレビのブランド。渋谷に本社がある。
現在有力な海外メーカー一覧
サムスン電子SAMSUNG[液晶・有機EL]韓国を代表とするメーカーのひとつ。バブル以降に失速した日本のテレビメーカーが相次いでリストラを行ったことにより、優秀な人材を確保したことにより飛躍的な成長を遂げた。2006年から現在まで世界のテレビ市場のトップに君臨している。近年は液晶テレビ部門で中国勢の猛追を受けて、有機ELテレビやマイクロLEDテレビに力を入れている。
LGエレクトロニクス:LG[液晶・有機EL]サムスンとともに韓国を代表とする総合電機メーカー。LEDテレビやUHDテレビ、スマートテレビなどラインナップが広い。日本市場にも展開している。
ハイセンス:Hisense[液晶・有機EL]中国の海信集团有限公司という会社が展開しているブランド。REGZAで知られる東芝のテレビ事業を買収したことで高い技術力を手に入れた。低価格帯に強みがある。
TCL:TCL[液晶・有機EL]中国のTCL科技集团股份有限公司という会社が展開しているブランド。低価格帯に強みがある。テレビ用液晶パネルを自社生産する数少ないメーカーの一つ。
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