メルメタル
めるめたる
基礎データ
他言語版での名称
英語 | Melmetal |
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概要
2018年10月24日、ポケモン公式HP等にて突如出現した存在で、その日の夜に新ポケモン・メルタンの進化形であったことが判明した。
様々な金属を吸収したメルタン達が、個体同士の同化を繰り返していった末に進化した姿であり、小さく可愛らしい進化前から一転、手足がはっきりとした巨大でマッシブな体格へと変貌。
ボディはメルタン同様液体金属で構成されているが、体の各部には巨大なナットがサポーターの様な形で組み込まれている。その固体部分の強度は進化することにより飛躍的に向上し、非常に強固な体を手に入れている。
特に流動する腕の可動部は大きくしならせることでスナップが効き、ポケモン随一とも言われる(エビワラー涙目な)破壊力抜群のパンチ攻撃を繰り出す事が出来る。
頭部と尻尾のデザインは変わらず大きくなった程度だが、前者は下部の3割程が液体金属の体に沈む形で一体化しており、後者はナットの付いた腹部の吹き抜けから覗く事が可能。
性格はメルタン時と同様朗らかなままで、トレーナーにも屈託のない笑顔を見せてくれる。
性質としてはドラクエのはぐれメタルキングに良く似ており、彼らやヤドランの様に分離して退化する事もあるらしい。
メルメタルとしての寿命が尽きると錆びてバラバラになるが、小さな破片から再びメルタン達が生まれてくると言われている。
古い文献によると、3000年前は磁鉄鉱が豊富な樹海の奥深くの集落に存在しており、時々その体内で精製された金属片を身体から落としていた模様。
それを加工し独自の有用な道具を作る技術を持っていた人々からは、"鉄を生み出す力を持ったポケモン"として崇められていたようだ。
幻のポケモンが通常進化を遂げるのはこのメルメタルが初であり、第7世代より登場した通常進化する伝説のポケモン達に次いで、また一つポケモン界の定説を塗り替える事となった。
ただしその進化条件は、「『ポケモンGO』の内部で、捕まえたメルタンにアメを400個使用する」というもので、レベルアップの概念がある本編シリーズ(LPLE含む)では現状どうやっても進化させられない。
進化前の入手はおろか、進化にも連動要素が不可欠という前例を見ない厄介さであり、ある意味では幻のポケモンらしいハードルの高さを持っているともいえる。
第8世代の剣盾においては、2020年2月12日にリリースされたポケモンホームで連れて行けるポケモンの1匹に含まれており、ようやく他のポケモン達と同じ扱いをすることが可能となった。
ただし上記で述べた通り、メルタンのままで連れてくると進化出来なくなるため要注意。
同年11月にはポケモンGOからポケモンホームへ初めてポケモンを送った際のプレゼントとして、キョダイマックス個体が配布された。この個体はS個体値0で性格ゆうかんの最遅、HABCD個体値は31と完全に廃人仕様となっている。しかし…(後述)
ゲームにおける性能
上記の設定からかくとうタイプ等が付いていそうだが、実際のタイプは進化前と同じ単はがねのまま。
はがねの単タイプは貴重であり、豊富な耐性で多くの相手に強く出られる。
本編
HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
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135 | 143 | 143 | 80 | 65 | 34 | 600 |
その見た目通り、攻撃などの物理方面に大きく寄ったステータスへ成長している。
特に物理耐久力は分厚く、努力値なしでもH振りレジスチルより硬いという鉄壁っぷり。
代わりに特殊防御が低めになっており、素早さはヌオーにも追い抜かれてしまうほどの鈍足(ハガネールよりは速いが)。
典型的な重戦車型のポケモンである。
専用技として「ダブルパンツァー」を習得できる。
はがね物理の2回攻撃という「ギアソーサー」と似た技だが、相手をひるませる追加効果が付与されている。
怯み判定が2回行われるうえ、命中率も100%であり、その性能はかなり凶悪。
ただし、メルメタル本体の足が遅いので怯みを活かすにはひと工夫が必要となる。
補完として、「じしん」や「かみなりパンチ」といった使いやすい物理技もいくつか覚えられる。
ピカブイでは特性の概念がなかったため特性は長らく不明のままだったが、剣盾にて解禁され「てつのこぶし」であることが判明した。
これにより「ダブルパンツァー」が2回合わせて(タイプ一致補正含め)実質威力216(かつ先制できれば51%の確率で怯む)というますます凶悪な性能に変化した。
オノノクスの「げきりん」よりもはるかに強くタスキ無効で先制されたら5割でこちらが何もできなくなると言えば強さが分かるだろうか。
味方の「トリックルーム」とも併用できるようになり、ひるみ効果が生きる場面が増えた。
また「ボディプレス」も習得したことで、ぼうぎょ特化にして「とける」と合わせた物理受けの強力な攻撃手段が手に入った。
ピカブイでは覚えられた「じしん」を剣盾では覚えられなくなっていたが、鎧の孤島配信とともに修正。しかし同じくピカブイで覚えられた「どくどく」は剣盾ではマシンが消滅したため覚えられない。
弱点は無論鈍足であることと不安定な特殊耐久。せめてとくこうととくぼうが逆だったらと言いたいが、これ以上を求めるのは贅沢すぎるというものだろう。
幻解禁のレギュレーションで行われた剣盾ランクバトルシーズン34ではダブルバトル使用率30位を記録。幻として圧倒的に低い素早さによるトリパエース適性、「ダブルパンツァー」の火力によるザシアン、白・黒バドレックスへの遂行力、およびそちらのひるみ追加効果による無限の勝ち筋、「てつのこぶし」補正の乗った三色パンチなどの各種サブウエポンによる役割破壊、HP252B4振りだけでA252ビクティニのVジェネレートを確定2発に抑える物理耐久などが活躍の要因であろう。
ちなみにトリパエースとして使う場合は可能な限り素早さの個体値を下げたいが、前述のキョダイマックス個体を使わない場合は厳選の難易度がえげつないことになっている。
というのもポケモンGOから送ってきたポケモンの個体値はGOでの個体値に依存するのだが、GOには素早さの概念自体が無いため、素早さの個体値だけは完全にランダムになるのである。
進化条件の都合上必ずGO内でメルメタルに進化させてから本編に送る必要があるため、一回の試行にもかなりの時間がかかる。
幸い、ピカブイを経由すればGOパークで捕獲してGOパークを出る際にセーブせずに出て個体値を確認できるため、ピカブイがあれば厳選難易度は若干下がる。
一方のポケモンGOでは、特殊と物理の区別がなく、すばやさのシステムも存在しないため、攻撃と耐久の両方が高水準に纏まった、非常に高いステータスを持ったキャラクターとなっている。
だがはがねタイプ宜しく、覚える技にやや難がある。
通常技は「でんきショック」のみ。他の技はなかったのかというツッコミも見られたが原作でメルメタルが覚える技の中で通常技に当たるものはこれしかないのであっただけでも奇跡と言えよう。寧ろ、でんきショックを持っているからこそこいつの強みが発揮される。詳しくは下記。
一方のゲージ技は「ラスターカノン」「いわなだれ」「10まんボルト」「はかいこうせん」「ばかぢから」「ダブルパンツァー(限定技)」。
当初は高いステータスを持っていながらこれといった活用のしどころがなく、実装から長らくの間、典型的なコレクション用のキャラクターとしてしかみなされていなかった。
一応、通常技とゲージ技の両方ででんき技を揃えられるため、でんきタイプ代理として活用するという用途はあったが、所詮は不一致技であるため、でんきタイプとの複合であるジバコイルの劣化にしかならなかった。
しかし、2019年11月にGOロケット団幹部とのバトルが実装されると、メルメタルは幹部の1人であるアルロが一番手として繰り出すシャドウストライクへの対抗策の1つとして名乗りを上げることとなった。
というのは、
- ストライクの技のうち「つじぎり」を除くほぼすべての技を軽減できる。
- シールドを張らなくても一発程度なら相手のゲージ技を受けても持ちこたえることが可能。
- 「でんきショック」「10まんボルト」「いわなだれ」といった、ストライクの弱点を突く技を覚えられる。特に「いわなだれ」は二重弱点を付けるため、メルメタル自身の攻撃力の高さもあり、相手のシールド使用を封じることさえできれば、ほぼ一撃で仕留めることができる。
- 「でんきショック」の回転速度が非常に高く、ゲージ技を撃ちやすい=相手のクールタイム(即ち隙)が多くなる。
といった具合に、ストライクに有利な要素が非常に多かったのである。
現在はストライクはアルロの手持ちからは外れているが、幹部の手持ちにはでんき・いわ・かくとう技に対して弱点を持つ者が依然として多いため、現在でもメルメタルの需要は高い。
原作のランクマッチであるGOバトルリーグでもタイプの多さから高度な読みを必要とされるためお呼びにかかることが多い。但し、耐久型の種族値でないためスーパーリーグ、ハイパーリーグでは等倍でも結構喰らうので要注意。
とはいえ、入手難易度が高い点は変わっていないので、実戦で使えそうな個体を厳選しようとなると相当苦労することになるのは覚悟しておくこと。『LPLE』との連動ができず、メルメタルを手に入れるのが難しいという場合は、やや耐久性は落ちるもののダイノーズでもほぼ同じ使用法が可能なので検討してみると良い。
ちなみにジムを攻める際にも使えないわけではない。
「ばかぢから」を習得させると、単はがねというそこそこ優秀な耐久(ハピナスの技を全て半減にできる上にりゅうせいぐんやコメットパンチも半減)と、ジム防衛のポケモンたちに刺さりやすいかくとう技を兼ね備えたアタッカーが出来上がる。勿論カイリキー等の格闘特化のポケモンたちと比べると、一度の戦闘に時間がかかり、その間に防衛側のトレーナーに気づかれてしまうリスクもあるが、その耐性の多さ故に相手の技を回避せずともゴリ押しで突っ切れるので、回避になれていない人はこちらの方が被害も少なく済むかもしれない。
問題はばかぢからを覚えさせるだけではカイリュー等には対応できず、さらに対ロケット団要員としても活用させづらくなるため、サードアタックを開放する必要に迫られること。
あまり合理的な運用とは言えないが、メルタンのアメや砂を余らせている場合は試してみてもいいかもしれない。
又「ダブルパンツァー」でもゴリ押しの芸当は可能。ハピナスと一緒によく置かれるソーナンスにいまひとつにされないのが利点。
因みに何故かSEがアイアンヘッドと一緒。
ステータスの関係上ジム防衛でも使えるには使えるが、弱点がほのお、かくとう、じめんとメジャーなので配置する順番はよく考えること。
アニメのメルメタル
サトシのメルメタル
アローラリーグ決勝戦前夜、マナーロ・スタジアムに共振で呼び出した大量のメルタンが、サトシのメルタンを中心に輪になって踊りながら一体化し、進化した。
決勝戦を観戦に来たオーキド博士はメルタンの命名後に大昔の文献を読み漁り、酷似したこの姿をも確認して『メルメタル』の名称を与えている。
性格は(上記の設定通り)メルタンの頃と大差ないが、マッスルポーズを取るなどマッシブーンに似たやや筋肉系になっている。
使用技は「ダブルパンツァー」と「ラスターカノン」。
パワーやタフネスは桁違いに上がっているが、鈍足重量級ポケモンの強みを引き出せないサトシにとっては不得意な部類に入る。グラジオのシルヴァディ戦では、大ダメージを与える事は出来たものの、攻撃のモーションが遅い事から、機動力で押され倒れる。
その後のククイ博士とのエキシビションマッチでは、特訓で克服しエンペルトに見事勝利を果たすが、ガオガエンとのバトルでは相性の悪さと至近距離で攻撃を撃ち込まれた事で敗北する。
モクローは寝ぼけながらも進化した姿に驚きつつ、大きくなったメルタンだと認識しており、腹部の穴が気に入って寝る時等は入っている。サトシはその姿を『メタルモロー』と呼んだ。
食事に関しても鉄骨や大量の鉄屑を豪快に丸呑みするという、合体した数相当の食欲になっており、何ともエンゲル係数が高そうである。
モチーフ
金属を司る単眼の巨人という特徴から、ギリシア神話のサイクロプスがモデルになっていると思われる。
神話でのサイクロプスは卓越した鍛冶の技術を持った三人兄弟として描かれており、三人ともが雷に関係する名を持つことや、奈落タルタロスから助けられた際に天空の神ゼウスへ雷霆を贈ったという伝説があることから、メルメタルもでんきの技を扱えるのではないかと考えられる。
ポケモン世界において3000年前はちょうどカロス地方で戦争が起こった時期と重なる。元ネタの神話の方でもサイクロプスが作った兵器はティタノマキア(ティタン神族とオリンポスの神々との戦争)で大いに貢献したと言われており、メルメタルが3000年の時を経て蘇った理由と何か関係があるのかもしれない。メルメタルの図鑑No.からしてカロス地方と戦争をしていた地方はもしかしたら…。
ただし、カロス地方の神話はギリシャ神話ではなく、北欧神話がモデルだという説が根強い。
余談
『GO』で1匹のポケモンから入手できるアメは(きのみを使わなければ)最大4個であり、それが100匹分で丁度400個。
つまりメルメタルは最低でも100匹のメルタンが同化している事になり、その体重もメルタンのきっかり100倍となっている。
2019年2月6日には、『ポケモンGO』にて進化前のメルタンの色違いが実装(出現期間は3月5日まで、同年5月に再度出現チャンスあり)。そのまま進化させれば色違いのメルメタルも入手できる。
上記のように初出が『ポケモンGO』であるため、メルメタルおよび進化前のメルタンは、「〇〇地方出身のポケモン」という括りに入らないポケモンである(本編登場を初出とするならカントー地方出身、世代を初出とするならアローラ地方出身と受け取れなくはないが)。
このため地方ごとの分類で初めて「その他」で分類されることになった。
上述の通りキョダイマックス個体が存在するのだが、通常のメルメタルにダイスープを飲ませることは出来ず、入手方法はポケモンGOポケモンホーム連携プレゼントの1度きりとなっている。
おまけに専用技のキョダイユウゲキがダイスチルを犠牲にするにはあまりにも弱く、対戦でも需要がない。結果として非常に影の薄いキョダイマックスとなっており、それなりにポケモンをやりこんでいる人でも存在を知らない、全く覚えていないことがある。扱いは幻ポケモンの専用形態にしてはかなり悲惨と言えよう。