概要
「ん」とは、日本語のひらがなの一つである。五十音表では通常は最後に配置される。
通常、というのはこの文字は日本語の音の中で唯一子音のみからなるため、本来は五十音表に含まれないからだ。そもそも少なくとも平安時代くらいまではかなどころか音も存在しなかったとも言われている(中国語などで「ん」を含む言葉の読みは「む」や「い」や「が」(英語の"song"や"long"の"ng"に当たる音に適用。正確に言えば、当時は濁点が存在しないので「か」)で代用していたようだ)。
五十音表の最後に置かれたのはインドが関係している。当時仏教を学ぶのに必須だった梵語(インドの言語の一つ、サンスクリット語とも)はインド・ヨーロッパ語族であるため、同じくインド・ヨーロッパ語族に属するギリシア語と同じくアルファから始まりオメガで終わった。梵語でアルファに当たるのがア=「阿(ア)」でありオメガに当たるのがオーム=「吽(ウン)」である。これを合わせたのが「阿吽の呼吸」の「阿吽」であり、仁王像や狛犬など日本の文化に深く根ざしている。
さて、空海に擬せられている五十音表を作った仏僧達は、梵語の順番を参考にした。「あいうえお」や「あかさたな」の順番も、梵字の並べ方から借用している。当然、「ん」の文字も「吽」に合わせて最後に置かれた。
「ん」にまつわる話
- 「ん」で終わる言葉は多い。「みかん」「きりん」「ゴンさん」「解散」「ネクロノミコン」など。当サービスの「ピクシブ百科事典」も「ん」で終わる。
- 逆に「ん」から始まる言葉は非常に少ない。その理由は日本古来の言葉の歌「いろは歌」に「ん」は含まれておらず、そもそも「ん」は前に言葉がつくことで初めて発音できる言葉と考えられていたため「んから始まる言葉」という概念が存在していなかった。
- ただし一部の地方の方言では「ん」から始まる言葉が多数ある。特に沖縄では90以上の方言が存在する。(例:んみゃーち=ようこそ、んかし=昔)
- しりとりでは、最後に「ん」が付く言葉を言うと負けである。
- 「ん……」とか「ん?」とか言うと会話を終わらせることができる。
- 「んこ」で食物の成れの果てであるうんこを示す。
- 内容をぼかす際に「ン」の文字を使用する場合がある。(例「ン千円」「ン万円」)
- 「ん」はフランス語には存在しない音であるため発音が難しく、現地人からは「ぬ」と聞こえる。
- 広東語で「五」や「呉」は「ン」という。台湾語で「黄」や「阮」を「ン」という。(ただし、声調はそれぞれ違う)
- 「冬至の七草」と呼ばれる7つの食材がある(なんきん(かぼちゃ)、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん))。これらは「ん」が2つ付いており、冬至に食べるとたくさんの「ん=運」が呼び込めるという習わしがある。
- 車のナンバープレートのひらがなに「ん」は無い。(単語での発音が難しい、「う」と紛らわしいため)
その他
- NHKでは2020年に『ん』という一文字タイトルのコメディー番組が放送された。世の中にあふれるちょっとした違和感=「ん」を題材にした話で、主人公の「ん子」を松本穂香が演じる。
- ゲーム『ペーパーマリオRPG』では「ンのもじ」というアイテムが存在する。
- 五味太郎の絵本に『ん ん ん ん ん』というタイトルの作品がある。
- 「ん」から始まる楽曲名がある。(南国少年パプワくんのOP『んばば・ラブソング』、夢のクレヨン王国のOP『ン・パカ・マーチ』、GUMIの『ンチロギ』など)
「ん」から始まる言葉
ピクシブ百科事典に記事の存在する言葉のみ掲載。台詞関係は除く。
実在の地名
架空の地名・ステージ名
実在の人物
- ンヌグム(バーチャルYouTuber)
- ンダホ(YouTuberのグループ『Fischer's』のメンバー)
キャラクター名
- ン・ガミオ・ゼダ(仮面ライダーディケイド)
- ンザンビ(Fate/Requiem)
- ンジャ(コトダマン)
- んじょも(熱血高校ドッジボール部)
- ンダ(ブラックチャンネル)
- ン・ダグバ・ゼバ(仮面ライダークウガ)
- ンチュミセイメイ(コトダマン)
- ンドゥール(ジョジョの奇妙な冒険)
- 冥獣帝ン・マ(魔法戦隊マジレンジャー)
- ンン(ファイアーエムブレム覚醒)
その他
関連タグ
外部リンク
- 外国人から見た日本 (31) 外国人にとって発音が難しい日本語 - マイナビニュース