「おれはッ 空からこの海を統べる男だァ!」
概要
かつて“海賊王”ゴールド・ロジャーや世界最強の男“白ひげ”エドワード・ニューゲートなどの猛者たちとしのぎを削った伝説の大海賊。
『ONE PIECE novel A』によると、ロジャーや白ひげの他に“ビッグ・マム”ことシャーロット・リンリンとも新世界の覇権を争っており、彼ら4人は当時の四皇のような存在だったという。
プロフィール
本名 | シキ |
---|---|
異名 | 金獅子、空飛ぶ海賊 |
年齢 | 不明 |
身長 | 不明 |
懸賞金 | 不明 |
所属 | ロックス海賊団船員→金獅子海賊団大親分 |
所属船 | 名称不明→メルヴィユ |
悪魔の実 | フワフワの実(超人系) |
覇気 | 不明 |
武器 | 名刀「桜十」、「木枯し」 |
出身地 | 不明 |
誕生日 | 3月20日(シキを演じた竹中直人の誕生日) |
星座 | おひつじ座 |
血液型 | 不明 |
好物 | 不明 |
笑い方 | ジハハハハ |
初登場 | 単行本零巻 第0話 『STRONG WORLD』(劇場版特典) |
CV | 竹中直人 |
容姿
身長3mを越えるであろう大男で、常に葉巻をくわえており、モヒカンや鶏冠のように頭に突き刺さっている舵輪や獅子の鬣を想起させる金の長髪、両足に義足として着けている両刃刀が特徴。
頭の舵輪は戦闘中の不慮の事故によるもの、義足の剣は彼の脱獄の勲章ともいうべき代物である。
人物
海賊らしい海賊
「絶望の前には希望を与えとくもんだ」
「より高いところから落ちるヤツの引きつった顔は 格別だろう?」
豪胆にして狡猾、冷酷かつ残虐、そして強欲とまさに海賊らしい性分を兼ね備えており、自分に刃向かう者は徹底的に叩き潰し、重要な仕事をしくじった部下は容赦なく処刑するほど。
とはいえ新世界に名を轟かせる海賊たちを束ねるだけに海賊艦隊の提督としての圧倒的なまでのカリスマ性と器は相当なもので、部下のDr.インディゴとミニコントのようなギャグを行ったりするなど陽気なノリの良さも持つ。
執念深さと辛抱強さ
「貴様らごとき若僧に、この俺の20年の計画を、潰せると思うな!」
極めて用意周到な部分もあり、センゴク、モンキー・D・ガープの両名も「平穏を求めるような奴ではないが、すぐに仕掛けてくる事はない」と評しつつ強く警戒するほど。
実際、自身の作戦のためなら「よかろう、計画発動は20年後だ」とそれほどの時間を準備に費やすことすら躊躇わなかった。
さらにシキは能力の性質上天候の変化に弱く、海賊団の強化も兼ねて天候に詳しい学者などのヘッドハンティングを大事にしており、そのためなら拉致監禁も辞さない。
ゴール・D・ロジャーとの関係
「適合することはなかったが、あいつとは同じ時代をやって来たんだよ!」
海賊の本分は「支配」であると豪語している。
自らとは真逆に「自由」を愛するロジャーとは、その思想の違いから若い頃から何度も対立してきた。
その一方でライバルとして誰よりもロジャーのことを認めており、ロジャーが海軍に捕まったという話を聞いた際には、その事を報告した部下を銃で撃ってしまう程に激情に駆られ、自分の手でロジャーを処刑するべく海軍本部を急襲したほど。
東の海を滅ぼすことを目標の第一歩とするが、その理由はロジャーが「最弱の海」で処刑されたことであり、つまりはシキ本人のロジャーへのこだわりの裏返しだったのである。
戦闘能力
悪魔の実
「これは警告だ」
名称 | フワフワの実 |
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分類 | 超人系 |
能力 |
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欠点 |
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自身が触れた物を自由自在に浮かばせる「浮遊人間」。自分も自在に空中を動くことが可能で、自身の触れたものならば操ることができる。
能力の覚醒の段階に達しているのかについては不明だが、その力はシキの実力を表すかの如く、例え艦隊だろうと島だろうと海だろうと空中に丸ごと浮かし操ることもできてしまい、その範囲は数十km以上にも及んでいる。
自分以外の生物を直接浮かせる事は出来ないという制限を持つが、彼の場合は船や地面といった広範囲の足場を操作する事で、事実上諸共に浮かせる事が可能。
また地面や雪を獅子の形に変えて、相手に襲いかからせて飲み込むなど、応用力も高く、能力を極めている。
全能力者の弱点である海水すらも意のままに操れる事は彼にとって非常に強みとなっており、ルフィと戦った時も、彼を海水で閉じ込め溺死寸前まで追い詰めた。
ちなみに自身の島船も空中を移動させている。
海軍本部を急襲した際には、軍艦を10艦以上浮かして落とすという、「警告」をやってのけている。
しかし、能力者が実力者の場合、力量や技術などに伴って多くの使用幅を広げて鍛え上げた事により、能力もより強力なものに昇華されている事が殆ど。
事実、能力の使用は能力者の力でできる範囲に限られるため、それを超えるようなより力の大きい技を使用するにはそれをコントロールし、使いこなせるだけの実力が必要になる。つまり、シキ自身が相当な実力者であったからこそ、フワフワの実の能力もより強力になったと言える。
ただし、空中に浮かぶ以上、サイクロンなどの強風や雷をともなう悪天候は、浮遊に諸に影響が出るため弱点となっている。
基礎戦闘力
元々はロジャーやガープ、センゴク、海の皇帝クラスと互角に渡り合う程の実績を持っていた実力者だが(おそらくこの面子と渡り合えるとなると、覇王色・武装色・見聞色の3種類全ての覇気を高レベルで体得していると思われる)、ルフィと交戦した作中のシキは「老年の訪れ」や「両足の喪失」「頭蓋に刺さった舵輪」「20年以上のブランク」「妄執による冷静さの欠如」など、弱体化の原因となる沢山の要素が複雑に組み合わさり、全盛期から大きく衰えている。
しかし老いて尚もその実力は圧倒的で、拳一つでルフィが複数の島々を次々と突き破りながら凄まじい速度で遠方へ吹き飛んでいく程の身体能力といった膂力は凄まじい(しかし、ゴムのルフィにダメージが一切入っていないことを踏まえると、覇気については未使用であったと言える)。
また、フワフワの能力と自身の速度を併用して活かした圧倒的な速度による空中戦を繰り広げている。
武器として名刀「桜十」(おうとう)と「木枯し」(こがらし)を扱う。
インペルダウンからの脱獄の際に自ら両足を失ったため、それ以降は足に桜十と木枯しを義足代わりに自らはめており、足を使って飛ぶ斬撃を乱発することができる。
シキが繰り出すその斬撃の威力は、海すら斬ってしまう程強烈な一撃となる。
技
- 獅子威し“地巻き”(ししおどし“ちまき”)
支配下に置いた地面を複数の獅子の形に変えて、岩の柱に相手を閉じ込めて封殺させる技。
名前の由来は恐らく「ちまき」。
- 獅子威し“御所地巻き”(ししおどし“ごしょちまき”)
雪を複数の獅子の形に変え、相手に襲いかからせる技。
- 斬波(ざんぱ)
足の刀から飛ぶ斬撃を放ち、斬り取ったものを操る技。
その一発の斬撃の威力としては、海を真っ二つにする程強力。
- 獅子・千切谷(しし・せんじんだに)
「斬波」の乱れ撃ち。
乱発させた飛ぶ斬撃は、海を完全な水滴に分解してしまう程の猛烈な威力を発揮する。
由来は「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」という言葉。
※以下、ゲームでの技
- 獅子威し“打尽巻き”(ししおどし“だしまき”)
『サウザンドストーム』に登場。
由来は恐らく「だし巻き」。
- 獅子威し“天巻き”(ししおどし“てまき”)
『サウザンドストーム』に登場。
由来は恐らく「手巻き寿司」。
活躍
(時間軸は新世界編準拠)
過去
かつてはロックス海賊団の船員で、ゴッドバレー事件での壊滅後に独立。
「金獅子海賊団」を結成。
若い頃からロジャー、白ひげ、ビッグ・マムと何度もしのぎを削り、彼らと合わせて当時の“四皇”のように新世界の覇権を争っていた。
エッド・ウォーの海戦
今から27年前、海賊艦隊を率いて一船のみのロジャーに対し、(脅しをかける形で)彼が在処を知る世界を滅ぼす兵器と自身の兵力・計画があれば世界を支配できると持ち掛ける。
「この話は何十回目だ ロジャー!!若ェ頃にゃあ色々あったが水に流そう!!」
「俺の右腕になれ ロジャー!!!!」
しかし自由を愛するロジャーには断られ、交渉決裂によりロジャー海賊団と戦争になるも、突然の悪天候による艦隊の半数の壊滅と船体から抜けた舵輪がシキの頭に突き刺さり抜けなくなるという不慮の事故の結果、痛み分けとなり戦いは終わった。
後にエッド・ウォーの海戦と呼ばれる戦いである。
海軍本部襲撃
25年前、ロジャーは世界一周を成し遂げ、海賊王と呼ばれるようになるも、ロジャー海賊団は姿を消した。
そして24年前、ロジャーが海軍に捕まったと聞いたシキは激高。
実際には不治の病に侵され、余命幾ばくもないことを悟ったロジャーが自ら海軍に自首したというのが真実だったのだが、シキがそれを知る由もなかった。自分が認めた男が海軍に捕まったという不甲斐ない事態に怒り、彼を殺すべく激情のままに単身海軍本部に乗り込むが、シキを止めようとするセンゴクやモンキー・D・ガープと戦闘になり、マリンフォードを半壊させるほどの激闘の末に敗北、インペルダウンに投獄された。
ロジャーが処刑された後、インペルダウンの囚人達もまた大海賊時代とひとつなぎの大秘宝(ワンピース)の存在に歓喜するが、シキだけは
「くだらねェ…宝目当てのミーハー共が海にのさばったって邪魔なだけだ…!!」
「…何が新しい時代…!!海賊は海の支配者だ…!!いずれわからせてやる…」
という怒りを静かに抱えていた。
脱獄、メルヴィユに潜伏開始
投獄から2年後、海楼石の足枷に繋がれていた両足を切り落として脱獄に成功する。
「おめェらにゃあ悪いが ここは出て行かせて貰う…!!」
「足はいらねェんだ…やるよ」
“史上初のインペルダウン脱獄者”という悪名を加えて海賊に復帰した後は、かつての仲間の白ひげと一緒にモビー・ディック号で酒を飲みながら自身のこれからの目的について話をした後、全世界を支配する野望のため表舞台から姿を消し、固有生物が多く存在する偉大なる航路の島メルヴィユに潜伏。
メルヴィユでは、同島に生息する固有の生物達を凶暴化させる研究を部下のDr.インディゴに行わせ、その期間に必要な20年間、自らの野望を実行する準備を着々と進めていた。
また、時期は不明だが、自身の能力でメルヴィユを周囲の海ごと持ち上げて空に浮かせ、外海から隔離した。
STRONG WORLD
メルヴィユ潜伏より20年が経過し、生物達の凶暴化が予定通り完了したため海賊稼業を再開。全世界支配の足がかりとして東の海(イーストブルー)を壊滅させて支配下に置くべく、再び表舞台に現れた。
その活動の過程で麦わらの一味と遭遇し、優秀な航海術を持つナミを気に入り誘拐。これにより一味と対峙する事になり、メルヴィユでの戦いが始まった。
戦いの中では伝説の海賊と呼ばれるに相応しい圧倒的な力を見せつけて、一時は一味の主要メンバー(ルフィ、ゾロ、サンジ、ウソップ、チョッパー)をまとめて相手取り始末する。
再戦時にもルフィを圧倒するものの、誘拐したナミの策略によりメルヴィユが大嵐の中に突っ込んでしまったため思うような力が出せなくなり、そこにウソップ・ビリーと連携し、雷をまとったルフィの繰り出した「ゴムゴムの巨人の雷斧(ギガントトールアックス)」を喰らい敗北した(ルフィが「ゴム人間=電気(雷)が効かない」ということに気付かず、油断も重なった)。
倒される最期の瞬間、ロジャーと同じ「最弱の海」の男に再び敗れることを思い浮かべ、ロジャーの名を叫びながら力尽きた。
「東の海の男に、俺はまた阻まれるのか…?」
「ロジャ────────ッ!!!」
倒された後、シキは自身の能力で浮かせていたメルヴィユごと海に墜落していった。
その後、海軍兵士が「シキを捕らえろ」と動いていたが、明確に捕まった描写はない。
余談
- 立ち位置
劇場版第10作目『ONEPIECE FILM STRONG WORLD』ではメインの悪役という立ち位置だったが、実は作者・尾田栄一郎が原作に登場させる予定だったキャラクター。
元々「金獅子」という名前だけ頭にあり、ウォーターセブン編で「20年前の海軍大将“金獅子”」案なども考えていたことがワンピースマガジンで語られたが、映画制作総指揮にあたって初期案『クリスタル航海記』を経て現在のキャラクターが固まった。
『STRONG WORLD』の世界観は前後含めた他の映画作品と大きく異なる点があり、それは作者自身が脚本を勤めたこと。そのため原作漫画でも『インペルダウンから史上唯一脱獄した"空飛ぶ海賊"』として名前が登場している。
映画公開に際し書き下ろされた0巻でシキの過去が描かれた他、本編でも再三「大物海賊」として名前が登場しており、ゲスト出演にとどまっている他の映画オリジナルキャラクターとは一線を画する。
映画の時間軸がスリラーバーク~シャボンディ諸島の間にあることも明白であり、加えて『STRONG WORLD』は時系列や登場キャラクター、懸賞金などの設定の整合性において現状唯一原作の展開に加えてもほぼ矛盾が生じない作品となっている(トビウオライダーズ戦でのブルックの「麦わらの一味正式加入後の初陣」発言など矛盾が完全に無い訳ではない)。
このことからシキは半分原作の登場キャラクターといっても差し支えはないだろう。
- ファンサービス?
本編では存在を示唆されるだけのシキだが、黒炭ひぐらしがマネマネの実の能力で再現した顔の一つに特徴的な眉をした長髪の男性の顔が登場している。
海外にいたというひぐらしもロックス海賊団となんらかの関わりを持っていたのかもしれない。
また、原作第631話の扉絵においてクロッカスが誰かと酒を酌み交わしている姿が描かれており、この相手が和笠を被るなど和装をしている様子で、羽織(もしくはマント)の柄が縦縞模様であることや、長さや髪質こそ違うが後ろ髪を伸ばした長髪など特徴が一致する点がいくつかあるが…?
- 声優
シキを演じた竹中直人とトニートニー・チョッパー役の大谷育江は『劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI』でも共演している。
映画化するにあたって作者直々の熱烈なオファーによって実現した。
本人はシキについて「シキはすごく濃いキャラの男」と述べ、演じるにあたって「血管二本切れた」とも言っている。
作者の「テンションもっとガンガン上げちゃって下さい!」という指示により陽気で茶目っ気がありつつも大海賊らしく狡猾で残忍なシキが出来上がった。
また、竹中直人は後に『GOLD』、『STAMPEDE』、『RED』にもゲスト出演している。
これは作者の「映画をやるなら竹中さんには毎回出てほしくて、毎回『やり足りない!』って言われたい(笑)」という要望によるもの。
なおシキが今後アニメ本編に登場する場合、前例として『FILM Z』のアインは映画本編とそのプロローグとなるテレビアニメで異なるため、彼も専業声優に交代する可能性が高い。
- インペルダウンの脱獄
表面上はインペルダウン初の脱獄者と言われているが、実はその100年以上前に人知れず脱獄に成功していた「穴掘りの能力者」がいたとか…。
なので正確には力技で堂々と脱獄に成功したという意味でシキが史上初というわけである。
- 「勝敗=強さ」ではない
かつてはロジャーや白ひげと対等に戦ったほどの大海賊であるシキに、何故ルフィが勝てたのかについてだが、当時のシキは20年もの間姿を消して戦闘から退いており、老年ゆえに力も衰えて大きく弱体化していた。
これは白ひげやゼファーなどにも言え、ゼファーは心肺機能を補うための薬物吸入を要し、白ひげは療養中であった。
それに加え、シキの場合は両足と頭に大怪我を抱えていたうえ、能力の弱点を突かれてしまうという不利な条件が重なってしまったことが最大の原因と考えられる。
その一方で、麦わらの一味を直接仕留める機会が2度もありながらナミの確保や精神的な屈服を優先して結果的に見逃したり、最後の戦いでもルフィの身に雷が落ちたことで勝手に勝利を確信して隙を作ったりと、シキ自身の慢心と油断も致命的な要因であったと言える。
特に2度目については一味の命や東の海に手を出さないことを交換条件にナミを捕らえておきながら、後で実質的に反故にしており、完全にシキの慢心だった。
そしてルフィに電気が効かないことを知らなかったことを踏まえても、「見聞色の覇気」の使用を怠っていなければ見落とすことはなかったはず。
結果として、クロコダイルも同様にどんな猛者であろうと強さの弱体化は然り、さらに油断したりして、相手に弱点をつかれてしまえば強さとは無関係に倒されてしまう。
つまり、強さだけでなく他の要素も複雑に絡んでくるため、作者が79巻のSBSで公言している通り、どんな戦いも勝負の行方は分からないということだ。
実際にモネもルフィに対して 「戦闘力と勝敗は別物でしょ」 と語っている。
- 海賊艦隊提督
全盛期には海賊艦隊提督の異名でも知られており、逮捕された際の新聞には海賊艦隊提督でニュースになっている。規模こそ全く違うものの、東の海の海賊クリークも同じ海賊艦隊提督の異名を持っていた。
- 支配
シキが自由の対極にあるだろう「支配」という価値観に拘るのは、かつての船長であるロックスの影響があるのかもしれない。
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