もしかして
→スコ君
概要
グレートブリテン島北部に位置するグレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国・イギリス)を構成する自治地域の一つで、本島全体の約3分の1を占める。
自治政府は首府はエディンバラに置かれており、最大都市はグラスゴー。
国花はアザミ。
「スコットランド」という名称は、この地を統一したスコット人(Scots)に由来する。スコットランド・ゲール語では「アルバ(Alba)」と呼ぶ。ラテン語では「カレドニア」と呼ばれる。
地理
グレートブリテン島の北部を本土とし、その沖合の島々(ヘブリディーズ諸島)や、やや離れたオークニー諸島・シェトランド諸島を領土とする。本土は南部のローランド(低地)と北部のハイランド(高地)に大別される。
ローランドには首都エディンバラ、工業都市グラスゴーといった大都市があり、農業も比較的盛ん。また北よりの都市アバディーンは北海油田の中心地として知られる。ゴルフで有名なセントアンドリューズ、赤い鉄道橋として有名なフォース橋もこの地域。また、ローランドの中でも特にイングランドに近い最南部はボーダーズと呼ばれ、現在はイングランドに属する港町ベリックを含めた争奪地として知られていた。
一方のハイランドはインヴァネスを中心地とするが、荒野や荒れ地が多く、18世紀に至るまで王権ですら統率しきれない部族・領主が跋扈していた。ネッシーで有名なネス湖があるのもハイランドである。ハイランドの一部とされる諸島部(ヘブリディーズ諸島)は特に、ケルト系の文化・ゲール語意識が強いことで知られる。特にルイス島には新石器時代の遺構、カラニッシュ立石が存在する。
さらに北方のオークニー、シェトランドの両諸島は緯度のわりには温かいことで知られる。この地域はヴァイキングの時代にノルウェーに占領され、その後王家の婚姻を通じてスコットランド領になった経緯を持つことから、そのノルマン系の名残が存在する。
歴史
イングランドとは種族の異なるピクト人という種族が住んでいたらしく、彼らについては謎が多いが、ケルト語を話していたらしい。一時期ローマ帝国が支配していたが、気候や政治制度の問題などから撤退している。後にピクト人の他にローマの影響を受けたブリトン人(大陸から移住してきたケルト人で『島のケルト』とも)、アイルランドから来たゲール人、イングランドから来たゲルマン人の一派であるアングロ・サクソンの内のアングル人、スカンディナビア半島から来たヴァイキングなどが混ざり合った地域となった。6世紀頃からまとまった王国が出現し、1066年に統一されたイングランドと敵対するようになった。そのため、フランスと対イングランド同盟を結んでいる。
13世紀末のイングランド王エドワード1世の頃、一時期イングランドが占領するも、ウィリアム・ウォレスやロバート・ザ・ブルースなどが抵抗を続け、ついに独立を回復している(この時代は映画「ブレイブ・ハート」の舞台になっている)。
しかし、その後も王国としては王位継承や国内貴族の統制で度々もめる事態が続いた。
後に、情勢の変化からフランスよりもイングランドとの関係を重視するようになっていく。そして1603年、エリザベス1世が独身のまま死んだ事により、メアリー・ステュアートを通じて血縁であったスコットランド王のジェームズ6世がイングランド王ジェームズ1世として即位する(※1)。ここに両国の同君連合が誕生した。しかし、ジェームズ6世はロンドンに定住してスコットランドには命令書を送るだけで支配するようになり、スコットランドは同君連合の主導権を取ることはできなかった。
そして清教徒革命がきっかけで政治対立から内戦が勃発、王党派のチャールズ王太子が拠点としたスコットランドはイングランドの侵攻を招いてしまう。王政復古によって王太子がチャールズ2世として即位し同君連合を回復したのもつかの間、イングランドが勝手に次のスコットランド王ジェームズ7世を名誉革命で廃位追放した事に反発して対立、経済力の差に屈服させられてしまう。こうして1707年、スコットランドはイングランドに吸収された(※2)。その後、ジェームズ7世支持者のジャコバイトたちによる反乱が起こるも失敗。イングランド化が進んでいくこととなる。
一方、この事態に18世紀には「スコットランド啓蒙」と呼ばれる一時代が出現。アダム・スミスやデイヴィッド・ヒューム、アダム・ファーガソン、トマス・リードといった現代にも名を残す著名な思想家・学者を数多く輩出した。
産業革命を経て発展と停滞を繰り返すが、第二次世界大戦以後はナショナリズムが高まる。北海油田の開発やサッチャー政権時の地域格差によって中央政府への不満が高まり、1997年にブレア政権の判断でスコットランド議会が設立された。自治権を与えることで独立志向のガス抜きのつもりだったが、かえって煽ることになった。
2012年に中央政府との協議で独立の是非を問う国民投票の実施が決まり、2014年9月19日に投票が行われるも、独立については否決された。これを受けて、スコットランド自治政府首相アレックス・サモンドは自治政府首相(First Minister of Scotland)およびスコットランド国民党(SNP)(※3)党首の辞任を表明した。
しかし、独立機運は依然くすぶっており、独立を目指すSNPは再投票の実施の機会を虎視眈々と狙い続けている。
イギリスは2016年6月23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を選択。→Brexit
スコットランドではEU残留票の方が多かった。また、スコットランドがイギリスから独立してEU加盟を目指す案も出ている(2014年のスコットランド独立の国民投票でも、独立後にEU加盟を目指していた)。
※1……スコットランドには彼以前にジェームズを名乗った王が5人いた。この当時、スコットランドとイングランドはあくまで別の国家であるので、スコットランド王としての「M世」とイングランド王としての「N世」は一致しない。イングランド王ジェームズ2世は、スコットランド王としてはジェームズ7世になる。チャールズ1世、チャールズ2世については、スコットランドとイングランドとで代数が一致しているが、これは偶然に過ぎない。ちなみに、ジェームズ6世がイングランド王継承資格を有していたのは、祖父のスコットランド王ジェームズ5世が、イングランド王ヘンリー8世の姉マーガレット・テューダー(スコットランド王ジェームズ4世の妻)の子であったためである。
※2……議会と経済関係ではイングランド寄りの統合はされたものの、司法制度や合同法に違反しない旧イングランド・旧スコットランド両王国の法律が維持される(例:スコットランドにおける長老派教会の維持)など、合同は不完全なものとなった。
※3……報道では「スコットランド民族党」と書かれることもある。
別名・表記揺れ
関連タグ
イングランド ウェールズ スコットランド 北アイルランド … イギリスを構成する4つの地域
「スコッチ」という語を含むがスコットランドとは無関係のもの
民族
文化
音楽・楽器
衣服
食べ物・飲み物
動物
スポーツ
スコットランド出身の人物
- マクベス(国王)… シェイクスピアの戯曲『マクベス』の元ネタとなった人物
- アダム・スミス(経済学者・神学者・哲学者) … 「経済学の父」とよばれる
- アレクサンダー・フレミング(細菌学者) … ペニシリンの発見者
- ジョン・キーツ(詩人)
- ウォルター・スコット(詩人)
- アーサー・コナン・ドイル(作家) … 代表作「シャーロック・ホームズ」
- ロバート・ルイス・スティーヴンソン(作家) … 代表作「ジキル博士とハイド氏」「宝島」
- スーザン・ボイル(歌手)
- モーマス(歌手)
- ショーン・コネリー(俳優)
- ユアン・マクレガー(俳優)
- ジェラルド・バトラー(俳優)
- ジェームズ・マカヴォイ(俳優)
- レイ・スティーブンソン(俳優)
- アンディ・マレー(テニス選手)
スコットランドの伝承
- ネッシー(UMA)
- アハ・イシュケ(妖精)
- バー・ヴァンシー(妖精)
- カリアッハベーラ(妖精)
- クー・シー(妖精)
- グラシュティグ(妖精)
- ケルピー(妖精)
- セルキー(妖精)
- タム・リン(妖精騎士)
- ナックラビー(妖精)
- ハギス(幻獣)
- ハベトロット(妖精)
- バンシー(妖精)
- ファハン(妖精)
- ブラウニー(妖精)
- ブラック・アニス(妖精)
- ボダッハ(妖精)
- メロウ(妖精)
- レッドキャップ(妖精)