「全てがオレと一つになる!全ての統一を成す完全体だ」
「世を照らせ 無限月読」
概要
『NARUTO』に登場する作中最強の幻術の一つで暁の真の目的。
地上全ての人間は愚か、動物に幻術をかけてコントロールする術である。これにより、争いもわだかまりもない世界を作ろうとした。
開祖は大筒木カグヤであり、彼女はこの術によってある種の世界征服を成し遂げた。
効果
この術は通常の「幻術」とは異なり、月面を依代として輪廻写輪眼を浮き上がらせて発動する。発動するには十尾の人柱力になる必要がある。
発動すれば、全世界の生きとし生けるものが対象になり、建物に隠れても逃れることは出来ない。
対象は神樹の伸ばした枝に囚われてミノムシのように吊るされ、夢を見続ける。この術の対象者への効果は吸われた対象は永遠に自分の見たい夢を見続けることにあり、その肉体と魂が神樹に喰らい尽くされるまで痛みや恐怖すら感じないという所である。
作中において、この術を発動させるために暗躍していたうちはオビトやうちはマダラは、争いが絶えず思うようにことが運ばない、繰り返される苦しみに溢れた現実世界に絶望し、世の全ての人間が幸せになるための方法として、術の完成を目指していた。
作中ではナルト達により途中で妨害されるに至ったが、そのさなかに垣間見た忍達の「隠された夢」はなかなか秀逸であり、読者は時に涙し時に噴き出した。
そして、ナルトの「こんなのは嘘っぱち」という言葉とは裏腹に、見ていた夢の内容に解術された後で思う事があった忍達も数多く、無限月読は解術された後も幾分かの忍のその後の行動や人生に大きな影響を与えている。そして、最も幻夢の内容に思うことあり、その後の努力と人生に大きな影響を受けていたのが彼女であるのが何とも皮肉である。
アニメ『NARUTO疾風伝』では、原作でカットされたキャラの夢が数多く登場したほか、猛烈な引き延ばしオリジナルエピソードが多発し、視聴者が無限月読にかかるという事態が生じた。更にこの無限月読が終わった後は、イタチ真伝だった。
この術の解除方法は全尾獣のチャクラを持つ者と輪廻写輪眼を持つ者(つまり術者と同様の力を持つ者)が子の印を結ぶ必要がある。
幻夢の例
- 日向ヒナタ
- 油女シノ
- 新種の巨大な蟲に乗り冒険に出る。
- 犬塚キバ
- 火影に就任し、愛しの赤丸を撫でながら同じく犬好きなこの人の如く犬の日制定を目論む。
- 奈良シカマル
- 秋道チョウジ
- 料理上手な美少女に贅沢な料理をたくさん振る舞われラブラブな雰囲気に。陰では父・チョウザが「お前もマニアを見つけたな!」と嬉しそう。正直な夢ですなあ。
- 山中いの
- ロック・リー
- ついにナルトとネジ(故人)を撃破、サクラから抱き付かれる。
- サイ
- ようやく心から笑うことができ、第7班やいのから熱い抱擁を受ける。シン(故人)が出なかった当たり他の忍たちとのリアリズムの持ちようが窺える…かも。
- テマリ
- カンクロウ(スッピン)と我愛羅から「姉上! オレの相談を聞いてくれ!」と頼られる。ざっくり例えるならこれ。
- カンクロウ
- サソリの傀儡を改造した超巨大究極傀儡の操縦。つまり…どういうことだってばよ? なお、『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』で似たようなネタがある。
- 我愛羅
- 照美メイ
- 綱手
- テンテン
- 原作では真人間になったガイリーコンビに安堵し、さらにその状況をネジ(故人)につっこまれる、という一幕が描かれる。アニメでは大幅に掘り下げられ、その内容は、テンテンにより里の危機が救われ、それをネジ(故人)をはじめとした里の仲間たちに賞賛されるというもの。ちなみにキャラ設定は『ROADTONINJA』が原型になっているが、メンマのみパラレル設定となっている。
- ヤマト
- キラービー
- アニメ版のみ登場。他の人柱力達と共に、里に縛られることなく正義のヒーローとして活躍する。某扉絵が元ネタ。
欠点
どのような忍術にも弱点があるように、この術にも欠点がある。
この夢はあくまで生者に夢を見せるため、死者つまり「穢土転生」された死者には効果が無い。
そして、月から放射された光を防ぐ輪廻写輪眼を持つ者が作り出した須佐能乎の内部は光を遮るので効果がない。また、発動時点で特殊な存在に寄生されている場合は幻術にかからない。
そして何よりも、術者にはかからない。
つまり、術者は夢の世界には行けないのである。
彼らはそれを承知の上でこの術の発動を決行した。
辛い現実に残されるのは自分だけで良いと言わんばかりに
彼等は自己中心的であったかもしれないが、少なくとも自分さえ良ければ良いという人物ではなく
彼等なりに本気で全人類の幸福のために動いていたのである。
限定月読
劇場版『ROAD TO NINJA』でオビトが使用した術。
前日譚に当たる「陣の書」収録の読み切りで当人が語ったところによれば「無限月読の試作」とのことだが、無限月読自体は既に存在する術であるため、その原理をもとに組み上げたオリジナルの大幻術と思われる。
試作と言うよりは試運転と言った方が近いだろう。
まず条件として、
- 術の対象は一人。事前にその対象者の望みを詳細に解析しておく必要がある(このため、読み切りにおいては「遠眼鏡の術」を使い、ナルトの一日を監視してその願望を解析した)
- 発動の媒介は術者の写輪眼。対象者の眼を直接見てかけなければならない
と言った制限があり、かけるための準備とかける方法は通常の幻術以上に手間がかかる。
そこまでして発動したこの術の効力はというと、
- 対象者の願望を反映した架空の世界を作り出し、そこに対象者を取り込む
- 架空の世界は時間経過とともに固定化され、最終的には術者の干渉を受け付けなくなる
というもの。
無限月読が「覚めない夢」であるのに対し、こちらは幻術を媒介に世界線一つを丸ごと作り出して対象者を閉じ込めるというものであり(単なる夢でないことの証左として、架空世界のサクラが現実世界に迷い込んでいる)、ある意味無限月読よりもとんでもない術である。
恐らく原理としては、うちはの禁術「イザナギ」による「不都合な結果の消去」と「都合のいい結果の創造」を無限月読の術式に入れ込んで不足部分を補ったものだと思われる(オビトは柱間細胞の半身を持つため完全な形でイザナギを使用でき、左目の写輪眼はスペアによる補充が利くのである程度イザナギを乱用できる)。
限定月読の世界のキャラクターたち
アニメ版第491話『ROAD TO SAKURA』、ドラマCD『ROAD TO CHARASUKE』、アニメ版『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』第17話「ROAD TO GUYです!/実録!木ノ葉の里の妄想映画祭です!」などの関連作品で登場。
現実世界の登場人物とは性格やポジションが反転しているのが特徴だが、現実世界と変わらない性質を持ち合わせるキャラクターもいる。
とはいえ、メインの登場人物の仲は(一部を除いて)険悪というわけではない。
- 春野サクラ
- 現実世界のサクラがこのポジションに収まり、父が四代目火影というナルトのポジションも兼ねている。その為、ナルトの両親は健在。
- TVアニメ版では月読世界のサクラ本人が登場。こちらは逆にナルトに惚れているが、サスケを嫌っている設定。
- うちはサスケ
- チャラスケを参照。
- はたけカカシ
- -熱血教師になってしまった。その影響でマイト・ガイ先生はネガティヴになってしまっている。
- サイ
- 表情豊かかつ絵が下手。
- 奈良シカマル
- IQ200から反転し、アホで子供っぽい性格に。髪型も異なる。視聴者からの通称はアホマルもしくはただの森久保。
- どれぐらい知能が下がったかというと、1500÷3が解答できなかったり、"重い"食べ物(脂っこい食べ物)と食べ物の"重量"を一緒くたに考えるなど。
- 山中いの
- こちらでは男子を「君」、女子を「ちゃん」と呼ぶ控えめ且つ穏やかな性格になっており、彼女がヒナタのポジションになっている。
- 秋道チョウジ
- こちらでは痩せ型で少食かつ冷静沈着になっており、シカマルと立場が逆転している。
- 胸当ての字も「職」に変わっている。
- 日向ヒナタ
- 月読ヒナタを参照。
- 日向ネジ
- 白眼を覗きに使う変態という見事に残念なイケメンと化してしまい、ヒナタからは「一族の恥さらし」呼ばわりされる始末。
- ヒナタからは「ネジ兄」と呼ばれ、彼もヒナタを「ヒナタ様」と呼ぶ。
- 犬塚キバ
- 基本的な性格に変わりないが、こちらではネコ科が好きになっているので赤丸とは不仲。
- 油女シノ
- 性格はそのまま…だが、無視をされるのと虫が嫌いになってしまっており、食虫植物の栽培を行なっている。
- ロック・リー
- 基本的な性格にそこまで差異はないが、スケベさが増しており、テンテンの下着を盗んではそれを着るという変態行為に及んでいる。
- テンテン
- 基本的な性格にそこまで差異はない。しかし、忍具の扱いは下手であり、顔に絆創膏を貼っている。
- 夕日紅
- 幻術・オカルトマニアだが、幻術は使えない。
- 暁
- こちらでは傭兵という扱いであり、マダラとゼツはいない。
八千矛/印刻月読
ゲーム「ナルティメットストームコネクションズ」のストーリーモードで登場したオリジナル術。「やちほこ」「いんきざみのつくよみ」と読む。
キーキャラクターであるうちはナナシの術で、彼女の両目の万華鏡写輪眼に宿った固有術。
八千矛は「対象者と自身のチャクラをリンクさせる」術であり、対象者との間でチャクラを奪ったり与えたりできる。これを利用し、戦国時代のうちは一族により万華鏡の瞳術を次々と移植されている。(この後八千矛で術を返せば本来一人二つまでの万華鏡クラスの瞳術を三個以上同時に使用することも可能になり、また全員のチャクラを足して均せば全員がとんでもないバフを受けることとなる)
印刻月読はこうして移植された「月読」を応用した術で、無限月読と同じく月に己の写輪眼を投影、防げない光を浴びせることでマーキングを付与する術。
これを回避するには須佐能乎で光を遮るか、そもそも現実世界ではないところに精神を移動させておくしかない。
ストーリーではこれによって世界中の忍者にマーキングを行い、八千矛によるリンクとチャクラを介した記憶への干渉を可能にしたが、発動の時点でVRゲームに見せかけた月読空間に飛んでいたボルト・サラダ・ミツキら第七班とカタスケ、シカダイ、いのじん、須佐能乎で防いだサスケにはかからなかった。
関連項目
バジャック:似たような能力を持っている。
キリシュタリア・ヴォーダイム:人間を全員強制的に神へと昇華させ肉体や知性等の基礎スペックを跳ね上げ、そう簡単に死なないようにする事で全人類の生活に余裕を持たせ、それにより争いをなくし、平和にしようとした(少なくとも彼は「そうなってほしい」と人間の善性を信じた)。しかしその術式は発動者が効果の対象外であったため、自身はそのまま最後の人類として死ぬつもりであった。が、それを聴いた仲間に計画を拒絶され殺害される事になった。「自分だけは対象外の術を使い」「全世界を平和にしようとした」が「裏切りによって命を落とす」という点で似通っている
スウォルツ/アナザーディケイド:夢の中と異次元空間という違いはあるが「アナザーワールド」という似たような能力を持っている。その副産物で得られるものが無限月読が神樹の養分なら、こちらはダークライダー召喚の対価。ちなみに実妹の名前がツクヨミだったりする。
エンジェル・ハイロゥ:似たような目的で作られた戦略兵器。効果を受けた人間の末路も似たようなものである。
魘夢、???:十数年後にほぼ同じことをやらかしたジャンプの後輩。
術の真実(さらなるネタバレ注意!!)
「無限月読ハ幻術ヲカケル術デハナイ。地表ノ膨大ノチャクラヲ集メ高メル術ダ」
「フッ…イタチヨリハニブイ様ダナ……タダノ人ガ戦闘デ使エルカ?」
この術の効力そのものは上記の通りだが、本来の使用者である大筒木カグヤの意図は別にあった。
無限月読を受けた者はその場で棒立ちになり夢の世界に囚われるのだが、カグヤはここに「神・樹海降誕」を重ねることで地上の人々を全て捕縛、チャクラを吸い取り還元すると共にその肉体を白ゼツに作り替え、兵士として使役することを目論んでいた。
マダラがやったのは黒ゼツが改竄したハゴロモの石碑に書かれていた内容=カグヤによる無限月読の手順をまんま再現しただけである。
つまり、無限月読とは「神・樹海降誕」に人々を嵌めるために動きを止めるための術であり、幻夢の内容はどうでもいいのである。
マダラやオビトは無限月読の効力そのものを目的としていたが、そこへ誘導したカグヤ、そして黒ゼツの目的はその先にあったのだ。