概要
新井理恵による4コマ漫画。小学館の雑誌『別冊少女コミック』で1990年12月号から1999年1月号まで連載された。単行本全7巻。
栃木県宇都宮市に実在する栃木県立宇都宮南高等学校を主な舞台とする、オムニバス形式の作品である。著者自身がこの学校出身であり、そのため制服や運動着、体育館の位置などが実在の学校と同じように描かれている。日光東照宮が地元扱いである。
作者新井がリスペクトする、車田正美の作品あるいは『聖闘士星矢』のパロディが現れたり、「アンポンタン・ポカン(『ドグラ・マグラ』)」「いなか・の・じけん」など夢野久作作品のネタが出たり、はては妄想少女が「きとうし」について妄想し「皮余り気味に想像しちゃって」と恥ずかしがるなど、大変ぶっ飛んでいた。
CDは2枚ばかり発売されたが、あまり有名ではない。作者本人歌唱による曲がいくつか入っている。また、大槻ケンヂが参加し、「人生とは空手と蟷螂夫人にほかならぬ」という文を寄せている。なお、後の連載で「蟷螂夫人」が作中に登場する。
主な物語と登場人物
『君の瞳は10000ボルト』
白鳥瞳(しらとりひとみ)
高校の女子生徒。俊夫と付き合っている(ように見える)。
出川俊夫(でがわとしお)
高校の男子生徒。瞳と付き合っている(と本人は信じている)。
自分に対する瞳の態度に、愛を疑うこともあるが、それでも付き合いつづけている。
瞳の兄(名前不明)
瞳についての何か重要な事実を俊夫に伝えようと試みている(ように見える)が、その伝えたいことが何なのかは明らかにされず、俊夫や読者に言い知れぬ不安感だけを与えている。
『高校落書』『ほかほか家族』
『高校落書』は、高校の男子生徒・山本晃司の物語。
『ほかほか家族』は晃司を含む山本家の人々の物語。
山本晃司(やまもとこうじ)
高校の男子生徒。髪を茶髪にし、他の生徒や教員からは、いわゆる不良として認識されている。 実際には、きわめて心優しく繊細な性格であるが、親切心から行動したことがことごとく裏目に出たり、勘違いされたりして、毎回残念な結果に終わってしまう。シャイなため素直になれず、とっさに突っ張った態度をとってしまい、誤解をさらに増長させている。
渡辺(わたなべ)
晃司が通う高校の英語教師。中年男性。高校の生徒や教職員のなかでは、晃司の真の姿を理解しているほとんど唯一の人物である。
舞子(まいこ)
近所の幼稚園に通う女児。なぜか晃司と偶然会う事が多く、よく助けられる。
山本城司(やまもとじょうじ)
晃司の双子の兄。金髪で晃司とは前髪の分け目が逆。明るく活発で、晃司とは全く逆の性格。晃司とは違う高校(男子校)に通っている。弟ともども美形なのだが、城司の場合はその性格や行動のせいで台なしである。
山本鈴妥(やまもとりんだ)
晃司と城司の妹。連載開始当初は中学生だったが、後に晃司と同じ高校に進学した(晃司が高校3年となった時点で、鈴妥は高校1年となる)。高校では因幡晃と同じクラス。
山本勘彩(やまもと かんさい)
晃司たちの兄。30歳前後。12年前に突然蒸発し、ある日突然子供をつれて戻ってきた。
晃司を溺愛するあまり、子供にも同じく「晃司」と名付け、晃司と同じ風貌になるように育てた。湾曲した愛情で晃司を恐怖させている。名前に引きずられ、関西地方でバイトをしていたが、関西弁がうまくしゃべれず、「ご注文 なんにさらしますか?」「ちゃいまんがな、わて関西の人間でんがな!」などと言って怒られる不遇の時代がある。
山本晃司(小)(やまもとこうじ・しょう)
勘彩の実の子供。小学3年生。 同姓同名の叔父との区別のため、作中では「晃司(小)」や「ジュニア」と表記される。実は…
『僕の保健室へようこそ』
高校の保健室に常駐する男性養護教諭。名前は不明。非常に性的な欲求が強く、生徒を男女関係なくその対象にしようとする。暇なときは、全裸でベッドに入り眠っている。
『戦争倶楽部』『SISTER STRAWBERRY』
『戦争倶楽部』は、高校の卓球部に所属する男子生徒、アンデルセン(本名不明)と、その顧問の男性教師(名前不明)の物語。『SISTER STRAWBERRY』は、アンデルセンの姉の真紀子姉さんの物語である。
高校の卓球部(のはずだったが…)に所属する男子生徒。本名不明。
独りで練習している際に、「今は みにくいあひるの子でも、いつか立派な白鳥になるんだ」という独白を他の部員に聞かれたため、童話作家のアンデルセンに因んでこう呼ばれるようになる。 病弱(ひよわ?)で、走るとすぐ疲れてしまう。
顧問の男性教師
本名不明。 典型的な“熱血”な指導をする。
真紀子(まきこ)
アンデルセンの姉。23歳。体を張って自己を正当化しようとする。そういやアンデルセンは真紀子ねえさんからもアルデンテじゃないや「アンデルセン」と呼ばれていた。
『岡本夢路』
岡本夢路(おかもと ゆめじ)
長い黒髪と大きなリボンが特徴の女子生徒。常に無表情であるが、妄想癖が激しく、幸せな情景を見ると、必ずその情景が悲劇となる様を詳細に想像し、「…なーんてね……フフ…」と独り言を呟きながら笑みを浮かべる。
岡本夢人(おかもとゆめと)
夢路の弟で中学生。 不幸な情景を見ると、その情景が幸せな方向に転換する様を詳細に想像し、その後に再び現実を見つめ、「…なーんて事にはならないもんな……世の中って儚いよな…」とため息をつく。姉と同様に妄想癖が激しいが、その傾向は正反対であるといえる。
『ルイルイ』
幸せの使者。2頭身で、頭には「Merry X'mas」と記された三角帽子を被り、ハートが模られた杖を持っている。魔法を使って人々を幸せにする。物事をよくわかっていない。
ルイルイの弟子。ルイルイと同じく、魔法を使って人々を幸せにする。「家がほぼ全焼した」という嘘に騙されている人がいれば、心のわだかまりをなくすために嘘を現実のものとしてやるなど、ルイルイの思想を忠実に受け継いでいる。
ルイルイの師匠。ルイルイという、物事がよくわかっていない魔法使いを育ててしまったという過ちを悔い、生きる資格すら無いと悩んでいる。
『イナバ』
因幡浩(いなばひろし)
高校の男子生徒。通称イナバ。外観が明らかにウサギ(白い体毛と赤い目をもつジャパニーズホワイト)にしか見えない。性格はきわめて温厚かつ人畜無害。腹筋が浮き出て見えるほど良い体をしている。
因幡晃(いなばあきら)
イナバの弟。登場当初は中学生で、後に兄と同じ高校に進学し、山本鈴妥と同じクラスになる。兄とは異なり、一見すると人間に見えるがうさみみのうえ…。
伊倉小紅(いくらこべに)
イナバの彼女。イナバの転校前の学校からの付き合いで、後に同じクラスに転入。一見すると人間に見えるが、下半身が2本足になっておらず、魚のような鱗があり、どう見ても人魚にしか見えない。転入前は、レディース(女性のみで構成されている暴走族)で頭を務めていた。
因幡ピーター円人(いなばぴーたーまろんど)
イナバの従兄弟。アメリカに留学していたが、イナバと同じ高校の同じクラスに通うことになった。 イナバと同様、顔や手などの露出部が、どう見てもウサギにしか見えないが、小紅によれば「茶髪で長髪」。
『怪人赤マント』
夕方遅くまで遊んでいる子供をさらっていく怪人。赤いマントで全身を覆っていることからこう呼ばれる。 気が弱く、子供たちに遊ばれてしまうことが多い。口裂け女のかおるに一目惚れした。
口裂け女。渋谷付近に出没している。当初は かまいたちと付き合っていたが、赤マントの筋肉質な肉体に見惚れてしまう。
本作品では、人間の姿をし、真空状態を自在に作り出して衣服や身体を切り裂くことができる妖怪として描かれる。口裂け女のかおると恋仲。赤マントをライバル視している。
『高校教諭』
普通の高校教師と、彼が担任を務めるクラスの女生徒・広瀬の物語。2人は恋人同士であり、周囲にはこれを内緒にしている。先生は、結婚するまでは女の貞操を守るべきだと考えているため、2人の関係はプラトニックなままである。
本名不明。30歳。童貞。 2人が付き合っているのは秘密にしているが、隠しとおすのは上手くないようで、一部の生徒や教師には噂になっている。 広瀬と出会ったのは、彼女がまだ幼稚園児の頃だったらしいが、付き合うようになるまでの経緯は明らかにしていない。
広瀬(ひろせ)
下の名前は不明。17歳。よく先生の自宅を訪れて2人で過ごしている。なかなか手を出してこない先生に対し、「ひと夏の体験」を求めたりもする、ごく普通の女子高生。