概要
アフターマンの舞台となる5000万年後の地球でも多くのサルこと 霊長類はアフリカやアジアの熱帯から温帯にかけての森林に幅広く分布しており、樹上性動物の大半を占めている。 しかし、元々天敵の少なかった樹冠層で繁栄を遂げた霊長類であったが、地球最後のネコ科であるストライガーの登場によって、樹冠層での安全は破られる事となってしまい、一部のものは絶滅に追いやられた。
しかし、元々高い知能や適応力を有する霊長類を完全に絶滅させる事はできず、あるものは複雑な社会構造を作ることで、またあるものは尾を鎧の様にして、そしてまたあるものは滑空を行うことで、その身を捕食者から守るように急速に進化していった。
また、一部の大型の霊長類は森林からサバンナのような草原に生活圏を移し、ホレーンやラブーンの様な捕食者として食物連鎖の頂点に君臨したものも現れた。
なお、オーストラリアには霊長類そっくりに収斂進化した有袋類 「チュカブー」が棲息している。
以下その主な作中に登場した霊長類を紹介する。
登場する霊長類
熱帯雨林
- ロングアームド・ジダー
英名 Long-armed ziddah
学名 Araneapithecus manucaudata
中央アフリカに棲息しており、枝から枝を腕を使って移動するブラキエーションと呼ばれる移動方法を行う。
また、ストライガーなどの天敵から身を守るために尻尾だけでぶら下がり、胴体に手足を折り畳み込んでボール状に身体を丸めて眠る。
収斂進化によって外見はクモザルによく似た姿になったが、系統は全く異なり、アビシニアコロブスやハヌマンラングールと言ったラングールこと、ゲレザ類と呼ばれる葉食性のオナガザル科のグループから進化した。
- フランキー
英名 Flunkey
学名 Alesimia lapsus
中央アフリカに棲息しており、果実や木の葉 昆虫などを食べる雑食性
タラポアンやブラッザグエノンなどのグエノン類から進化した。 大きさはかなり小型で、南米に棲息する別グループのマーモセット類くらいしかない。身体には皮のたるみが存在し、皮膜となっていて ムササビやモモンガのように木から木の間を滑空して移動する。 その距離は40mほど離れていても、問題はなく、長い尾を空中でバランスを取るのに役立てている。
- キッファ
英名 Khiffah
学名 Armasenex aedificator
雄は、顔や胸の皮膚がまるで鎧のように角質化したフランジを持ち、性的アピールに利用する。
(これは人類時代のオランウータンに似た特徴が見られる。)
また、指先に鉤爪を備え、身を守るため あるいは狩のための武器として使用する。
何の霊長類から進化したかは明かされてはいないが、長い腕と退化した後脚と言った特徴や、顔つき、生息域、社会構成などから考えてテナガザル類から進化した可能性が高い。
知能が非常に高く、複雑な社会構造を持ち合わせており、樹冠層にまるで要塞の様な大きな巣を作り、20頭ほどの家族で集団生活を送る。 この巣は、二段構造となっており、食糧庫が蓄えられ、天井には木の葉の屋根を載せていて雨漏りがしない造りとなっている。
雑食性で肉食をすることもあり、普段は天敵である筈のストライガーを雌がおとりになって引き付け、雄がそれを仕留めて家族で食べることさえある。
英名 Clatta
学名 Testudicaudatus tardus
リンク参照
沼沢地
- スウィミング・モンキー
英名 Swimming monkey
学名 Natopithecus ranapes
アレンモンキーというグエノン類の子孫で、河川や湿地に暮らし、主に魚を主食にしている。
体つきはカエルに似ていて、顔は水中から呼吸ができる様に、鼻,耳,眼,が頭の上部についていて、前肢の指には鉤爪があり、背筋がヒレのように盛り上がっている。
元々霊長類は水を嫌い、泳げない種が大半だが、この種の祖先であるアレンモンキーやテングザルと言った一部の種は泳ぐことが可能なものも存在する。
山岳帯
- マカクウェティ
英名 Makaquetie
学名 Montemacaca ailuropodoforme
東アジアに分布し、特にかつての日本列島が大陸と地続きになった事で誕生した山岳地帯に棲息している。
ニホンザルの子孫であり、非常に大型で人類時代のオランウータンと同サイズくらいになっている。
またジャイアントパンダの生態的地位を占めており、主に竹を好んで食べる。
寒冷な山岳地帯で体力を奪われないためにも、殆ど身体を動かす事はなく、その長い体毛で手足や顔を覆い、身体を温めて眠っている事が多く、最大だと3日間も眠っている事すらある。 しかし、体毛には猛毒を持ち天敵から襲われる事は少なく、もし仮に襲われた場合には、今まで微動だにしなかったのが嘘の様に恐ろしい程早い瞬発力でかわし、全速力で逃げ出す。
また、本種が登場したのはアフターマン本書ではなく、同作品をテーマにした特設展「アフターマン展」にてディクソン氏本人によって書き下ろされた種でもある。
以下 特設展のリンク
↓
サバンナ
英名 Horrane
学名 Phobocebus hamungulus
肉食性でゴリラやチンパンジーといった大型類人猿の子孫とされている。(諸説あり) 詳しくはリンク参照。
英名 Raboon
学名 Carnopapio spp.
ヒヒの子孫で、肉食性
詳しくはリンク参照。
余談
作中ではマダガスカル島に生息するキツネザル類や、南米に棲息するクモザルやオマキザルといった広鼻猿類については一切触れられていないが、同作者の著作 「フューチャー・イズ・ワイルド」では広鼻猿類の子孫 バブカリが登場しており、若干の設定の差異こそあれど、隔絶された環境は生態系の変化を受けにくいと言う点から、アフターマンの世界でも子孫を繋いでいる可能性が非常に高いと思われる。