概要
「警戒心なさすぎ。だから簡単に罠に掛かっちゃう! 諦めて大人しく餌になれ!!」
「お前たちはまだこの腐りかけた星に侵略する価値があると思っているのか?
笑わせるぜ! いつかこの星を捨てて逃げ出すだろうよ…」
人間態(真渡子)池田萌子
『ウルトラマンオーブ』第5話「逃げない心」に登場するゼットン星人。
ウルトラマンオーブを倒して名を上げるために女子高生の姿に化け、SSPの夢野ナオミに虚偽の通報でおびき寄せて拘束、さらにガイを誘き出す為に悲鳴や命乞いを強要させて喜ぶなど、陰険かつ悪辣な性格で、自身が生み出したハイパーゼットンデスサイスに絶対の自信を持つ自信家と、密かにオーブと魔王獣との戦いやクレナイ・ガイの様子を監視してその戦闘データを集めて作戦を立てるという狡猾な策略家としての側面を併せ持つ。
正真正銘の悪の宇宙人のはずだが、メトロン星人タルデと同じく、悪人が聞くと苦しむはずのオーブニカのメロディを聞いても何故か特に反応はなかった。
なお、初登場の直後の第6話でメフィラス星人ノストラ率いる惑星侵略連合が本格的に活動を開始するが、彼らとの関連性は今のところ見受けられない。
戦歴
第5話
地球侵略用の生体兵器および対ウルトラマンオーブの切り札であるハイパーゼットンデスサイスを縮小して都内の某所の地下へと潜伏させると同時に、密かにオーブと魔王獣との戦いや、クレナイ・ガイの様子を監視しながら暗躍していた模様。
監視の結果、ガイがSSPのナオミに対して特別な思い入れがあると睨んだマドックは、手始めに“真渡子”という女子高生に成りすましてナオミに「宇宙人と怪獣を追っている」と虚偽の連絡をして誘い出し、首尾よく彼女を拉致・拘束することに成功。彼女をエサにして真の目的であるガイを誘き出し、ハイパーゼットンデスサイスによる抹殺を図ろうと画策する。
計画通り現れたガイに対し、デスサイスの猛攻により傷を負わせることには成功するものの、ナオミの予期せぬ反撃に会い、脱出を許してしまったため、デスサイスを巨大化させてオーブへと差し向ける。
デスサイスは変身したオーブのスペリオン光輪を軽々とあしらう実力を見せ、マドックは「お前の力ではハイパーゼットンデスサイスは倒せない!」と勝ち誇るが、オーブが即座に戦闘データにはなかったハリケーンスラッシュへと変身するという想定外の事態に陥り、激戦の末、デスサイスはオーブによって撃破されてしまう。
変身を解いたガイに追い詰められてなおも抵抗するが、格闘で圧倒され、最後は自ら放った光弾をウルトラマンのウルトラフュージョンカードで弾き返されて致命傷を負う。
死の間際にガイからなぜ自分を狙ったのか問い質されると「お前を倒して自らの名を上げるためだった」と嘯く。そして、現場へやってきたSSPのシンの「侵略目的(でやってきたのか)?」という発言に対し、上述した意味深な言葉を言い残し、頭頂部の突起から黒い液体を吐き出して死亡し、泡となって消滅した。
第21話
…かと思われていたが、第21話において万が一に備えて自身の意思を(おそらく)腕輪型の機械にダウンロードしてしぶとく生き延びていたことが判明。
さらにオーブことクレナイ・ガイが攻撃しにくいという理由から、スペア用のボディとして「マーヤ」という名の少女の姿をした人工生命体を用意しており(このためゼットン星人の姿としては登場しない)、その体を使って復活し、さらにハイパーゼットンデスサイス・リザーバーを復活させて今度こそオーブを斃そうと目論むが、まだ完全起動していない最中にマーヤが偶然岩木夫妻との触れ合いを通して自我が芽生えた事により復活が阻まれ、なかなか表出できないでいた。
マーヤの自我に妨害されながらもハイパーゼットンデスサイス・リザーバーをオーブと戦わせるが、最後は夫妻とに今までの触れ合いの思い出や呼び掛けで肉体の主導権を奪ったマーヤによって意識を残していた腕輪を破壊され、今度こそ完全に消滅した。
衝撃のセーラー服姿
正体を現した際、顔だけ元のゼットン星人の姿に戻り、首から下はセーラー服を着た人間の女性の姿のままという衝撃的な姿を見せ、ファンの度肝を抜いた(ちなみに、『ウルトラマンフェスティバル2016』のライブステージでもゼットン星人が登場するが、その時にも顔だけがゼットン星人で胴体は人間の女性の体というショッキングな姿で登場している)。
その後は防弾チョッキを纏った軍服のような衣服に着替えているが、その際にもナオミの目の前でわざわざ着替える様子を見せつけている。目の前で異星人の着替える様子を見せつけられたナオミの心中や如何に…。
そもそも、話し方の特徴などからマドックは男性であったと思われるが、何故わざわざ地球人の女性(しかも女子高生)に化けたのかは謎である(…まあ何の変哲もない女子高生がいきなり異形の宇宙人に姿を変えたら普通怖いが)。
誘き寄せる対象のナオミに警戒されないためだったとするならば、悪の宇宙人が相手を油断させる目的で一見無害そうな存在に化ける事は何もウルトラシリーズではそう珍しい事ではないため、そういった理由で女子高生というなるべく怪しまれなさそうな姿を選んだ可能性は高い。
また、第21話で登場したマーヤは、前述したようにガイが攻撃しにくいという理由で少女の姿になっているため、これを踏まえると万が一の時の事も考えていたのかもしれない。
間違っても、本人がそっち系の趣味だったという理由だけは違うと信じたいが…。
何はともあれ、「セーラー服のJKの姿に化ける」「女性の前で着替える」というとんでもない行為に及んだため、ファンからは本作屈指のイロモノキャラとしてネタにされてしまう事となった。
彼の初登場したエピソードは、新形態の初御披露目含めその後のエピソードの伏線と思われる描写も多く、結構重要な回だったりするのだが…。
ちなみに上述したようにウルフェス2016に登場したゼットン星人も女装しており、ファンからは『変態』とか『ゼットン星では女装が流行ってるのか』とネタにされている。
セーラー服姿のルーツ?
ウルトラ怪獣擬人化計画の漫画作品『ギャラクシー☆デイズ』では、学校で女子生徒として過ごす擬人化されたゼットン星人が登場しており、マドックが女子高生に化けていたのはそれを意識したネタなのではないかという説もある。
実際、2017年3月11日にニコニコ生放送で『オーブ』の一挙生放送が行われた際、マドックが着替えるシーンで擬人化計画公式サイトへのリンクが貼られるという措置が取られている。ということはやはり…
pixiv上でもこのネタに乗っかって(悪ノリして)、上掲のイラストのように擬人化ゼットン星人に劇中でマドックの着用していたセーラー服を着せたイラストも投稿されている。
本当にどうしてこうならなかった。
遂には擬人化計画でゼットン星人をリデザインしたなまにくATK氏(ニトロプラス)までもが、自身のtwitter上にセーラー服姿のゼットン星人のイラストを投稿する事態となった。
余談
着ぐるみは、おそらく『ギンガS』、『ウルトラマンX』に登場したベルメの流用。戦闘の際に使用していた光線銃は、『ベリアル銀河帝国』に登場したレギオノイド(β)の腕に装備されていたキャノンアタッチメント(ガンポッド)の流用。
声を担当した松本氏は、前作『X』でスラン星人クワイラの声を担当している(ちなみにどちらも人の姿に化けるという共通点がある)。
第21話に登場したマーヤの元ネタは円盤生物ブリザードの分身体と思わしき少女・眉子と思われる。奇しくもその回における「サブタイを探せ」の答えはブリザードの登場回だった。
当初はバット星人が登場する予定だったが、脚本を担当した小林弘利は自身の思い入れから、ゼットン星人に変更された。もし変更されていなかったらバット星人マドックになっていたかもしれない。