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概要編集

バジリスクとはウィザーディング・ワールドにおける魔法生物の一種。

主に、『ハリー・ポッター』シリーズ第二作「ハリー・ポッターと秘密の部屋」に登場したサラザール・スリザリンのバジリスクを指し示す。


種としてのバジリスク編集

「毒蛇の王(King of Serpents)」としても知られている巨大な蛇の一種。

魔法省による生物の危険度を示したM.O.M.分類は最高位のXXXXX(魔法使い殺しとして知られる/訓練することも、飼いならすこともできない)。

同じ危険度XXXXXの大蜘蛛アクロマンチュラにとって天敵といえる存在で、蜘蛛が逃げ出すのはバジリスクが来る前触れである。

唯一の致命的弱点は鶏が時をつくる声で、唯一それからは逃げ出す。


外見編集

「皮膚(鱗)は鮮やかな緑色」「目は黄色」「雄の場合頭に深紅の羽毛」が生えている。

脱皮を繰り返して成長し、樫の木の幹ほどの太さ、体長15メートルにまで大きくなる。


能力編集

目視した者を即死させる強力な眼光を持ち、鏡や水面などで間接的に目視しても石化する。

解呪作用も持つマンドレイクの解毒剤でないと石化から元に戻らない。

また「万物を殺すとも言われるほどの強烈な腐食性の毒牙」「呪文をそらす事ができるとされる強化された皮膚」を持つ。

聴覚、臭覚に優れ、数百年から数千年の寿命を持ち、高い知能を持つこともある。


誕生の経緯編集

分霊箱を発明した古代ギリシャの闇の魔法使い、腐ったハーポが最初にバジリスクを飼った人物であり、ヒキガエルの下でニワトリを孵化させることでバジリスクを生み出した。

腐ったハーポは蛇および蛇に分類される魔法生物が喋る蛇語(パーセルタング)を使う蛇語使い(パーセルマウス)の才能を持ち、バジリスクを使役することが可能であった。


飼育禁止編集

闇の魔法使いたちが好んで飼育してきたバジリスクは中世に飼育が禁止された。

しかし、魔法生物規制管理部が確認に来た時だけ卵をヒキガエルから離すことで簡単に隠蔽することができた。


サラザール・スリザリンのバジリスク編集

誕生の経緯編集

蛇語使いの才能を持つサラザール・スリザリンゴドリック・グリフィンドールヘルガ・ハッフルパフロウェナ・レイブンクローらと共にホグワーツ魔法魔術学校を創設した創始者の一人である。

しかし、サラザールは次第にホグワーツの生徒たちを魔法族の血を汲む者に厳選すべきという考えを持つようになる。

マグル生まれ(マグルボーン)の魔法使い・魔女、即ち両親が魔法力を持たないマグルである者たちが生徒に相応しくないというサラザールの考えは他の三人の創始者たちと相容れなかった。

特にゴドリックからの反対が凄まじく、親友であった二人は決闘にまで発展し、決闘の末、サラザールは秘密の部屋とその部屋に怪物(バジリスク)を残してホグワーツを去った。


スリザリンの継承者たち編集

蛇語を鍵とした秘密の部屋に封印されたスリザリンのバジリスクはその後もサラザールの意志を継ぎ、マグル生まれたちを排除しようとするサラザールの子孫たちによって使役されていた。

バジリスクはホグワーツ城に張り巡らされているパイプを使って移動していた。

裏設定などで明らかになったが、ホグワーツ改修工事の際に配管の都合で秘密の部屋の入り口が暴露されそうになり、コルヴィヌス・ゴーントという女子生徒が入り口を二階の女子トイレに移したとされている。


1943年トム・リドル編集

1943年に当時スリザリン寮の五年生にして監督生であった半純血の魔法使い、後に不世出の闇の魔法使いヴォルデモート卿となるトム・リドルが秘密の部屋を開き、バジリスクを解き放った。

生徒が次々と襲撃されて石化してしまう中、とうとうマートル・エリザベス・ワレンが死亡してしまい、ホグワーツは閉校の危機に陥った。

トム・リドルは当時秘密裏にアクロマンチュラのアラゴグを飼育していた三年生のルビウス・ハグリッドを犯人に仕立て上げるも、副校長のアルバス・ダンブルドアの監視のためそれ以上バジリスクを操ることが叶わなかった。


1993年ジニー・ウィーズリー編集

マートルの死をもって作られた分霊箱トム・マールヴォロ・リドルの日記をヴォルデモート卿から預けられていた死喰い人ルシウス・マルフォイは自身と反目するアーサー・ウィーズリーの娘、ジニー・ウィーズリーの手元に日記を忍ばせた。

事件を起こすことで彼の信用を貶め、アルバス・ダンブルドアをホグワーツから追放させ、自分にとって不利な物証を片付けるという一石三鳥を狙ったものであった。

ジニーは『記憶』であるトム・リドルに力を奪われ、操られて秘密の部屋を解放してしまう。

ただ幸いなことに、偶然にもどの被害者もバジリスクの姿を直接見たわけではなくカメラレンズ、水の反射などを通して見たり、ゴースト越し、元から死んでいるゴーストであったため石化しただけで済み、最終的にはマンドレイクの薬で回復している。

おそらく反射と遮りは魔眼の効力を弱めるが、反射も遮りもしていない(むしろ促進している)眼鏡のような目視とほとんど同じものはアウトだと思われる。

「秘密の部屋の怪物」の正体をハーマイオニー・グレンジャーが勘付き、メモを握りしめたまま対策として持ち歩いていた手鏡でバジリスクを確認、石化するまで誰一人として察知していなかった。

遂にトム・リドルの『記憶』に操られたジニー・ウィーズリーが秘密の部屋に連れ去られ、ハーマイオニーのメモを見たハリー・ポッターロナルド・ウィーズリーの両名がメモの内容をヒントに秘密の部屋の入り口を突き止め、秘密の部屋へと向かう。

丁度一連の騒ぎの為にダンブルドアはホグワーツ校長を解任されてしまっていたが、ペットの不死鳥フォークス組み分け帽子をハリーの応援に向かわせた。

フォークスの活躍によりバジリスクの両目が潰れ、ハリーが勇気を示したことで組み分け帽子からグリフィンドールの剣が現れ、ハリーはバジリスクを倒す。

更に自分の腕に刺さったバジリスクの牙を利用し、分霊箱である日記をそうと知らずに破壊することに成功し、驚異的な治癒力を持つ不死鳥の涙のお蔭でハリーはロナルド、ジニーと共に生還した。


2巻以降の活躍編集

グリフィンドールの剣には【錆や汚れを受け付けず、自らより強いもの(自らの力になるものだけ)を吸収する】という能力があり、2巻以降、グリフィンドールの剣は分霊箱を破壊できる重要な手段の一つとなった。

更にバジリスクが倒されて約五年の歳月が流れたホグワーツ城最終決戦においてハーマイオニーが秘密の部屋で入手したバジリスクの牙でハッフルパフのカップを破壊していることからバジリスクの毒の威力はバジリスクの死後も続くことが窺える。


主な被害者編集

死亡マートル・エリザベス・ワレン目視
石化ミセス・ノリス(猫)水溜まりを介して目視
石化コリン・クリービーカメラ(※1)を介して目視
石化ジャスティン・フィンチ=フレッチリーゴースト(※2)を介して目視
石化ハーマイオニー・グレンジャーペネロピーの手鏡(※3)を介して目視
石化ペネロピー・クリアウォーター手鏡を介して目視(※4)

※1 カメラのレンズとフィルムは呪詛で焼け焦げ破壊される

※2 直接見てしまったほとんど首無しニックも共に半年以上石化するが、そもそも生きていないゴーストなので後に復活

※3 映画版では自分の手鏡

※4 映画版では省略される

バジリスクの眼光の呪いの威力を鑑みるに1943年で一名の死者、1993年で死者が一人も出なかったことは実に奇跡としか言いようがなく、本来であれば夥しい死者が出る事が予想できた。

これはバジリスクが配管を利用して移動するのに伴い、水漏れなどが生じるためにその水の反射越しにバジリスクを見たのだと考えられる。



映画版のオリジナル描写編集

ハーマイオニーのメモは映画版第二作では破り取られた何らかの書物の一ページになっている。

同作品内でフローリシュ・アンド・ブロッツ書店の書物の一ページをドラコ・マルフォイが皆に気付かれないように破くシーンがある。

ルシウスがスリザリンの怪物の正体を知っていたと仮定すると万一息子が巻き込まれないように助言をしていたことが考えられるが、果たしてその破り取ったページがハーマイオニーの持つメモと同一のものなのか、どういった経緯で彼女の手元に渡ったのかは不明である。

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