概要
ゴブリンスレイヤーの原作者である蝸牛くも氏が、2015年12月22日からやる夫スレに投稿したあんこスレ作品。
事の経緯は、「荒廃した近未来社会を舞台に活躍する一匹狼の裏稼業が主人公のサイバーパンク作品」をやりたくなった原作者が、「イムバドゥの悪魔」の完結の余韻に浸りつつ、ダイスの邪神にお伺いを立てながら始めたというもの。
よって世界観やキャラクターの設定等はダイス目の結果による偶発的なものである。フィクションなので、実際の団体や事件等は一切関係ない。
政治的要素とか、正義や悪とかそんなものはなく、そういったものを感じたのであれば誤解も甚だしい。厳しく末法な世界観で必死に生きていく人々を描いたのがこの作品である。
舞台は2160年、冷戦が継続したままソビエト連邦が存続したロシアという架空の世界(原作者曰く、「誰かが選択を間違えた世界」)。
自由も真実も未来も繁栄も失い、機械化したゴロツキが蠢く末法のモスクワで、生身でフリーランスな《掃除屋》の活躍を描いたもの。
2016年2月3日にて完結し、続編の「モスクワ2161チェルノボグ」が投稿されたが、現在エタっている。
そして、2022年8月25日にて、GA文庫とビッグガンガンコミックスのTwitterから本作品の書籍化とコミカライズ連載の決定がアナウンスされた。
イラスト&キャラクター原案はゴブリンスレイヤーと同じく神奈月昇氏、作画担当は、ニンジャスレイヤー殺やBLAME!電基漁師危険階層脱出作などを手掛けた関根光太郎氏。
コミック版の機械関係は作画担当の関根氏により、コミック版独自のデザインや設定が設けられており、単行本にて設定資料が掲載されている。
また、書籍とコミックで多少描写が異なる部分もあるため、留意する。
また、単語はロシア語でスラング的に用いられている。
登場人物
記事作成にあたりAA版の設定を元に記載しているが、今後コミカライズや書籍化に伴う固有名詞や設定の変更があった場合は随時そちらに準拠、もしくは併記するものとする。
なお、AA版におけるほとんどの主要キャラの配役は、読者の安価で応募した中からダイスで抽選されたものである。
漫画版での名前は、元々モデルがロシア人であるダニーラとスターシャ以外は配役の名前とは違う、世界観に則したものが使われている。
ダニーラ=クラギン
主人公。24歳。あだ名はダーニャ。
全身を黒い戦闘服と黒いバラクラバで覆っており、普段は素顔を見せることはないが、プライベートで見せるバラクラバを脱いだ素顔は、精悍な顔つきの白人青年に見て取れる。
元ストリートキッズで、「家族」である幼い孤児仲間を養うためにフリーランスの《掃除屋(リクビダートル)》として様々な依頼を請け負ってきた。
能力向上や失った器官を補完する目的で己の身体を機械化する同業者が多い中、生身の体でありながら高い実力を持つ(1d100で86)が知名度は平凡。良くも悪くも一山いくらの一流。
主な得物は銃器。狙って当てるのが苦手という理由でPPSH-41(ペペシャ)を好んで扱うが(コミカライズ版では銃身に超鋼ブレードの刀身をテープを巻きつけており、機械化兵との白兵戦にも耐えられる強度を確保している)、携帯したトカレフで咄嗟に相手の頭部を射抜くぐらいの芸当は難なくこなす他、仕事で必要とあればEMP手榴弾やロケットランチャーなども調達しており、それらの扱いにも長けている。
恋人であるスターシャの身請けと孤児仲間が裏稼業から足を洗うための資金を稼ぎ、いつか「家族」で一緒に暮らすべく、今日も《街の美化活動》に身を投じる。
会話の答えに窮したり、物事が上手く行かない時に頻繁に舌打ちをする癖を持つ。
後述のスターシャとは相思相愛な関係で、依頼前に決まって彼女のもとに通ってイチャイチャするものだから、マリーヤとのブリーフィングにいつも遅刻している。
様々な女性と縁があるため浮気を疑われることもあるが、本人はスターシャに一途である。なので、アダルトビデオなどを見ても平然としており、一切興味を持たない。魅力的な女性と出会っても、「この衣装をスターシャが着たら似合うだろうな」とか「赤毛のスターシャなら魅力的だな」と脳内で惚気けているくらいである。
仕事の関係上、脅迫や密輸などの犯罪を行う依頼も請け負っており、決して潔白な人物ではないことをダーニャ本人も自覚している。
仕事においては完遂及び自身の生還を最優先としている。明確に殺害を依頼されていない限り、例え依頼の障害になりえる相手であっても、倒す必要がなければできる限り戦闘を避けるようにしている(そこら辺をやりすぎると、下記のイーゴリのように無用な因縁をつけられて狙われる羽目になる)。一方で境遇に同情できるような相手であっても、それが自身の生還を妨げるのであれば非ターゲットであっても排除することを躊躇わない。
ダーニャ自身はあくまでもスターシャや家族の幸せを優先しており、孤児を狙う性犯罪者や、身内やスターシャを危険に晒した相手には容赦しない。
ダイスのせいでもあるが、大概はスターシャの身請け金1%分の報酬の依頼を受けており、それ以上の報酬を得ても義妹弟への支援や、武器の調達、コネへの「寄進」で大体使ってしまい、結局1%程度の報酬になってしまうという謎のジンクスがある(もっとも、高額報酬の依頼は大概ヤバい仕事だったりするのだが)。
ミスモスクワの身請け金ともなれば1%でも相当の大金であると思われる(参考までに、タチバナ議員の護衛の報酬はルーブルの札束1つ。内数札をマリーヤやワレリーへの報酬として払っている。コミック版では1億ルーブルと具体的になったため、普段から100万ルーブル前後を稼いでいると予測される)。
マンホールの下にある地下水道に設けられた一室を、姉弟と共に寝蔵としている。温暖用のパイプが通っているため、凍死の心配はない。現在は生活用の家具や暖房を持ち込み、各自の部屋を設けるようになっている。
書籍版ではダーニャとスターシャが初めて出会った頃のエピソードがあり、《掃除人》となる前はゴミを漁って売れそうなものを馴染みの廃品屋に売ってギリギリの生活をしていた。
10歳の頃に、寝蔵に居座って横暴を働いた太った機械化兵の復員兵を殺害し、それから《掃除人》を始めるようになった。
最初はスターシャの事を第一印象では好きにならないと思っていたが、「互いの持ち金を使えば具ありのボルシチが食べられる」という彼女の誘いを受け、情事を行いボルシチをご馳走して貰ったことで次第に彼女に惹かれ、以来は仕事の前後にスターシャの所に通うようになった。
なお、スターシャに出会う前にイワンという機械化兵の男を討伐する依頼を受けており、殺害後にイワンが婚約指輪を手に女に会う前だった事を知り、「標的は女に会う前に殺した方がいい」と思うようになる。
ある程度の学はあるが、元孤児であるため学校に通っていないため、妙な所で学のなさが露わになる(ジャズを歌手の名前だと勘違いするなど)。
よって書籍化のデザインも、バラクラバやフードで頭部を隠したものになっている。
コミック版では、「モスクワの寒気と機械化兵に負けない丈夫な体でいてほしい」という関根氏の想いが込められて描かれたが、初期ラフ画では太マッチョに描いてしまい、「太すぎる!!!」と叱られるはめになってしまったというエピソードが、設定資料にて語られている。現在ではごま塩程度の気持ちに自重して描かれている。
名前についても、6名のロシア人の名前から、名前と苗字をダイスで厳選して決めたものである。
スターシャ
ヒロイン。24歳。高級娼婦にして、ピスクン座の花形である舞台女優。
世間一般には、豊満なプロポーションと銀色の髪に冷たく美しい表情を湛えた絶世の美女「ミス・モスクワ」として知られる。
ダーニャとは街娼時代からの馴染みであり、恋人。ダーニャは彼女を身請けするために金を稼いでいる(物語開始時点で目標金額の62%を達成しているあたり、本気度が窺い知れる)。
ダーニャが逢いに来た時は決まって手料理でもてなしてくれる上に、彼の様子をいち早く察して叱ったり励ましたりすることから、彼の大きな拠り所となっている。
なお、ダーニャ相手であれば30分以上キスを続けられるほどのキス魔にもなり、イチャイチャには積極的で、彼女から誘ってくることもしばしば。
身請けできたら、ダーニャの「家族」と一緒に生活することを望んでいる。
(知名度故に誰でも相手する訳では無いものの)娼婦なのでダーニャ以外の客を相手することもあるが、基本的にダーニャ一筋であり、浮気は許さないスタンスである。惚れた弱みもあってか、ダーニャもスターシャには頭が上がらない(怒らせたらスペツナグより怖いとも称している)。
さらに、他の客には「冷たい目」で「自分からはキスしない」であるのに対し、ダーニャには「温かい笑顔」で「スターシャから積極的にキスをする」なところから、ダーニャを特別視していることが明示されている。
コミック2巻のおまけ小説では、ミス・モスクワになるまでは度々クラギン家に通って甲斐甲斐しく世話を焼いていたらしい。……もう実質通い妻である。
なお、AA版では全年齢向けであるため情事を行ったと臭わせる程度だが、コミック版では第1話からダーニャとの情事シーンがガッツリ描写されている。
一方で、有名すぎる娼婦故に、客の1人が機密情報を持って亡命しようとして、関係者として秘密組織に容疑をかけられるという厄ネタを持ち合わせている(そのために、彼女を守るためにダーニャが奮闘することになる)。
AA版の配役はアナスタシア(シンデレラガールズ)。
マリーヤ・クラギン
ダーニャの仕事を斡旋する元孤児の幼馴染。19歳の女性。
少し険があるが美人と呼べるほど整った顔つきであり、厚着からでもわかるくらいに豊満な体つきをしている。
ダーニャに対しては表向きは冷徹に振舞うが、内心は兄として強く慕っている。幼い頃から機械いじりが好きであり、それが現在の仕事を志すきっかけとなっている。
《吹雪(メチェーリ)》の異名を持つ《電脳屋(テレグラフィスト)》で、仲介人としての知名度はかなり高く、ハッキングなどの情報戦にも通じている。電卓型の携帯端末『エレクトロニカMk一七〇』(コミック版ではスーツケース型)で電脳網と接続し、通信演算を行う(端末の音響カプラに黒電話などの受話器を置くことで接続する。変なところでレトロなのもサイバーパンクあるあるだが)。
この通信演算で情報収集を行い、電子機器(時計や信号)を介してダーニャに情報を伝えている(テレビ越しに相手の様子を見ることもできる)。
スターシャとの密会でいつも遅刻するダーニャに、舌打ちしながら皮肉を言うのがお約束(彼女曰く、舌打ちはダーニャの癖が移ったとのこと)。雑踏の喧騒の中で打ち合わせをすることを好んでおり、彼女曰く「かえって誰にも盗み聞きされない」からとのこと。
19歳組の中ではもっとも片付けができない人物であり、自室の中は趣味と実益を兼ねて購入したブラウン管や端末でいっぱいである。また、性的なことには一切見向きもしない堅物である(耐性がないから見ようとしないとも言う)。
AA版の配役はノンナ。
ワレリー・クラギン
《運び屋(コントラハンジスト)》の19歳の男性。マリーヤと同じくダーニャを兄として慕う元孤児。19歳組の中では一番下の弟に当たる立場である。
サングラスをかけた青年で、闇市での漫画漁りが趣味。愛車は銃座付きの小型トラック「タチャンカ」。警察に通報されるのを防ぐために普段は外しているが、緊急時にも外したままなのでダーニャに小言を言われる。
後述のノーラが機械化改造するに当たり、相談を受けるなど、ダーニャほどではないにしても頼りにされている。
年頃なのでアダルトビデオに食い付くくらい興味を持つが、隠すのが下手なのでノーラに見つかって問い詰められる羽目になる。
コミカライズ版ではAA版1話に相当するエピソードからシナリオ本筋に組み込まれており、AA版ではタチバナ議員が1人でこなしたカーチェイスの場面の一部をワレリーが担っている。
スペツナグとのカーチェイスにて重機関銃(デグレチャフ)がお釈迦になったため、ダーニャに泣きついて新しい武器を費用を出してもらえた。
AA版の配役はストレイト・クーガー。弟分クーガー兄貴というパワーワード。
そのためAA版では、運び屋らしからぬスポーツカーが愛車であった。
ノーラ・クラギン
旧式違法改造による機械の身体を持つ掃除屋で、19歳の女性。元孤児で、彼女もダーニャを兄として慕っている(挙動やスキンシップが猫のそれである)。
極寒のモスクワが舞台であるにも拘わらず、素肌に張り付く程に小さく丈の短い革のジャケットに黒いジーンズ、腹部を大胆に露出したチューブトップ・見せハイレグパンツという扇情的な姿をしており、体つきは良いが、スターシャやマリーヤと比べるとそれほどでもない。服装についてはそういうファッションなだけである。指先からナイフのように鋭い爪(電熱式)が出てくる。
《黒猫(チェルノコーシカ)》、黒髪のノーラなどの異名を持つ。
上述の機械化改造の縁で、改造を担当した《お医者》とは恋人関係になっている。機械化改造はダーニャに黙って行ったため、ダーニャは未だにその件に関して許してはいない。
改造資金を稼ぐために身体を売っていた経験を持ち、加えて恋人がいることもあって性的なことに対する知識は十分にあり、ダーニャと同じくアダルト作品や情事中の写真を見ても平然としている。
また、《お医者》の仕事の手伝いもしており、機械化手術で暴れる患者を押さえつけている。
実は「先生」に憧れており、名前もその人からちなんだものである。
AA版の配役は赫炎のインガノックのアティ。
なお、本来ならばライバルか先輩掃除屋役として設定するつもりが、ダイス監督の暴走により先に設定が決まっていたマリーヤやワレリーと同じ19歳となり、「(ダイス監督が)オルフェンズ作る気なのはわかった」とやけくそになった原作者がヒロイン候補として用意していたアティのAAを当てて妹分にしたという経緯で誕生したキャラである。
《お医者(ヴラチ)》
ノーラの機械化改造を担当した闇医者。ガレージ・バレーに病院を構える25歳の黒髪の優男。実力はそこそこだが、ほぼ無償で施術してくれる医者として知名度は高い。仕事で怪我を負ったダーニャの治療も基本的に彼が請け負う。
ノーラとは甘々な恋人関係だが、彼女が無茶をした場合は尻叩きでお仕置きする一面も。ノーラは彼の前では猫を被っているつもりだが、ヴラチ本人はノーラの素の性格を知っている(軽口叩くダーニャにノーラが不機嫌になってじゃれるのを目の当たりにしてもニコニコと笑っている)。
ダーニャからも、将来彼らを結婚させるのにやぶさかではないぐらいに好印象を持たれている(ノーラを機械化したのはヴラチであるが、ダーニャはその件についてはヴラチを騙したノーラが悪いと解釈している)。
彼が扱う機械義肢は日本製であり、ノーラの機械義肢の電池は日本の千葉市のものを使用している。
AA版の配役は赫炎のインガノックのギー。
マダム・ピスクン
スターシャが所属する劇団『ピスクン座』の長である、魔女のような風防の55歳の女性。厳しくも情に厚いオカン的な存在。スターシャの母親的存在でもある。
毎度見窄らしい身なりでスターシャに会いに来るダーニャに小言を言うためダーニャから苦手に思われているが、毎度キッチリ身請け金を持ってくる彼の気概を認めており、将来の婿としてスターシャの身請け先にと決めている(稽古に集中させるためにしばらくは会うな、と言ったことがあるが、それ以外でスターシャとの逢瀬に反対した態度は取っていない。むしろ彼女の晴れ舞台を見に行くように叱りつけている)。
コミック版では当初は「ピスケン」になっていたが、コミック2巻にて修正された。
AA版の配役はルシール・ベルヌイユ。
イェレナ・タチバナ
29歳の日系露人の栗毛の女性で、財務人民委員会議員。モスクワ市内の査察を行うにあたり、KGBの依頼でダーニャが彼女の警護を担当することになる。
資本主義側である日本人の血を引くという(冷戦中のソ連内では)消されやすい身分な上に、不必要と見做せば容赦なく予算を切り詰める辣腕から敵が多く、GRUに対しても大幅な予算削減を行ったため恨みを買っている。そのためか、敵襲を伝えてもさほどパニックにならずに落ち着いており、襲撃慣れしている様子が見られる(コミック版ではワレリーのトラックに乗る際に助手席が漫画本で塞がれているのを見るや、迷わず自ら荷台に乗った)。
スペツナズに襲撃されるも、ダーニャの活躍で逃げ切ることに成功し、ダーニャの優秀さを評価し、以後は下記の《尼僧》と共にダーニャの情報収集のコネ(KGB関連や標的のスケジュール関連)の1人として活躍する。
また、議員でありながら自分で車を運転することを好んでおり、AA版ではスペツナズの襲撃から逃げ切る程度には運転技術が高い。書籍・コミック版ではスペツナズによって愛車に爆弾が仕掛けられていたため別の車で逃走し、ファリカトゥス相手に逃げ回るくらいの運転技術を持っている(シャスチの襲撃から一旦逃れるために乗り捨てて、ワレリーのトラックに乗り換えたが)。
AA版の配役は千川ちひろ。
原作者の代表作の主要人物と配役が同じだが、こちらは読者の安価で選出されたものなので、偶然の一致である。
また、ヒロインをスターシャに固定しているため、原作者は「今回はヒロインにしない」と決めており、好感度ダイスを振っていない。
ちなみにKGBの黒服の配役は、ニンジャスレイヤーのクローンヤクザ。
《尼僧(モナシナ)》
地下鉄内の核シェルターに設けられた聖ワルワラ寺院の聖職者。ダーニャが日頃頼ることの多い、裏で様々な武器を取り扱う38歳の女性。頭を剃っているが、妖美な顔つきと豊満な体つきをしている。
表向きは弾圧中のロシア正教会の尼僧であり、「告解」と「寄進」に応じてそれに見合った得物を融通してくれる「得物屋」として働く。
ダーニャのことはお得意様としてビジネスな関係を築いており、恋愛的な感情を抱いていない。
裏ではKGBとも取引きしており、正教会の寺院で得物屋ができるのも、本来なら女性を聖職者にしない正教会で彼女が存在しているのもそのためである。
AA版の配役は殺生院キアラ。
コロプチェンコ
白いスーツにハゲ頭の大男。49歳男性で、約60人の若衆を率いるロシアン・マフィアの若頭。
敵対勢力である裏組織の撲滅のため、機械化兵への陽動にダーニャを雇う(後に、組織側に下記の「先生」がいたことが判明した)。以後はお得意様兼情報収集のコネの1人となる。
AA版の配役はBLACKLAGOONのボリス。
「先生(ウチーテル)」
機械の身体を持った、33歳の凄腕女性掃除屋。元孤児。戦闘用のサイバネ手術を施されており、高周波剣を得物とし、作中最強レベルの実力(1d100のランダムダイスで実力を決めたら最大値の100)を持つ。
自身をたぎらせてくれるライバルに飢えていた中、自身が用心棒として雇われていた裏組織の攪乱を単身遂行したダーニャに興味を持ち、標的として目をつける(AA版ではダーニャは「先生」がいることに気付いて戦闘を回避したつもりだったが)。
掃除屋界隈ではバーバ・ヤガーと並んで伝説的存在として名が広まっており、実在するかデマかで盛り上がっている。そのため、「女性」「接近戦では敵無し」ということ以外、詳しい人相は不明とされている(何しろ、直接出会った相手は標的として殺されているため)。本名はエレオノーラで、ウシャンカを被ったコート姿の赤い長髪の美女。「赤髪のエレオノーラ」という異名も持つ。
ちなみに、文字通り体を売ったため非処女である。
仕事をサボタージュしている際にダーニャと出会い(書籍版のダーニャは目の前の相手が「先生」だと気付かず、普通に接していた)、モグリのふりをして組織構成員の戦力を伝えてそれとなく忠告する。
書籍版ではなんと、新人《掃除人》時代のダーニャが仕事で殺害した機械化兵の男・イワンが彼女の恋人であるという、またとんでもない因縁が設定された。首のチョーカーに鎖で彼からの婚約指輪をネックレスのように飾っており、服の中に入れている。
バーバ・ヤガーの事も知っており、アダムが引き起こした騒動に関し、「GRUが本気ならバーバ・ヤガーが出て来て終わっていた」と評している。
ライバルキャラ作りが上述のノーラの設定で頓挫した際のリベンジで爆誕したキャラであるが、実力が実力故にまともなやり方ではダーニャは太刀打ち出来ないため、出張ってきた瞬間に物語が終わりかねない厄介なキャラとして読者から戦々恐々されている(というのも、実力が行動成功値に当たるため、行動すると自動成功で勝負にならないからである)。
AA版では初登場以降、重要な局面におけるダイスロールの結果のひとつに彼女との遭遇イベントが盛り込まれたケースが度々あり、存在自体がファンブル枠のような扱い方をされている。選択肢に挙がる度に読者から阿鼻叫喚のコメントが流れたのは言うまでもない……。
ちなみに、ノーラと名前が同じなのは、AA版の配役の名前が同じであることを意識した設定である。
ちなみに、最初は配役としてシーマ・ガラハウが選出されたが、AAは豊富だが白兵戦させるには難しく、当時はガーベラ・テトラのAAの数が少なかったため、振り直している。
女ハッカー
GRUのスペツナズに所属する26歳のハッカー。階級は大佐。
身体は機械化しておらず、生身のまま。
情報戦で煮え湯を飲まされてきたマリーヤを、完膚なきまでに蹂躙しようと敵視している。マリーヤの手駒であるダーニャに関しては、弄ぶことを楽しみにするほど興味を抱いている。
知名度は低いが、原作者は存在を知った相手を尽く消しているからと解釈している。
部下を道具として酷使する一方、自分の意志ではっきりと物申したシャスチに好感を抱いて1人の人間として評価するなど、冷徹な顔以外の一面を見せる。
AA版の配役はキーラ・ゲオルギエヴナ・グルジェワ。
シャスチ・ルサールカ
書籍版1巻、漫画版第2話に登場。GRUのスペツナズに所属する女兵士。階級は少尉。19歳。
頭部はフルフェイスのヘルムで覆い、身体には一切の露出はないが、女性的なボディラインを強調するほどの薄いボディスーツを身に着けている。バストは平坦。名前の由来である漢数字の『六』を模したマーク(シャスチはロシア語で『6』)を左肩につけており、その下にCCCP(ソビエト社会主義共和国連邦)の文字が記されている。
GRUの最新鋭の技術で生み出された試験管ベイビーで、超人兵士の量産を目的とした「ルサールカプロジェクト」で生まれた6番目の超人兵士あり、成果を示さなければ廃棄処分で殺される身。他のルサールカが数名ほど廃棄処分されて生き残ったのはシャスチ含めて3名。シャスチはその中でも1番能力が劣ることもあって生き残るために実績を求めるあまり1人先走ってしまう危うさを持っている。名前(というよりコードネーム)の「シャスチ(六)」も気に食わなく、部下から名前で呼ばれる度に苛立ちを見せる。
子供と思わせるほどの小柄な体つき(なお、シャスチ自身は自分の小柄な体にコンプレックスを持っている)だが、生身の体でありながら、機械化兵の支隊をたった数分で全員行動不能に陥らせるほどの身体能力と戦闘能力を持つ(ダーニャは小猿と例えている)。薄いボディースーツは零距離からの銃撃でも貫けないほどの強度を誇る。武器としてワイヤーアンカーが内蔵しているアサルトライフル「AN-94アバカン」や、電熱式の短剣を使用する。
機械化兵5体と生身の兵士1名を率いてタチバナ議員の暗殺を目論む。脅威的な身体能力で幾度もダーニャと切り結ぶが、KGBの膝元であるルビャンカ広場まで逃げられたことで、手が出せずにタチバナ議員の暗殺を断念。
結果としてタチバナ議員の脅迫に成功して予算の確保はできたものの、1人で勇み足に突っ走った挙げ句に一山いくらの掃除屋に出し抜かれるという致命的な失態を犯してしまったため、帰路の中でヘルメットを乱暴に投げ捨てるくらい悔しがっていた。
コミック版のデザインについて関根氏曰く「某ゲームのマシンアサシン系のレオタードヒロインに衝撃を受けて勢いのままに描いた」というラフ画が採用されたもの。そのためか、レオタードのような造形の宇宙服といったデザインである。
スーツには特殊なゲルが循環しており、被弾時に瞬時に硬化して弾丸を防いだり、通電による身体能力向上や止血を行う。
女兵士としてAA版には登場していないが、スペツナズの兵士の配役はクローントルーパーであり、おそらくはその内のリーダー格がモデル。
AA版では後に続編「モスクワ2161 チェルノボグ」のヒロインへと昇格。チェルノボグの企画が「続編主人公はフリーランスではなくGRUあたりの所属にしてみようか」という話から始まったことで2160の1話でダーニャに出し抜かれたスペツナズのリーダーをヒロインとしてキャラ作、「ダーニャとの敗北を理由に左遷された先で新主人公と出会う」という導入となった。後述の理由から肝心の主人公がまともなダイスを振れないため、実質的なプレイヤーキャラや狂言回しのポジションを担っている。
これらの経緯から2160当時のモブ扱いの頃から設定をリブートしつつ劇中で設定が追加される事となり、コミカライズ版では性別や背景設定はチェルノボグで決まった設定を取り込まれている。戦闘時に被っているフルフェイスヘルメットや劇中でのダーニャの反応など、チェルノボグにおける相棒であるバーバ・ヤガーの設定の一部も取り入れている節も見られる。また、AA版モスクワ2160ではリーダーは機械化兵だったが、こちらも設定追加により変更されている。
そのためAA版2話(1話は世界観設定およびダーニャとスターシャのキャラ設定を兼ねているため)に相当する単行本1巻のエピソードが事実上ダーニャとの新旧主人公対決となり、あっさりどころかド派手な大立ち回りとカーチェイスを展開する事になる。
チェルノボグにおける配役は柊シノア。
「ルサールカ」のコードネームは、バーバ・ヤガーと同じくスラヴ神話の怪物や精霊から名付けられている。
チェルノボグではバーバ・ヤガーと行動を共にし、規格外な戦闘能力に恐れを抱きつつも、「ルサールカプロジェクトの超人兵士の1体」ではなく、個人として自分を見てくれる彼に徐々に心を開きつつある。
魔女の家の怪物(バーバ・ヤガー)
劇中にて名前のみ登場している掃除屋。詳しい見た目は不明だが、「先生」と同じく掃除屋界隈では伝説的な存在として名が広まっており、実在するかデマかで盛り上がっている。
空想の怪物を指す言葉としても、作中で何度も用いられている。
AA版の続編である「モスクワ2161 チェルノボグ」の主人公であり、配役はデジモータル。19歳。GRU専属の掃除屋。
生身の体でありながら「先生」同等の実力(1d100振って最大値の100)を持つ、GRUの最新鋭の技術で生み出された超人兵士である(キャラクター作成にて生身かつ実力が最大値を叩き出して原作者が困惑し、「007でソ連製のスーパーベイビーが登場したし、それかな?」と半ば現実逃避しつつ出自ダイスロールを実行、見事スーパーベイビー設定を引き出した)。
名前については、童話「うるわしのワシリーサ」に登場するバーバ・ヤガーの黒騎士から名付けたと、やる夫スレにて原作者が明言している。
白兵戦を得意とし、ソ連の象徴たる鎌と小槌を武器として扱う。
なお、複数の優秀な遺伝子から優秀な兵士を生み出す「ルサールカプロジェクト」と異なり、特に特別な処置をせずに超人的な力に目覚めた化け物。そのためか、敵には(でたらめすぎる戦闘能力故に)生身だとは思われず、機械化兵なら発するはずのモーター音がないことから最新ステルス技術を施した機械化兵だと思われており、拘束された敵兵が真実を知らされると精神崩壊一歩手前までショックを受けてしまったほど。
性格は幼子のように純粋であり、上官の命令には絶対に従う。しかし、上述の脅威的な身体能力ゆえにその気になればいつでも皆殺しに出来てしまうため、前任の管制官が「コイツの気紛れでいつ殺されてしまうかわからないし、実際その通りになったら止めようがない」と疑心暗鬼に陥ったせいで精神異常を発症。そのためシャスチが後任に回される事になった(本人は「命令されてない」ためそんな気を起こす発想すら無い)。
言動からではわかりにくいがシャスチに対しては好意的であり、パートナーとして彼女と行動を共にする。
上述のぶっ飛んだ戦闘能力を持っていて通常の敵相手には勝負にすらならない為、彼が戦闘シーンの展開をダイスで決める時も勝ち負けではなく「相手をどう殺すか、或いは生け取りにするか」「倒すまでどの程度かかるか」など戦闘の過程を大まかに決める程度で勝つのは大前提、という選択肢ばかりになっている。
書籍版1巻の後書きにて、2巻が出るとしたらバーバ・ヤガーの話になると原作者がコメントしている。
006
MI6の諜報員で、機械化した身体を持つ23歳の女性。階級は少尉(AA版では大佐)。下記のアダムからはメアリー・グッドゲイトと呼ばれている。
KGBやGRU、VVS、CIAとの五つ巴の中、最新鋭機を持ち出してNATOへ亡命しようとするアダムを狙う。KGBの情報操作で内ゲバした他の組織と異なり、KGBの仕業だと気づいて標的を追い続けていたが、アダムが所有するリムジンの中で、追われる身にも拘わらず余裕綽々と理想を語る彼に呆れ果て、無事亡命できるように健闘を祈ると言ってリムジンから降りる。
その直後に、KGBに雇われていたダーニャに先を越されたことで、彼を異性として興味を抱き、ロックオンしている(性的な意味で)。
「先生」とは別の意味で読者から戦々恐々されているキャラである。
AA版の配役はエイプリル。
イーゴリ
第1話に登場した、機械化兵の浮浪者。元ワルシャワ条約機構軍で、帰還後は体の維持費を稼ぐためにマフィアの用心棒をしていたが、必要以上にヤンチャしすぎたためにダーニャたち《掃除屋》に討伐依頼が出された(本人は、命令通りに大暴れしただけなのに、と嘆いている)。
しかし、裏切り者の《獅子》がダーニャたちの情報を流したため、奇襲をかけてきた(コミック版ではマリーヤとは別の仲介人から受けた依頼だったため、後日ダーニャはマリーヤから責められた)。
重機関銃(HCB)を扱う他、機械の体による怪力で相手をねじ伏せる。
ダーニャ以外の掃除屋を虐殺してダーニャにも襲いかかるが、EMPグレネードで怯んだ上に、戦いの場がボロい酒場だったため床が抜けて派手に転倒したところを眉間にPPSH-41を零距離で全弾ブチ込まれたことで死亡した。
コミック版では、スキンヘッドの大男として描写されている。
精神的に問題がある機械化兵である証として、頭頂部にブラックボックスのカートリッジが埋め込まれており、「特定の技術者以外の取扱いを禁ず」と記された封印テープが貼られている。
機械化した体も、シリンダーの集合体のようなデザインになっている。因みに関根氏によるとシリンダーを筋肉に見立てて描こうとした結果デザインに苦戦した旨が単行本掲載の設定画でコメントしている。
AA版には登場しない。
《獅子》
第1話に登場。《掃除人》であり、《八つ目》や《骸骨》たちと共にイーゴリの討伐依頼を受ける。猫のように大きな目をした、下痢気味の臆病な男。
しかし、裏では金目当てでイーゴリに討伐依頼のことをリークし、ダーニャたちを裏切っていた。下痢と称してイーゴリの襲撃から逃げ出しており、イーゴリを倒したダーニャと鉢合わせしてしまう。
家族(コミック版では身籠ったという恋人)のためだったと泣き落として一度は見逃されるものの、ダーニャを背後から撃とうとしたため逆に射殺された。
こちらもAA版には登場しない。
イワン
新人《掃除人》時代のダーニャが、スターシャと初めて出会う夜に殺害した元スペツナズの機械化兵。「先生」の恋人。
投げナイフの使い手であり、高速転移による超スピード能力を持つ。
ダーニャを子供だと思って侮り、路地裏に隠していたPPSHの銃撃を受けて死亡した。
コミックでは右目が義眼であり、両腕にはナイフの射出装置が備わっている。
組織
書籍版1巻に登場。上述のコロプチェンコが率いるロシアン・マフィアとは敵対勢力にあたる。
ボスが大層な女好きとして有名であり、安い集合住宅で淫売宿を経営しており、構成員達もそのおこぼれに与っている。
淫売宿のセキュリティはザルなのだがそれもそのはずで、構成員全員が機械化兵、しかもその半数が戦闘用・軍用のサイバネというガチ構成であり、トドメと言わんばかりに「先生」を用心棒として雇っているという徹底ぶりである。……要するに戦力がガチすぎて、アジトのセキュリティの必要性がないというわけである。
さらに、売女を性行為しつつ殺害するというサイコパスな趣向をしている(性行為中も肉をハンマーで叩いて挽肉器にかけるような音を響かせてる)。
このため正面から戦っても勝てるわけがないため、ダーニャが陽動をすることになった。投げ込まれたEMPグレネードでEMP対策していなかった非戦闘用機械化兵全員と戦闘用機械化兵1人が戦闘不能になり、逃げたダーニャに気付いたリーダー格の軍用機械化兵と戦闘用機械化兵が追う。
しかし、最大戦力がダーニャに気を取られたためロシアン・マフィアによって淫売宿が制圧され、リーダー格もロシアン・マフィアのリンチを受けて死亡した。
書籍版では、残った構成員とボスの始末を行ったのは、ダーニャに黙ってマフィアに雇われたノーラである。
この一件でダーニャは「先生」に目をつけられる羽目になった(ダーニャに興味を持って勝手に持ち場を離れたため、ダーニャもノーラも「先生」と鉢合わせせずに済んだ)。
AA版の配役は、戦闘用機械化兵は機動警察パトレイバーのブロッケン、軍用機械化兵はメタルウルフカオスのメタルウルフ。
暴風三兄弟(トゥリブラート・ラズルシェーニエ)
コミック版のみに登場。上記の組織の傘下であり、逃走するダーニャを追撃する機械化兵に当たるキャラクター。
巨体の重装甲の機械化兵の《強盾(スチート)》バスティエフ、その肩に乗る三度笠を被った小男で索敵担当の《沙眼(サリシャガン)》カンジンスキ、そして紅一点であり切り込み隊長の高速戦闘義体の《茫棍(ドゥビーナ)》ダキアスの三人組。元々は昆明辺りを根城にしていたが、モスクワ入りして組織に用心棒として雇われた。
フレームは中国製、所々に西側部品、そして駆動系や神経系はソ連製という、各部位を実践的に仕上げた化け物(ヴラチ曰く「ちゃんぽん」。しかも、考えなしに安物の海外製神経を組み込んで、マッチング不良を起こすような間抜けではないとか)。
ノーラは三兄弟のどれかの顔に見覚えがあるとのこと。
アダム・アドロヴァ
書籍版1巻に登場。VVS(ソ連空軍)の大佐。
西側に情報を流し、そのおこぼれで大佐まで登り詰めた。
ワルシャワ条約機構の最新鋭機を奪取し、NATOに亡命しようと目論む。スターシャの顧客の1人であり、そのせいでスターシャが関係者としてGRUに疑いをかけられるはめになった。
スターシャがKGBに近しい人物であることから、ダーニャはKGBから要人の暗殺と証拠資料の奪取の依頼を受ける。
しかも、最新鋭機を手に入れたいMI6とCIAがタッグを組んで護衛し、それを阻止したいGRUとVVSが連携を組み、壮絶に殴り合っているところを、KGB代表としてダーニャが単独で飛び込むという地獄のような状況であり、ダーニャ(と原作者と読者)が無言で天を振り仰ぐレベル。幸い、KGBの情報操作でMI6以外が内ゲバで仲間割れしたため、当面の敵はMI6のみという(先の地獄のような大乱戦に比べれば)希望的状況になった。
報酬のほとんどを使い切る勢いで伝手とコネを総動員させたダーニャによって、外出時にロシアン・マフィアのカチコミで引き起こされた渋滞に巻き込まれて動けなくなった所をロケットランチャーで車ごと爆殺された……と思われたが、なんと完全機械化兵であり、右半身の人工皮膚が溶けた状態で生存していた。
その状態で自宅で証拠資料を探していたダーニャの前に現れ、最新鋭の光線銃を手に襲いかかった。アダムが持ち出そうとした機密とは、機械化したアダム自身である。
マリーヤの援護により発生したスプリンクラーで光線銃の威力が減退し、PPSHと光線銃が相打ちになり、最期はダーニャのトカレフで頭部を粉砕されて死亡した。
スターシャに対しては個人的にも相当入れ込んでいたらしく、あわよくば亡命の際に彼女を連れて行こうと目論んでいた。書籍版では更にその様子が強調されており、ダーニャと対峙した際に彼から「アダム自身の知らないスターシャの顔(つまり目の前の男が、自分などよりもスターシャと親密な関係にあることを意味する)」を明かされ、動揺を誘われている。
AA版の配役は、ブルース・アッシュビー。AA版では機械化兵という設定がないため、車ごと爆破されて呆気なく死亡している。
《赤い狼(クラースニィ・ヴォルク)》
作中で名前のみ登場する殺人鬼。20人以上もの女性に性的暴行を行い、内5人を殺害した。
生存した被害者によると、「見た目が狼」とのことで、それが異名の元となっている。
これだけの被害を出したにも拘わらず、民警に捕捉されなかったのには理由があり……。
犠牲者の中に党員の娘がいたため、AA版7話にてダーニャがこの殺人鬼の抹殺をKGBから依頼されるようになった。
舞台背景
上述にもあるが、舞台は2160年のロシア。
冷戦が2世紀経って尚続いており、ソビエト連邦が崩壊せずに維持し続けているという設定。
ドイツは未だに東と西に分かれており、日本は資本主義派として西側に属している(とはいえ、技術は認められており、日本製のゲームや製品が闇市場で売られている)。
ロシア正教会は尚も弾圧続行中である。
核戦争も大規模な戦争は起こらず、小規模な国際紛争があったくらいで、東西諸国が睨み合いを続けているという現状である。
宇宙開発もロシアが先に月面に到達し、それが冷戦の長期化とソビエト連邦の存続の原因となっている。
しかし、いびつに発達・停滞した科学力と、2世紀も冷戦が続いたことで、東西諸国が疲弊しているという有様である。
また、宇宙開発を目的とした体を機械化改造する技術が発達し、路地裏は機械化した浮浪者が幅を利かせている。
その一方で生身の体を尊ぶ価値観もあり、生身の選手が活躍するオリンピックや、機械化した選手が活躍するパラリンピックのどちらも人気がある。ただし、開催国の所属によっては敵対側の諸国が出場をボイコットすることもある(そのせいで選手生命を絶たれて犯罪者になるケースもある)。
なお、上記の設定はすべて掲示板のダイス機能の結果で決めたことであり、原作者が意図的に設定したわけではないことを留意する。
もっとも、元々原作者はTRPG(特にシャドウラン)を好み、いくつかあんこスレ作品を手掛けてきたため、偶然の結果といえど違和感なく統合できたのは原作者の手腕によるものであるとも言える。
……それでもいやに示し合わされたようにダイスの結果が収束することもあり、読者だけでなく原作者が翻弄されることも、また事実である。
書籍化に際してサイバーパンク要素が強く描写されており、日本の千葉市が電脳技術に優れているという、ニューロマンサーの電脳都市千葉市を彷彿させる設定が組み込まれている。
ゴブリンスレイヤーも含めた作品内での原作者の拘りとして「登場人物の信条に反する行動を取らせない」というものがあり、今作で例えるならば「スターシャと添い遂げる」事を目的とするダーニャの行動にスターシャを見限る選択肢を設けないことを徹底している。
同様に、スターシャもダーニャと相思相愛であることをダイスで設定されてからは、ダーニャに対して積極的な選択肢が設けられている。
用語
《掃除屋(リクビダートル)》
ダーニャ達の職業。依頼を受け、街の《美化活動》に勤しむ傭兵たち。
仕事内容は標的の殺害だけでなく、要人警護や違法商品の配達、スパイ活動、脅迫など多彩であり、雇い主もロシアンマフィアなどの裏社会の組織からKGBといった政府の諜報機関まで多岐に渡る。また特定の勢力に所属する掃除屋もいる。
その特性から、どの勢力からも存在否定可能な人材とされており、原則掃除屋自身に何かあってもクライアントのあずかり知る所ではなく、死亡してもそれが世間に知れ渡ることはない。
名称はチェルノブイリ原発事故の清掃作業を行った人々を指す言葉であり、原語としては「清算人」の意味である。
AA版では「ポグリティテリ」であった。
《機械化兵(キボルグ)》
体を機械化した人間。要するにサイボーグ。
事故や病気でやむを得ずに機械化した者もいれば、戦闘用または軍用の機械の体だったり、違法改造だったりする。
頑強な装甲に人間の体をたやすく引きちぎるその怪力から、生身の体で正面切って接近戦を挑むのは、玄人か愚か者だとされている。
中には性交を楽しむためのカスタマイズする技術もある。
生身の人間から「くず鉄野郎(メタロォム)」と悪口を言われるが、逆に生身の人間は彼らから「生肉野郎(ミヤーソ)」と蔑まれている。
体の維持のために莫大な金が必要になったり、EMPで無力化されたりと欠点も存在する。また、舞台が極寒のモスクワなので、凍結対策をしていないと凍って動けなくなってしまう。
名称はそのまま、ロシア語で「サイボーグ」の意味。
《完全機械化兵(サヴィルシェーンヌイ・キボルグ)》
通常の機械化兵は腕一本、または四肢のみなどの部分的な機械化なのに対し、こちらは頭から爪先まで完全に機械化したサイボーグ。中には人工皮膚により普通の人間に擬態する完全機械化兵も存在し、異性の人工皮膚を被って性別を偽る者もいる。
当然ながら、脅威度は通常の機械化兵より上であり、その気になれば変形したり、全身に武器を内蔵することも可能。……もっとも、何の対策もしないで極寒の地でそんな事をすれば、たちまち凍結してしまうが。
名称のサヴィルシェーンヌイは、ロシア語の形容詞で「申し分のない」「まったくの」という意味であり、駆逐艦ソヴェルシェーンヌイと同じ語源である。
《超人兵士(ボカトリィ)》
クローンなどにより、優れた遺伝子による超人的な身体能力を有した兵士。GRUの最新技術によって生み出された。
一番出来の悪いとされるシャスチでさえ、カーチェイスする2台の車の間を平然と飛び交っており、ダーニャやワレリーが「先生」やバーバ・ヤガーを連想するほどであった。
元ネタは作中で何度も名前が登場している英雄「イリヤー・ムーロメツ」。
《電脳屋(テレグラフィスト)》
所謂ハッカー。携帯端末で電脳網に接続し、通信演算(ディスタンソニヤ・ヴァシーニヤ)を行う。
電子機器にハッキングして操作することができ、テレビにハッキングしてカメラ代わりに盗撮することも可能。
KGB
ソ連国家保安委員会。《機関(オルカン)》、『玩具屋の隣のビルの者』と言ったらこちらの方。
ダーニャのお得意様の1つ。
下記のGRUやMI6などの組織共々、詳しくはリンク先を参照。
GRU
ロシア連邦軍参謀本部情報総局。《水族館(アクアリウム)》と言ったらこちらの方。特殊部隊スペツナズを所持している。
バーバ・ヤガーとシャスチが所属している。
原作者はKGBとGRUの関係を「一枚の餌皿を巡ってもう一方の頭を噛み殺そうとしているオルトロス」と例えている。
MI6
秘密情報部。イギリスの情報機関の1つ。
007ことジェームズ・ボンドが所属している組織と言えばわかりやすいと思う。
CIA
米中央情報局。
ジェイソン・ボーンといえばこちら。
関連タグ
外部リンク
やる夫スレ版(まとめサイト記事)
https://yaruok.blog.fc2.com/?sp&cat=220
PV(Youtube)
https://m.youtube.com/watch?v=sg_nRhs6m60
ビッグガンガン公式サイト(漫画版第1話掲載中)
https://magazine.jp.square-enix.com/biggangan/introduction/mosukuwa/