誰も知らないオリジナルストーリー
『ラクロアの勇者』の英語表記である "LACROAN HEROES" のカナ表記。
本記事ではゲーム作品としての『ラクロアンヒーローズ』について記述する。
概要
『SDガンダム外伝』第1作『ジークジオン編』の前半『ラクロアの勇者』並びに『伝説の巨人』を題材とした、ゲームボーイ専用RPG。1990年10月6日発売。
同年8月にファミコンで発売された『ナイトガンダム物語』の移植ではなく、ゲームシステム及びシナリオは別物になっている。
騎士ガンダムの表記は「ナイト」。戦士ガンキャノンは「キャノン」僧侶ガンタンクは「タンク」で、騎士アムロは「アムロ」。パーティーメンバーは以上四名で固定、離脱等のイベントはない。
難点
騎士ガンダムシリーズのRPGは基本的に難易度調整がヘンなことに定評があるが、本作はぶっちぎりでイカれており、「町から出る前に人の話をちゃんと聞いておく」というRPGの基本をおろそかにしてさっさか城門から出てしまうと、ありえないレベルのザコと遭遇して一瞬で御臨終(全滅)となり、ゲームオーバーとなり、タイトル画面に戻される。
本家ガンダムシリーズで喩えると、ガンダムが大地に立ってサイド7からよたよた発進したら、そこにメッサーラとかドーベン・ウルフが大挙して待ち受けているくらいにはレベル差が酷いのである。
よくRPGをやると「悪の組織は主人公がスタート地点から出てすぐの地域に強い奴を置いておけばレベルアップする前に倒せるじゃんww」などと無粋なツッコミを入れる人がいるが、それを本当にやってしまうのが本作のジオン族である。さすがサタンガンダムきたない。
実はちゃんとお城の人たちに話を聞くと、地下に「冒険の扉」というワープゲートがあって、そこからクエストを選べる事が判明する。
ようし、ならば1番弱そうな「ゴブリンの洞窟」に行ってやろう、と普通のプレイヤーなら考えるであろうし、それが正解である。だが本作においてはそのゴブリンの洞窟ですら騎士ガンダム達が死にかねない。
どういうことなのかと言うと、最初のステージで出てくるのは一番弱いゴブリン(ゴブリンザクの亜種)と二番目に弱いブルースライムなのだが、そのブルースライムはなかまをよぶ習性があるので、単純に数の暴力で押し切られることもある。これじゃ一年戦争と逆だよ兄貴!
本作は初代ドラクエ並みのエンカウント率であり、レベルを上げるにしたって「ああ、これなら倒せるだろう」という相手を選んでやらない限り返り討ちにされるのは必至である。逃げるは恥だが役に立つとはよく言ったものである。なお蘇生に失敗しても金は返ってこない。これではエゥーゴやマフティーでなくともオノレ連邦許すまじとなるであろう。
後半になるにつれて敵のインフレは本家ガンダムシリーズ同様に激しくなり、終盤ともなるとそこらへんの雑魚にすら惜しげもなく魔法攻撃を投入するくらいのリソースを割かねばならなくなる。
このように書くと地獄のクソゲーのようであるが、裏を返せば猛烈にレベル上げすればある程度までは戦えるのが本作の救済措置である。ユニークなシナリオ展開もあり、本作の方が『ナイトガンダム物語』シリーズより好きというファンもいる。
もっとも、とある本作の根幹にかかわるアイテムを探すのはほぼノーヒントなのだが…。
その他特徴
システム面
- 150歩歩くごとにダンジョン内でも休息が取れるが、全回復ではなく50%回復である。
- 冒険の扉は一本道ではない為、順番通りクエストをこなしたりする必要はない。ただし、順路を守らないと格段に難易度は高くなる他、クリアフラグを立てるために絶対にこなさねばならないクエストもある。
- MS族限定の状態異常にサビがある。やっぱり金属だったのか…。
- なお、サビ状態を治癒するためのアイテムはシーアルシー。元ネタは CRC Industries の「CRC5-56」。
- 弱い敵に対して脅すというコマンドがあり、敵を退散させて金をせしめることができる。成功率は高くないが。
ユニオン族の皆さん
- 戦闘中アムロが攻撃する際、ナレーションに「いきまーす!」というセリフが入る。グラフィックも音声も無いが、カットイン演出の一種と言えようか。
- レビル王は初めから病床に伏しており、クリア後も回復する描写はない。
- 城下町には騎士セイラがいるが、冒険には参加しない。話すとどうのつるぎをくれる。
- アムロの母も城下町にいるが、父であるはずの鍛冶屋テムはなぜかラクロアからかなり離れた土地にいる。
- アルガス騎士団がゲストとして登場している。グラフィックは騎士ガンダムのものと同一で、仲間にすることはできない(慰労と激励の言葉が聞ける)。
ジオン族の皆さん
- 騎士ランバ・ラルが戦士黒い三連星とともに盗賊団を率いているが、なぜか関西弁を話す。これが影響するかどうかは不明だが、ほしの竜一の漫画版でも結託している。
- さらに三連星の中央のヒトがガイアではなく「ガイヤ」。
- なぜかドラゴンベビーやカクリコンなどが単なる雑魚として量産されて出てくる。
- カードダス準拠の敵キャラクターに対し、色違いの上位種も登場する(GBなので色ではなく濃淡の違いだが)。カクリコンの上位種はバーサーカー、ライラの上位種はダークエルフ。
- 闇の皇帝ジークジオンは登場せず、巨人計画も含め首謀者(ラスボス)はブラックドラゴンである。しかも断末魔がカッコ悪い。
余談
新約SDガンダム外伝第1章『救世騎士伝承』では騎士ユニコーンガンダムにより、本作に登場する騎士ガンダム・戦士ガンキャノン・僧侶ガンタンク・騎士アムロの4人が「ラクロアンヒーローズ」の名で召喚された。