概要
生に絶望しベヘリットに生贄を捧げ、ゴッド・ハンドを降臨させる『降魔の儀』によって転生した異形の生物。
新たなゴッド・ハンドの出現する「蝕」では、宴の場に引き込まれた「鷹の団」の面々を餌食にした。ガッツにとってはゴッド・ハンドと共に復讐の対象。
元は人間だが、多くの使徒にとって人は捕食対象になっており、人間らしい感情も希薄になっている。しかし、使徒によっては我が子への愛情や友人への友情など人間性を捨てきれていない者もいる。
大半の使徒はグロテスクな異形の姿をしているが、中には何らかの生き物を模していたり、ラクシャスやガニシュカなどの炎や霧の姿をしている使徒もいる。
どのような使徒の姿になるかは決まっているようで、ゴッドハンドのユービックは使徒の姿をその者のあるべき姿と語っている。
個体によって使徒としての能力や姿・大きさは異なるが、転生前の人間の姿をとることもできる。
人間の姿であっても常人よりも遥かに高い戦闘力を有しており、放魔(使徒化)することでさらに強大な強さを持つ生物へと変貌する。
また、不老で且つ高い再生能力を持っており、常人なら致命となる傷や四肢が切断するほどの傷を負わせてもすぐに回復されてしまう。
しかし完全な不死ではなく、頭部などの急所(多くの場合、人間の面影を残した顔や上半身が急所である傾向が強い)を破壊したり再生が追いつかないほどの傷を負わせたりすることで倒すことが可能。
早い話、殺せば死ぬ。
彼らを律するのは「己が望むことを行う」という戒律のみである。
しかし、本能的にゴッド・ハンドに服従する傾向があり、ガニシュカのような強力な使徒でも抗うことは難しい。
戦魔兵
受肉・転生したグリフィス率いる新生鷹の団における使徒のみで構成された兵士達。
力自慢の者や獣のような四足歩行のトリッキーな戦闘タイプなどバラエティ豊か。
多くの使徒が自身の使徒の姿を模した甲冑を身に纏っており、放魔(使徒化)した際に甲冑を取り込み騎兵と化す者もいる。
終わりの魔獣と化したガニシュカ戦では人間と協力してガニシュカの分身達と戦い、法王やクシャーンの仙将ダイバをも驚かせた。
使徒の特性として『望むことを行う』のは変わらないようだが、軍である以上一定の規律は存在し、勝手な行動を取った者はゾッドによって粛清されている。
(より強い者が『望むことを行う』を押し通しているとも言える)
使徒もどき
使徒によって人外の化物へと変えられてしまった人間。名称はガッツが対峙した際に呼んだことから。
変化の方法は自分の一部を寄生させる(伯爵)、繭で包み込んで転生させる(ロシーヌ)、針を注射する(完璧な世界の卵)など様々。
人間の時の欲望や執念に従って動くか、『親』である使徒の操り人形になっている事が多い。
あくまで二次的な変化のため、ほとんどの場合戦闘力は使徒に劣るが、中にはモズグスのような並の使徒に匹敵か同等以上の戦闘力を有する例外も存在する。
使徒、使徒もどき共に死ぬと生前の姿に戻り、また魔に関わったものの定めとして魂は地獄に落ち、悪霊の一つと成り果てる。
その宿命故に彼らは人間を見下している半面、人間以上に死ぬ事を恐れている。
読みきり版
単行本14巻に掲載されたプロトタイプでは使徒はゴッド・ハンドではなく太古の暗黒神ヴアナに仕えており、生贄に刻まれる紋章は本編同様二重螺旋を模したものだがより曲線的なデザインだった。
使徒たち
新生鷹の団
「不死者(ノスフェラトゥ)」、「戦場の神」の異名を持つ傭兵。
強敵を求める戦闘狂で髑髏の騎士をライバル視する。また、武器は斧や幅広の大刀など巨大で重いものを好む。
新生鷹の団に合流後は凶暴な戦魔兵たちを力で統率している。
人間形態であっても肉食獣のような風貌をした猛者。使徒形態は牛のような角と下半身に獅子のような上半身を持つ巨獣で背中に蝙蝠の翼を生やし飛ぶことも可能。
目のついた巨大な弓を操る盲目の狩人。
使徒形態は巨大な角を生やした狼とヤギの中間のような獣の腰から半獣人の上半身が生えたケンタウロスのような姿で、角を弓代わりにして毛から作った矢を飛ばす。
鷹の団にあっても一人でいることを好み、リュートを嗜むなど文化的な一面もある。
3m近い巨体を持ち竜を模した鎧を纏う戦士。自分と同様に巨体の使徒たちを率いる。
人間形態であっても並の使徒を超える力を持ち巨大なハンマー、剣と大砲が仕込まれた盾(こちらも竜を模している)を使う。
「月光の騎士」の異名を持つ槍と馬術の達人。騎馬部隊を指揮している。
使徒形態は愛馬と融合し「ケンタウロス型の金属の塊」ともいう様な生物感の無い姿となる。部下たちも同様に馬と一体化する。
夜魔(ラクシャス)
全身を黒い布で覆い仮面を被った小柄な人物。「グリフィスの首が欲しい」という理由で鷹の団に協力する。
暗殺集団「バーキラカ」を追放された過去を持ち頭領のシラットや護衛のターパサたちとも面識がある。その出自から暗殺や潜入を得意とする。
使徒形態は変身前が炎を纏ったような巨大な姿をしており、生き血を吸う事で炎がより強まる。
ボルコフ
硬質の鱗に覆われた恐竜のような使徒。ロクスの騎馬部隊に所属する(人間形態は重厚な鱗のような鎧を着こんだ騎士)。
蝕の際にはフェムトに斬りかかろうとしたガッツの左腕に噛み付いて足止めし、ガッツはそれを自ら切断したため、間接的にガッツを隻腕にした使徒と言える。
よく見ると背中に小さい顔と腕(本体?)があり、「コフー」と鳴く。
クシャーン帝国
クシャーン帝国大帝。
世界征服の野望が使徒の本能であるグリフィスへの服従に勝りミッドランドへの侵攻を開始した。
使徒形態は霧。物理攻撃を受け付けず雷により攻撃を行う、また、霧の一部を魔術師に取り付かせる事でその力を強化することも可能。
グリフィスに対抗するため「魔子宮」を用いた二度目の転生を行い、終わりの魔獣へと変貌した。
ミッドランド王国
凶悪な囚人部隊「黒犬騎士団」の団長。
「エンジョイ&エキサイティング」を旨とし、(自分は使徒だから死ぬ心配が無いので)生死を度外視した作戦を部下に強要する。
使徒形態は首の辺りからワイアルドの上半身が生えた巨大な猿。
その他
ベヘリットに触手と足が生えたような外見の使徒。
自らを卵としフェムトとなったグリフィスを再びこの世に呼び出した。
出自は聖地アルビオン地下のゴミ溜めで人知れず暮らしていた孤児。
触手から生えている針を人に刺すことで使徒もどきへと変貌させることができる。
僧侶を殺して骨と皮で神像を作るなど猟奇的な行動の一方、人を助けたり、「使徒になる前に誰かに出会えていれば何かが違っていたかも知れない」と考えるなど、人間的な部分もある。
コカ城を本拠とする盗賊の首領。
一見すると盗賊らしからぬ落ち着いた物腰の紳士然とした人物だが、本性は使徒らしく凶暴で人肉食や流血を好む。
使徒形態は手足の生えた巨大なコブラ。人間時も蛇を模した鎧を愛用する。
詳細はリンク先参照。
邪教徒狩りと称して領民を殺害する事を好む肥満体の地方領主。使徒形態はナメクジ。
娘のテレジアを溺愛しており、ガッツとの戦いで使徒の姿を見られた事で動揺。そのまま彼女を人質に取られて手が出せず致命傷を負う。ゴッド・ハンドを呼び出し、彼らに娘を贄に捧げることで再生する機会を与えられるが、娘への愛情故に生贄に捧げられず死亡した。
蝕の際にも登場しピピンの死体を弄んでいた。
頭部からオオミズアオの羽を生やした裸身の少女。
元はある寒村に暮らす少女で家庭内の不和から逃避するように妖精に憧れていた。
かつて妖精が住んでいた「霧の谷」を本拠に子供をさらい妖精(に見える使徒もどき)に、大人は谷の番人として人面の巨大昆虫型の使徒もどきに変えていた。
使徒形態は巨大な蛾。頭部下部あたりに透明なカバーのようなものに覆われたロシーヌの上半身がある。超音速での飛行が可能。
蝕の数日前に部下の使徒もどきと共に待機していた鷹の団の負傷兵たちを全滅させた。
バルザック
ドリームキャストのゲーム『千年帝国の鷹篇 喪失花の章』に登場。時系列としてはガッツが聖地アルビオンを後にした直後の話。
「マンドラゴラ憑き」の奇病を研究する地方領主。ライオンを思わせる髪と顎鬚が特徴。
かつては名君と称えられ勇猛な騎士でもあったが長く続く戦乱に徐々に心が疲弊し、心の支えである妻アネットがマンドラゴラの薬の副作用で精神崩壊と不老となった事で暴君と化した。
自らマンドラゴラ憑きとなりガッツと戦い敗北、ベヘリットが反応したことでアネットを捧げて複数の獣の頭部が生えた下半身を持つ使徒に転生した。CV:内海賢二(ゾッドと二役)
追手
『蝕』を生き延びたガッツの烙印の匂いを追ってきた小男。
正体は巨大な豚のような顔の下に変身前の顔がある異形の姿。
2016年の新アニメ版では、辺境伯爵ランズダウンに仕えていた犬小屋番として登場。
卑賎の者として虐げられており、唯一信じていた伯爵令嬢にも拒絶された事に絶望し、彼女を捧げて転生した。
ネームクレジットは「飼育係」。CV:飛田展男。
女の使徒
第1話冒頭でガッツが倒した使徒であり、蝕でコルカスを食い殺した犯人。
ブロンドの長髪を靡かせた美人だが、使徒形態は牙が並んだ巨大な口と強靭な腕を持つ醜悪な姿の怪物。
コルカスの時のようにガッツを誘惑しながら殺そうとするが、とっくに正体を見抜いていたガッツに同じ手は通じず、義手の大砲を口内に直接ブチ込まれて死亡。
鶏の使徒
蝕でキャスカとジュドーを襲った使徒。
出番僅か2コマのモブだが、羽を毟られた鶏そのものという数ある使徒の中でもぶっちぎりで弱そうなビジュアルと、実際にジュドーに投げナイフ一本で撃退されるというその外見に違わない弱さから現在でもネタにされている。
こんなのが「あるべき姿」で良かったのかこいつは……。
読み切り
ヴラド大公
「串刺し公」の異名を持つ領主。
敵国の捕虜500人を串刺しにして国境に晒し、戦争が終わると領民の娘を殺し始めた。
外見はモチーフと思われる人物の肖像画とは似ておらず、むしろ本編の伯爵に近い。
使徒形態は牛のような角と豚のような鼻を持つ怪獣(ガッツ曰く「豚牛」)。サイコキネシスを操り人間の姿でも使用可能。