八男って、それはないでしょう!
はちなんってそれはないでしょう
小説家になろうにて2013年6月1日から2017年3月25日まで連載された作品。全205話で既にWeb版は完結している。
2020年6月1日現在は、外伝および続編『八男って、それはないでしょう!みそっかす』を更新中。
2014年2月20日に書籍化が決定。MFブックスから第1巻が2014年4月25日に刊行。
イラストは藤ちょこが担当。
発売約2週間後には早くも重版が決定。その後も続刊が出るたびに重版されている。
約1年後の2015年4月16日にはコミカライズが決定。ComicWalker、ニコニコ静画にて配信中。
作画は楠本弘樹が担当。
第1巻が2015年9月19日に刊行。こちらも発売約2週間後には早くも重版が決定。その後も続刊が出るたびに重版されている。
2016年4月26日、ドラマCD化が決定。『八男って、それはないでしょう!10.5』としてヨムゾンボックスから2017年2月24日発売。
2020年6月時点の既刊は書籍版が19巻。最新刊は第20巻が2020年7月20日発売予定。コミカライズ版が8巻。最新刊は第8巻が2020年4月23日発売。因みに、海外でも翻訳され、刊行されている。
2019年11月には前日譚として『八男って、それはないでしょう!~はじまりの物語~』のタイトルで、スピンオフが連載開始。
本編コミカライズではダイジェスト化及びカットされた原作小説第1巻の子供時代を描く。
作画はばにら棒。第1巻が2020年3月23日発売。
シリーズは累計250万部を突破している。
主人公の若手商社マンだった一宮 信吾(いちみや しんご)が、ふと目を覚ますと異世界の八男であるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター(通称:ヴェル)という子供に憑依していた。
俺TUEEEや現代知識チートがある訳ではなく、唯一の魔法の才能に恵まれたことで現状を突破し自由な冒険者になろうと考えるのだが、思わぬ大出世の結果いわば有名税として国家や貴族社会に振り回されると言う物語である。
――ある日の朝、目を覚ますと……平凡な若手商社マンである一宮信吾(25)は、僻地に領地を持つ貧乏貴族の八男ヴェンデリン(5)という存在意義さえ怪しい子供に憑依していた。
信吾は、家門と領地継承もなく、内政無双の知識もないこの身と己に絶望するも、魔法の才能に恵まれたという一点を突破口に独立を目指す。
この物語は、そんな若造が魔法で金を稼ぎ自由に生きる、当面は幼少時代から冒険者学校に通う12歳になるまでは脱ボッチのお話である(エーリッヒ兄さんやアマーリエはヴェルの数少ない話相手である)。
それと、12歳という若さ(前世を含めて37歳)で古代骨竜からヘルムート王国を救った魔法使いでも中身が大人の凡人では結局人の営みで発生する柵(しがらみ)からは逃れられない……という話でもある。
一時期は累計ランキングで三位にまで上り詰めた人気作ではあるが、小説家になろうの読者を中心に非常にアンチの多い作品でもある。
勢い重視?
基本的に貴族社会の柵と人間関係の悩み深さに作品の主眼を置いているが、そもそも作品全体的に余りにもご都合主義の要素が強く、ドイツ風の名前に中世ヨーロッパ系の世界観でありながら、主要言語は日本語、魔力や魔法の設定が途中で変わる、主人公の強さや転生について具体的な説明がされない、など、細かいところを言えばきりが無いほど設定の粗が目立つ。
まあ、そこでみせている作品ではないと言ってしまえばそれまでのことだが、「小説になろう」だからこそ王道から外して好き勝手な物語にできたともいえる。
web版ではヴェルのハーレムを無駄に拡大しすぎた反省か、書籍版16巻からどうやらweb版と違う物語に分岐し始める模様。
ビジネスライクなハーレム展開
また、当初こそは小説1~11巻辺りまでは貴族社会の柵に重点を置いて描写されているが、小説12巻以降は貴族勢力らがヴェルの権力と金が目当てで女性と嫁がせると言う、半強制的なくっつけ方の主人公のハーレム拡大の話が多くなっていく。後半でヴェルのハーレムが無駄に拡大したのは、間違いなく前国王陛下末弟のヘクター公爵に24人も妻がいたのが、悪い前例として物語に直接的にもメタ的にも作用したのが原因だろうと思われる。
それでも交際相手のエリーゼと生活するうちに相思相愛のメインヒロインになったり、アマーリエといった信用するほど本当に好きになる真のヒロインもいるし、ルイーゼやイーナといった親友から妾になった仲間系ヒロインもいるし、ヴェルのハーレムヒロイン達の仲が悪化しない程度には婚約女性を選べている。しかし、少なくてもヴェルの家族やヴェルの家臣の結婚相手の名前がヴェルのハーレムとダブるケースも多々あった。
他
また、ヴェル自身についても、魔法の師匠であるアルフレッドから教わった聖光による「骨竜」討伐後、ヘルムート王国に有能な人物と目をつけられてからは基本的には貴族社会の状況に振り回され流されるばかりで、特に強い信念をもって決断を行なっているわけではない。
それが後に自身の地位や名声を鼻にかけている様な言動に見えたりと、見る人によっては傲慢な人物に見える(ハーレムヒロインが沢山いる癖に親友のエルや隣国選帝侯のニュルンベルクに嫉妬する小物なのも原因)。
他にも作風全体にご都合主義の展開や、主要キャラや設定に対する間違いが多く、後半には民主主義体制の国家が出てくることによる政治要素も加わり、特に打切り同然に終わったweb版の評価はよろしくない。(例えるなら週刊少年ジャンプの中堅看板位の内容だったが、後半がつまらなくなり打ち切られたようなクオリティ)
総評すれば、悪い意味でのなろう系作品のテンプレートとでも言うべき作品であり、読む人を選ぶ作品とも言える。
※:前者はドラマCDの、後者はアニメ版のキャストを記述。
冒険者団体ドラゴンバスターズ
骨竜地竜と竜を次々と倒し続けた結果付けられたヴェルの冒険者パーティー名。しかし、冒険者活動の結果いきなり国家予算級の大金を掴まされてしまう。その時にヘルムート王国の国王とブライヒレーダー辺境伯とルックナー財務卿ら3人によって、ヴェルはバウマイスター家筆頭に祭り上げられ、田舎貴族の無能と化していた本家の者達を排除させるように仕向けられた(ついでに国賊も排除完了)。その結果ヴェルは完全に貴族社会に引きずり込まれバウマイスター領南西部を開発する事になり簡単に国外逃亡できなくなった。
パーティーの内容はリーダーであるヴェルの他に親友のエルヴィンを唯一の男メンバーとする以外は、冒険者としての戦力になる「戦える嫁ヒロイン」ばかりで構成されるのが特徴。おまけに、エルヴィンを除いて全て魔法使いの才があり、この異世界では非常に珍しい魔法使いだらけのパーティーでもある。「戦える嫁ヒロイン」の数が増えると一軍と二軍のようなパーティ構成になった。
ヴェルの嫁達は「器合わせ」に加えて「性交」によって魔力増強が可能だが、その事実を知られると女魔術師(あるいは同性の行為も辞さぬ男魔術師)がヴェルに殺到してくる為、対外的には「器合わせ」で魔力が上がった事にしている。
メインメンバー(一軍)
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター(CV:寺島拓篤 / 榎木淳弥 / 幼少期:石上静香)
通称ヴェル。
生前の名は、一宮信吾で25歳。普通のサラリーマン(実家の影響で食品関係)だったが、ある日目が覚めると、田舎貧乏騎士爵家当主アルトゥルの八男(当時5歳)に転生していた。
一人称は俺(ヴェル本来の人格だと僕だった)。ヴェル(信吾入り)の性格は書籍版や漫画版ではweb版の性格より穏やかに改善されている。(性格の良さは漫画版>書籍版>傲慢なweb版)
このままでは人生が詰んでしまうと感じ、15歳の成人まで待たずに最短で独立すべく、12歳で冒険者予備校に入学。同じ境遇のエルヴィンとは親友。
剣の才能は皆無だったが、弓と魔法の才能が有り、当初は独学で学び、身体強化の魔法で運動音痴の欠点も補い狩りも効率的に行っていた。魔の森で出会ったアルフレッド・レインフォード(生前はブライヒレーダー家お抱えの魔法使いであり語り死人となってしまった)に師事した事で魔法の才能が加速、規格外の魔法使いの冒険者として成長していく。
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム(CV:早見沙織 / 西明日香)
聖教会本部枢機卿・エクムント・フォン・ホーエンハイムの孫娘。本編のメインヒロイン。
「聖」魔法の使い手で、〈聖女〉と呼ばれる慈愛に満ちた少女。料理・裁縫も得意とし、あらゆることをそつなくこなすヒロインとしては完璧超人。
胸の膨らみが全ヒロイン中最も大きく、初登場の12歳時でF、15歳時にはGにまで育っている。
枢機卿に言質を取られまずはヴェルの婚約者として付き合う事になった。政略結婚とはいえお互いに好印象だった為、12歳のヴェルと3年かけて少しずつ仲良くなっていった。15歳になって冒険者デビューする頃には完全に相思相愛になっていた。16歳でヴェルと結婚した。
おとなしく見えるが、古代遺跡でドラゴンバスターズが全滅の危機に瀕したときは、究極の治癒魔法を使うことにかこつけて、仲間たちの眼前でヴェルにキスをすると言った大胆な行動をしたこともある。
また、ヴェルがいざとなれば国外逃亡もあり得る人生設計を立てていることをそれとなく勘付いており、「私がいなくなってもホーエンハイム家は問題ないですから」と駆け落ちを覚悟していることを仄めかしている。
最初は「ヴェンデリン様」とやや他人行儀に呼んでいたのが、テレーゼの出現以降「あなた」とあてつけ半分で呼び方を変えたりしたこともあった。
また、結婚後はヴェルに本気の愛情を受けているアマーリエへの嫉妬や、縛られるものなく愛人として振る舞うテレーゼへの対抗心でのストレスで魔導四輪(自動車)を暴走させる一面もある。
エルヴィン・フォン・アルニム(CV:森久保祥太郎 / 下野紘)
通称エル。
ヴェルとは同じような境遇で、実家は500名ほどの村を有する騎士爵家で五男。
剣術と弓に秀で、剣士として身を立てようと冒険者予備校に入学。
その後、準男爵を得たヴェルの従士となり、実家から独立した。
ヴェルの冒険者パーティの縁でヴェルの護衛として家臣に加わるが、中盤時点で性交によって魔力増強したヴェルの嫁達より結果的に一番弱くなってしまうという護衛としてあるまじき地味な不遇を受けた。しかし、ミズホ国で覚えた刀術によって確実に強くはなっており、軍団を率いるスキルを身につけるなどもしている。
ブロワ辺境伯家との紛争事件の際は、ブロワ家の総大将代理として活躍する庶子のカルラに惚れるが、彼女にはすでに心に決めた相手がいた。しかも、エル自身に結構似ているというある意味最悪の失恋を経験する。
その後のアーカート神聖帝国での反乱の時は、ミズホ国の「抜刀隊」に属するハルカ・フジバヤシと出会い、恋人となり後に正妻とすることになる。
数少ない男性仲間なので妊娠などで戦線離脱する事はない。
イーナ・ズザネ・ヒレンブラント(CV:松井恵理子 / 小松未可子)
実家は代々槍術の道場を経営し、領主・ブライヒレーダー辺境伯から兵士達の槍の師範を任命されている陪臣。そのため、王国から任命された者とその家族だけが正式な貴族であり、貴族の名を持つが正式な貴族ではない。
陪臣の三女は同じ陪臣にしか嫁げないこともあり、やはり己で身を立てる為、冒険者予備校に入学。複数の狼に囲まれている所を助けられたのがヴェル達と知り合ったきっかけ。
一見、クール系美少女だが素は純情。本を読むのが好きで恋愛物語に憧れたりする。ヴェルとの冒険者パーティーを組んだ縁でルイーゼに巻き込まれる形でヴェルの家臣かつヴェルの妾ヒロインとなった。ヴェルの愛情は親友の延長の親愛。
ローデリヒからは「槍術大車輪」の技を学び、ヴェルとの初夜で魔力が増強した後は彼にも勝てるようになった。
ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルベーク(CV:今井麻美 / 三村ゆうな)
「魔力」を「闘気」に変える拳法“魔闘流”の使い手で、幼く見えるがとてつもない力を発揮する。その為接近戦に強い魔法武道家に近い。
気配遮断スキルも使える。
冒険者を目指す理由もヴェルと知り合ったきっかけもイーナと同じ。
見た目とは裏腹に積極的で、ヴェルとの冒険者パーティーとの縁を有効活用し「ヴェルの妾」としてヴェルの最初のヒロインとしてガンガンアピールした結果、家臣かつヴェルの妾ヒロインとなった。ヴェルの愛情は親友の延長の親愛。
実はエリーゼより先にヴェルのヒロインになっているが、エリーゼの後ろにはヘルムート王国陛下のお墨付きと教会の権力があり、仮にヴェルと親愛以上の相思相愛であってもそれらに立ち向かうのは無謀と理解している。その上での貴族の柵によるトラブルを避けてのヴェルの妾狙いであり計画通り成立させた。身分の関係上エリーゼが本妻となる事は仕方ないと考えている。
魔闘流による一撃必殺の威力は嫁たちの中でも並ぶものがなく、ボス戦での切り札となることも少なくない。
ヴィルマ・エトル・フォン・アスガハン(CV:M・A・O)
エドガー軍務卿(CV:平林剛)の姪(後にヴェルの妾候補になる際に養女となった)。
エドガー軍務卿がブライヒレーダー辺境伯とルックナー財務卿の共謀によりヴェルを利用してバウマイスター領南西部を開発させようとする動きを感知した結果、ヴィルマをヴェルの護衛役かつ既成事実を作って妾とする為にエドガーの養女として送る事にした。養女なのでヴェルの妾で十分であり、ヴェルの嫁が全員冒険者である事と正妻を送り込んだホーエンハイム枢機卿やアームストロング伯爵家への配慮を考えた上での人選だった。ちなみにヴェルの2つ年下である。
「英雄症候群」という微量な魔力が常に身体にかかり、大幅筋力強化が無意識になされる特殊な体質で、見た目とは裏腹に凄まじい怪力を誇る。その代わりにカロリー消費が激しく、常に腹ペコキャラである。身長を遥かに超える巨大な戦斧を振り回して戦うほか、帝国内乱ではミズホ国の魔銃を操ってスナイパーとしても活躍した。
基本的に口数の少ない少女だが、かなり聡明である。「英雄症候群」ゆえに家族の財政に食費で負担をかけてしまうことを自覚しており、幼い頃から単独で王都近くの海や川、森で狩猟や漁、採集を行っていた。エドガー軍務卿のところに自らの戦闘能力を売り込みに行き、何らかの切り札に使えると見込まれて戦斧術などの軍事訓練も受けられた。
ヴェルを狙う暗殺者を発見し守る能力に非常に長けている為、後から追加された他のハーレムヒロインと最後まで役割が被らずにすんでいる(むしろルイーゼの上位互換、器用万能さはエリーゼに次ぐ)。ヴェルに対しては、「いっぱい食べさせてくれる人、だから好き」という感情が強く、ヴェル自身の愛情も小動物的マスコットに対するそれである。いつか「竜の肉を食べさせてくれる」のを期待している。
なお結構毒舌と言うか思ったことを口にするタイプであり、貴族への口止め交渉もできるが、愛人テレーゼの方が交渉能力は上である。
カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
没落した貴族ヴァイゲル家の娘でヴェルの一つ年上。
紫の髪の毛の縦ロールといういわゆるお嬢様ヘアスタイル。派手な赤系の魔法使い用ドレスを身にまとい、化粧やマニキュアなどもしているためまだ10代ながら20代前半ぐらいに見られることがある。「暴風」の二つ名で通っている有名な魔法使いであり、お家再興のために冒険者活動を続けている。自身の名を高めるためにヴェルに魔法勝負を挑むが、あえなく敗れ、導師の乱入によるグダグダなどで毒気を抜かれたこともあってヴェル達のパーティーに加わる。
ヴェルと結ばれて生まれた子に領地を与えることでヴァイゲル家を復興することになり、5人目の嫁となる。人付き合いの経験が少なく、いわゆるボッチであったことからヴェルからはシンパシーに似た愛情を向けられることになる。
エリーゼに次ぐプロポーションの持ち主だが、ダイエットにこだわっており、少しでも太る兆候があると気にする。その関係で、風呂場で素っ裸で鏡の前に立っているところをヴェルに見られる(ヴェルが女子の入浴時間なのを見落とした)というラッキースケベなどもあってデレることになる。
ちなみに、このカタリーナまでがヴェル16歳時に最初の嫁になった5人のメンバーであり、アーカート神聖帝国での内乱の長い戦いの旅を共にすることになる。
カチヤ・フランク・フォン・オイレンベルク
ブライヒレーダー辺境伯領に隣り合っているオイレンベルク騎士爵領の長女。
黒髪のツインテールにレンジャータイプの冒険者スタイルであり、加速魔法とサーベルを使って戦う。「神速」の二つ名を持つ。
男勝りの性格で一人称は「あたい」。ヴェルの2つ年上である。
帝国内乱の解決後、バウマイスター領とブライヒレーダー領を隔てる山脈に発見されたトンネルの出口がこのオイレンベルク騎士爵領にあったことから事態がややこしくなり、騎士爵親子が敢えて手放すことにしたトンネルの利権を自分が引き受けると言い始める。
それは、「自分より強い貴族の男子に婿に入ってもらう」というものであり、王都で大々的に武闘大会を開いたが、候補者はいずれも彼女に敗れた。結局、国王自らの命によってヴェルが彼女を倒し、6人目の妻とすることになる。オイレンベルク騎士爵はバウマイスター家の分家扱いとなり、彼らの領地替えの上でトンネル利権の大半はヴェルのものとなった。
この嫁辺りからヴェルの権力と金が目当てで政略結婚という形が急加速していく。
リサ・クレメンテ・ウルリーケ・エクスラー
「ブリザードのリサ」の異名を持つ凄腕魔法使い。
緑髪のワンレングスに、ボディコンドレスというバブリーな格好のイケイケねーちゃん。もちろん性格もイケイケでカチヤからは「姉御」と呼ばれている。ヴェルの12歳年上のアラサーであり、この異世界では完全に行かず後家扱いされる年頃である。
カチヤの結婚を噂に聞いて、様子を見にバウマイスター領を訪れた。その時にカチヤの魔力が上昇している(もちろんヴェルと性交したため)に感づくが、それをごまかそうと煽るテレーゼとの間で一ヶ月の間をおいて魔法勝負となる。テレーゼはあっさり降参となるが、なおも魔力上昇の件を追求しようとするリサと今度はヴェルが勝負することとなる。その戦いで、誤って冷却魔法で彼女の服を破いてしまい、「あそこ」まで見てしまうことになった。
しかも、その後メイクが落ちたことで超気弱・超コミュ障な本性が明らかになる。イケイケな行動はそれらを隠して冒険者として生きるための仮面だったのだ。
結局、上記の事故の責任を取るためもあってヴェルが7人目の妻として迎えた。ほぼ結婚を諦めていた彼女としては嬉しい縁組だったようだ。
書籍版ではweb版で嫁を増やしすぎた事を反省したのかカチヤとリサを政略結婚する程度に控えているようだ。
サブメンバー(二軍)
一軍の嫁達が全員妊娠した時に手を組んだヴェル17歳当時時点でのヴェルの魔法使いの弟子達で有能な三人娘。ヴェルはアルフレッドのような師弟関係を持った健全な弟子を育成したいと思って、優秀な魔術師のトップから3位を特に気に入って可愛がったが、3人とも女性だった事で娘3人は魔法使いの弟子以上にヴェルの妾になる事を望んでしまいヴェルの健全な魔法使いの師弟計画が叶う事はなかった。
眼鏡屋の娘のアグネス(バウマイスター家長女のクラウスのモブ取り巻きとは別人)、花屋の娘シンディ、レストラン経営の娘ベッティの三人がヴェルの魔術師の弟子となるが、ヴェルと冒険者パーティを常に組んでいた弊害で他の貴族男性が竜殺しのヴェルに遠慮して近づかなくなり、3人娘の家族達もヴェルの妾になるものと期待された。
ヴェルが3人の弟子達に自分の妻や子供達を会わせた事がきっかけで異常な魔力の変化を弟子の一人に感知され「ヴェルの性交で魔力増強した」事がばれた。
ローデリヒにヴェルは席を外されヴェルの妻達による女魔術師がヴェルに殺到しないようにする口止め取引(愛人テレーゼとヴィルマによる秘密共有脅迫取引が始まった)によりヴェル周りの外堀が完全に埋められた状態になり数年後にヴェルは責任をとって有能な魔法使いの弟子である3人を妾にした。
その為ヴェルの3人娘との愛情は師弟関係の延長の親愛である。
魔法の師匠達
既に他界しているアルフレッドを除く、ブランタークやクリムトといった二人の魔法の師匠達が定期的にヴェル達のパーティと組む事で男女比率を安定させる。しかし、その弊害としてヴェルが師弟子の信頼関係を結んだ男魔術師の弟子を育成し、仲間に加える夢が叶う事はなかった。
アルフレッド・レインフォード(CV:浪川大輔)
元ブライヒレーダー辺境伯お抱え筆頭魔法使いでヴェルの師匠。
本編時間軸の7年前の時点(ヴェルの子供時代)で既に故人。
元は孤児だったが、魔法の才があったため、冒険者として活躍。その実力を買われてブライヒレーダー辺境伯に召し抱えられたが、強力な魔法使いであっても接近戦では非力で、魔の森への進軍で魔物の大群相手に多勢に無勢の状態で命を落とし、語り死人になった。
ヴェルに出会ってその才能に惚れ込み、彼に魔法使いとしてのすべてを伝えた後、ヴェル自身の聖魔法で天に昇った。後にアルフレッドの遺産である屋敷とゴーレムはヴェルに引き継がれた。
なお、「袋とじ」と称してヴェルに「精力回復」、「体力回復」などの「夜のお楽しみ」用の魔法を残しており、結婚後に開けるようにとそれらを伝授された。この師匠の置き土産と、嫁たちが早く子どもを見たいために肉食系と化したことで、ヴェルは嫁たちとアレなことやコレなことを毎日楽しむことになる。リネン清掃するメイドたちは大変である(ある程度「浄化」の魔法でヴェルがきれいにしてはいる)。
ブランターク・リングスタット(CV:屋良有作)
ブライヒレーダー辺境伯お抱え筆頭魔法使い。元冒険者でアルフレッドの師匠。
ヴェルとはアルフレッドの件で知り合い、王都での保護者的立場に。
王家の思惑で貴族社会に振り回されるヴェルの悪運に付きあわされ、上下から突き上げられる中間管理職として苦労する。
魔法使いの潜在能力はヴェルやクリムトより低いが、経験と知識でフォローした。
酒飲みや「夜のお店」巡りなど、ちょいワルな遊びが大好き。年齢50近くの中年ながら、独身貴族を謳歌して役職にも就かず気ままに生きることを信条としていた。しかし、結構莫大な資産をもっていることから死後の遺産処理の件でブライヒレーダー辺境伯に心配され、結局見合い結婚で妻を娶ることになる。
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング(CV:山根雅史)
アルフレッドの友人。エリーゼの伯父でもある。
ムキムキマッチョでパイナップルモヒカン刈りの如何にもな戦士系と思いきや、王国最強の武闘派王宮筆頭魔導士。通称「導師」。
この異世界では接近戦に強い魔法使いは珍しい部類に入るが、武道家専門知識がなくても問題なく「魔導機動甲冑」の力を発揮できる。
「身体強化」魔法の上位である「魔導機動甲冑」魔法の使い手で、これは「身体強化」魔法や「飛翔」魔法の維持に必要な魔力循環訓練にも最適な魔法でもある。
アルフレッドに「魔導機動甲冑」を教えてあげられずに悔やんだ事をヴェルに話す事でヴェルに魔法による身体強化訓練を受ける事を決意させた。ヴェルとルイーゼの王都での修行時の師匠的立場。
古代遺跡のドラゴンゴーレム誤情報の件でヴェルが仲間と共に死にかけた時は王家に文句(web版では恨み言、書籍版では嫌味、漫画版では無自覚)を言った時はヴェルをなだめつつ王家をフォローした。この時に自らドラゴンゴーレムと戦えなかったことを後々まで無念に思っており、帝国内乱の際にそれらが出現した時は喜々として立ち向かうことになる。
後にアンデッド対策に聖魔法も習得した。だが、「魔導機動甲冑」と同様に身体の表面にしか魔法効果を纏えないため、治療を行う際は患者をモヒカンのマッチョマンが抱きしめるという地獄絵図が現出することになる。
バウマイスター家
クルト(CV:杉田智和)
バウマイスター家当主アルトゥルの長男。大きな野望を抱かず、次期当主として家を継ぐ事に専念している。と言えば聞こえは良いが、実際は「お山の大将」で満足し、自らを磨く努力を全くしない(ひらがなしか読めない)。最初は決して愚鈍な男ではなく、当初はヴェルの才能を本家の発展に活かそうとする考えもあった。しかし父アルトゥルから「居場所を無くすぞ」と断じられてしまった事でいよいよ次期当主の座に拘泥するばかりになり、出来のいい五男や八男を極度に恐れて彼らの存在を疎ましく思うようになっていく。二人が独立した事で一応精神の安寧を得たが、その後のヴェルの立身出世の評判が流れてくるのを忌々しく聞く日々が続く。そのうちにヴェルに対して「死んでしまえ」という感情まで抱くようになった。
「ヴェルが古代遺跡の探索で死亡」という誤情報に半信半疑ながらぬか喜びするも、ヴェルが魔の森のアンデッド浄化で久方ぶりに帰郷した際に上記の感情が彼の中で再燃し、ヴェル側の関係者とことごとく衝突した。
結局、王国上層部の意向もありヴェルはクルトの廃嫡を促す事を決意。むしろクルトの感情を逆なでする方向に事態を持っていった結果、彼はルックナー財務卿の弟であるルックナー会計監査長の陰謀に乗る形で呪いの魔道具を受け取る。それでヴェルの暗殺を図るも魔道具が暴走、クルト自身と彼の支持者である村人たちを巻き込んでアンデッドとなる。
ヴェル達の聖魔法であえなく撃退されるが、その残留思念が悪霊と化して王都に向かい、陰謀成功を前祝いしていたルックナー会計監査長と支持者達の一族郎党数十人を呪い殺してしまう。その残留思念もホーエンハイム枢機卿やエドガー軍務卿の手になる魔法使いたちに処分された。
アニメ版では長男支持者達も、ヴェルに「王都で手に職を付ける条件で買収した」為、クルトがぼっちで魔道具を使用する形になった。
エーリッヒ(CV:松岡洋平)
バウマイスター家当主アルトゥルの五男。兄弟の中でも博識で弓の能力も長けている。八男のヴェルと仲が良かった(憑依前憑依後含む)が、長男が結婚した事がきっかけで三男パウル四男ヘルムートと共に家を出る事になった。ヴェルの最初の理解者であり、王都に住む関係上出世したヴェルと合う機会も多く、よき相談相手であり続けた。
ちなみにエーリッヒがもてても嫉妬深い性格のヴェル(信吾入り)は全く嫉妬しない所か、流石と素直に褒めており、ヴェルのエーリッヒへの兄への尊敬度と信用度の高さが尋常ではない事がわかる。
アマーリエ(CV:ゆかな)
長男クルトの妻として嫁いできた女性。エーリッヒがいなくなってぼっちになったヴェルが会話する唯一の人物となり、ヴェルの二人目の理解者となった。
漫画ではダイジェスト化した事で出番がカットされた事でイラストの登場が大幅に遅れており、『八男って、それはないでしょう!~はじまりの物語~』でフォローされる事になった。
上記のように悪霊化した長男クルトが虐殺不祥事を起こし破滅した後は、虐殺に巻き込まれ死亡した貴族の肉親達による復讐から取り残された子供2人を守る為、アルトゥルとの取引でヴェルの『あてがい女』(結婚前の貴族男子に子作りの方法を教える役目)となった。その事がきっかけでヴェルは少年時代に話し相手になってくれたアマーリエを恋人かつ姉や母親のように甘えて本気で愛してしまい、結果的にアマーリエの打算通りに2人の子供達の未来を守り救う事ができた。
なお、アニメ版ではヴェルが王に直談判して子供2人分の爵位任命権を譲り受け、子どもたちの将来を保証するという展開になっている。これでアマーリエは『あてがい女』になることなく、逆にヴェルに惚れ込むという形になった。
表向きヴェルの愛人になった後は「ヴェル君」と呼ばせるだけでなく、貴族社会の悩みやメインヒロインの正妻エリーゼにすら言えない相談事もするようになった。ヴェルと性交しても魔力が上がらず、魔法の才能には目覚めなかった。
貴族となったヴェルが精神安定を保つ役割を果たす真のヒロインとも言える。
ローデリヒ(CV:高塚智人)
「槍術大車輪」の使い手で登場当時はイーナより強かった。ルックナー財務卿の弟であるルックナー会計監査長が商人の娘に産ませた子だが、彼が認知しなかったため恩恵を受けるどころか逆に生まれを理由に雇用先に忌避されるようになっていた。そのため、2百回以上に渡る面接試験に落ちて長い浪人生活を強いられていた。
槍術の腕もさることながら、商法や法律に詳しく内政に関して有能であり、ヴェルの貴重な男性家臣として雇われたが、エルのように冒険の表舞台には立たなかった。
魔力の上がったイーナに負けた後は訓練して鍛え直すなど負けず嫌いな一面もある。
クラウス(CV:喜多川悠)
バウマイスター家に仕える名主。党首アルトゥルや長男クルトがひらがなしか読めない無能なので彼が変わって書類の漢字やカタカナを読む。
有能だった為に無能な当主アルトゥルや長男クルトを見限って五男エーリッヒや八男ヴェルにバウマイスター家領主を継ぐよう進言したがいずれも失敗。アルトゥルの妾レイラの父であり、二人の間に生まれた平民身分の子供達である、六男・七男・長女・次女をクラウス自身ののモブ取り巻きのように従えている。
クルトをめぐる一連の事件においてはヴェルをクルトを追い詰める方向へ誘導しようとした。次兄ヘルマンが騎士爵家を継いだ後も、次兄では彼を制御できないと判断したヴェルは次兄を守る為相談役としてクラウスを引きとり、モブ六男らと勢力分断した。
娘レイラを妾にした件や死んだ息子ゴードンの件でアルトゥルを問い詰めて苦悩させ、不運な真相を語らせたりバウマイスター家に含むところがあることを垣間見せていた。だが、クルトを破滅に追い込み死亡させ息子の仇をとった事である程度復讐心を満足させたのか、web版ではヴェルを破滅させようと企む事は最後までなく、エルの恋愛相談に乗るなど性格が丸くなっていった。
他勢力
アルテリオ・マーシェン(CV:ロバート・ウォーターマン)
ブランタークの元・冒険者仲間で老火竜を討伐した事があった。その時の怪我で引退し王都で商人をしている。王都訪問の際に搭乗していた魔導飛行船で骨竜を撃破したヴェルと知り合った。その事がきっかけでプランターク同様付き合いが長くなり、ヴェル(信吾入り)の地球知識によって作られた物を次々と商品として取り入れて発展していき、最終的にはバウマイスター伯爵家筆頭御用商人となった。
エクムント・フォン・ホーエンハイム枢機卿 (CV:浅科准平)
法衣子爵で教会の重鎮でエリーゼの祖父。孫娘がいる年齢になっても当主を続けており、その老獪さから国王からも妖怪と呼ばれるほど。ヴェルが「聖光」の使い手である事を理由に教会の洗礼という名目でヴェルを教会におびき寄せた後、彼の話術により竜殺しの英雄ヴェルと孫娘エリーゼとの婚約という形での政略結婚をあっさり成立させた。
実はエリーゼを25番目の側室にしようとする前国王陛下の末弟のヘクター公爵からエリーゼを守る為に竜殺しのヴェルとの婚約(結婚)を企んだわけであり、12歳という若さで教会の権力を認識できるヴェルを高く評価した。
教会は治療の他に犯罪者を収容し監禁する施設でもあり、エリーゼやヴェルに敵対する者に容赦しない。出世よりも家族を守る事を優先する。
また、教会のネットワークは国際的な情報網でもあり、帝国内乱の際に王国に帰れなくなったヴェルに国王の「可能な限り、ヘルムート王国の利となるよう動くべし」という命令を伝えたのは枢機卿の派遣したユーファという神官だった。
テレーゼ・ジークリット・フォン・フィリップ
アーカート神聖帝国の選帝侯七公爵家のひとつ、フィリップ公爵家の女当主。公爵領の主要民族であるラン族の出身で、金髪と褐色の肌の蠱惑的な女性。一人称は「妾(わらわ)」で「のじゃ」言葉を喋る。ヴェルを見初め、内縁の夫として子種を狙うようになる。
ニュルンベルクが内乱を起こした時は対抗する解放軍をまとめ上げ、帝国初の女帝誕生もあるかと思われた。だが、帝都奪回後に復権してきた現皇帝に対しての弱腰の結果事態の悪化を招いてしまう。そして、ペーターの台頭とさらに現皇帝の敗死によって、なお権力に固執する皇后とテレーゼ自身の兄二人に無理やり担ぎ上げられる形で巻き込まれた。
皇后らはペーターとヴェルに刺客を送るもヴィルマの活躍などであっさりと阻止され、軟禁されかかっていたテレーゼもヴェルたちに救出されて計画は頓挫。皇后と兄二人、さらに取り巻きの者たちは毒をあおっての自決を強要された(表向きは病死)。テレーゼ自身も当主の責任上同様の運命をたどるところだったが、従兄のアルフォンスによる助命嘆願もあって強制隠居という形でペーターからは許された。その後もヴェルと共に行動し、幼馴染でもあるニュルンベルクの最期を自ら見届けた。
内乱終結後、生かされた責任を取る為表向きはヴェルの愛人(いわば帝国からの王国の戦利品)としてヘルムート王国に引っ越す事になった(国に残すと反乱に利用されたり、処刑される為)。比較的善人が多いヴェルの嫁達の中で数少ない汚い手段を提案できたり、敵対貴族を脅迫するなどといういい意味で悪役になれる存在意義を見出した為、本妻のエリーゼや妾達もそれを理解した上で黙認した。女当主時代は処女だったが、愛人として過ごすうちに彼女もヴェルと性交。魔法を使えるようになる。
マックス・エアハルト・アルミン・フォン・ニュルンベルク
アーカート神聖帝国の選帝侯七公爵家のひとつ、ニュルンベルク公爵家の当主。
先代皇帝の崩御に伴い行われた皇帝選挙で次席に入るが、それでは満足せず内乱を起こし、皇帝を僭称することになる。
強硬な国粋主義者で、ヴェルには現世での独裁者たちに比較され、危険視されることになる。とは言え、web版では敵貴族の中で一番まともな部類。「魔族の国」の存在を知っており、それに対抗するために帝国を強大かつ一つにし、さらにはリンガイア大陸そのものを統一するという遠大な計画を持ってもいた。軍人としては極めて優秀で、内乱が不利になったと見るやさっさと帝都を明け渡し、わざわざ生かしておいた現皇帝が復権することによってテレーゼが帝国軍をまとめられないように誘導した。だが、ペーターという思わぬ人物の台頭により、ヴェルと組んだ彼の手で追い詰められていくことになる。
ヴェルに会った最初から最終決戦までヴェルを勧誘しようとしていた(最悪古代遺跡の結界で籠城して魔法使いを増やせるヴェルを生存させる事でアーカート神聖帝国の状況変化を待ちつつ、魔族への対抗手段を残したかった)が、アーカート神聖帝国魔法使いの大半は自己中心的な者が多く魔法使いの才能に嫉妬し仲間同士の暗殺抗争が絶えなかった。ニュルンベルクが出していたヴェル勧誘命令も部下達に意図的に無視されヴェルの仲間に危害を加えようとした結果、ヴェルとの関係は悪化した。
古代遺跡の結界内の反乱軍要塞での最終決戦では、古代遺跡文明で発見された兵器でヴェルに戦いを挑んで死亡した。
なおヘルムート王国が古代竜の骨竜に滅ぼされたパラレルワールドでは古代遺跡文明の結界により骨竜をやり過ごして生存している。
ターラント
ニュルンベルクが最も信用する強力な魔法使い。ヴェルがニュルンベルクによる直接の勧誘を断った為に戦いを挑んできた。近距離魔法は苦手だが、遠距離魔法が得意。聖魔法英霊召喚の使い手である人物に変身し、ヴェル、クリムト、ブランタークの三人相手に互角に戦える強敵。ターラントを妬む魔法使いが大勢いるが、ターラント自身の体質である気配遮断(ヴィルマの英雄症候群と同じような魔法が常にかかっている状態)により味方魔法使いの妬みで暗殺される事は最期までなかった。
ペーター・オスヴァルト・デリウス・フォン・アーカート
アーカート神聖帝国皇家出身である現皇帝の三男。ヴェルと同年代ぐらいの少年で、飄々とした掴みどころがない性格。世間評価は平民出身の母が生んだ放蕩息子の愚者であり、日本風に言うなら「バカ殿」であるが、実はこれは自身の能力を隠すためであった。本当は機知や謀才に富む聡明な人物で、テレーゼやニュルンベルクすら欺き利害一致したヴェルと親友になった。ニュルンベルクに現皇帝が敗死した時をチャンスに無血クーデターを起こし、宰相として帝国の実権を握るとニュルンベルクを追い詰めて討ち取り、皇帝の座につくことになった。
皮肉にも、彼の手によってニュルンベルクの望んだ「強大かつ一つの帝国」がある程度実現することになる。
エメラ
ペーターに仕える女魔法使い。ライトグリーンのショートカットの髪の毛が特徴。その実力はカタリーナと並ぶとブランタークが評している。極めてクールな性格で、ペーターのふざけ半分の愛情アピールをニベもなくはねつけている。だが、二人の関係は単なる主従を超えたものであり、いわゆるツンデレだろうとヴェルは見ている。デレの部分は絶対に人前で見せないようであるが。
アーネスト・ブリッツ
ニュルンベルクと手を組む「魔族」と呼ばれる謎の男性。白いタキシード風の服にシルクハット、片眼鏡という中年紳士風の風貌。地球異世界共に架空存在のエルフのように耳が尖っている。ヴェルやクリムト以上の魔力を持つ魔族の魔法使い。
ニュルンベルクと一緒に古代遺跡文明で発見された兵器でヴェルに戦いを挑み、ニュルンベルクの死後に囚われの身となった。
世界中にある古代遺跡文明を研究する為なら手段を選ばない。
だが逆に言えば古代遺跡文明の研究に没頭させてさえおけば基本的に人畜無害であり、骨の髄まで研究者気質である。そうしたことから、下手に殺したり閉じ込めたりするよりはとヴェルのもとに預けられることになった。
フィリーネ
帝国内乱に参戦中のヴェルにエリーゼを通じて地元の村長から紹介された少女。ブライヒレーダー辺境伯の隠し子。ヴェルの7歳年下。前回の親善訪問団に参加した辺境伯が、その時の侍女とデキてしまったというものである。彼が帰国した後妊娠が発覚、その後亡くなった母からは申し送りを受けているため、本人は生まれの事情を理解している。
幸いにも辺境伯家は男子ばかりであり、ヴェルとの婚姻で縁戚を結ぶことを期待されたため、歓迎される形で引き取られた。
しかし、対面したブライヒレーダー辺境伯が普段のクールぶりが嘘のような親バカモードに入り、彼の男としての株を大いに落とすことになった。
成人後はヴェルの側室に加わる予定である。
web版で増えすぎた嫁を反省したのか書籍版では今の所彼女とキャラがかぶる嫁は増えていない。
魔法使い
1000人に1人位の割合で発見される為、国が支給した水晶玉で鑑定する。ヴェル(信吾入り)は魔法の才能があり、ヴェル本人には才能はなかった。
魔法使いは寿命が長く、さらにボケないので高年齢でも問題なく働く事が可能である。
異世界語
ヴェル(信吾入り)の異世界では、ひらがな、カタカナ、漢字、英語、数字などが使われている。バウマイスター家ではヴェル、エーリッヒ、クラウス、アーマリエ位しか読めないと思われる。
語り死人
人生の後悔により死後アンデッドになった元人間だが、理性が残っている。対話可能なので願い事を叶えて上げると成仏できる。数年放置すると理性を失い凶悪なアンデッドになってしまうのでそれまでに願い事を叶えるか、聖魔法で消滅させないと大変な事になる。
器合わせ
魔法使い同士で行う魔力増強手段。器合わせをする事で能力の高い魔法使いと同じ魔力量になるが、魔法使いの潜在能力以上の魔力を持つ事は出来ない。
器合わせの影響で魔力酔いをするほか、多少なりとはいえ互いの人格が影響し合う為、仲の悪い人同士では器合わせをやる事はない。その為基本的に親友以上の信用関係がないと器合わせをやる事はない。
聖魔法
ヴェルやエリーゼといった魔法使いが使える聖なる魔法でアンデッド退治には必須となる。
後にクリムトも習得した。
古竜といった数ケ国を滅ぼすほどの強力な存在(パラレルワールドでヘルムート王国が滅ぶ話があった)を中心にこの異世界に巣食う動く死体のモンスター。バウマイスター領の魔の森のアンデッド軍団はヘルムート王国討伐隊を返り討ちにしてアンデッド仲間にしたことがある。王都の貴族やメイドや無能田舎領主といった雑魚でも凶悪的に強い悪霊レイスとなれる為、王都で立ち入り禁止領域となった場所が多い。アンデッドになった者が標的を殺すと極端に弱体化する特性があるがそれでも並の魔物より脅威な存在である。ピンからキリまでいるが、結局は聖魔法でしか倒せない点が厄介である。
軍隊を連れて討伐しようとするとアンデッドも軍団を連れて現れる為、ヘルムート王国は大損害を受けた。数年後少数精鋭(ヴェルの冒険者パーティ)で各個撃破する方針に切り替え無事に成功させた。
魔晶石
魔力を貯め込んでおける魔石。この異世界ではいわば電池のような存在として扱われている。ヴェルは中級魔法使いクラスの魔力を貯めておける魔晶石の指輪をエリーゼの婚約指輪(300万セント=3億円)として送り、数々の冒険でヴェルやエリーゼの非常用の魔力タンクとして活躍した。
魔道具
古代遺跡文明の残した魔力で動く道具。モンスターを呼び寄せたりアンデッドの怨念を集めたりする笛のようなものから、魔力で動くこっちの世界でいう白物家電、自動車や重機、魔道飛行船、海水から真水を取るろ過装置など、その姿や用途は様々。魔石や魔晶石の魔力を消費して動くものが多い。
これらは「魔道具ギルド」(紛らわしいが「魔導ギルド」とは別組織)によって集められ、現代の技術で再現・量産するべく研究が続けられている。しかし、近年は上役の魔道具職人が現状に甘んじて老害となり、さっぱり研究開発は進んでいない。そこへヴェルが魔族の国からより優れた魔道具を個人輸入するようになったことで彼らの立場が危うくなり、Web版のぽっと出ラスボス出現の一因となる。
教会に入る(教会に送る)
生き残った貴族犯罪者などを聖教会に送り監禁する時に使われる用語。よく癇癪をおこした悪徳貴族などを捕まえた後によく使われる。
ヴェルは教会権力をもつホーエンハイム枢機卿の後ろ盾を得る事によりヴェルに危害を加えた敵対貴族を次々と教会送りにした。悪徳貴族にとっては教会は地球で言う刑務所のような場所でもある。
あてがい女
結婚前の貴族男性に子作り方法を教える女性の事。基本的に未亡人支援や子育て支援などがあり、その代償として引き受ける事が多い。人格的に問題のある女性は後の火種になる為、基本的に選ばれない。貴族が風俗街を利用するわけにはいかない為に残されている制度でもある。
アニメでは流石に「あてがい女」はまずかったのか、ヴェルがアマーリエの子供達を守る事でアマーリエはあてがい女にならずに済んでおりカットの多いアニメでも良改変の一つといえる。
この異世界ではエルフやドワーフは地球同様架空の存在だが、魔族は存在しエルフと同じ尖った耳と膨大な魔力を持っている事が特徴。
アーネスト曰く魔族領は少子化に悩まされているらしい。
2018年12月14日に時期未定ながらテレビアニメ化決定が発表された。
2019年3月6日、大まかな放送時期が2020年と決定。
今回のアニメ化発表に併せ、公式ティザーサイト、公式Twitterが始動。Twitterではこれを記念しY.Aのサイン入り小説1巻から8巻のセットを8名にプレゼントする企画も実施されている。
アニメ化決定記念として番外編『ヴェンデリンと信吾、邂逅す』で、一宮信吾(ヴェル入り)やイシュルバーグ伯爵が登場している。
同年9月、主人公・ヴェンデリンとメインヒロイン・エリーゼ役のキャストが発表された。
同年12月、正式な放送時期が2020年4月に決定。
続く2020年1月、2月にもキービジュアル、追加キャスト、放送及び配信情報、主題歌など続報が解禁された。
TOKYOMX、AT-XおよびJ:テレとかBS11などにて放送された他、AbemaTV・dアニメストアほかにて2020年4月より2020年6月まで順次配信された。
なお1クールしか無かった為、カットされたシーンが多い。ちなみにアニメならではのシーンもあるので書籍や漫画などと良いとこどりして楽しむのが吉といえる。
制作スタッフ
主題歌
オープニングテーマ『時空の迷い人』
作詞 - デーモン閣下・宝野アリカ / 作曲 - デーモン閣下 / 編曲 - Anders Rydholm / 歌 - デーモン閣下×宝野アリカ(ALI PROJECT)
エンディングテーマ『月明りのMonologue』
作詞・作曲・編曲 - Motokiyo / ストリングスアレンジ - 菊谷知樹 / 歌 - AKINO arai×AKINO from bless4
2019年9月に、アニメの続報と共にスマートフォン向けゲーム化が決定。
シナリオは原作者のY.A氏描き下ろし。
『八男って、それはないでしょう!~もう一人の転生者~』のタイトルでiOS・Android向けに2020年5月末から配信されているが、2021年5月24日限りで終了することがアナウンスされている。
一宮 信吾(ヴェル入り)
アニメ化記念で追加されたweb版番外編により5歳のヴェルが0歳の赤子同然の一宮信吾として転生していた事が明らかになった。25歳の一宮信吾に憑依しなかった事からパラレルワールドが存在していると思われる。
一人称は「僕」。魔法の才能に恵まれなくても5歳にして頭が良かった為、地球に憑依転生しなかったら五男エーリッヒの補佐として人生を歩んでいた事だろう。転生した事を周囲に言うと精神病院行きになるのは確定する為、秘密にしている。
魔法と違って知っていれば誰でも使える科学という技術に興味をもっている。
ヴェル本人は頭はエーリッヒ兄さんと同じく聡明だった為、一宮信吾本来が通っていた高校とは違う、信吾本来の学力では通えない高学歴の高校に進学していた。学生ヒロインも2人おり本来の歴史と違って一宮信吾(ヴェル入り)はモテモテのリア充になっておりヴェル(信吾入り)に嫉妬されたが、ヴェル(信吾入り)が信吾(ヴェル入り)に綺麗な奥さんであるエリーゼと結婚した事に嫉妬していた。
地球に転移してきたヴェル(信吾入り)とエリーゼと遭遇した。大人の姿をしたヴェルを自分自身と即座に理解してお互いの事について会話した。後に彼の3人の友達にも秘密がばれるが、イシュルバーグ伯爵に記憶を消されてなかった事にされた。
プラッテ伯爵&シャーシェウド会長
魔族に捕えられた悪徳貴族息子をヴェルに見捨てられた事を恨む父と、魔導ギルドと貴族階級を妬む元平民による魔道具ギルドで影の薄い老害との小物コンビ。アーカート神聖帝国から没収し改造した古代兵器でヴェルの暗殺と魔導ギルド、王城の破壊、さらにはそれを手土産とした帝国への亡命を図った。魔導ギルドの建物を破壊まではできたものの王城の破壊は阻止されて逃走し、追いつかれたヴェル達に「巨大ゴーレム大魔神」(老害命名)で戦いを挑んで負けたweb版打切り用の影の薄いラスボス。
イシュルバーグ伯爵(CV:大地葉)
古代遺跡文明に存在した男魔術師。web版では残した数々の古代遺跡文明のトラップや遺跡を守るドラゴンゴーレム達や再生するゴレーム軍兵により探索するヴェル達を下手な貴族勢力や敵達よりも大苦戦させた。web版では故人かつ未登場のまま連載を終えた。
しかし、アニメ化記念でweb版で古代遺跡文明の装置により地球転移したヴェル(信吾入り)とエリーゼが一宮信吾(ヴェル入り)と出会いイシュルバーグを名乗る人物とも出会う事になる物語が追加された。しかし結果的にヴェル達は魔法袋にある地球産の道具を全て奪われた上、地球上での彼との記憶を消されてヴェル(信吾入り)は再び異世界に飛ばされてしまったため、物語の本筋への影響は残っていない。
地球での活動は精々ヤクザや武器商人を増える竜ゴーレムの餌にした事位であり、ヴェル(信吾入り)や信吾(ヴェル入り)らに使った実験に関しては未遂で終わった(パワードスーツを信吾たちに与えて性能を確かめた)。
信吾やヴェルの身体の入れ替わりやイシュルバーグと謎の女性の身体の入れ替わりの関係で伯爵の憑依魔法に巻き込まれた可能性、そして実はヴェルが倒した古竜を暴れさせたという悪事を自白した。それだけでなく数々の諸悪の根源であった事が判明し、悪事が露呈した(エリーゼは伯爵への皮肉としてヴェルとの出会いのきっかけになった事を感謝した)が、ヴェルとエリーゼが伯爵に記憶を消されて再び異世界転移させられた後はweb版では一切関わる事なくヴェルは異世界で生涯を終えた。
アニメ化に伴ってリリースされたスマートフォン向けゲーム『八男って、それはないでしょう!~もう一人の転生者~』において、ゲームマスター的キャラとして本格登場。それとともに、ヴィジュアルと設定が明らかにされた。
その正体はなんと女性。本名は、ユーフェリア・マルクトレス・フォン・イシュルバーグ。愛称と一人称は“ユウ”である。しがない下級役人の末っ子として生誕。幼少の頃から規格外の才能を発揮。魔法使い、魔道具職人といった多彩な分野で研究者として活動していた。
その桁違いの功績から貴族にまで上り詰めたが、二十歳にも満たない女性であることは貴族社会の中でネックとなり、家族によって影武者が用意された。そのため、後の世には彼女の素性は殆ど伝わっていない。
1万年前の実験の失敗(ユウ本人は反対したが、欲に目の眩んだ当時の王や貴族が強行した)により当時の文明は滅び、彼女の肉体も消滅した。だが、予め異次元に作っておいた疑似の肉体に魂を移し、時間の流れのないその異次元でヴェルたちの時代となった現在も生き続けている。
上記特別編の他、web版の続編「みそっかす」においてもチラリと登場しており、今後web版、書籍版ともに本格登場が期待される。
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